2017年02月26日

NHK BS1スペシャル「ザ・リアル・ボイス ~ダイナーからアメリカの本音が聞こえるⅡ」

NHK BS1スペシャル「ザ・リアル・ボイス ~ダイナーからアメリカの本音が聞こえるⅡ」

 アメリカの大衆食堂である「ダイナー」で、一般の人々の意見を聞いていく番組。
 アメリカ編は去年一回あったみたいですが
 今回はトランプ大統領の誕生を受けた第二弾のようです。

 この番組、ロシア編が面白かったのでアメリカも見てみました。
 アメリカに関しては報道も多いので、ロシアほど新鮮味はなかったものの、
 今回も一般の人の率直な意見が見られて良かったです。
 というわけで内容と感想を書いてみます。

 (最初にお断りしておきますが、今回もダラダラ見てたので
記憶違いがあればすみません…)

 トランプ大統領の誕生で影響を受けたと思われる4都市のダイナーを回っています。
・カリフォルニア州ロサンゼルス
・テキサス州ウェーコ
・アリゾナ州フェニックス
・ミシガン州ランシング

 それぞれの都市の紹介のほか、
 ダイナーの紹介もしています。

 ダイナーとは食堂列車がその起源だそうで、
 アメリカの一般的なダイナーは赤白や黒白などの鮮やかな格子模様の床、
 遊び心のあるインテリアが特徴的。

 メニューはハンバーガー、肉料理にフライドポテトなど、
 アメリカンなボリュームたっぷりなものとコーヒー、が一般的なようです。

 ロサンゼルスでは、90年続く老舗のダイナーが舞台でした。
 ここは、外装も内装も創業以来そのままだそうです。
 雰囲気もレトロで素敵、歴史的な人物のサインなどもあり、一種の観光名所なのだそう。
 メニューでは、大きな厚切りハムを焼いたものや、卵料理などが人気だそうです。

 テキサスでは、赤白を基調とした可愛らしいダイナーでした。
 (名前も「キム(日本で言えば花子みたいな一般的な女の子の名前)のダイナー」で可愛らしい)
 ここではテキサスビーフが名物だそうで、
 はみ出そうなビーフハンバーグとチーズが2層重ねのハンバーガーがめちゃんこ美味しそうだった。
 これで7ドルくらいなんだって。

 アリゾナでは、メキシコ移民が始めたというダイナーで、
 そのためインテリアも茶色っぽい落ち着いた色調、
 床のタイルも六角形のものと、
 一般的なアメリカンスタイルとは一味違う。
 料理も豆を使うメキシコ料理。
 有名なのは大きな春巻きの皮みたいなので挽き肉などを巻いて、
 それを油で揚げてこんがり焼き、
 さらにチーズを載せてオーブンで焼き、
 豆のペーストやお野菜を添えて食べる、チミチャンガと呼ばれる料理。
 これもすごく美味しそうでした。
 定期的にメキシコ音楽のバンド演奏などもしていたそうです。

 最後のミシガン州は食堂列車の形をした伝統的なダイナーで、
 自動車工場の労働者がよく利用するのだそう。
 そのためハンバーガーなど手軽なものが多いみたいです。
 本当はハッシュドポテト?オムレツ?みたいなのに野菜など載せた料理が有名みたいなんですけど、
 価格が高いらしく、最近は価格が低いハンバーガーばかりが売れているとのこと。
 こちらはなんだか物悲しいものを感じました。

 さて話の内容は、今回は全てトランプ大統領について。
 アメリカらしく多様な意見があり、
 全部取り上げるのは難しいので、
 印象的な話を中心に書いてみます。

・カリフォルニア州ロサンゼルス
 ここはトランプ氏の得票が3割だったか、かなり低かった所。
 「結果を受けて先生がショックで寝込んでしまった」
 という学生もいました。
 選挙が終わっても、トランプ氏に反対するデモもたくさん起きています。
 しかし
 「デモはいいやり方ではない」
 「人々を分断させるだけ」
 という意見も。

 ほか
 「アメリカには民主主義の制度がある、
  トランプ氏もそう簡単に思い通りには出来ない」
 と話す方もいました。

 お昼時になり、お客さんもまた増えてきた。
 ここでも話を聞いていくと
 「ノーコメント」
 「さあね、知らない、うまくいくといいんじゃない」
 と素っ気ない返事が増える。
 ナレーションによると、なんたかトランプ氏への敵意を感じる空気だとか。
 一人のお客さんがネットニュースを見せてくれて、
 この日「女性によるデモ」
 が始まるのだと教えてくれました。
 「トランプは女性を人間と思ってない」
 「彼は信頼できない、嫌い」
 トランプ氏の女性蔑視発言に嫌悪感を示す女性もけっこういました。
 指に♀マークを刺青してデモにも参加したという女性は
 「女性にも力があることを示さないと」

 お店のオーナーさんも来てました。
 ご高齢ですが、お洒落で上品な雰囲気の方。
 「このお店は昔のままです」
 改装する気はないのか、という質問にも
 「恋人と同じですよ、好きな人にはいつまでも変わらずいて欲しいでしょ」
 と軽妙な受け答え。

 さてこの方はトランプ氏についてはどうかと言えば
 「一歩引いてみることです、彼がすべきことをするのか見守りましょう」
 ホームレスの男性とも知り合いで
 「彼は今はホームレスですが、未来の大統領です。
  可能性は誰にでも無限大ですよ」
 最後まで素敵な方でした。

・テキサス州ウェーコ
 ここにある大学では、大統領選のあと、
 全米が注目した事件があったそうです。

 それは白人男性が黒人の女子大生を突飛ばし、
 「我々はアメリカを偉大にしているんだ」
 トランプ氏の発言を真似て言った事件。
 被害者の女子大生が動画でそれを告発し
 「トランプ氏に投票した人ならこの言葉の意味が分かるでしょう」
 と話していました。

 さてそこのダイナーにいる人々に話を聞くと
 「トランプは変化を起こしてくれる」
 「今まで誰も言わなかったことを言ってくれた」
 と期待する声がありました。

 そんな中、学生の一人に事件について聞いていました。
 「最初は人種間の問題だったが、
  人種差別意識を引きずり出したトランプ氏への批判、
という話に変わっていった」
 とのこと。

 ナレーションによれば、
 事件が起きると、差別に反発する動きがすぐに起きたそうです。
 被害の女子大生を守るため、
 一緒に登校する人たちが集まった。
 しかし、その人たちとトランプ支持者との対立が起きたのだそう。
 トランプ氏支持者は
 「我々はアメリカを偉大にするんだ」と言い、
 有色人種の人は
 「君たちのせいで僕たちは苦しんでいる。
  僕もアメリカ人だ、ここも僕の国なんだ」
 と訴えていました。

 ダイナーにいた学生によれば
 「トランプ氏支持者も、自分達は攻撃されていると感じている」
 とのこと。
 「トランプ氏は人々の差別意識を引きずり出してしまった、
  誰もが心の中に持っていた闇をね」
 同席していたガールフレンドは
 「トランプ氏は言っちゃいけないことを平気で言っている。
  対立は話し合いをできなくしてしまうだけ、中立の立場を認めなくしてしまうのが心配」
 と話していました。

 実際、テキサスではヘイトクライム(憎悪による犯罪)が増えているそうです。
 しかしここのダイナーのお客さんの意見は様々。
 「ヘイトクライムなんてマスコミのでっちあげ」
 「黒人差別なんてTVの中だけ、目撃したことなんかない」
 という白人の方もいました。

 また
 「50年代はもっと黒人差別がひどかった、
  白人と黒人は同じ店に入れなかった」
 という高齢の方は
 「トランプ氏は強いアメリカを復活させるというが、
  それは古きよきアメリカと同時に、その頃の差別も思い起こさせているのでは」
 というような意見を言っていて興味深い。

 また、ネイティブアメリカン(先住民)のかたは
 「アメリカはどの人種も自由を失うことを恐れている、
  彼らは自由を求めて泳ぐ魚のようなもの、
  アメリカの自由というのはそもそも幻想」
 というような発言もしていました。

 最後に浅黒の敬虔なクリスチャンの女性が
 「トランプ氏の当選後、
  神のもとでは皆平等のはずなのに、
  牧師が政治的な話をするようになった。
  教会に行けなくなってしまった」
 という悲しい話をしていました。
 「アメリカを偉大にする」
 というトランプ氏の発言には冷笑し、
 「一人の男がアメリカを偉大にすることなんかできません、
  アメリカを偉大にさせなくすることはできます、私たちはそれを忘れてはいけない」

・アリゾナ州フェニックス
 ここは国境沿いの町で、メキシコ移民が多いそうです。
 トランプ氏は
 「メキシコとの国境に壁を作る、
  費用はメキシコに払わせる」
 と公約。移民からは反発を受けています。

 ここのダイナーでも、移民からはトランプ氏への批判的な意見が聞かれました。
 家族に不法滞在の移民がいる方は
 「いつ帰れと言われるか怖い」
 夫が不法移民の方は、夫がメキシコに帰されたとかで
 「夫とはもう会えない」とのこと。
 ほかにも
 「自由を求めて全てを捨ててこの国に来た、
  今さら帰れと言われてもあちらには家族も家もない」
 「アメリカ国民なのにパスポートを持ち歩いている」
 という人も。
 ヒスパニックだからという理由で職務質問をされることがあるのだそうです。

 また、トランプ氏の当選後
 「バイト先で差別的な発言を受けた」
 「11歳のいとこがいじめられた」
 などのヒスパニック系の方もいました。

 話を聞いているうちに、
 同じヒスパニック系と言っても色々な立場の方がいることが分かったらしい。
 ・不法滞在している移民、
 ・アメリカ国民となって合法的に住んでいる移民、
 ・そしてその間の、アメリカ国籍は無いが滞在を許されている移民。

 この、国民ではないが滞在を許可されている女学生がいました。
 彼女は不法滞在移民の子供ですが、
 大学の許可証は持っているとのこと。
 これは、オバマ氏が大統領のとき
 「どんな子供にも、教育を受ける権利がある」
 と、学生には特別に滞在許可を与える措置をとったことによるのだそうです。
 彼女は
 「この許可証をもらったときは本当に嬉しかった、
  おめでとう、あなたもこれでアメリカ国民よ、
  と言われている気分だった」
 と話していました。
 しかし、この措置はトランプ氏に交代後、続けられるかは不透明。
 「まだ子供の私のめいが、
  自分の時には許可証をもらえるのか、
  と聞いてきたとき答えられなかった。
  何で小さい子供が、自分が許可を貰えるか心配しなくてはいけないのか」
 と涙ぐみながら話していました。

 オーナーさんにも話を聞いていました。
 創業者はメキシコ移民で、
 今のオーナーはその息子さんでした。
 「最初は小さな小屋から始めたんだ、
  母が少しずつ土地を買い足して広げていった。
  家族で一生懸命働いた」
 おかげで今は10店舗に拡大するまでになったのだそう。

 しかし、彼にトランプ氏の移民政策について訊ねたところ
 「そんな単純な話じゃない」
 と微妙な答え。

 実はヒスパニックの方がみんな反トランプかと思いきや、
 ヒスパニック系の1/3がトランプ氏に投票した、
 という事実があるそうです。

 このダイナーに来る人たちの中にも
 「彼らは法を破っているんだから色々言われても仕方ない」
 という意見もけっこうありました。

 「彼らは僕らのやりたがらない仕事をしてくれる。
  お金を稼ぎたくてアメリカに来たのだから、
  そういう仕事は彼らにしてもらえばいい。
  ただメキシコに送金するのはやめてもらいたい、
  アメリカにお金を落としてもらわないと」
 という意見を言う人も。

 更には
 「法を破るやつらは帰れ」
 と強烈なことを言う家族もいました。
 まだ子供の息子たちは
 「メキシコとの国境に壁を作る、費用はやつらに払わせる」
 とのトランプ氏の言葉を笑いながら言っていました。

 前は定期的にメキシコ音楽のライブ演奏もあったそうなんですが、
 選挙後はそれも無くなってしまったそうです。
 遠い異国で、同じ祖国の者同士が交流するはずの場所も、
 選挙後は分断されてしまった現実があるようです。

・ミシガン州ランシング
 ミシガン州はGMのお膝元、
 伝統的に車産業が盛んだった都市の1つ。
 このような都市では、グローバル化により労働力の安い海外に雇用を奪われ、仕事を失った人々が多い。
 そうした人たちは、トランプ氏の雇用政策に期待を寄せています。

 ここでは、GMの工場の近くにあるダイナーを訪ねていました。
 昔の食堂車の形をしたシンプルなダイナーで
 お客さんはほとんどが工場で働く労働者。

 GMは、トランプ氏の当選後、800人の解雇を決定したそうです。
 ここの工場もその対象となり、
 解雇されたのはほとんどが非正規雇用者だったそうです。

 しかしここの工場では、
 トランプ氏は就任までになんとか阻止してくれるのではないか、
 という噂がまことしやかに囁かれたそうです。

 というのは、トランプ氏は当選決定後、就任前にも行動を開始。
 工場のメキシコ移転が決まっていた他の企業で、
 トップに直談判して移転を止めさせた。

 また、トヨタやGMなど、メキシコに工場を持つ大企業にも、
 国内に工場を移転してアメリカの雇用を増やすべきだとツイッターで批判。

 アメリカの失業者にとっては、
 まるで救世主が現れたような感覚だったらしい。
 それで、GMにも何かしてくれるのでは、という期待が高まったようです。

 しかしグローバル企業にはそのやり方が通用するかというと…
 GMのCEOはトランプ氏のツイッターにも
 「全ての人にとってベストな決断をするだけです」
 とコメント。

 さて、ここのダイナーにも、
 解雇が決まった非正規労働者がいました。
 「車が好きでGMに働いていた、
  仕事がなくなるから探さなきゃならないけど、
  いつかまたGMでまた働きたい」
 彼は高級車を手に入れるのが夢だ、と話していました。

 夜勤を終えた労働者たちも
 「トランプが何かしてくれるだろう」
 「中国をやっつけてくれるはず」
 など、もうトランプ氏にすがるしかないとも聞こえるような意見。

 朝になり、日勤の人が労働前の朝ご飯を食べに来ましたが、
 友人同士なのに
 二人はご飯を食べていて、
 一人はコーヒーだけの人もいました。
 食べていない一人は非正規の方で、
 リストラが決まってからはコーヒーだけにしているそうです。
 それまでは仲良く一緒に食べていたそうなのですが…
 雰囲気も気まずく、食べていた二人は先に出ていきました。
 残った一人は
 「誰かに助けを求めたいけど、
  みんな次は自分かもと恐れているんだ、仕方ない」
 と話していました。

 ここのウリはハッシュなんとかという、
 ハッシュポテト?オムレツ?みたいなメニューみたいなのですが、
 9ドル以上でやや高い。
 リーマンショック以降、この料理の注文は減ったとか…
 取材のときのお客さんも、ほとんどが安いハンバーガーを食べていました。

 しかしそれすら食べられない人もいる。
 全く食べないのに座ってお店の方と話している男性もいました。
 ドライバーだが、解雇されて大変だ、と話していました。
 食べるお金はないけど、このお店が好きなのでここにいるのだそう。
 率先して雪掻きもしていました。
 「お店の女の子が、ありがとう、ディナーをご馳走するわって言ってくれるかもしれないだろ?
  動かないと何も得られないんだ」
 まぁ、お礼はコーヒーだけだったみたいですが…

 ダイナーの色んなお客さんの話の後、
 「結局、GMは解雇を予定通り実行した」
 というナレーションが無情にも流れました。

 最後に話を聞いた方は
 GMの工場近くのジムで働く方。
 ジムに来るのはほとんどがGM労働者だそうですが、
 ジムの閉店も決まり、
 20年近く働いていたこの方も解雇されたそうです。
 明日で終わりだとかで
 「今日は最後のお祝いさ」
 しかしハッシュなんとかではなく、安いハンバーガーを注文、
 一口一口、噛みしめながら食べていました。

 色んなコメントを流したあと「それもまた、リアル・ボイス」
 という言葉でしめくくられていました。

 ところでこの番組、色んなダイナーに無人カメラとマイクをつけ、
 トランプ大統領へのメッセージを自由に話してもらう
 「ザ・リトル・ボイス」
 というコーナーもありました。

 これもコメント多くてあんまり覚えてないのだが
 「あなたはそんなに頻繁にツイッターしなくていいですよ、
  よく文章を考えて発言した方がいいです。
  大統領はもっと大事なことに専念してください」
 という言葉が一番印象に残りました。
 (皮肉にも聞こえるけど、なんか頷いてしまった…)

 ほかは、
 「多様性を認めるのがアメリカだ」
 「トランプは好きじゃない」
 という批判的なコメントもあれば
 「新しい風が吹くことを期待している」
 という前向きな意見、
 「お手並み拝見だね、四年続くかは分からないけど」という冷めた意見も。
 ほか、レズビアンの人は
 「これから偏見が増えるのが怖い」
 ヒスパニックの方も
 「壁を作るのが心配」など
 マイノリティの方は不安がるコメントが多かったように思います。
 カナダの人は
 「カナダは隣だから何かあったら不安」
 ほかの外国の方も、平和を願うコメントがありました。
 また、
 「あなたはとても影響力のある立場にいることを自覚して欲しい」
 「偉大なことをできるかもしれないんですよ」
 など。
 立場により色んなコメントがあり、ほんとにるつぼの国だなぁと実感させられました。

 しかし、この番組を見ていて思ったのは
 アメリカは健全だなということ。

 デモの増加、差別の増加はたしかにあるかもしれないけど、
 それを批判する人も同程度いるし、
 意見の分断を憂い、行動できる人たちも少なからずいる。

 アメリカ人は、たとえ自分一人だけ違う意見を持っていたとしても、
 それが正しいと思えば言い続けられる強さが一人一人にあるように思いました。
 また、相手に賛成はできなくても、
 お互いの発言は認める風土があるように思います(でないと自分も発言できなくなるから)

 そうやってお互いの意見をぶつけ合いながら、
 落としどころを探っていく文化なのかな。
 一時的に悪い方向に転ぶことがあるとしても、
 そうやって意見しあって、すぐに方向を変えられる強みがあるのかなと思いました。

 最近でも、大統領令の停止の様子などを見ていると
 トランプさんも、あんまりやたらなことをしてたら首にされちゃうかもよ…(制度はあるらしいので、本気でされかねない)
 てなことを感じます。

このリアル・ボイス、なかなか面白いので、今度は他の国でもやって欲しいなぁ~

というわけで今回はこの辺で。

2017年02月25日

NHK BS1スペシャル「ザ・リアル・ボイス スタローバヤからロシアの本音が聞こえる」

NHK BS1スペシャル「ザ・リアル・ボイス スタローバヤからロシアの本音が聞こえる」

 BSの番組で、去年の12月放送、2/23に再放送していたのを録画していました。
 長いしダラダラ見てたけど、なかなかよかった。

 (内容については、メモらず見てたので、記憶違いがあればすみません)

 ロシアの大衆食堂にカメラを持っていき、
 そこで市民の率直な意見を聞いている番組です。

 実は、こないだ読んだエマニュエル・トッドさんの本で
 日本はロシアとは仲良くした方がいいと書いてあったので、
 ロシアにちょっと興味がわいてました。

 しかし、そもそもロシアの人って、いまいち何を考えているかよくわからなかった。
 何となく垣間見えて面白かったです。

 ていうか、まず食堂のご飯がめちゃめちゃ美味しそうだった~

 この食堂は
 「スタローバヤ」と呼ばれ、
 形式としては
 セルフサービスでお総菜などを自分でお皿に載せていき、
 お金を払って席に持っていって食べる感じ。
 (大学生協の食堂とか、まいどおおきに食堂みたい)
 しかし惣菜の種類は半端ない。
 50種類とか200種類とか、選ぶの大変そうなくらいたくさんの料理がありました。

 このスタローバヤは、ソ連時代にスターリンが始めたものだそうです。
 (スターリンの食堂、って意味かな)
 当時は、国営企業などで働く労働者のために作られた食堂で、
 メニューや調味料の量なども全国で統一されていたのだとか。

 今では大衆食堂となっており、
 その都市や店によりメニューが違い、個性が現れています。

 ロシアといっても広いせいか、
 ・ウラジオストク(日本の近く)
 ・モスクワ
 ・クラスノダール(クリミアの近く)
 ・サンクトペテルブルク(帝政時代の都、ヨーロッパの近く)
 の4都市で人気の食堂を取材していたのですけど、
 どこもメニューは素敵でした。

 例えばウラジオストクはボルシチ、ピロシキなどの伝統料理が評判。
 昔のソ連の地図も飾ってあり、これにひかれる人も多いとか。

 モスクワは位置的なものがあるのか異国風、
 中央アジア系の国(何かの肉詰め)や中国風の料理(うどんみたいなの)があったりする。

 クラスノダールは海の近くなのでシンプルな魚料理、
 農業も盛んなので新鮮なお野菜が自慢。

 また、サンクトペテルブルクは学生が多く種類もたくさん、ガッツリめ。
 パスタやピザなどのヨーロッパのものもありました。

 さて番組では、それぞれの都市やそれぞれのスタローバヤについてナレーションで解説があったあと、
 その都市にちなんだ社会や政治の問題などについて、
 食べている人たちに尋ねています。

・ウラジオストク
 ここは軍事的な拠点ともなっている所で、
 軍艦などもあるそうです。

 日本についてと、北方領土問題について聞いていました。

 日本については好意的な方が多かったと思います。
 礼儀正しいとか、勤勉だとか…

 しかし、北方領土については日本に好意的な人ですら
 「日本に渡すなんてダメ」
 「我々の領土をなぜ渡さないといけないのか」
 「返還するという政治家はロシア人ではない」
 「見返りもないのに返すわけがない、政治とはそういうもの」
 など、返還はあり得ない、という意見がほとんど。

 一人だけ
 「平和条約を結ぶなら返還してもいいんじゃないか、
  ロシア人は日本人のことを知らない、
  ロシア人の態度は理解できない」
 という女性がいましたが、
 何人かで食べていた、その場の空気が凍りついてしまいました。
 同席していた男性の一人が
 「この話は微妙だから発言したくなかったが、どうするかは政治家が決めることだ」
 と話していました。

 その他
 「プーチン大統領が来日してもポーズだけ、彼は返す気はさらさらない、いくだけ無駄」
 みたいなことをいう人もいました。

 これらを見る限りの印象では
 「は?返還?なにそれ?」という雰囲気で
 北方領土の返還は不可能に近そうだ。

・モスクワ
 ここには、チェスカという軍の運営するスポーツセンター?みたいなのがあって、
 国を挙げてオリンピック級の選手を育てているそうです。
 多種類のスポーツの拠点だそうで
 サッカーの本田選手もかつて在籍していたとか。
 そういや本田選手とチェスカの名前は聞いたことがあるけど、
 軍がやっているとは知らなかった。

 ここではオリンピックのドーピング問題について聞いていました。
 「ロシアがドーピングなんてあり得ない、信じられない」
 という意見がほとんど。
 実際クロスカントリーだったかな?大会にも出ているような選手もいましたが、
 「使っているなんて聞いたことはない、
  処分を受けた選手の名前を聞いたときも驚いた」
 他にも選手には
 「医者が間違って違法の薬を処方することはあるかもしれない」
 との意見も。

 ほか
 「ロシアが政治的にはめられた」
 「アメリカが陥れたんだ」
 という意見もけっこうありました。
 「ドーピングはアメリカが始めたこと」
 「強くなるためにはステロイド剤を使え、とアメリカ人の本にかいてあった」という人も。

 ロシアへの世論調査では、ドーピングは良くない、という意見が多いが
 勝つためなら容認、という方もけっこういるようです。
 「人間の肉体にはもう限界があるんだ、
  薬を使わないとこれ以上強くなれない」
 という人もいました。
 中には
 「ドーピングを使う人のミュータントだけで大会をすればいい」
 て珍説を唱える人も…
 (同席していた人は半分あきれてましたけど)

 しかしスポーツに真剣に取り組む子供たちもいて、
 一人の子供は
 「ドーピングなんかに頼らない選手になる」
と話していました。

 ここのスポーツセンターに通う子供の練習が終わるまで、
 ご飯を食べているお母さんたちの集団もいて、
 「子供は学校のあと毎日何時間も練習している、遊びも忘れている」とのこと。
 「ロシアのスポーツ選手は国のために闘う。
  息子もロシアのためにがんばる選手になって欲しい」
 と話していました。
 トップアスリートの地位は格別な感じ。それだけアスリートも命をかけていそうです。

・クラスノダール
 ここの町は海の近く、
 クリミアの真正面にあります。
 スタローバヤでも白身魚の素揚げ、お魚のマリネみたいなものなど、海の幸がとても美味しそう…

 さてここはクリミア併合の影響を受けているとされている都市、だそうです。

 クリミア併合とは
 クリミアは元々はウクライナにあったが
 ウクライナに親欧政権が誕生したあと、
 クリミアに多く住むロシア系の住民を保護するという名目で、ロシアが併合を決断。

 ロシア国内では、この大統領の決断に対する評価は高かったらしいのですが、
 欧米からは民主的でないと非難された。

 結果、ロシアはヨーロッパから経済制裁を受け、
 対抗措置としてロシアは欧州からの農産物の輸入を停止。

 これは双方ともダメージがあったそうで
 欧州では、果物などが輸出できず、在庫の山となる。
 ロシア側も農産物の不足にみまわれた。

 このため、この都市は苦しい生活か…と思いきや
 人々の表情は意外と明るい。
 「お金がないなら働けばいい、お金がないのは怠け者が言う言葉だ」
 「不動産を買った、生活はそんなに苦しくない」

 クリミア併合について意見を聞くと
 「クリミアにとっては、豊かなロシアの一部になれて結果的に良かったはず」
 「ロシア人の生活を守るのは義務だ」
 という評価が多いものの
 「ウクライナの自主性に任せるべきだった」
 と話す人もいました。

 経済制裁については
 「間違っている、どちらにとっても得にならない」
 という意見はあるものの、
 ロシアは農産物の自給率アップで対応しているそうです。
 農業へ予算を投じて生産を奨励、
 プーチン大統領も
 「自給率を上げるんだ、我々にはできる」
 と鼓舞していました。
 おかげでこの2年で農業生産は3割アップしたとか。
 この都市も予算を投じられ、農業生産に力を入れられている都市の1つだそうです。

 「ここの新鮮なトマトが食べられるようになった、前はゴムみたいなトマトだった」
 「欧州のチーズがなくても他の国から輸入できるから問題ない」

 「ロシア人は強いんですね」という質問にも
 「そうじゃなくて、ロシア人は状況の変化に対応するんです」
 お店でも、材料のサーモンが手に入らなくなり、スケソウダラで代用しているが、
 むしろふんわりした食感だと好評らしい。

 「他の国は経済制裁が打撃と思うかもしれないが、私たちはそうは思わない」
 制裁を逆手にとって自国を豊かにする
 ロシアのしたたかさが印象的でした。

・サンクトペテルブルク
 ここは帝政ロシアの首都、
 美しい歴史的な建物も多く、
 観光客にも人気の都市だそうです。
 また、大学もあるため学生も多いのだそう。
 スタローバヤも、学生向けなのか揚げ物とかボリュームがありました。
 ここはメニューが200種類だそうで、ピザも美味しそうだった…

 プーチン大統領も学生時代ここで過ごしたそうで、
 プーチン氏関連のグッズもたくさん売られていました。

 さてここではプーチン大統領について意見を聞くと
 「彼こそ男の中の男よ」
 「大好き、父親みたいで信頼できる」
 「彼の決断はいつも正しい」
 という女性ファンがけっこういました。

 世論調査でもプーチン氏の支持率は8割近く!
 (日本ではあり得ませんね)
 しかし、世代別に見ると
 20~30代の支持率はやや低い(それでも78%だったと思う)

 スタローバヤの意見でも
 「高い支持率はプロパガンダのせいだ」
 「テレビの報道にはプロパガンダを感じる」
 「今のロシアは民主的でないから好きではない」
 という若い人も。

 「テレビは信用できないから捨てた、インターネットしか見ない」
 という人もいました。

 また、このとき(2016年の12月)アメリカ大統領選にも大きな関心が寄せられていました。
 ロシアのメディアを見ると
 「我々はトランプ氏と共存の道を探るべきだ」
 など、トランプ氏には意外に好意的な意見が多い。

 スタローバヤでは
 「彼は何をするか分からない」
 「これからどうなるのか予測できない」
 という意見もある一方

 「クリントンでなくてホッとした」
 「トランプ氏ならクリントンやオバマほど好戦的ではないだろう」
 「彼はビジネスマン、利益になることなら何でもする、
  ロシアとも利益を取るためうまくやっていくのでは」
 などという、トランプ氏へ期待する意見が割と多い。

 最後に、これからロシアはどうなって欲しいか、
 についても聞いていましたが
 「平和であってほしい」
 「生活が豊かなのが一番」
 「戦争や政治ゲームはいらない」
 他国を支配するとかいうより、
 平和で豊かな生活を望む人が多いようです。

 そういえば、若いお姉ちゃんが
 「政治なんて怖いから関わりたくない」
 と話していたら
 近くのジイさんが
 「そんなことを言っているといつの間にか支配される側になる、自分の頭で考えないと。
 うちの孫もテレビゲームしかしてない、嘆かわしい」
 と説教?を始め、
 お姉ちゃんがジイさんを避けるように出ていく場面もありました。
 (若いモンはどうのこうの…と言うのはどこの国も変わらないのね)

 それからこの番組では、
 スタローバヤに無人カメラを設置して、
 大統領への意見を自由に話してもらう
 「ザ・リトル・ボイス」
 というコーナーもあり
 ささやかな願いから切実な願いまで色々ありました。

 「道路がなかなか直らない」
 「大学の費用が高すぎる」
 「平和な世の中にしてください」
 国歌?か何かを歌って
 「大統領ばんざーい」みたいな子供もいてクスッとさせられた。
 細かい言葉は忘れたけど
  大統領への信頼、愛情、
  国への誇り、愛国心、
  平和を願う気持ち
 などが感じられる言葉が多かったように思います。
 あと、トップアスリートは別格なのかな?
 スポーツ、農業などに予算が振り分けられるなら、
 多少公共サービスやインフラが遅れても仕方ない、みたいな雰囲気も感じられました。

感想など。

・ロシア人ってクールなイメージでしたけど、
 国のためなら一致団結してみんなで頑張る。
 内面は熱いのかなと思った。

・ロシアでは、みんなの意見を聞いて、いちいち話し合うタイプは頼りないと思う国民性なんだろうな…と感じました。

 やはり、トッドさんの指摘は的確。
 決断力があるトップが上に一人いて、
 そのトップが決めた方向にみんな一緒に頑張る、という
 共産主義に向く国民性。
 今は国や大統領を信頼していて、
 危機があっても国民が団結して頑張るだろう、
 と言っていたけどまさにそんな感じだなと思いました。

 北方領土も多分交渉は難しいだろうなぁ…。
 だって大統領のバックにつく国民の重さが違いすぎるもの。
 ロシアという国を尊重、敬意を払う態度ならウィンウィンの結果も引き出せるかもしれない。

 ロシア人って意思が強いとか危機に黙々と耐える、っていうイメージもあったけど
 その前提として、トップや国の方針は正しい、信頼できるという気持ちがあるのだろうと思う。

 今はプーチンさんが信頼されていますが、
 トップがもっと頼りない大統領になったら混乱するかも…

・それから、ロシア脅威論も全くの幻想だなぁと確かに感じました。
 他国を支配することにはあんまり関心が無さそう。
 むしろ心から平和を愛する人たちだなと思いました。

 このリアル・ボイス、意外に面白かったです。
 アメリカ編もあったのでぼちぼち見ようと思います。

 というわけで今回はこの辺で。

2017年02月24日

Eテレオイコノミア「信頼を取り戻したい!謝罪の経済学」

Eテレオイコノミア「信頼を取り戻したい!謝罪の経済学」

 今回の始まりは神楽坂のお寺。
 又吉さんと大竹先生が訪れています。
 ここでは月一回、
 一般の人も出入りできる「ザンゲノヨル」というものを開催しているそうです。
 過去の悪い行いを告白し、悔い改めるのだそう
 (所定の紙に懺悔の内容を書くらしい)

 そのお寺にゲストの方も…

○ゲストの博多大吉さん
 お笑い芸人の博多華丸・大吉さんのお一人。
 (博多華丸・大吉さんも私の好きな芸人さんですね。お二人とも人が良さそう)

 大吉さんは去年、大きなミスをしてしまったそうです。
 それは生放送番組の30分遅刻。
 お詫びとして、スタッフ全員に高級弁当(3300円)と博多の銘品詰め合わせ(1000円)を配って回ったそうです。
 「スタッフさん数えたら、100人くらいだったんですよ」
 占めて43万円!

 又吉さん
 「そこまでするのはあんまり聞いたことがないから、
  誠意は伝わったと思いますよ」

 又吉さん
 「でも先生、不思議なのは、
謝罪しても許される人と許されない人がいることですよね」
 先生
 「たしかに許されキャラっていますよね」
 というわけで、今回は、効果的な謝罪を経済学から考えていくそうです。

○お金より誠意ある謝罪の方が効果的
 ここで先生からクイズ。
 DVDのネット販売で、配達が3日遅れたため、
 その企業の評価が星一つになってしまった
 社長が謝罪のメールを書いてその評価を取り下げてもらうようお願いするとき、
 一番効果的なのはどれか?

 1 誠意ある謝罪文のみ
 2 250円払うから取り下げて欲しいと依頼
 3 500円払うから取り下げて欲しいと依頼

 又吉さん
 「3かなぁ」
 金額が高いから、という理由
 大吉さん
 「あえて1」
 お金を言い出すと、お金で解決しようとしているという印象を与えて火に油を注ぐのでは、とのこと

 これは実際、ドイツとイギリスの経済学者が、実験を行ったそうです。

 正解は1、44.8%が取り下げてくれた
 次は3、取り下げたのは22.9%

 少額のお詫びをするくらいなら、
 誠意ある謝罪の方が好感を持たれるらしい

 大吉さん
 「良かったー高級弁当にしといて」(笑)
 大吉さんによると
 額についてはマネージャーさんと揉めたらしい。
 最初は1500円くらいで良いんじゃないか、もらう方も困るんじゃないかと意見したそうなのだが、
 マネージャーさんが1円でも高くすべきだと主張したのだそうな。
 最初に持ってきたパンフレットのお弁当はなんと一つ9000円!(そんな弁当あるのね。宴会用かな?)
 さすがにこれは、ということで折り合ったのが3300円なんだそう。

 又吉さんは、もらって困った謝罪があったそうです。
 「ラーメン屋さんで、店員さんが熱いラーメンを僕の背中にひっくり返したことがあったんです」
 熱いから急いで服を脱いだものの、
 とても恥ずかしかったのだそう。
 「そこで店長がお詫びにってプリン出してくれたんですけど、
  服脱いでるやつがプリン食べてんのって恥ずかしいでしょ(笑)」
 大吉さん
 「普通はクリーニング代払いますとか言いますよね」
 又吉さん
 「そこはもう断ったんですよ、目立つの嫌やったんで」
 大吉さん
 「それじゃこれで、て意味のプリンかもしれないですね。ボタンのかけ違えの果てのプリン(笑)」

○謝罪のコスト
 さて次は謝罪の相場とはいくらなのか、の街頭インタビュー。

 カップルへの質問では
 ・男性が他の女の子の話をして怒らせる →数千円のぬいぐるみ
 ・家事をしないだんなさん →ケーキ
 ・ケンカした彼 →一泊数万円の伊豆旅行
 ・奥さんを怒らせた →洋服、バッグなど

 ビジネスでは
 ・納品遅れ →自社商品(果物)数千円
 ・飼い犬がお客さんを噛んだ →菓子折り+慰謝料
 ・納品遅れ →菓子折りをもってお詫びに回る
 …などなど。みんな苦労してますね。

 ある経済学者の研究では
 効果的な謝罪は
 1コストをかけた謝罪
 2困難を伴う謝罪
 だそうです。

 2については二人とも??でしたが
 経済学では、
 「時間、手間」=お金
 と考えるからだそう

 例えば「機会費用」
 機会費用とは、なにかをしなかったときに得られたはずの利益を言う

  例えば工場で事故があり、製造中止になったとき
  その期間に製造して売れば得られたはずの儲けを指す

 又吉さん
 「芸能人の謹慎期間なんかはそれなんでしょうね」
 先生
 「困難を伴う謝罪、
  本人にとって辛いものであるほど効果が上がります。
  例えば昔女性アイドルが恋愛スキャンダルになって、
  謝罪のために坊主頭になったことがありましたよね…」
 大吉さん
 「先生、今日は色々昔の話を蒸し返しますね(笑)」

○謝罪代行業
 大吉さん
 「でも最近、謝罪が際限ないですよね、
  謝罪したらどんな顔して出てくるんだとか、謝って済むのかとか言われるし。
  しょぼんとしてたらそんな顔で出てくるなとか、
  明るくしてたら反省してるのかと言われ…」

 謝罪への需要が増えている今、
 謝罪を供給する「謝罪代行業」というビジネスがあるそうです。

 謝罪代行業者に又吉さんが取材に行っていました
 (お仕事に支障が出ないように顔を隠していました)

 謝罪は一回あたり25000円くらいだそうです。
 彼女によると、最近は気軽に依頼してくる人が増えているとか。
 「万引きをしたから謝罪してくれ、と言われて、さすがに断りました」
 そのほか、今日バイトだけど休みたいから謝罪してくれ、など…

 多いのは
 近所トラブルに対して家族や親役をする、
 嫁のふりをするなど。
 ビジネスでは顧客へのお詫びに上司役になってお詫びに行く、などだそうです。
 上司役になるときは、
敢えて部下役の顧客を謝罪相手の前で罵倒し、
 逆に「もういいから」と言わせるテクニックを使うこともあるとか。

 「印象に残った謝罪の仕事ってありますか?」
 彼女によると、
 謝罪をしに行った相手の会社に気に入られて、
 定期的に行かねばならなくなったことがあるそうです。
 「謝罪側の社員と思われちゃって「忘年会来ない?」とか誘われて、
  顧客には「その都度費用かかりますよ」って言ったんですけど…」
 なのでその会社の名刺もバッジも持っているそうです。
 「なぜか相手先の社長に気に入られちゃって、うちに来ない?とか誘われたり…」
 謝罪の仕方が上手だったんですかね(笑)

○謝罪が訴訟を減らす
 又吉さん
 「先生、日本では謝罪が多いですけど、
  外国では謝らない方がいいとか言いますよね」
 先生
 「実は最近、日本の謝罪文化を海外にも取り入れようという動きがあるんです」

 先生によると
 アメリカでは「I'm sorry法」なる法律があるとか。
 これは、訴訟で謝っても不利な証拠にはならないという法律。
 マサチューセッツ州で始まり、
 他の州にも広まっている

 この法律制定前では
 例えば医療訴訟で病院が患者に謝罪せず、
 患者が怒って裁判になり、
 費用もかかっていた

 しかし法律制定後は
 訴訟の数が16~18%減少、
 和解までの期間も早くなった、
 という結果があるそうです。

 又吉さん
 「謝りたくても謝れなかった人が謝れるようになった、ってことですね」

 謝罪のコストを減らすことで、
 社会全体のコストを削減したそうです。

○督促のテクニック
 次に登場したのは督促のプロ。

 彼女はコールセンターで借金の督促のお仕事をされているそうです。
 会社に内緒で仕事の話を漫画にしたら評判になったそう。
 今回は会社に内緒で覆面で出演されています。

 彼女によると、督促の電話をかけると、
 相手も罪悪感があるので怒りをぶつけてくることが多い
 そこを解きほぐしていくと、
 払えない事情などを話してくれるようになるそうです。
 払えないというのは本人にとって失敗の経験で、
 それを挽回するのを手助けしてあげる
 という気持ちが大事なのだそう。

 実際、そのテクニックを実演していました。
 又吉さんが金融業者の社員、
 大吉さんが借金を返せない人、
 の役で電話のやり取りをしています。

 又吉さん
 「今月のご入金がまだなんですが…」
 大吉さん
 「今日でした?」
 又吉さん
 「50万円入れていただかないと…」
 大吉さん
 「高級弁当の件がありまして、今すぐにはちょっとこちらも苦しいんですよね…」

 平行線で話が進まない。
 督促OLさんが交代していました。
 すると
 「すみませんうちの者が突然の電話で申し訳ありませんでした」
 「お客様を信じてお待ちしております」
 「ちなみに何日からならメドがつかれますか」
 …などなど。
 彼女によると
 「相手の罪悪感を刺激する」のがコツなのだそう。
 相手の方が立場が悪いので、
 払ってないな、悪いな、と思うと、
 相手も次からも支払おうという気分になるのだそう。
 彼女は2000万円を回収することも成功したそうです。

 実は国レベルで、督促の効果的なやり方を調べた研究があるそうです。

 これは2014年イギリスでの実験ですが
 確定申告のあと、税金を未納の人に五種類の手紙を出した
 1 10人のうち1人だけ税金を支払っていない
 2 イギリス国民の10人のうち1人だけ支払っていない
 3 イギリス国民の10人のうち1人だけ支払っていない、あなたはその数少ない一人である
 4 イギリスでは税金を払えば社会のサービスを受けられる
 5 イギリスでは税金を払わなければ社会のサービスが受けられない

 どの内容が効果的だったか?
 又吉さん
 「3」
 大吉さん
 「5」
 自分が税金を払わないとみんながサービスが受けられなくなると分かるから、だそう

 督促OLさんは
 「3」
 罪悪感を一番刺激するから

 正解は3、5.1%納税がアップしたそうです。
 一般的な話ではなく
 「あなたは」少数派ですよ、と強調されるのが効果的なのだそう。

 督促OLさんに又吉さんが
 「プライベートでも謝罪はお上手なんですか」
 と質問していて
 彼女は
 「怒られることが多いので、
  怒るのが上手になりました」
 けっこう激しく怒るのだそうな…
 仕事で理不尽に怒られる分、
ストレスたまるのかもしれないですね。

○許されキャラになるには
 又吉さん
 「ところで先生、最初に許されキャラの話をしてましたけど…」
 というわけで次は許されキャラになるためには?の話。

 その前に
 実は街頭で又吉さんと大吉さんの好感度を調べています。
 一番上が「好き」下が「嫌い」
 のラインの上にシールをはってもらっています。

 さて結果は
 又吉さんも大吉さんも、
 ほとんどのシールは真ん中の「普通」より上。
 つまり好感度はかなり高い!

 先生
 「お二人とも、身の丈にあう評価だと思われますか」
 又吉さん
 「思わないですね」
 大吉さん
 「僕も思わないですね、高すぎますよ。
  又吉さんこれは危険ですよ」

 大吉さんの言葉通り、
 好感度が高いほど
 スキャンダルなどが起きたとき危険らしい。
 評価の下がり幅が大きく、
 取り戻すのが難しい、
 謝罪のコストが大きくなる

 経済学では、
 最初の評価を「参照点」といい、
 参照点からの変化を考える

  例えば「二万円の報酬」と言われて一万円もらっても嬉しくないが
  「無報酬」と言われて一万円もらうと嬉しい
  同じ一万円でも参照点が違うと評価も変わる

 同じように
 芸能人の評価も
 元の参照点が高いほど、下がったときのダメージが大きくなる

 先生
 「これを防ぐには、
  好感度はそのままで、参照点を少しずつ下げていく戦略を取るといいんです、
  ちょっと難しいですけど」

 大吉さんは実はそのあたりを考えているそうで
 「華丸さんとも言ってたんですけど、もう47なんで「老い」を出していこうと(笑)」
 あの人たち爽やかにしてるけどもう歳だから多少のことはしょうがないね、
 と思ってもらえたら、だそうです(笑)
 「僕下の歯がすきっ歯なんですけど敢えて直さない、
  実は華丸さんも白髪染めてたけど増えてます(笑)」

 「又吉さんはどうするんですか、4月から相方がニューヨーク行っちゃうし…」
 又吉さん
 「じゃあ僕は大吉さんに対抗して前歯を抜く(笑)」
 又吉さん、まだ若いのに(笑)

○雑談など
 大吉さん
 「今日教えていただいたことを参考にして、
  上手に謝罪して、
  少しずつリスクを減らしていきたいと思います」

 又吉さん
 「僕は謝罪が上手になるというより、謝罪されても上手に許せる側になりたいですね」
 先生
 「社会全体がそうなれば謝罪もしやすくなるんでしょうね」
 又吉さん
 「そうなってくれれば、自分が失敗したときも許されるかなっていうのもありますけど」


感想など
・効果的な謝罪のやり方として
 「高価なお金、贈り物」のほか、
 「困難なことをする」
がありましたけど、

 これは「シグナリング効果」のひとつなのかなと思いました。
 謝罪のためにすることのハードルが高いほど、相手に誠意を見せられるというか。

・誠意ある謝罪文の方が、お金をあげるより効果がある、というのは興味深いです。

 以前「それをお金で買いますか」(マイケル・サンデル)という本を読んだのですが
 「プレゼントとして、現金をあげるのは不快感を与える。
  モノの方が喜ぶ人が多い」
 「ある自治体で産廃処理場を建設するとき、
  住民へ理解を得てもらうために現金を配ると、建設に反対する人がむしろ増えた。
  学校など公共施設を建設するのは効果的だった」
  とかいう例が紹介されていて、
  サンデルさんは
「お金は、誠意とか協力などの目に見えない価値観を腐敗させる」
 と論じておられました。
 (記憶が怪しいがたしかそんな感じの話)

 謝罪もお金にしちゃうと価値が安っぽくなるのかしら。
 お金で評価を上げてくれ、と言われると
 「私の評価の力はお金で買収される価値しかないって言うのか」
 という気になるのかもしれない。

 また、サンデルさんの本では
 「幼稚園のお迎えが遅い親に罰金を課すようにしたら、
  むしろ迎えに遅れる人が増えた」
 という事例も紹介しています。
 反省の心の代わりに、
 お金で解決すればいいやという考え方になるらしい。

 なので評価もお金で解決されちゃうと
 「あそこは○円くれたのにここは△円だけしかくれなかった」
 となって、
 謝罪金を貰うためにわざとクレーム出す人が出てくる、なんてこともあるかもですね。

・本筋とは関係ないのですけど、
 又吉さんと大吉さんの誠実さが端々から感じられて、好感を感じてしまいました。

 又吉さんはラーメンの話でも
 けっこう大変っていうか危ない経験だと思うんだけど、相手を怒ったり責めたりする話は無かったし、
 最後に「上手に謝罪するより謝罪を許せる側になりたい」と話していて、優しさにグッときてしまった。

 大吉さんの場合、
 高級弁当の話でも
 「値段が高いのにすると、もちろん自分の懐も痛い」と正直に言いつつ「相手も困るでしょ」と言っておられたり
 税金督促のクイズでも
 「税金を払わないとみんなが困る」ってみんなのことを考えてるなぁと感じました。
 (でも本人たちは参照点を下げたいんでしたっけ…(笑))

・上手な謝罪の仕方については
 「怒りの経済学」の回でも話がありました。
 (たしかクレーマー対応のプロだったような)
 それによると
 ・とにかく相手の話を否定せず聞く
 ・謝る
 ・相手に共感する
 これでたいがい相手の怒りは収まるとか。
 
 謝ると、余計怒ってくる人がいますけど
 (「すみません」
 「全くだ、お宅はだいたい…」とかネチネチクドクドいう、とかね)
 こちらも釣られて怒らずに黙って聞いてたら、
 たいがいは相手も気まずくなってきて落ち着いてくる。
 相手が怒りを吐き出すまで待って、
 相手に解決策を提案してらうのを待つのが大事なのかもしれません。

 今回のは、自分が謝るというより、
 督促の仕方、つまり
 「相手から謝罪を引き出す」
 ということで、より高度な?テクニックが要りそうな話でした。
 相手が自分から謝りたくなるように持っていくのがポイントみたいですね。

 ちなみにカーネギーさんの「人を動かす」にも、
 相手の話を否定せず聞く、
 相手を責めない、
 自分の方が悪かったのかもしれないと考えて下手に出る、
 などの技術は書かれていて
 改めて読むとなるほどなぁと思います。

・許されキャラになる、というのはなかなか面白いと思いました。
 普段からちょっとルーズ、抜けている、ブラックなくらいの方がいいのかも…
 (犯罪行為はもちろんアウトですが)

・又吉さんも言ってましたけど、
 他人の失敗に寛容でありたいなぁ
 そんな社会であってほしいなぁと思いました。

 思うに、人を攻撃していると必ず自分に返ってくる。
 自分がミスしたとき、ほれみたことかと批判されることが増えるかもしれないし、
 仮にそうでなくても、
 自分で自分が許せなくなったり、
 誰かが叩いてくるんじゃないかと思っちゃうことが増える。
 結果的に自分が萎縮して孤立して面白くない人生になるのですよね。

 なので、相手が失敗してもよっぽどのことで無ければ、
 感情的にならずに冷静に対処する、笑って許すように心がけることが
 自分も生きやすくなる秘訣なのかも。

色々勉強になりました。
というわけで今回はこの辺で。
posted by Amago at 09:38| Comment(0) | テレビ(オイコノミア) | 更新情報をチェックする