2017年06月30日

BS世界のドキュメンタリー「ダウン症のない世界?」

BS世界のドキュメンタリー「ダウン症のない世界?」

2016年イギリス製作のドキュメンタリー。
ダウン症の息子さんを持つ女優さんが製作したもので、
お腹の子がダウン症と診断されたら、中絶するのか、産むのか?
という課題に真正面から向き合い、
いろんな方にインタビューをされていて、とても見ごたえがありました。
自分ならどうするんだろう…と考えさせられた。

 というわけで内容から。
 今回ドキュメンタリーを企画したのは、サリー・フィリップスさん。
 3人の息子さんをお持ちで、
 うち11歳の子オリーくんがダウン症だそうです。
 「ダウン症、と診断されると絶望する人が多いが、
  私も含めて、多くの母親は生活を楽しんでいる」
 と話していました

〇イギリスで進む出生前のダウン症検査
 最初にイギリスの現状から。
 イギリスでは妊娠すると、
 ほとんどの人がダウン症の可能性があるかどうかなどの検査を勧められるそうです

 これは妊婦の血液ホルモンから簡単に調べられる。
 その結果、過去10年で、ダウン症を理由に中絶する人は40%増加、
 確定診断を受けた人の9割は中絶したのだそう

 イギリス保健省のNHSもダウン症を重度の障害、としており
 ダウン症を理由とした中絶は出産直前でも認められているそうです
 NHSのパンフレットには
 ダウン症には「消化器疾患、心臓疾患、甲状腺異常、認知症発症、視覚聴覚障害」
 などのリスクがあると書いてあるそうです

 (ちなみにダウン症とは、人間の23対ある染色体のうち、
  21番目の染色体が3本ある染色体異常だそうです
  なので、普通の人より小柄、アーモンド型の目、などの独特な外見、
  知的発達がゆっくり、など特徴はあるが、個人差はあるそうです)
 ちなみにイギリスでは4万人しかいないそうです

 ・出生前検査の専門家ニコライデス教授とのインタビュー
  「なぜダウン症の検査を進めてきたのか」
  「需要があるからです」
   人によっては、ダウン症の子供を持ちたくないと思う人もいるので
   そういう人には情報を提供せねばならない、とのこと

  「ダウン症の子を持つことは悲惨なことではないのに、なぜみんなそんなに恐れるのか」
  「ダウン症への認識不足、前向きな情報が足りないという可能性はある
   ダウン症を精神疾患と結びつけて考える人も中にはいます。
   また、ダウン症の人達の寿命が延びているので、
   それを重荷と思う家族もいる」
  母親たちは、障害を持つ子供を持ちたくないと思うらしい。

 また、取材当時は、さらに新しい診断技術が開発されているところでした。
 それはNHSの研究所が開発した「NIPT(無侵襲的出生前遺伝子検査)」
 (http://blog.seesaa.jp/cms/article/regist/input
  によると、母体の血液を採取し、
  そこから胎児由来のDNAを解析する検査だそうです。
  それまでの羊水検査などよりも安全性が高いとのこと。
  日本でも受けられるそうですが、
  35歳以上、ダウン症などの赤ちゃんを産んだことがある人、染色体異常を告げられている人、
  など条件があるそうです)
  
 ・NIPTを推進しているキティ教授へのインタビュー
  この教授は、
  この方法は民間の研究所は開発に関わっていない、99%の精度で出生前診断ができる、
  と説明していました。

  サリーが
  「ダウン症は特性の一つと考えているのに、排除してしまうのですか…」
  と質問しかけると
  「ちょっと待ってください、
   私たちの目的はダウン症の人たちを排除することではありません、そんなのあり得ない」

  「なぜあり得ないといえるんですか、現実は逆ですよね」
  「こうなったら、という仮定の下に議論するのは間違っています、
   重要なのは、女性たちが正確な情報を知った上で選択できるようにすること、
   女性帯は、情報を得るために検査をしているのです」

  「この検査が、ダウン症の人たちに深刻な影響を与えるかもとは考えないのですか」
  「お尋ねしますが、あなたの息子さんはおいくつですか?
   息子さんはあなたより長く生きるとは思いますが、
   そのことを考えたことがありますか?」
  「それでも私は中絶は選ばないと思います、
   社会がダウン症の人たちの面倒を見られないなら、
   それは個人ではなく社会の問題だと思います」

  サリーは、この教授は
  「我々はダウン症の人を排除しているわけではない」
  と必死になって言い張っているように思えた、と残念がっていました。 

〇あえて出生前検査を受けなかった母親
 逆に、あえて検査を受けない人もいるようです。
 この女性は、すでにダウン症の娘さんがいる7か月の妊婦さん

 彼女によると
 「医師には早めにダウン症の審査をするように勧められた」
  しかし、
  彼女はダウン症の娘の存在を否定することになるから、
  自分にとって検査は意味がない、受けたくない、話もしてほしくない、
  そのようにカルテに書いておいてくれ、
  と最初に医者には言っていたそうです。
 
 しかしそれでも医者は後で相談してきた。
 抗議すると
 「それでも話をしたかった」と言ってきたそうです。

 彼女は
 「傷つきますよね」と話していました。
  ダウン症の子を再び持ちたくないはず、と決めつけられているのだ、と。
  医者はダウン症の子を産ませたら周りがどんな反応をするか分かっていて、
  自分の身を守るために話をしているだけ、
  社会ではダウン症の子を授かることに理解がない、と話していました。

〇ダウン症の俳優さん
 しかし、ダウン症の仲には社会で活躍してい人もいる
 この俳優さんは
 「僕の夢は賞を取ること、彼女を見つけること
  両方できたら最高だね」
 と前向きでした
 彼は人一倍努力をして、今の職業を得たそうです

〇ダウン症の子供への教育の道を開いた教授
また、最近はダウン症の子供も教育を受けられるようになった

 1970年まで、イギリスではダウン症の子供は学校へ行けず
 普通学校へ行けるようになったのは1981年だそうです。
 
 その道を切り開いたスー・バックリー教授を訪ねていました
 教授によると
 ダウン症の人は耳で聞くのは大変だが、目で見れば学習ができる
 適切な指導をすれば、8割が読み書きできるようになる
 普通学校を卒業し、就職し、自立して生活している人はたくさんいるそうです
 
 「NHSのダウン症の出生前検査を許可するプログラムについてどう思うか」
 「ダウン症を中絶の理由にすべきではない。
  このプログラムは
  ダウン症の人たちの意見を反映していない」
 出生前検査のプログラムが作られた30年前には
 すでにダウン症の方への教育が進んできたはずなのに、
 倫理面での議論が何もなされていなかった、
 これからもっと議論されるべき、と話していました

〇アイスランドの現状
 次に彼女はアイスランドに取材しています。
 アイスランドは障害者に対する政策が進んでいるが、
 それでもこの5年で、ダウン症の可能性が高いと診断された人は100%中絶しているらしい

 新聞には「ダウン症の人は存在価値がない」とする投稿があり
 ハルドラさんという30代のダウン症の女性が
 「私たちに存在価値がないと誰が決めつけられるのか」
 と抗議したそうです。

 サリーは彼女に話を聞くと
 「出生前診断で赤ちゃんが中絶されるのは辛い」
 サリーは
 「あなたが声を上げたこと自体が素晴らしい、
  発言したことに価値がある」と彼女を抱きしめていました。

 ハルドラさん自身は、ダウン症を抱えつつも
 二か国語を話し、仕事もしていて結婚予定の相手もいるんだそうです。
 たしかにかわいらしい女性でした

 次にサリーは、アイスランド国民の遺伝情報データを蓄積している
 神経学者ステファンセン氏を訪ねていました。
 彼の持つ情報は、能力や遺伝性の病気があるか、
 などの予測にはつながる、とのことです
 
 「アイスランドでは、ダウン症の出生前診断を受けた人の100%が中絶する、
  この現象を成功と見ているのですか」
 「成功かどうかは分かりませんが、
  この傾向は思慮に欠けている、とは思います」

  彼は
   自分の知り合いに素晴らしい人間がいて、
   その人の息子はダウン症だが
   2人には愛情が感じられ、その姿はとても美しい…
  と話したうえで
 「しかし現実はダウン症の子供は中絶される、現実は残酷です
  それが正しいのかどうかは分からない」

  そして
 「言えるのは、中絶するかの判断は
  出産する本人にゆだねられるべきだということです、
  それ以外は理不尽です」
  サリーもその言葉にうなずいていました。
 
〇医療関係者の態度
 アイスランドからサリーが帰国すると
 イギリスでは専門委員会が、
 新しい出生前診断法の推進を決定した、
 というニュースが流されていました。
 
 しかし新聞を読んでも
 この方法は安全で正確、という話はあるが、
 この決定がダウン症のコミュニティに与える影響を危惧した記事は1つもない
 サリーは
 「私はあまり怒る方では無いが、かなり怒りを感じている、
  怒りのレベルで言えばレベル9くらい」
 と言っていました

 そんな中、NHSの職員に向けてスピーチをしていた女性がいました
 彼女はヘイリーさんというブロガーで
 ダウン症の子供を出産した後にその体験をブログにつづっている
 彼女のブログには、同じ境遇の親からのメッセージも寄せられている、とのこと

 「NHSは今回の決定を
  「「苦しみ」の根絶に向けた第一歩だ」というが
  言葉の重みに対しもっと敏感になるべきだ」
 とスピーチでは話していました。

 彼女は出生前検査を受けなかったそうですが
 医療関係者の言葉は怖いので、
 もし告知を受けていたら中絶していたかも…
 医療関係者はもっと告知の仕方に気を付けるべきだ、と訴えていました

 「これは妊婦さんが実際に言われた言葉です。
  「明日の朝にも中絶できますよ」
  「出産するなら、転院してください」
  「ダウン症の子供は一人で十分でしょう?」」

 「私が娘を産んだ時のことは忘れられない
  助産婦さんは混乱していました。
  私は怖くて何も聞けなかった。
  「悪夢」と刷り込まれていたことが現実になった、と直感した」

 医療関係者が、ダウン症は深刻な病気、なったら悪夢だ
 という話を妊婦さんに「刷り込んで」いるかのようです。

 しかしヘイリーさんは
 「娘はリスクではない、
  火事でも洪水でも、医療論文の1ページでもないんです。
  娘の産まれた日に戻れたら…」
 そして
  「ありがとう」
 と娘を抱きしめていました。
 
 サリーもこの話を聞いて、
 オリーくんを産んだ時のことを思い出したそうです
 助産婦さん、看護師さんは泣いていた

 「しかし、あとから考えれば同情してもらう必要はなかった」

 ダウン症と診断されると、母親はショックを受けるが
 それは後でも先でも同じだ、
 ただ告知がどういう態度で行われるかが
 そのあとの選択を左右するのではないか
 とサリーは感じたそうです
 
〇母親のためのカウンセリング機関
 次にサリーは、ダウン症の疑いがあると診断された母親に対し
 NHSが紹介するカウンセリング機関ARCをたずねていました。

 代表の方によると、
 小規模の施設なので、フルタイムのカウンセラーは4人しかいない
 ダウン症について最新の情報に精通しているとも言えない、とのこと
 
 「私がダウン症の可能性があると診断された妊婦さんとして、
  子供の教育について不安がある、と相談したらなんと答えますか」
 「私たちは大丈夫とは言いません、
  どんな不安がありますか、その不安を受け止められますかと聞きます。
  もしくは、中絶するつもりはありますか、とたずねます…」
 「ちょっと待って、話が飛躍していますよね。
  私は子供の教育について尋ねただけなのに、
  いきなり中絶の話になるんですか」

 代表の方は、ダウン症の人たちの権利を守る人の活動は理解している、といったうえで
 「母親たちが不安に思うのは、子供の能力や病気へのリスクなどが推定できないこと。
  それに対して対処できない、したくないと考える人もいます、
  その現実に対し目を背けるわけにはいかないんです」
 と話していました。

国もカウンセリング機関も、
なんだか「ダウン症を早期発見して取り除く」方向に行ってるみたい…
しかし彼らは、
「それは母親たちが望むから」
と言っている。
では当の母親たちは何を考えているのか?
サリーは、中絶を実際に選んだ母親を訪ねました。

〇中絶を選んだ女性の話
 この女性は今、次の子どもを妊娠中。

 彼女は
 「中絶したのは、赤ちゃんにとっていい選択だと思ったからだ」
 と話していました。

 実際の中絶法は聞いていてつらかったんですが、
 最初に胎盤を壊す薬を自分で飲み、
 その次に医者が注射をして、胎児の心臓を止める。
 それまで動いていると感じていた心臓が、ぱったり止まってしまうのだそうです。

 「決断するまでに十分な情報は得られたと思いますか」
 その女性は、医者の説明、専門データよりも、
 日常の生活を知りたかったと言います。
 そこで自分で体験者のブログなどを探して読み、それが彼女に中絶を決意させたのだそう。

 「ある人のブログでは、5歳まで歩けないから重たい、
  歩いてもそこらで大声を出して大変
 とあり、そういう苦労は自分には背負えない、と思った」

 しかし彼女はもっと意外なことを話していました。
 「実は、ブログでは苦労より前向きな話の方が多かったんです。
  でも私はむしろそういう記事を読んで中絶を決意しました」

 ダウン症の人が成功するには、
 人の何倍も努力しないといけない、
 自分の子供にはそこまで苦労させたくない、と感じたとのこと

 サリーはパラリンピックに出ている方の動画を見せて
 「この人も生まれなければよかったと思っていますか」
 とちょっときつい質問をしましたが
 「いいえ、それは考え方の違いに過ぎません
  もちろん彼女は素晴らしい。
  彼女は人生を楽しみ、目標を達成しています。
  考え方は親によって違うし、何がいいとは思わない。
  でも私は親として、子供に同じ苦労をさせたくない、というだけです」
 
 サリーは、選択することの価値とはなんなのか、と考えたそうです

 もし自分が出生前検査を受けていたら、
 産むことを選択していたか自信がない。

 でも実際は、何も知らずに自分がオリーくんを産んだことで、
 今素晴らしい経験が得られている
 そう考えると、選択できるのは本当にいいことなのかと考えてしまう、とのこと
 
検査を進歩させた科学の功罪とは…
と考えたサリーはアメリカに飛びました。

〇自分の息子の遺伝子検査をした科学者
 次にサリーが訪ねたのはカリフォルニア。
 ここでは自分の息子が胎児のとき
 遺伝子検査をして話題になった科学者ラジーブ・カーンさんがいました。
 自宅のパソコンで2週間かけてしたそうだ。

 彼はそのことでいろんな非難、論争を受けたそうですが
 「でも10年後にはこういう検査は当たり前になっているはず、僕は時代を先取りしただけ」
 と話していました。
 
 サリーは
 「ダウン症の子は最悪だ、という人もいるが、私はそうは思わない」
 というと、
 カーン氏は
 「でもそれはあなたの意見ですよね。誰しもそうではない。
  ダウン症を排除するかはその人の意見に過ぎない。
  科学は事実を告げるだけで、倫理とは別」
 と話していました。

 彼はかなりロジカル、割りきりが強い方ですね…

 そこで彼女は遺伝学の権威ジョージ・チャーチ氏に、科学の倫理について迫りました
 ボストンのハーバード大で

 「出生前診断が進んでいるが、これから私たちは倫理観をどう作っていけばいいのでしょう?」
 彼は
 「倫理観とは時代により変わるもの」
 としたうえで
 「今出生前検査が進んでいるのは、親がそれを望むからです。
  もしダウン症の家庭が幸福だ、という事実がメディアに頻繁に出れば
  そういう人たちは増えるかもしれない。
  でも現実はそうではない。
  子供自身が遺伝子を操作できるようになっても、
  自らダウン症を選ぶ人はいないでしょうから」

 「では、私たちはこれから、どうすればいいのか」
 「教育がカギでしょう」
  問題は科学の進歩ではなく、
  社会的な圧力や市場の競争にある。
  ダウン症の人たちも価値のある社会の一員、と
  認知させることだ、と話していました。

〇ダウン症の尊さを発している女性カレン・カウニーさん
 カウニーさんはダウン症で、いろんなところで講演活動をされているそうです
 お母さんとインタビューに答えてくれましたが
 お母さんの
 「人類は一つの大きな織物で、私たちはそれを紡ぐ糸
  紡ぐ糸はどれ一つとして切り離すことはできない、
  それに気づくべきです」
 という言葉が印象的でした。

 サリーは
 「ダウン症の人も社会の大切な一員」
 を表現するため、
 最後にダウン症の人たちを集めてフラッシュモブをして締め括っていました。

○感想など
 なかなか難しい問題だなと思います。
 以前新聞だかテレビだかで
 日本でも胎児のエコーで色々先天性疾患が分かるようになり、
 母親が産むかどうかを決断しなくてはいけない時代になってきた…
 という問題が取り上げられていて
 色々分かるというのもいいのか悪いのか分からないなと思いました。
 だって知ったうえで選択するのは重過ぎる…

 たぶん「先天性疾患の疑いがあります」
 と言われたら、中絶したお母さんが言うように
 「わが子には苦労を背負わせたくない」
 と思うのは自然のことだと思う。
 検査を受けて、リスクを承知であえて産む人ってのは少ないだろうと思う。
 でもせっかくお腹に宿った子を自らあやめるなんてしたくない…

 そこまで迷わなきゃいけないなら、
 もう最初から検査を受けないほうがましだなあとも思う。

 イギリスは国や医療機関が検査を受けるように誘導しているそうですが
 そこまで考慮しているのだろうか。
 「ダウン症の子は重度の障害」と認定し
 直前でも中絶を容認する、とまで言うということは
 実質的にはけっこう露骨に排除を誘導してるんじゃないかと思ってしまいました。
 医者の告知の態度、中絶や転院を進める様子には、余計そう感じてしまう。
 
 日本の場合は、検査を受ける要件が厳しいようで
 35歳以上で、かつ遺伝子疾患の子を産んだ経験がある人、
 など規定が細かく決まっているようなのでまだいいのかも…とすら思ってしまう。

 本当に排除するつもりがないのなら
 検査を受けない権利、というのも尊重されるべきだと思います。
 でないと、結果を知った時に選択しなきゃいけない女性の負担が大きすぎる。
 
 また、
  遺伝学の権威の
 「教育がカギ、
  ダウン症の人も大事な社会の一員だと世の中が認識しなければいけない」
 カウニーさんの母親の
 「私たちは一つの織物、どの糸も切り離すことはできない」
 という言葉は本当にそうだと思う。
 
 ダウン症を産む際に選別したところで
 世の中には別の病気もあるし、
 事故などで障害を持つ可能性は誰だってある。

 そう思うと、
 障害者をはじめとして、
 いろんな人がみんな大事な一員だと考えていく方が
 お互い住みやすい社会になるんじゃないかな、と思います。
いろいろ考えさせられました。
 というわけで、今回はこのへんで。
posted by Amago at 12:02| Comment(0) | テレビ(科学) | 更新情報をチェックする

NHKBS世界のドキュメンタリー「僕の生きる価値」

NHKBS世界のドキュメンタリー「僕の生きる価値」
 2015年デンマークのドキュメンタリー。
 脳性麻痺の27歳の男性ヤコブが
 「自分には生きる価値があるのか?」
 という苦悩を常に抱えていて、
 それを演劇で表現しようともがく過程を追っています。

 このドキュメンタリーは、なんだろう、北欧とかフランス系の映画みたいな雰囲気というか、
 映像を見て感じるタイプの構成になっていたので
 内容については私の感じたことを書きたいと思います。
 
 最初にヤコブは
 「最初に僕を見た人は2つの反応をする、
  逃げ出したくなるか、殺したくなるか」
 という重い言葉を投げ掛けています

 ヤコブは脳性麻痺で体の動きが上手くいかない。
 手足や顔の表情が不自然に曲がっている。

 おそらくそれによる偏見や差別は並大抵では無かったのでしょう、
 「正常とはなにか?」
 「僕のような人が生きる価値とはなにか?」
 という問いと戦ってきた、と言います。
 その問いにもう押し潰されそうな気持ちを、舞台で表現しようと考えたそうです

 最初は演出家の方に
 「何十年後かには僕のような障害者はこの世にはいないだろう」
 「未来は巨乳の女性と背の高い男性ばかりになる、って聞いたことがある」
 などと話し、
「避妊クリニック」で、障害児がどんどん捨てられる、
 という刺激的、風刺的なSF演出を考えている

 この場面には、
  「人は結局綺麗でカッコいい外見を欲しがるんだろう?
   遺伝子操作できるようになったら障害者は抹殺されるんだ」
 と言われているように感じました

 しかしヤコブに肯定的な方もいるのです。

 彼は構想を練るため色んな人にインタビューしていましたが、
 彼の家族は彼を肯定していました。

 彼は生後間もなく捨て子に出され、養子縁組したそうですが
 3ヶ月で里親家族で様子がおかしいことがわかり
 養子縁組あっせん業者は
 「赤ちゃんを交換しましょうか」
 と言ってきたそうです

 しかし祖父母は
 「それまで育ててきた子を送り返すなんてとんでもない」
 「この子は大丈夫だと思った」そうです。

 そしてインタビューしている彼に
 「お前は素晴らしい人生を歩んできたし、
  私たちを心から幸せにしてくれた、
  自分の人生に満足してほしい」
 と語りかけています
 両親も、彼には温かい言葉をかけていました

 また、ヤコブは見た目は大きな障害を抱えているように見えるが
 科学的にはそうでもない、ということもインタビューで明らかになっています

 脳科学者に彼の脳を見てもらうと
 脳全体の数パーセントしか障害はない、と言われました。
 運動機能の部分がやられているだけ、なんだそうです

 また、遺伝子を調べても
 「この人を精子提供者にできるかと聞かれたらyesと答える」
 と専門家に言われていました

 ただ彼は本当の親にはわだかまりがあるのかもしれない。
 反中絶団体の人に話を聞きに行き
 中絶された赤ちゃんの墓地に案内され、
 (広大な敷地に十字架がずらーっと並んでいて圧倒されました)
 そこにおかれていた、
 我が子に中絶を詫びるある母親の切ない手紙を読んでいましたが

 「お母さんが君を中絶したら後悔しただろうか」
 と聞かれて
 「でも生んだ人(お母さんとは呼ばない)は、養子に出した時点で僕を捨てたんだ」
 とつぶやいていました

 ヤコブ自身は家庭を持ちたいと望んでいて
 未来の我が子にも手紙を書いています
 「平穏な人生を望むならパパのようにはなってほしくない
  でももし君が色んな体験をしたい、心の世界を探求したいと思うなら、ただ突き進め。
  僕はきっといい父親になる」

 肯定的な経験を踏まえて、肯定的なメッセージを送る父親になれる…と。

 しかし私は見ていて思ったが、
 このドキュメンタリーは、
 障害者が逆境に負けず舞台を作り、みんなに暖かい気持ちを送る、
 という単純なストーリーではないと感じました。
 (厳しい言い方かもしれないが)
 ヤコブには、他人への不信感、俺は他の障害者とは違うんだという上昇意識
 言ってみれば、見ていて醜い部分も感じました。

 例えばヤコブは
 「正常なことに憧れる」
 と哲学者(演出を手伝っていた方)に言っていましたが
 その哲学者に
 「でもただの普通は嫌だよね、
  この舞台で成功してスターになるっていつも言ってる」と指摘されている。

 そして、ヤコブ自身も舞台を仕上げる前に
 「僕が怖いのはただの障害者の一人になること。
  僕は証明してみせる、
  どんな酷い状態でも人生には生きる価値がある、と」

 俺はそこらの障害者と違うんだ、
 という特別意識みたいなものも持っているように思えた。

 それから、ヤコブは他人の気持ちを思うゆとりも無さそうに見えました。

 例えばヤコブはジャーナリスト希望で、
 放送協会にインターン受け入れの交渉にも行っている
 しかし動きもぎこちなく、話し方もきちんとできない彼に
 「なにかあったときにアドバイザーになってくれる人はいるのか」
 「声が大きすぎる、小さい声で話せないのか」
 などと彼らは言う
 それに対して露骨に怒っていました

 たぶん彼らは職業意識、プロ意識として
 「それではプロの世界ではやっていけないよ」
 と指摘しただけなのだろうけど
 ヤコブは差別だ、と過剰に反応している。
 なんていうんかな、土俵が違うところで勝負してもしょうがない部分も世の中にはあるのに。
 厳しい言い方をすれば、わざわざ差別を受けに行っているように見えました。

 またヤコブは途中で代役を立てるが
 代役は障害者ではないので
 「どう演じたらいいんだろう」と迷っていたんですが
 「君と僕は似ている、
  君の人生をベースに演じればいい、僕は君に自分の人生を託す」
 などと言っている

 代役の俳優は
 「そんなの重すぎる、君の人生なんか背負えない」
 と思わず言っていましたが
 確かにそうだろうな~と思う。
 相手のことを考えていたらそんな軽々しく
 「自分と同じように演じれば」って言わないかなあと思います。

 そんなヤコブの傲慢さ?醜さ?が最後に出てきたのか…
 ヤコブは本番直前のリハーサルで
 「出来ないような気がしてきた」
 と舞台演出家(初期から応援してきた方)に漏らし、
 演出家は本気でキレてました。

「ドキュメンタリーのカメラの前でそんなことを言うなんて、
 ドキュメンタリーのスタッフとなんかもくろんでるの?
 わざと直前に潰して盛り上げようとしている?」
 
 さすがにヤコブは取り乱し、
 「僕はいっぱいいっぱいなんだ…」
 と泣きわめいていましたが、
 うーん、演出家がキレたのもなんか分かる気がしました。
 それまで溜まってたものがあったんかもなと思いました。

 まあそれはともかくとして舞台は無事成功します。
 途中でヤコブくんは赤ちゃんをあやそうとして泣かれているシーンが挟まれ、
 最後はそれと呼応するかのような
 別の赤ちゃんと仲良く並んでいるシーンで締めくくられていました。

 とはいえ私はヤコブくんがいやだなと思ったわけではなくて、
 そこまで人間不信、上昇志向
 (アドラー心理学的に言えば優越コンプレックス)
 を抱かねばならんくらいの扱いを受けてきてしまったんかな、
 と感じました。
 
 以前本で読んだ話では
 人間の脳は異質のものに恐怖を抱くようにできているそうです
 それは防衛反応のためで、
 顔のあざとか、何か普通と違うものがあると恐怖を感じてしまうのだそうです。
 なのでヤコブくんへの周りの反応は、脳科学的には仕方がない。
 でも扱いを受ける方は、仕方ないでは済まされない。

 途中で哲学者が
 「君の試みは、我々の許容できる範囲を超えているかもしれない。
  私たちに自分の内面の醜さを気付かせる。
  他人に寛容であることを強いる」
 というような見解を述べていましたが
 (それでもヤコブと演出家は果敢に舞台に挑戦したわけですが)

 障害者たちの存在というのは、
 私たちに、どこまで他人に寛容になれますか?
 と問いかけているのだろうか…
 と考えさせられました。

 まあそういうわけでけっこう重たーい話でした。。
 (一応、喜劇の演劇だそうなんですけど)

 いろんなものを感じてしまい、表現するのが難しいですね…
 まあまとまりないですが、今回はこの辺で。

2017年06月29日

Eテレオイコノミア「オイコノミア流“デリバティブ”超・超入門」

Eテレオイコノミア「オイコノミア流“デリバティブ”超・超入門」

今回はデリバティブの話。
投資的な話で、経済学~という雰囲気でした。

○今回のゲストの徳井健太さん
 今回は平成ノブシコブシの徳井さん。
 ギャンブル好きだそうで
 先生は「確率マニアということでお呼びしました」

 徳井さん曰く、
 「勝ちが多いボートレース場(長崎にあるそうだ)があって、
  そこにインコースの強い選手がいて…
 「100回中99回は当てられますよ」

 又吉さん
 「それで、今まで10回中何回当てました?」
 徳井さん
 「10回中10回負けてる…」

 又吉さん
 「先生どうなんですかこれ、今回のゲストにふさわしくないんじゃ…」
 先生
 「うーん、想定してなかったな」(笑)

○デリバティブって何?
 先生
 「世界でデリバティブを最初にしたのはどこだと思いますか?」
 又吉さん
 「僕は日本だと思います、
  日本って色んな考え方を早くからしてたから」
 先生
 「江戸時代なんです」

 世界で最初のデリバティブは
 大阪の米取引だと言われているそうです。

  又吉さんが稲作農家、
  徳井さんが商人だったとする
  普通なら又吉さんが10月に収穫し、
  「5両」などある値段で徳井さんに取引する

  しかし5月に又吉さんが今年の出来を不安に思っていたとする

  このとき、5月に前もってお米の値段を決めておき
  5月に証拠金を払って「10月にお米を渡しますよ」と徳井さんに約束する
  この場合、「お米を確かに渡しますよ」という「約束」がデリバティブに相当する
  (これは、お米の「先物取引」に当たるそうです)

 「デリバティブ(派生商品)」
  モノや金融商品から派生する権利の売買

  農家の又吉さん側からすれば
  10月の収益を5月の時点で確実にものにできるメリットがある
  つまりリスクヘッジができる

  一方商人の徳井さん側からすれば
  5月の時点で、みんな「10月には5両くらいの価値だろう」
  と言ってたとしても
  徳井さんは「10月には7両に上がる」と予想したとする
  10月になり予想通り7両に上がれば、その差額が自分の利益になる
  つまり一種の投機になる

 まとめると先物取引は
 ・リスクヘッジ
 ・投機
 の2つの役割を持つのだそうです

 現在はデリバティブ市場は活発で、株の2倍の取引が行われているそうです。

○先物価格の予想は酔っぱらい歩きと同じ?
 先生
 「お米の価格が初日に5両だとしても
  次の日に新しい情報が入って、価格の予想が上がったとします、
  じゃあその次の日の価格はどうなると思いますか?」
 又吉さん
 「分からないですよね、次の日別の情報で下がるかもしれない」
 先生
 「そうなんですよ、分からない」

 ここで酔っぱらいの又吉さん人形登場。
 酔っぱらい又吉さんが、次の一歩を右に行くか左に行くかは半々の確率、
 なのでいく道はオセロを投げて決めるのと同じ(白なら右、黒なら左とか)

 この場合、10歩先にどの位置にいるかを二人に予想してもらいました
 (可能性のある位置は、
 現在の位置を頂点にした三角形の、底辺上にある点)

 又吉さんは底辺上の真ん中あたり
 徳井さんははしっこを選びました

 先生
 「なんでここを予想したんですか」
 徳井さん
 「確率は全部同じかなぁと思って…」
 又吉さん
 「やっぱ真ん中の方が確率は高そう」

 ここでディーラーの女性が登場、実際にオセロを投げてもらいました
 10回投げてみると、
 片方が4、片方が6で真ん中あたり、又吉さんの予想に近い。

 これを繰り返すとどうなるか。
 10回投げるのはしんどいので
 10個をいっぺんに投げてもらっていました。
 10個投げて4個白、6個黒なら真ん中あたり、
 など、たどり着いたところにシールを貼っていく

 30回繰り返すと
 一番多いのは真ん中の白黒5個ずつのところ
 次はその両隣…
 まあだいたい真ん中へんに集中しています。
 先生
 「どこにいくかは計算でほぼ確定できるんです」

 この分布を表したのが正規分布
 横軸にたどり着いた左右の位置、
 縦軸にその位置にたどり着く確率をプロットすると
 真ん中が盛り上がった山の形になる

 先生
 「酔っ払いの歩き方は置いといて、
  企業の株価の場合、
  上がるか下がるかはどうやって予想すると思いますか?」
 又吉さん
 「情報を集める」
 先生
 「情報があれば酔っぱらいよりは当てられそうですよね」

 でも実際には予測できないのだそう。

 株は上がると思った人は売るし、下がると思う人は買うが、
 株価はそうした情報全てが落ち着いたところで決まる。
 「でも次の日に新しい情報があると
  また株価は変わるんですね」
 なので結局最終的な予想はできない。
 つまり株価は酔っぱらい歩きと変わらない、と考えるのが
 「ランダムウォーク理論」
 だそうです
 先生
 「不思議でしょう?
  一生懸命情報を集めて、理論的にやろうと思っても
  酔っぱらい歩きと変わらないなんて…」
 徳井さん
 「酔っぱらってるときの方がうまくいくのかもしれないですね(笑)」

 先生
 「でも株価の確率は計算で分かるんです」
 将来の株価とその価格になる確率は、
 今の価格を真ん中にした正規分布をとる
 これを利用したのがデリバティブ、だそうです
 つまり、計算である程度株価を予想することで、将来の取引をする

○デリバティブを発展させたのは数学者と物理学者
 デリバティブが初めて金融市場に登場したのは、1972年のシカゴ
 先生によれば、デリバティブは数学者、物理学者が発展させたそうです。

 なぜ理系の人が金融の世界に?
 先生
 「50年前のことが原因なんです。
  ヒントは「うさぎ」「もち」」
 又吉さん
 「月ですか」

 1960年代、アポロ計画が始まり
 1969年にはアポロ11号が月に到着
 しかしその後アポロ計画は中止され
 職を失った物理学者や数学者が金融の世界に入り、
 デリバティブを開発したそうです

 この数理分析の専門家を「クオンツ」というのだそうだ。

○クオンツの皆さんにインタビュー
 先生と又吉さんが、クオンツの方がたくさんいる企業を訪ねていました
 この企業は100人のクオンツがおり
 デリバティブの開発や
 企業のリスクマネジメントについての研究をされているそうです

 4人ほどにお話を伺っていました
 ある方は
 「私はデリバティブのスプライシングモデルを設定して、
  価格をつける仕事をしています」
 (??)
 ほか、ホワイトボードに並んだ数式を説明してくれているのだが、あんまり分かりません(笑)

 先生
 「皆さん大学では何の専攻だったんですか」
 ある方は
 「私は物理学で量子の研究をしていまして、
  素粒子の確率論が関わっているんですけど、金融だと対象がお金になる。
  対象が違うだけで全く別の分野に関われるのが面白いですね」
 また別の方は
 「私は地球物理学で、主にデータ分析をしていました」
 宇宙や地球の物理は膨大な観測データを分析するし、
 量子力学は素粒子のふるまいが確率の世界なので、
 そこが生かせるのかもしれないですね。

 又吉さん
 「企業に来ると、もしここで働いたら…と思うんですけど、
  ここでは1日も働けないですね。
  全く何の役にも立てそうにない(笑)」
 先生
 「やっぱりこういう数式を見てわくわくする人でないとダメなんでしょうかね」
 「そうですね、数式は好きですね」
 「趣味は…」
 「休日は家庭菜園をしています」
 「それを聞いて安心しました(笑)」

○オプション取引
 先生によれば
 デリバティブにははオプション取引、先物取引、スワップがあるそうです

 先物取引はさきほど説明していただいたので
 オプション取引の説明をしてただきました。

 これは先物取引と少し似ていますが
 先物取引は
 「決められた期間に決められた価格で売買する」
 ことですが
 オプション取引とは
 「決められた期間に決められた価格で売買する「権利」の取引」

 分かりにくいので小説の出版で例えていました
 徳井さんも小説を書いているそうで
 又吉さんは
 「面白かったですよ、独特の視点で」

 さて小説は売れると筆者に印税が入る
 この印税を受けとる権利を売買するとする
 印税は
 例えば一冊1000円の小説に、10%の印税があるとすれば
 一冊売れるごとに印税が100円入る
 1000部売れたら10万円
 一万部売れたら100万円印税が入る

 「又吉さんはこの印税をもらう権利を、徳井さんからいくらなら買いますか」
 「そうですね、徳井くんの本は面白いんで…10万円!」
 「安っ!」(笑)

 「まぁ仮に一万部売れると予想して、100万で買うとしましょうよ」

 この場合、一万部売れたらそれ以上の印税が又吉さんの利益になるが
 一万部以下であれば損になってしまう

 ところがオプション取引の場合、百万円で買う「権利」を売買するだけなので
 権利は行使しなくてもいい
 つまり、
 一万部以上売れたら権利を行使して徳井さんから印税を百万円で買い、
 一万部以上の印税分を利益にできるし
 一万部以下なら権利を行使せず、
 つまり印税を買わずに、損せずに済む選択もできる
 利益を得るか、利益ゼロか。マイナスはない

 徳井さん
 「じゃあこれノーリスクってことですか」
 先生
 「権利を買うのにお金が要るんです」

 印税売買の権利を買うときに、契約金が要る
 これがオプション取引の価格に相当する

 まとめると
 権利を行使すれば
  又吉さんは契約金と百万円を徳井さんに払い、
  印税はすべてもらえる

 一方権利を行使しない場合、
  又吉さんは契約金だけ払い、印税は徳井さんに入る

 では、オプション取引の価格はどうやって決まるのか?
 これは期待値を考えるそうです。

 「期待値」はギャンブルの価格設定にも使われるが、
  例えばコインを投げて表が出たら2万円もらえ、
  裏が出たら何ももらえない
 という賭けの時
 期待値は
  2万円×0.5+0円×0.5=1万円

 なので、この賭けに参加する価格を1万円にすれば
 胴元と賭ける人は対等になる、ということですね。

 徳井さんの小説の話に戻ると
 徳井さんの小説が一万部売れる、とみんな予想したとして、
 それ以上売れるかそれ以下かの確率は、一万部を中心とした正規分布になる
 この確率とそのときの損益の額を
 掛けた額がオプション取引の期待値になる

 (オプションを買う時の契約金をプレミアム、
  オプションの権利を使う時の額(ここで言うと100万円)を権利行使価格、
  というそうです)

 ざっくり言えばこんな感じらしいですが
 実際はもっとデータが膨大で、計算が複雑なんだそうな。
 (ブラック-ショールズ方程式、という微積分方程式を使うそうです
  たしか株と債券の取引のモデルが出てきたような気がする。
  本で読んだことがありますが、
  数式をいじっているだけなので騙されたような気分になります(笑))

〇オプション取引のメリット
 先生
 「又吉さん、オプション取引で徳井さんの印税権利を買ったとしたらどうします?」
 又吉さん
 「本を宣伝するでしょうね、
  売れた方が儲かりますし」

 これを応用している企業もあるそうです
 「ストックオプション」
 企業の株を決められた金額で、決められた期間に買う権利
 (例えば「当社の株を、今後4年間の間ならいつでも500円で買えますよ」
  優遇価格で買える、というわけです)
 これを報酬として出す企業もあるそうです

 先生
 「例えば80万円で株を買う権利を得たら
  株価が80万以上になれば儲かるわけですから、
  株が上がるように頑張る
  特に経営者は頑張りますよね」

 この場合、株そのものを報酬としても同じ効果になるはずだが、
 株の場合、下がるのが怖いので、守りの経営になってしまう
 しかし「権利」だけなら株を買わない選択もできるので、
 挑戦、攻めの経営ができる、とのこと

 (ストックオプションのメリットデメリットについては、こちらに書いてありました
  http://www.jmsc.co.jp/knowhow/column/no100.html
  ・上場していたり、上場予定で株が自由に売買できる企業でないとできない。
  ・メリットとしては
   もらう側は、業務へのモチベーションアップになるし、株をもらうよりリスクは少ない
   与える側は、評価と連動できるし、人材流出を食い止められる
  ・デメリットとしては
   もらう側は、頑張ったところで外的な要因で株が上下する危険がある
   与える側は、頑張っても株が上がらない状況ならモチベーションも上がらないし
   基準が不明確なら不満も起きる
  あと思うに、株の売買の経験がないと、もらってもメリットは感じないかもしれないですね…)
 
 ほかにもデリバティブは、保険がわりに使う場合もあるそうです
 「猛暑デリバティブ」
  例えば暑いと売れなくなるラーメン屋さんで、
  30℃以上の日が一ヶ月に20日あったら補償を受けられる権利を買う

  保険とは違い「権利」なので、
  実害がなくても(つまり暑くても客がいっぱい入ったとしても)補償を受け取れる

 ほかにも倒産に備えた
 「倒産デリバティブ」
  例えば徳井商事が又吉商事からお金を借金するとして、
  又吉商事は、徳井商事が倒産したときに金融機関から補償金をもらえる、
  という権利を金融機関から買えば
  徳井商事が倒産しても、又吉商事は借金を踏み倒されない
  いわば借金の保険として使えるそうです。

  また、この権利は利害関係のない別の企業が買ってもいい利点もある
  その場合、権利を買った企業は徳井商事と取引がなくても、
  徳井商事が倒産したらお金がもらえることになる

 しかしこれが問題になったのがリーマンショックだそうです。
 リーマンブラザーズの持つ「倒産デリバティブ」の対象企業は
 倒産しないだろう、と思われていたのに次々に倒産
 保険会社の支払い代金が増え、
 保険会社が倒産するんじゃないかという恐怖が広がり、株価が大暴落したのだそうです

 (この辺のデリバティブはなんかいろいろ商品があるみたいで
  深入りすると訳が分からないのですが
  会社の信用などを取引するものは「クレジット・デリバティブ」
  その中でもリーマンショックで問題になったのはCDS(クレジットデフォルトスワップ)
  というもので、
  http://www.findai.com/yogo/0302.htm
  これは社債とかではなく、信用リスクをそのまま売買する取引、なんだそうです
  ここまでくると、実体があるものの取引ではないので現実感がわかないな~と思いますね)

〇お笑いの世界でもデリバティブ?
 先生
 「お笑いの世界でもデリバティブは使えそうですか」
 又吉さん
 「昨日徳井くんとお笑いライブをしたんですけど、
  お笑いライブデリバティブ、というのはどうでしょう」
  例えば300人以上お客さんが入ったら収益をもらえる、
  という権利を売れば
  権利を買った人はお客さんを入れたいので
  宣伝をたくさんしてくれるかもしれない

 徳井さん
 「解散デリバティブとか。
  吉本興業は、売れている芸人コンビが解散したら損するので、
  解散しないように支払う。
  しなさそうなコンビはちょっと支払うだけでいい」

 (?よくわからんかったけど、倒産デリバティブと同じ?
  「あるコンビが解散したらお金をもらえる」
  という権利を吉本が売るのかな?
  でもそれなら買った人は解散したほうが得だから悪評を流すかもしれない。
  ライブデリバティブと同じような感じで、
  「〇〇年このコンビが続いたら△をもらえる権利を売る」
  とした方が応援はしてくれそうな気がする。

  そもそも、倒産デリバティブもあんまりいいものを感じないのですが…
  そりゃ当事者が買えば保険代わりになるが、
  第三者が買えば、買った人はその企業を応援するどころか、
  むしろ倒産したほうが利益になるからわざとつぶすかもしれない
  (まあ、そこまでアコギな人はそうそういないだろうけど)
  と思うんですが、どうなんでしょう?)

〇まとめ
 又吉さん
 「権利の売買はすごいですね、
  インセンティブにもなる、
  勝った人が宣伝してくれるというのは面白いと思います」
 先生
 「又吉さんもどうですか、デリバティブをお笑いの世界や小説の世界に生かすのは」
 又吉さん
 「いいですね」
 先生
 「そのときは正しく説明できているかどうかチェックしますよ」
 又吉さん
 「説明めっちゃ多くなりそうですね」(笑)

〇感想など
 今回はデリバティブ、についての説明でした。
 たしかに複雑で、説明を考えるのが大変だろうなあと思います。

 (スワップもちょっと調べましたが
  金利や為替を交換する取引(正確にはキャッシュフローを交換する取引)、だそうです。
  投機的にはFXをする人には理解したほうがいいみたいな感じです。

  原理的には
  それぞれの企業がお金を調達するとき、
  自国の通貨とか、有利な金利(固定金利か変動金利か)で調達して
  それを交換することでお互い無駄な損出を減らす
  (例えば外国で取引したものを自国通貨に変えるときの為替変動リスクを回避するとか)
  みたいな感じ?違ってたら済みません…
  ここまでくると、企業以外の一般人にはどう応用できるか分からん。。)

  そういえば昔「欲望の資本主義」だったか「マネー・ワールド」だったか忘れたけど、
  なんかの番組で見ましたが、
  派生商品って、資本主義市場の拡大のなれの果てに生まれたのかなと思います。

  つまり、
  まずは地理的に市場が開拓され、
  ヨーロッパ、アメリカ、アジア、オセアニアやアフリカ…と広がり
  未開の地がなくなったので、
  今度は時間とか空間上でお金を移動させる取引、つまり 為替取引、貿易…となり、
  それもいきつくして、もう空き地が無いので、
  今度は将来の権利とか約束を取引するようになった、
  それが派生商品…、、と。

 だとすれば、派生商品とは、
 資本主義で利益を得たい人が
 もう拡大するところが無いので無理やり作った市場、というイメージが
 どうしても抜けない…

 しかも複雑で、賢い人にしか分からないし
 賢い人が儲けるために作った商品なのか?
 
 …てなマイナスのイメージしか持っていなかったデリバティブですが
 米農家を救済するための商品だったり
 モチベーションを上げるために使われるのであれば
 それはそれでいいのかなと思いました。
 
 リーマンショックで問題になっていたデリバティブは
 いくつもの派生商品が切り刻まれてパッケージングされていて
 もはや元のものがなんだかわからない状態になってしまって
 こうなっちゃったらリスクが少なそうに見えるし、みんなで共有すれば怖くない
 みたいな感じで売買されていたんだろうと思いますが
 (…私のイメージではそんな感じです)
 まあそういう、頭のいい人がだますための複雑な商品はそちらでやってもらうとして

 もっと単純で分かりやすいもの、
 プラスの方向に使えるものがあれば
 それを利用してやろうというぐらいの気持ちで付き合うのが
 賢い消費者の在り方なのかな、と思いました。

まあ何にしろ、シンプルイズベスト、で
分かりやすいもの、が一番リスク管理がしやすいんじゃないかな~

いろいろ勉強になりました。
というわけで、今回はこの辺で。
posted by Amago at 15:07| Comment(0) | テレビ(オイコノミア) | 更新情報をチェックする