2016年02月27日

「選択の科学」シーナ・アイエンガー

「選択の科学」シーナ・アイエンガー(著)、櫻井 祐子 (翻訳)

図書館で見つけた本です。
ビジネススクールの本ということで、
実用的な科学っぽいし面白そうなので借りてみました。

読んでから知ったことですが、
この本は2010年に出されたあと、アメリカで話題になっていたそうです。
日本でもNHKで「コロンビア白熱教室」として放送されているようですね。

筆者はアメリカ人ですが、ご両親はインドからの移民の身(敬虔なシーク教徒だそうです)、
しかもご本人は盲目なのだそうです。
しかしそのハンデも実力で乗り越えて一流の研究者として活躍されているあたり、
アメリカンドリームを体現されていると言えます。

そしてこの成功は、何もかもを自分で選択することを良しとするアメリカ文化で育ち、
自分で道を選んで為し遂げたものでもあります。
一方、ご両親のシーク教は生活の何もかもが戒律で厳格に定められており、
それを当たり前とする両親を目の当たりにして生活してこられた。

筆者は、このふたつの文化の狭間で、
選択とはなにか?
選択することはイコール幸せなのか?
を研究のテーマにするようになったということです。

たしかに、生粋のアメリカ人では「選択」は当たり前でしょ?と思うだろうし
テーマにはならなかったかもしれませんね。

目次は以下の通り。
第1講 選択は本能である
第2講 集団のためか、個人のためか
第3講 「強制」された選択
第4講 選択を左右するもの
第5講 選択は作られる
第6講 豊富な選択肢は必ずしも利益にならない
第7講 選択の代償
最終講 選択と偶然と運命の三次元方程式

かいつまんで書きます。
第1講 選択は本能である
ここでは「選択できる」と思うことは、人に生命力や生きがいを与えてくれるものだ、
ということを色んな研究から示します。

例えば、
・生きることを選ぶことで奇跡的に生還した人たちがいる。
・溺れても助かった経験のあるラットは、経験のないラットより「生きる」ことを選択し、長く泳ぎ続ける。
・快適でも住処や食べ物を選ぶ自由のない動物園の動物は、野生の動物よりも寿命が短い。
・老人ホームで、予定や備品などを自分たちで決めて生活したグループは生存率が高い。
・労働者は、自分の仕事について、自分の裁量の余地が多いと感じるほどストレスが少ない。
…など。

しかし選択できれば全てよしとは限らない
ということを以下の講であぶり出していきます。

第2講では、
それでは宗教や文化、社会的な理由で選択の自由がない(ように見える)人たちは幸せではないのか?
という視点からの分析です。

ここでは分析の柱が二つあります。

・一つは集団主義文化と個人主義文化との比較。
 集団主義文化は、日本やアジアなど、集団の倫理に重きを置く社会の文化。
 個人主義文化は、西欧諸国やアメリカなど、個人を尊重する社会の文化。

 集団主義文化では、
 自分で選ぶよりも、
 自分のいる集団の決まりや目上の人(親、権威者、上司など)の決定などに従う方がストレスが少ない、
ということを示しています。

・もう一つは、資本主義社会と社会主義社会との比較。
 資本主義社会は、束縛からの自由(選べる自由)がある代わりに、
 貧富の差ができ、貧乏人になるリスクがある。
 社会主義社会は、選べる自由はないが、最低限必要なものを与えられ、生活する自由はある。
 ただそこで満足してしまって成長とか改革が生まれにくい。

 社会主義社会で育った人たちは、
 選択肢の多さにはあまりこだわらない傾向にあるらしい。
 (種類をそろえるくらいなら、
 最低限のものを誰でも手に入るようにする方がいい、
 という発想)

 つまり社会主義文化で育った人は、
 選択の自由より、全員がそこそこの生活を保証されることを重視する、
 ということになります。

ここで筆者が言いたいのは、
こういう文化の違いを尊重しあうことが必要ではないかということのようです。
この文化の違いを認識しておくことが、
例えば多国籍企業での社員のモチベーションアップにどう権限を与えたらいいか
といった課題へのヒントとなるようです。

第3~5講は、選択するとき、我々は本当に自分にとって望ましいものを選んでいるのか?
第6、7講は、選択できることはいつも幸せなのか?
という疑問を投げ掛けています。

第3講 強制された選択
ここでは、
人は他人の目だとか自分の自己イメージに縛られて選択してしまうこともある、
ということを述べています。

筆者によると、
人は選択したもので自分を表現している、と感じているのだそうです。

人は、自分が特別な存在だと思っている。
人は、自分の好みや考えが首尾一貫していると思っている。
自分のことは自分がいちばんよく分かっていると思っている。
これらは全て幻想に過ぎないのですが、
その思い込みで選択してしまう
ということです。

・大多数に入ると言われるのは嫌(しかし標準からひどく外れているのも嫌)
・ちょっと珍しいが極端に奇抜でもないものを選ぶ人が多い
・他人と同じは嫌、自分が最初いいと思っても、他の人と同じと分かったら選ばない
・自分の考え方に変化があると、
 過去の自分が未熟だったとか、あるいは昔そんなこと言ってたっけ?と忘れてしまうなど
 過去の記憶をすり替えてしまう
…などの現象が起こるのはそのせいらしい。

だけど人とは、自分が思うより自分はそんな特別でもないし、
自分とはこうだと思っていても他人からみたら全然違うこともあるし、
考え方が変わっていくこともある。
そんな風に考えて、もっと柔軟になったらどうかと述べています。

柔軟になるために、
他人から自分を評価してもらい、
自己イメージとのギャップを認識する方法も提案しています。
(たいがいは、自己イメージと他人が見る自分は全然違うらしいです)
こういう人だと思われたい自分があるなら、それに合うように行動を変えるのもいいらしい。
ただし、よく見せようとはしないこと、だそうですが…

選択も、自分の考えや好みの確たる「結果」ではなく、
それが移ろっていく「過程」を示すもの、
と考えると良さそうです。

第4講 選択を左右するもの
人には自動システム(本能や直感)と熟慮システム(論理的思考)があり、
二つのせめぎあいで選択をしている。
しかし人には心理的なクセがあり、
それに左右されて合理的でない選択をしてしまうことがある、という話です。

例えば、
・遠い将来の利益より目の前の欲望に弱い
 (1ヶ月後の120ドルより今の100ドルを選ぶ)
・目につくものや覚えやすいものを選びやすい、
 (面接では最初と最後の人が印象に残りやすい)
・見方(フレーミング)により選択を惑わされる、
・物事をパターン化したがる、
 (バブル期に株価が上がり続けると信じてしまう)
・自分の考えに合う事実だけを信じたがる(確認バイアス)、
…など。
これにより、合理的な判断ができなくなる場合もあるらしい。

これを防ぐ方法として、
・専門知識を増やして直感力を鍛えること、
・熟慮システムで心のクセに流されて選択していないか確認していくこと、
などを提案しています。

第5講 選択は創られる
選択は他人により操作されることがある、ということを
様々な研究や事例で示しています。

・流行色は2年前から作られる
・天然水とラベルされた水や高級とラベルされたワインが美味しく感じてしまう
・同じメーカーがほぼ同じ材料で、イメージだけ変えて色んなブランドを作る戦略
・コカ・コーラはペプシと中身は変わらないのに、広告が好きで買ってしまう
…など。
主にマーケティングの分野ですかね。

「プライミング」
(ある物を見ると、それにまつわるイメージや思い出なども連想する心の働き)
が関わっているらしい。

筆者の意見では、
操作されるというと嫌悪感を抱く人も多いだろうが、
それはしかたがない。
操作されていると認識し、
大したことがない部分では寛容になったらどうかと述べています。

第6講では、選択肢が多ければいいというわけではないという話。
人の処理能力は5~9種類までで、それ以上の選択肢はノイズでしかないらしい。
筆者の研究では、
ジャムの試食コーナーに24種類置くのと6種類置くのでは、
24種類の方が試食しにくる人は多いが、
実際一つを選んで買うのは6種類の方が多い
という実験が有名らしいです。

しかし企業戦略的には多様な品揃えが有利になる場合もある。
(CDなど、レアものを少しずつ多種類売る商売のやり方もある)
選ぶ側も、選択肢の質よりも、選択枝が多い「状況」を重視してしまう心理もあるらしい。

現代社会で選択肢が多いのは避けられないので、最小の労力で選ぶ工夫が必要、としています。
それについては、いくつか提案がされています。
・人の処理能力には限界がある、最良の選択ができないこともある、と割りきる
・専門知識を増やし、選ぶポイントを見極める
・専門家や他人に助けを借りる
 レストランのレビュー、
 ネット本屋の「おすすめ」など
・グループ分けして選択肢を減らす
 デパートの売場分け
・選択の順番を工夫する
 例えば車の選択で、選ばねばならないオプションがたくさんある場合、
 内装色、車体色など、選択肢が多いオプションを後回しにし、
 ギアなど選択肢が少ないオプションから選んで絞りこむ
 この方が早く済み、満足度も高い

第7講 選択の代償
選択が幸福をもたらさないことがある、という話。
・ベストな選択肢がないときは、「選択」が苦痛や後悔をもたらす。
 こういう選択は先送りしたり避けようとしてしまいがちだが、
 選ばないことが最悪の結果を招くことも少なくない。
 こういうときは、専門家や他人に決めてもらうのが一番よい。

 例えば重症な子供の治療を続けるか、死を選ぶかの究極の選択の時は、
  情報を提供してもらった上で、判断は医者にしてもらうのが一番苦痛が少ない

・「心理的反発」してはいけないといわれると、余計したくなるという心理。
 (赤いボタンを押すなと言われると押したくなる、など)

 この心理は、選択の自由があると分かっているからこそ起きるそうで、
 もとから選択の余地がない場合はあきらめがつくらしい。

 例えば、
 ・禁煙や禁酒がなかなかできない、
 ・株での損切りがなかなかできない
 …など。

 この場合は、
 自動的に望ましい行動をできるようあらかじめプログラムしてしまうといいらしい。
  誓いを破ると自動的にお金を寄付するようにできているサイトもあるのだそうな。

最終講では、筆者は、
選択は人生を切り開く力になる、と明言しています。
筆者の人生からの実感もあるのでしょう。
そして、選択の力を最大限に活用するには
選択の不確実性と矛盾を受け入れることではないか、と締めくくっています。
要するに、選択もクセや間違いがあるので、そのクセをなるべく知っておきましょうということですかね。

感想です。
中身が多すぎて、把握するのが大変でしたが、かなり示唆に富んだ内容でした。

・第2講の、育った文化的背景によっては、上司とか権威者に選んでもらった方が満足する、
 というのは興味深かったです。
 私も日本人ですのでなんとなく分かりますが、
 自分で決めると、あとで集団の他の人ともめるかも…という心情もあるし、
 自分で決める責任が重い、平たく言えば責任を負いたくない、というのもあると思います。
 
 「西欧以外の文化に、なかなか民主主義が根付かない」
 というのもこれと関係があるのかもしれない、と思いました。

 そもそも民主主義って、まず国民が
 「自分で世の中を決めるのだ」という決意がないと成り立たないシステムであるように思います。
 今まで宗教の権威者だとか、地域の長老みたいな人たちに従うことでうまくいっていた社会が、
 「みんな平等だから、一人一人の意思で決めなさいよ」
 といきなり言われても、何を基準にして決めたらいいのか分からない人が多いのではないかしら。

 それで耳聞こえがいい政策を言う人が政治家になって、
 でも長期的なビジョンがあるわけでもないから国が混乱して
 …みたいなことになっているように思う。
 いわゆる発展途上と呼ばれる国で民主主義がなかなか根付かないのは、そのせいもあるような気がする。

 集団主義社会に合うような民主主義を考えるとか(日本はそのお手本になるんでしょうか?)、
 もしくはプロの政治家を養成するところから始めないと、根付かないのかもしれませんね。
 
・第3講は、読んでいて「ああこれあるある」みたいな気分でした。
 人より特別でいたいけど、あんまりにも変人と言われたくない心理。
 まあ、でも私はもともとあまのじゃくで、人と同じ道はあまり行きたくないので、
 「極端にヘン」と言われてもあまり気にしない方ではありますが…

 ただ年齢を重ねていろんな経験をして思うには、
 人が選ぼうが何だろうが、自分がいいと思ったらそれを選んだ方がいい
 人が極端にヘンだと言おうが何だろうが、自分がいいと思ったらそれを選んだ方がいい
 つまり、「他人基準」でなく「自分基準」を作るのが、一番心地いいのではないかということです。

 しかし、それにも固執せず、
 たまにはブームに乗って新しいものにも挑戦してみるとか、
 若い人のしていることを取り入れてみる、
 などの柔軟さも持つことも、
 また新たな自分の発見につながるようにも思います。

 筆者の言いたいこともその辺なのかもしれません。
 
・第5講「選択は作られる」
 これも興味深かったです。
 昔、色彩検定を受けたことがあったんですが、そのテキストに
 「色の流行は2年前に決められます」
 と書いてあり、はあ?と思った記憶があります。
 だって流行って、終わった後「今年は青が流行ったよね」って言うものだと思っていたので。

 そのあと、服って、ほしい色や柄や形があっても、そのとき流行でないと置いていない、
 という事実に気づいていつもうんざりしていました。
 流行っていうか、企業が勝手に決めてそれ以外を作ってくれないから選べないだけじゃないか!と。
 (私があまり服に興味がないのはそのせいでもある)

 まあでもスイーツの流行なども似たようなものがありますね。
 しかし、これに対しては、これも年齢を重ねて思うことですが、
 ・欲しいものが流行っていない年は、諦めて買わない。
 ・どうしても必要であれば、最低限のものだけ買う。
 ・あるいは新しいものに挑戦する機会と考える(ノリで使ってみる、というのもアリだと思う)

 他にも、ラベル付けやイメージ戦略によって買いたいと思わされてしまう、
 みたいなことが書いてあったけど、
 これに対しても
 ・イメージやラベルが何だろうが、いいと思ったら買い、質が悪いと思ったら買わない
 ・イメージや雰囲気を買う、と割り切って買う(高級ワインを飲んだ、という満足感を味わう)
 ・ああ、これイメージ代としてこれだけ値段をつけているのね、と楽しんでみる
 という、ある意味クールで柔軟な態度で接するのがいいように思います。

 とどのつまり、こういう行動が賢いお金の使い方につながっていくのかもしれません。

第4講は、直感の鍛え方という意味で、「ツキの科学」という本とリンクしました。
心のクセを知って自分の直感を疑う、という態度が、最良の選択をする道しるべになりそうです。

第6講を読むと、世の中選択肢を増やしてほしい、という人が多いようなので、
多分商品とか政府の政策とか、選ばねばならないことが増える傾向にあるのだろうなあ…と思いました。
私自身は選ぶのがめんどくさい人間なのでそんなに選択肢はいらないんだけど…
選択肢を意識的に減らす方法は参考になります。

第7講は、不幸を選ばない秘訣、と言えそうです。
それにしても、治療法を医者に選んでもらう方が気楽、というのはちょっとびっくりしました。
最近はインフォームドコンセントとかいってなんでも決めさせられてしまう傾向にありますし。
(逆に、医者が責任を負いたくない、というのもあるのかもしれませんが)
信頼できる専門家を前もって見つけておく、というのが一番なのかもしれません。

後半の「心理的反発」については、
「ツキの科学」の「不幸の歯止めを働かせる」を思い出しました。
最悪な状態を想定して、一番ましな選択肢をあらかじめしておく
というのが一番いいのかもしれません。


選択という行為の中にあるいろんなクセを知ることができただけでも、
大きな収穫でした。
お金を貯める秘訣とか、成功する秘訣にもつながっているように思います。

色々勉強になりました。ありがとう~~
長くなりましたがこの辺で。

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2016年02月19日

Eテレオイコノミア「怒りの経済学」

Eテレオイコノミア「怒りの経済学」

「オイコノミア」はEテレでやっています。
お笑い芸人の又吉さんと経済学の先生が
身近なことについて経済学的な視点で解説していく番組。

…といっても私は見たことがありませんでした。
たまたま12月くらいにこの
「怒りの経済学」の宣伝をやっていて、
面白そうなので録画していました。
が、見る暇がなくほったらかしにしていて、
最近時間ができたので見てみました。

なぜ怒りか?

私はけっこう沸点が低い方で、
それだけに怒りの対処法については何冊か本も読んでいます。
それで、経済学からどう斬り込むの?
と興味が沸いたのです。

けっこう面白かったので、
内容を記憶している限り書いてみます。

今回は元サッカー選手の前園さんをゲストに迎えています。
彼は数年前、お酒に酔って暴行事件を起こして謹慎処分になったことがあるようなのですが、
(有名な事件らしいが私は知らなかった)
その謹慎期間、怒りのコントロール方法について勉強したのだそう。

現在子供たちにサッカーを教えるときにも、
怒りのコントロール方法も伝えているのだそうです。

●怒りの効果
 良い効果…ファイトが起きる
 悪い効果…コントロールを失う、集中できない

●マテラッツィ効果
 マテラッツィ…2006年ワールドカップでフランスのジダン選手を怒らせ、頭突きをさせて退場に追いやったイタリア選手
ジダンというチームの精神的な柱を失ったフランスは負け、イタリアが優勝

 これを研究したイスラエルの学者によると
 怒りは
 ・肉体的にはプラス
 ・精神的にはマイナスに働く

 ・怒りにより握力が増える?
  前園さんと又吉さんが、
  腹が立ちそうな言葉により、
  握力が増える(=肉体的にプラスに働く)
  かの実験をしています。

●公共財ゲーム
 経済学では、怒りが人の行動にどう影響するかを調べるために
 「公共財ゲーム」という実験があるらしい。

 これは、複数人の人がまず一人1000円ずつ持っていて、
 寄付をしていくゲーム。
 ルールは
 ・寄付の額はそれぞれ自由に決められる(寄付しなくてもいい)
 ・一回寄付したあと、全員の寄付の額を集める。
  それを倍にして人数分で割り、同じ額ずつ分配する

 このゲームでは、みんなが全額寄付をするのが一番得です。
 (このとき、全員の利益が2倍になります)

 ただしこれは
 「他のみんなも寄付するだろう」
 と全員が他人を信頼していること
 (さらに詳しく言えば、全員がお互い信頼している、と全員が分かっていること)
が前提なのがミソ。

 というのは、
 もしここで寄付をしない人がいる場合、
 寄付しない人は得をして
 (ただし2倍よりは少ない)
 寄付する人は損をしてしまう。
 というカラクリになっています。

 このとき、一人でも寄付しない人がいることが分かると、
 みんな自分が寄付するのが一番得と分かっているのに、
 相手を信頼できなくなり
 寄付をしなくなる、
 という結果になるらしい。

 実際の世界でも、他人に怒りを抱き信用しなくなると、
 自分が損をするとわかっていても協力しなくなる。
 ということが起こるらしい。

 「7つの習慣」で書いてあった
 「lose-lose」状態、破れかぶれというやつですね。

 さて番組では、この公共財ゲームを実際に又吉さん、前園さん、先生が行っていましたが、
 先生の行動で又吉さんと前園さんの表情と行動に変化が起きるのは見事でした。
 「怒りは人の行動を変える」
ということらしい。

次は怒りとどう付き合うかの話。

●怒っている他人への対処
 クレーム対応の専門家が、
相手の怒りを鎮めるための対応で大切なポイント3つを挙げていました。
 ・話を傾聴する…真剣に聞く
 ・謝る…心からの謝罪
 ・共感する…相手の気持ちになる
 この対応でたいがいの怒りは鎮まるらしい。

 人間は起こしたことに怒っているのではない。
 間違いは誰にでもある、
 もう過ぎたことはどうしようもないと分かっている。
 ただ気持ちをわかってほしいのである。
 対応のしかたによりファンにするか、こんな店もう行かない、となるかが決まる

と言っておられました。

●自分の怒りの鎮めかた
 「アンガーマネジメント」のさわりの話をしていました。

 この「アンガーマネジメント」は前園さんも謹慎期間に学んだらしい。
 またテニスのフェデラー選手もこれを学び
 「怒りを悪いものとしてではなく、気持ちを奮い立たせるものとして利用できるようになった」
 とのこと。

 企業でアンガーマネジメントの講師をしている方に話を聞いていました。

 ここで言っていたのは
 ・怒りが続くのはほんの六秒なので、
  イラッと来たら取り合えず六秒数える。

 ・怒るのは悪いことではない。
  ただ怒らなくてもいいことを怒らなくするようにすることが大事

  (私の記憶では、アンガーマネジメントってもっと技法があったと思うので、
  これは紹介程度の話でしょう)

 それから経済学的な実験からのアドバイスとしては

 ・ハエの視点になる

 …ハエ?
 と思ったけど、実際に実験で使われた言葉らしい。
 この実験では
 我を忘れるほど怒ったことがある人を2つのグループに分ける。
 その人の怒りの経験について、
 1つのグループには
 「自分の立場からその話を説明してください」と頼む。

 その人たちは、
 自己中心的な解釈をし、
 相手を激しく非難したらしい。

 もう1つのグループには
 「壁に止まったハエの視点からその話を説明してください」と頼む。

 こちらのグループは、冷静に状況を分析する人が多かったらしい。

 又吉さんは
 色んな視点で見ることで冷静になる、というのもあるけど、
 「俺はハエなんや」とコミカルに思うことも怒りを静めるのかも。とコメントしておられました。

●怒りのプラス効果
 先生は最後に怒りは悪いものではない、ともしています。

 怒りのプラス効果として
 ・確実性のないことをあるように感じ、自分で世界をコントロールできると感じさせる
 ・その結果、リスクのある行動を取りやすくする
 ・普通なら怖いと思うこともやれてしまう

 つまり恐怖に打ち勝つ力や、
 困難に立ち向かう起爆剤として
 怒りが役に立つこともある
 ということらしい。

というわけで全体の話をまとめると
●怒りは人の行動をよくも悪くも変える
 悪く働くと、集中力や判断力を失わせる

●他人の怒りには、
 ・傾聴する
 ・謝罪する
 ・共感する

●自分の怒りには
 ・とっさのときは六秒数える
 ・壁のハエになる
 ・これって怒るようなことか?と自問してみる

●怒りは悪いものではない。
 恐怖や困難に立ち向かう起爆剤にもなる

怒りをうまくコントロールして、上手に付き合いましょう。
ということです。


感想です。
やはりテレビなので物足りなさは否めないのですが、
視覚的な説明が頭に入りやすいのと、
実験をリアルに見られたのはテレビならではだなと思いました。

あと、又吉さんの間合いがいいですね。
文章を書く方であるせいか、論理的な分析も上手です。
しかしそこに芸人らしく、ふっと「おもろい話」も混ぜこんでいく。
本質は外れないように、
さりとて固くなりすぎないようにしていく話術はさすがです。

私は怒りにより損した経験が多いこともあり
怒りには否定的でした。
しかしうまく利用することができるという意見は新鮮でした。

奇しくも録画してたもので同時に見たのは
朝ドラの「あさがきた」

これはだいぶ前ので、
どうしても見たい場面があって録画してたもの。

これにも主人公が怒りにより、
主人公の夫の幼なじみを改心させる場面がありました。
怒りをこんな方向に向けることもできるのだな、と感心しました。

怒りは人にはぶつけず、
課題とか困難とか勝負事などにぶつけていくこと
がコツなのかも。
そういえば私も小学校の頃、
怒りを書き取り帳とか掃除にぶつけていたことがあったなぁ。

ところでこの記事を書いていたら、
どうやら来週この「怒りの経済学」は再放送されるようですね。
偶然なんでびっくりしました。
まだ見てないかたはぜひ。

今度は「共働きの経済学」の話もあるようなのでチェックしてみよう。


色々勉強になりました。ありがとう。
今回はこの辺で。


posted by Amago at 22:40| Comment(0) | テレビ(オイコノミア) | 更新情報をチェックする

2016年02月16日

「ハイパフォーマー彼らの法則」

「ハイパフォーマー彼らの法則」相原孝夫

ビジネス本です。
成功する人の特徴は何だろうと思って借りてみた本。
筆者は人事・組織コンサルタントであるらしく、パフォーマンスがいい人、悪い人の研究を20年行っているらしいです。

目次は以下の通り。
第1章 前向きなあの人が、なぜ結果を残せないのか
第2章 良くも、悪くも、すべては循環する
第3章 期待の新人は、なぜ「平凡な社員」になったのか
第4章 失敗から学ぶ彼らにとって、仕事は「ゲーム」だ
第5章 彼らは、とにかく「小さ な行動」を続ける
第6章 彼らは身近な人を支援 し、成功を助ける
第7章 彼らは、たまたまの成 果を喜ばない
第8章 彼らは、環境が変わっても 瞬時に溶け込む
終章 職業人生を終える時、どういう思いを持ちたいのか

内容をかいつまんで書いてみます。
1章では、今までパフォーマンスをあげるのに必要とされていた法則や能力
(ポジティブ思考、マネジメントスキルなど)
だけでは、成果に限界があることを述べています。

2章では、社会のあらゆるところで良い循環、悪い循環があることを指摘しています。

3章では、その循環のきっかけについて、具体例を列挙しています。
筆者は、ハイパフォーマーは自ら良い循環を起こしているとし、
そこに共通する以下の行動様式5つを書いています。
・失敗から学ぶ
・とにかく動く
・周囲の人を大事にする
・成功の再現性を見いだす
・仕事や環境に馴染みやすい
それぞれについて、
4章から8章でそれぞれ詳しく述べています。

読んだ印象としては、
特に前半は話があちこちにいって、言いたいことが分かりにくかったです。
良い例、悪い例はあり、
ほうほうなるほどとは思うが、
それが偶然の産物なのか、何らかの手法の結果なのかが分かりにくいというか…
その辺の分析を整理して欲しかったかな。

後半の特徴5つはそれなりに分かりやすかったです。

できる人は
・失敗から学ぶ
・とにかく挑戦
・周りの人を大事にする
・成功に再現性を見いだす
・環境に溶け込むのがうまい

とのことで、確かに納得。とは思います。
しかし残念ながら、この本ではそのためにどうすればこれらの能力を上げられるのか、
まで踏み込まれていない印象があります。

私なりに考えると
・失敗しても凹まず、学びの機会と前向きに捉える
・知らないことでも嫌なことでも、とにかく経験と思って何でもやってみる
・気持ちよく仕事するために、周りの人のためになることをしてみる
・成功したときは、それを喜ぶだけでなく、次もできるように分析する
・新しい環境では、まずそこの文化や習慣や雰囲気を覚え、自分に必要とされている役割を理解する

ということなのだろうか。

あと、せっかく研究をされているのでしたら、
こういうアドバイスを企業にしてみて、
実際成功するのか検証した例が欲しかった。
(アメリカのビジネス本ではそこまできちんとやっている印象があるのですが…)
なので、まぁ一つの仮説として読むのがいいのかも。

というわけで何となくモヤモヤした印象。
それでも勉強にはなりました。ありがとう。

一応内容をまとめたものも書いておきます。


1章 成功法則などの限界
・忙しいのに成功しない人
 スケジュール一杯の人は余裕がなく、突発的なことや他人のことに対応できず、うまくいかない

 むしろ成功する人は余裕があり、
 相手のことを考える余裕ができる良い循環が生まれる

・ポジティブ思考の弊害
 ポジティブ思考では、失敗をスルーしてしまいがち
 この選択はベストだったと思い込み、あのときどうだったか、と振り返ることをしない

・できる人ほど一人で仕事を抱え込むジレンマ

・夢を追うのはやる気が空回りすることもある

・マネジメントスキルがあっても部下がついていかない場合がある
 優先順位をつけたり、リーダーシップが発揮できるマネージャーのもとでは、
 部下が自分で考えなくなる
 問題解決能力があるマネージャーのもとでは、
 逆に問題を防ぐという発想が生まれず、対応が後手後手になる…など

2章 悪循環と好循環の例
○悪循環の例
 ・教育格差
  世代で受け継がれる
  諦め、無力感が加わり、余計に負け組になってしまう
 ・デフレスパイラル

○悪循環を抜け出すには(スポーツ選手)
 ・とにかく普段通りを続ける
 ・なにかを変えてみる

○良い循環
 ・ヴィトンのブランド戦略
  ブランド価値を守る戦略
  値引きはしない、ステイタスのある人を宣伝に起用する
  顧客も長く使えるので、高くても買う

 ・スタバの戦略
  出店場所にお金を使う
  試飲、椅子、サービスへのこだわりを全面に出す
  するとCMしなくてもお店の存在自体が広告になる
  客がブランドを認めて、お金を出してくれる

 ・宇都宮餃子
  百貨店が消え衰退していた町が、餃子イベントで復活

3章 好循環と悪循環の入り口やきっかけ
 例1 普段からの他人とのコミュニケーション
  他の社員や顧客とのコミュニケーションを重視して伸びた社員、
  能力はあるのにプライドが高く自分の殻に閉じ籠って伸びなかった社員

 例2 上司からの扱われ方
  ○ピグマリオン効果とダメージ症候群
  「ピグマリオン効果」…できる人として扱うとできる人になる
  「ダメージ症候群」…ダメな社員との烙印をおしてそのように扱うとそうなってしまう
  上司の管理が厳しいとやる気を無くす
  (管理しないといけないくらい能力がないことを示していることになる)

 例3 スケジュール管理
  期日重視の職場より、着手管理重視の職場の方がパフォーマンスがいい
  期日重視だと、期限間際でドタバタし、雰囲気も悪くなる。
  前もって着手すると、余裕ができ、協力し合う雰囲気もできる

 例4 結果よりプロセス重視の部下の方が伸びる

 例5 上司の交代と本人の能力により好循環が生まれた例

4~8章はハイパフォーマーのもつ特性5つを挙げている

4章 失敗から学ぶ
 ○失敗の時のハイパフォーマーとアベレージパフォーマーの違い
 「ハイパフォーマー」
  ・失敗を自分の責任として考えている
   失敗の経験もよく覚えており、
   何が悪かったか、次にどう生かすかを答えられる
  ・楽観性とセット
   将来飛躍できるようここから学ぼうと考えている
   心理的に反応せず、一つの事実として受け止める
   感情はスルーして事実だけ受け止める、割りきりが上手

 「アベレージパフォーマー」
  ・失敗をすぐ忘れてしまう(逃げる)
   自己正当化したがる
   人、環境、顧客、運などのせいにする
  ・失敗から心理的ダメージを受けてしまう
   恥ずかしい、悔しいと思ってしまう

 ○過去の格言や研究例
  経験から学ぼうとする意欲の強い人は伸びる、としている。

  例1 ビジョナリーカンパニー2
   「うまくいったときは窓の外(他人や環境)を見て、失敗したときには鏡(自分)を見る」

  例2 ハイディ・グラントの「証明型」の人間と「習得型」の人間
  「証明型」人の行動の成果を重視する人。
   成果で評価が決まると考えてしまう
   自分の能力を証明したがり、失敗を恐れる
   自分以上に能力がある人を脅威に思う
  「習得型」人の成長や進歩や習得を重視する人
   失敗や他人から学ぼうとする、
   失敗の恐れがあってもモチベーションを失わない

 例3 キャロル・ドゥエックの小学5年生への実験
  「固定的なマインドセット」…能力をほめる
  「成長志向のマインドセット」…努力をほめる
   努力をほめられた方は挫折しても難しい問題でも自信を失わない、
   能力を誉められた方は、難しい問題に合うとやる気をなくしやすい、という結果

 ○偉人の言葉
  ・ダイソン
  「物事は失敗しないと進まない」
  「成功は失敗から学ぶことでしか得られない」
  ・エジソン
  「失敗ではない、うまくいかない方法を一万回発見しただけだ」
 偉人も失敗は成功の元であると述べている。

5章 とにかく行動する
 色々な例から
  とにかく動く、
  改善は後で
 という姿勢が
 成功もやる気ももたらすことを述べている。

 例1 芸術の生徒の実験
  量重視のグループと質重視のグループでは、量重視の方が結果が良かった
  量作ることで改良されていく。
  初めから質を狙ってもいいものができない

 例2 シリコンバレーのリーンスタートアップ
  試作品をとにかく作り、顧客の反応をみて改善していくやり方

 例3 「進捗の法則」
  知識労働者の調査分析より
会社から評価されること、
  目標設定
  人間関係の改善、
  などよりも、
 「進捗を感じる頻度」
  (とにかく進んでいる、という感覚)
  が増えると生産性が高くなるという結果

 他にも、行動が人を作る、ことも述べている
 「アズイフの法則」ウィリアムジェームズ、リチャードワイズマン
 ・幸せになるにはすでに幸せであるかのように振る舞うこと
 ・毎日数秒ずつ笑うと幸せ感が増える

 つまり、できる人として振る舞うとそのようになっていく

 ○ハイパフォーマーの特徴
  小さな新しい試みを日々実践する
  新しいことをいち早く取り入れる
  「やってみないとわからない」

 また、
 こういう人材が日本に少ないのは、
 完璧を最初から求める教育のせいかもしれない、
 としています。

6章 身近な他人を助ける
 ○ハイパフォーマーの好循環
楽しく仕事する
  そのために身近な人との関係を大事にする、
  ⇒関係がよくなりストレスが溜まらない、
   お互い助けやすくなる、
   成果を喜び合える、
   自由で生産性の高い仕事ができる、
   という良い循環が生まれる

 ○身近な人の成果に貢献すると、巡りめぐっていつの間にかチャンスがめぐってくる

 ○嫌いな人のことはあえてよく言うと良い
 「ウィンザー効果」
  第3者から伝聞で聞くことの方が、直接言われるより効果がある
  (多くの人に同じように言われているかも、と想像するため)

 ○人に助けを求めることの重要性
  部下にも助けを求めることで、意志疎通や助け合いの雰囲気ができる
  「人間は優れた仕事をするためには、自分一人でやるよりも他人の助けを借りる方がいいと悟ったとき、その人は偉大な成長を遂げる」
  (アンドリューカーネギー)

 ○オズの魔法使い
  人のために頑張ることで、百パーセント以上の力が出せる

7章 成功を再現できる
 ○ハイパフォーマーはたまたまの成功でなく、次につながる何か(ノウハウ、コツ)を得られることに喜びを感じる

 ○普通の人が目先の成果を追ってしまう心理
 「プロスペクト理論」
  得をするより損をすることに二倍以上の感情的な反応を示す

  個人の経験でも、失敗の方がより印象に残り、
  それを避けるために目先の利益を追ってしまう

 ○近江商人の三方よし
  買い手よし、売り手よし、世間よし

  自らの利益だけでなく喜ばれる商品、
  橋や学校の建設
  などで信用を獲得

 ○アフターフォローで信用を得る商売

8章 環境に溶け込みやすい
 ○ハイパフォーマーの特徴
  ・周囲のできる人からの真似がうまい
  ・自分を環境に融和できる
  ・職業に合う風貌になる
  ・仕事について、素晴らしさや意味を熱心に語る
  ・単純作業でも重要と感じて一生懸命行う

 ○「習うより慣れよ」
  芸事、スポーツなど
  知識があっても体で繰り返してみないとわからない

 ○「組織社会化」が得意
  「組織社会化」…新入りが組織に馴染んで一人前になっていくこと
  ・組織の規範、価値観、行動様式、などを覚えること、
  ・職務遂行に必用な技能を身に付けること、
  ・組織に順応すること

posted by Amago at 23:27| Comment(0) | 本(人生) | 更新情報をチェックする