2017年07月27日

NHKBSスペシャル「激動の世界を行く メキシコ」

NHKBSスペシャル「激動の世界を行く メキシコ」

大越健介キャスターが各地を行くシリーズ。
不定期にやっているみたいですが、今回はメキシコでした。
そう言えばメキシコってあんまり知らないな、と思って見てみました。

前半は移民問題、後半はメキシコ文化の話でした。
移民の話はトランプさんがらみでよく話題にされるのでもういいよ、って感じでしたが(笑)
後半の方が知らなかったことが多くて面白かったかな、と思います。

まず前半から。
○アメリカとメキシコの国境沿いの町
 最初に大越さんが訪れたのは、
 メキシコの国境近くの町ティファナ。
 太平洋に面していて、
 国境を隔てた向こうはカリフォルニア州のサンディエゴだそうです

 大越さん
 「大地はずっと続いているのに…」
 隔てるのは、人間が作った壁だけでした

 ここの国境は、アメリカ人はビザなしで越えられる
 アメリカ側では、楽しそうにスイスイ人が流れていく

 一方、メキシコ側から行くにはビザが必要。
 入国手続きを待つ人たちの列が渋滞になっていて、身なりも貧しい
 「申し訳ないけど、お風呂に何日も入ってないようなすえた臭い」

 合法的にアメリカに行くには、
 健康状態、犯罪歴などの厳しい審査がある
 自分は強制送還された過去があるからダメだろう、とか、
 違法でも仲介業者にお金を払って出国するかも、
 と話す人もいました

 また、ここには移民のためのキャンプ?シェルター?があり、
 朝食を無料で提供している
 中には幼い子供を連れたお母さんもいて
 「アメリカでより良い暮らしがしたい、
  どんな仕事でもする」
 と言っていました

○サカテカス州
 アメリカへの移民は、サカテカス州出身の方が多いそうです
 彼らにとって、アメリカに出稼ぎに行くのは当たり前らしい

 47年間アメリカで働いていた、という靴磨きのおじさんは
 「トランプは最悪だ。
  働いているのは俺たちメキシコ人だ。
  建設現場にアメリカ人なんていない」
 「アメリカ人は怠け者なんだよ」
 と話していました。

 この州では、行政もアメリカからの求人を紹介し、移住を後押ししているそうです。

 行政の担当者の方は
 「アメリカ企業は、強制送還により人手不足になっている。
  メキシコ人は、アメリカ人のやりたがらない分野をする
  だからアメリカの企業も不法移民でも雇ってきた」
 と話しています
 トランプ政権発足後でも求人は減らないだろう、とのこと

 具体的には建設業界、清掃業などが多い
 アメリカで働きたい、という若い女性に聞くと
 「英語ももっと勉強したい、
  メキシコから出ていくことで成長したい」

 彼女は電話での面接試験を受けたものの、
 緊張でほとんど英語を話せず不合格。
 それでもまたトライするといっていました

 行政の仕事紹介の担当者の方は
 「彼らの力になるのが喜び。
  彼らがチャンスを掴み、前進していくのを応援したい」
 アメリカから写真を送ってくれる人もいて
 感激して涙が出るそうです。

 この州には、2/3の町民がアメリカに出稼ぎに町もある

 17年調理師としてアメリカで働いた方は、
 そのお金で故郷に家も建てたそうです
 「安定した生活はアメリカのおかげ、
  アメリカは私にとっても家族にとっても大切な第2の故郷」
 と話していました。

 歴史的には、
 19世紀からメキシコからアメリカへの出稼ぎが行われていたそうです

 安い労働力を必要とするアメリカと、
 仕事が欲しいメキシコ人との利害が一致し、
 このため違法でも不法移民は黙認されてきた
 今では違法、合法合わせて1000万人以上のメキシコ人が住むそうです

 メキシコの局長の方は
 「トランプ氏は、すべての問題をメキシコが作った、と批判するがそれは違う。
  メキシコの安い労働力が、アメリカの経済成長を支えてきた。
  両国は150年間、強い結び付きがあり、
  移民の伝統を裁ち切るのは難しい」

 アメリカにとっても、メキシコにとっても、
 移民の流れを止める方がむしろ不自然なようです。

 サカテカス州では、
 英語が小学校で必修なんだそう
 子供たちも
 「英語は好き」
 「何で?」
 「仕事に役立つから」

 「お姉ちゃんは医師でアメリカにいるの」
 という子は、自分も勉強してアメリカに行きたい、
 と話していました

 「ほとんどの子供は、親や兄、姉がアメリカで働いていて、
  それが英語への好奇心につながっている」
 と先生は話していました

 大越さんは
 「この子達にとっては、国境はあってないようなもんなんだね」

○南米からの移民の中継地
 さて次に大越さんが訪れたのは、中央のサンルイスポトシ州

 ここは南米からの移民の中継地だそうです

 ここには、250人収容できる大きな移民シェルターがあり、
 近くに貨物列車の線路が走っている
 移民はここから貨物列車に乗り込んで(違法ですが…)国境に向かうそうです。

 移民シェルターは、3食無料で振る舞われ、シャワールーム、医務室もある。
 利用者は
 「旅の途中のオアシスだよ、ここで休んで元気を取り戻して、また先に行くんだ」

 利用者の出身地を聞くと、
 ホンジュラスやエルサルバドルなど

 エルサルバドルから来た、という男性によると
 エルサルバドルは治安が悪く、住むのは危険なんだそう

 彼は体に残る銃弾の跡(太ももと脇)を見せてくれました。
 これは、彼の妻が経営するお店で、
 ギャングからみかじめ料を請求されたので断ったら、
 バイクで横付けされて銃撃されたそうです

 彼は身の危険を感じ、家族でアメリカに渡ろうと決意
 まず自分が様子を見るために先に渡るそうです
 「残してきた娘、妻、息子が心配だ」
 と話していました

 しかし
 「アメリカに渡る道中も油断できない」
 彼は列車の中で強盗に襲われたそうで、
 「時速70キロで走る列車からみんな投げ出された
  泥棒、誘拐、何でもいる、
誰も信用できない」

 このシェルターのスタッフは
 「使命感があって彼らを助けているのか」
 という質問に
 「私はメキシコ人だが、
  自分だっていつどこかの国の移民になるかもしれない」
 他人事とは思えないから助ける、と話していました

 さらに、
 「移民は犯罪ではない、させてしまう母国が悪いんです。
  働く機会、食事、教育も与えてもらえない。
  シェルターがなくても、彼らが自由に行き来できる日が来るのが私の夢」
 と話していました

 ホンジュラスから来た、という利用者もいて、
 家族に反対されても国境越えにトライする、ダメなら帰る、
 と話していました

 彼は「今日ここを出る」と言い
 仲間と一緒に貨物列車の外側にしがみついて行く
 貨物列車も黙認しているのか、心なしか速度が遅め…
 それを見送っていた大越さんは
 「無事を祈るとしか言えない」
 違法だから成功を祈るとは言えない、と言葉少なにコメントしていました

○アメリカにいる家族を思い、歌を作る男性
 次はティファナに住む60代の男性の話。
 彼はメキシコ音楽のボーカルをしていました
 「自分の歌を聴く人に、
  遠く離れた所に住む家族のことを思い出してほしいと思って歌っている」
 みたいな話をしていました

 大越さんが彼の家を訪ねると、彼は独り暮らし
 彼は30代のとき、娘と妻を連れてアメリカに渡った
 サンディエゴで音楽をしていたが、
 14年前に彼だけ強制送還されたそうです(理由は不明)

 喧嘩しても家族に会いたい。
 家族を思い出すと色んな感傷が生まれてくるので、
 歌として書き留めているのだそうです

 娘さんはずっとこちらに来ていない
 「来たらアメリカに戻れないかもしれない。
  娘の結婚式にも出られなかった」
 娘さんには娘が生まれたそうで
 今は孫娘を思う歌を作っている、と話していました

 大越さんが彼の家を訪ねてから数ヵ月、娘さんが孫を見せたい、と連絡してきたそうです

 出会うのは国境をまたぐ公園
 ここの公園には国境に格子状の柵があり
 離れた家族が柵越しに会うことは黙認されている

 待ち合わせの時間になり
 娘さんが旦那さんとベビーカーに乗せた孫娘を連れてきた
 柵越しに小さい孫の指を握ったり、彼は涙ぐんでいました
 そのうち彼は楽器を取り出すと孫娘を思う歌を歌い出しました

 メキシコ音楽はよく分からないけど、
 孫娘さんに、愛されて生まれてきた、会えなくてもいつも私の心の中にいるよ、という愛情あふれた歌でした

 ここで前半は終わり。
 アメリカとメキシコを隔てる壁について
 「ある人は家族を引き裂かれ、ある人は違法であっても国境を目指す」
 というような言葉で終わっていました

 次は後半です。
 前半はしんみりする場面が多かったですが、
 後半はメキシコの陽気さ、元気さを感じさせてくれるものでした
○メキシコ人の魂、ルチャリブレ
 大越さんがまず行ったのが
 「ルチャリブレ」
 というメキシコ版プロレスの試合
 メキシコ人の大衆娯楽です

 試合をするレスラーはみんな覆面を着けているのですが
 そのなかで、一人だけ素顔のレスラーが登場
 彼は「俺はアメリカの英雄だ」
といい、
 トランプ氏の顔がかかれた星条旗を振り回す
 彼は徹底的に悪役を演じていて
 最後に人気の覆面レスラーにやっつけられていました

 「彼は一人だけ素顔で、アメリカの自由さの象徴なんですね
  正に命がけのエンターテイメントですね」

 その星条旗のレスラーに話を聞くと
 「俺は華やかで、カリスマ性のあるアメリカ代表さ」と話していました

 ルチャリブレには応援団もいて
 団長に星条旗のレスラーについて聞くと
 「彼は仕事をしてるだけってのはみんな分かってる。
  みんな試合を見て、
  日々のストレスを発散して、
  次の日からのエネルギーにするのさ」

 彼はテピート地区もいうところでお店をしているそうですが、
 レスラーはテピート地区の出身が多いそうです

 そこで彼の店をたずねると、壁画一面に歴代レスラーの顔、顔、顔…
 「なぜこの地区にはレスラーが多いのか」
 とたずねると
 「小さい頃からみんなテレビや映画でレスラーを見て憧れる」

 彼によれば、この地区にはカロンテという彼の最も尊敬するレスラーがいるとのことで、
 大越さんは、その名前を継ぐレスラー、カロンテ・ジュニアに会いに行っていました

 カロンテ・ジュニアは覆面で仕事をしているので顔を出すのはNGだそうで
 覆面を被っての撮影でした

 カロンテは彼のお祖父さん、おじさん、お父さんが継いでいて
 彼は4代目らしい
 (お父さんはまだ現役なのでジュニア、みたいです)

 普段は家業の弁当屋を手伝う真面目な青年で、
 5歳から働いているそうです
 母親は
 「ここは治安も良くないし、不良になる子も多いのに
  うちの子は真っ直ぐ育ってくれた
  朝から晩までよく働いたわ」
 と話していました

 本人に
 「ルチャリブレの魅力とは?」と聞くと
 「マスクのマジック」
 人々はレスラーは強いと信じている、
 マスクをかぶることで別の人格になれる、と話していました

 (あんまりプロレスは詳しくないのでちょっと調べましたが
 Wiki情報によれば
 ルチャリブレはメキシコを中心に、中南米で絶大な人気を得ているそうです。
 レスラーは公の場ではマスクを外さないらしく
 伝説のレスラー、エル・サント(テピート地区の出身とかこの番組でも言ってましたが)、
 マスクを外さず葬儀をしたという逸話があるそうです

 空中技とか投げ技とか身軽な技が多いらしく、
 日本の小柄な選手や女子プロレスラーがルチャリブレ留学したりもするんだそうです。

 私は知りませんでしたが、
 日本ではザ・グレートサスケさんがルチャリブレの方で、
 東北にルチャリブレを根付かせた功績があるそうな。
 彼が議員になったときは、マスクを外すかどうかで問題になっていたらしい)

○メキシコ人のルーツ
 大越さんはそのあと、メキシコのルーツを色々訪ねていました
 ・街の遺跡
  メキシコ人は、アステカ帝国の繁栄のあと、スペインに征服された歴史がある

  メキシコの街にある建造物はそれを示しているかのようでした

  街並みは中世のヨーロッパに似ていて、
  スペインに征服された頃そのまま

  地下に残されたアステカ帝国の宮殿の跡地の上に
  スペインの大聖堂がどーんと建てられていて、
  大越さんは
  「歴史を上書きしているかのよう」
  と表現していました

 ・歴史を描いた壁画
  また、国立宮殿にある壁画には
  スペインの歴史絵巻が描かれているそうです

  最初はアステカ帝国の繁栄、
  次にスペインに虐げられる人たち、
  19世紀に独立を果たすが、他国から内政干渉される

  この壁画を案内してくれた方は
  「メキシコ人はこの壁画を見るたびに誇りを感じる」
  メキシコ人はここに自分達のルーツを見る、
  征服や干渉を受けても、国は絶えることなく、メキシコ人は生き延びてきた
  とのことです

  (メキシコの歴史は、調べたら戦争だらけでした。

  スペインに征服され、
  革命の末独立を果たすが

  そのあともアメリカにテキサスを併合され、
  アメリカに戦争を仕掛けられてカリフォルニアやニューメキシコを失い、

  そのあとはスペイン、イギリス、フランスにも干渉され、
  スペインとイギリスはすぐに撤退したそうですが
  ナポレオン3世のフランスには攻めこまれ、一時期傀儡政権が樹立されたようです
  しかしそのあとは傀儡政権が崩壊、復活する

  そのあとも独裁政権、革命…など、日本には想像がつかないような歴史がありました)

 ・オリンピックスタジアム
  また、メキシコの発展を象徴するものとして、
  オリンピックスタジアムも訪ねていました

  メキシコオリンピックは、東京の次の1968年に開催された
  当時は経済格差が広がってきた時期で
  強権政治への反発もあり
  開催に反対する声もあったそうです

  しかしオリンピックは無事開催された
  当時聖火リレーの最終ランナーという大役を受けた女性は
  (ちなみに史上初の女性最終ランナーだったそうです)
  「オリンピックは窓を開けてくれた。
   メキシコの文化、経済、スポーツや、
   国を愛する気持ちを世界に見せる窓だった」
  と話していました

 ・音楽、テキーラ
  メキシコは週末、音楽を楽しむ人たちで賑わう
  テキーラを楽しむ人たちも…
  小さいガラスのおちょこみたいなので飲んでいましたが、なんか度が強そう。
  大越さんは
  「酒飲みにはたまらない味だねぇ」
  けっこういけるクチなのかな?(笑)

  テキーラは中部のテキーラ市が産地だそうで
  ここにはリュウゼツラン、という原料の植物の畑が一面に広がる

  このお酒は原住民の発酵酒と、スペインの蒸留技術の融合により産み出された
  と言われているそうです
  伝統的な製法を続けている醸造元の社長は
  「私で5代目、この味は守っていきたい。ほかには代えられないよ」
  と話していました

  (テキーラの原料のリュウゼツランは、漢字で書くと「竜舌蘭」、
  けっこう怖そうな名前ですね。
  多肉植物で、収穫するとパイナップルみたいな姿をしているそうです。

  分厚い葉っぱを切り取り、
  残った球根をすりつぶし、
  その汁を発酵させるんだそうです
  (発酵した汁はアルコール3~5%、どぶろくのような味らしい)

  そのあと、蒸留させて完成。
  蒸留酒なので度数は30~55%くらい、焼酎並みですかね。カクテルのテキーラサンライズなどにも使われますね)

○テピート地区のルチャリブレ
 再びテピート地区のルチャリブレ。
 ここには仮設リングが作られていました

 この地区では、住民がお金を出し合い、
 定期的にレスラーが試合をしているそうです

 子供たちもわらわら集まってきて、
 みんなで試合前のリングでレスラーごっこ
 地区のお祭りみたいな雰囲気でした
 「こりゃ、子供の時から好きになるね」

 試合が始まり、女性レスラーなども出場していましたが
 なんといっても大トリはカロンテ・ジュニア。
 お父さんのカロンテとタッグを組んでいました

 しかし試合開始後、いきなり悪役が不意打ちを食らわし、
 流血になるわ、カロンテの頭をつかんで柱にガンガンするわ、けっこう激しい…
 小さい子供は怖がって泣き出し、
 大きい子供は悪役に本気で怒る

 しかし観客の声援を受け、カロンテチームは立ち直り
 最後は悪役たちをなぎ倒す。
 観客はみんな「カロンテ、カロンテ!」
 完全に感情移入していました

 最後にカロンテ(お父さんの方)は
 「皆さんも、レスラーのように闘える。
  親御さんは子供にスポーツをさせなさい、
  この地区が一番だとみんなに見せよう」
 と呼び掛けていました

 ルチャリブレとは「自由への闘い」を意味する
 厳しい現実と闘い、自由を願う人たちの象徴なのだそうです

 試合後1週間後に大越さんがカロンテ・ジュニアをたずねると
 「観客が喜んでくれたから、僕らも100%以上の1000%の力を出せたんだ」
 「僕らがリングで教えたいのは逆境に立ち向かうこと。
  貧しくて危険な地域に住む僕らには、いつもいい道、悪い道の2つの選択肢がある。
  いい道を選べば豊かな人生が送れる、とみんなに伝えたい」

○トランプ氏の制裁にもしたたかに生きるメキシコ
 トランプ政権誕生で、メキシコ経済は試練に立たされている
 トランプ氏はNAFTAの見直しを公言し、
 アメリカ企業に、メキシコからの撤退を促す発言をしている

 サンルイスポトシ州には
 自動車会社のフォード社が
メキシコへの工場移転を断念した跡地が残っているそうです

 跡地には工場の骨組だけ残ったまま
 1600億円の投資が見込まれていたとか
 放置されたままで、壊すのもお金が要るのかな。

 この近くで食堂屋さんをしていた夫婦は、
 お客さんが増えることを見込んで食器などを買い込んだそうですが、
 撤退により廃業を余儀なくされたそうです。
 「撤退が決まった2日後にはみんないなくなっていた」
 と苦笑していました

 しかし、そんなに影響はないという見方もありました
 ・工業団地
  この地域最大の工業団地を経営する方は
  他国からの外資系企業を多数誘致していて
  (仏、独、スイス、インド、日など50もの企業)
  「世界とビジネスできるから、
   トランプ氏の発言は気にならない」
  と強気でした

 ・経済学者
  メキシコの経済学者は
  「メキシコは、地理的な条件で北米との関係を強いられてきたが、
   アメリカ抜きの発展も可能」
  と話していました

  カギは「自国資本の企業を作ること」
  メキシコは車の組み立ては出来るが製造はできない、
  ノウハウを学んで独自ブランドを作れば
  日本のようにものづくり大国になれる、とのことです

 ・新規参入企業
  サンルイスポトシ州にある企業は、
  ドイツ車の部品作りに参入したそうです
  社長は
  「メキシコの人材は、賃金でも質でも世界と戦える」
  「メキシコ人は真面目でよく働く国民、
   チャンスがあれば国際的に活躍できる」
  と話していました

 ・キッザニア
  私は知らなかったんですが、
  子供が職業体験できる娯楽施設「キッザニア」は、
  メキシコ発祥の企業らしいです。

  日本でも、関西(兵庫だっけ?)にも関東(東京?)にもありましたね。

  メキシコシティにあるキッザニアで、
  大越さんは創業者の方に案内してもらっていましたが
  そこにはペレやチャップリンなど
  偉人の子供時代の銅像が。
  「偉人の子供時代を見せて、
   子供たちに、誰でも何にだってなれる、と示したい。
   我々はいつでも変われるんです」

  ここのキッザニアでは100の職業が体験できるそうです
  働く意義を伝えるため、働いたら、施設内で使える通貨も渡す
  お金を持っている女の子に
  「何に使うの?」と聞くと
  「これでハワイに行きたい」(笑)

  創業者は
  「メキシコでは将来の道が限られている。
   生まれで将来が決まる、と考えている人が多いが
   そんなことはない、と伝えたい」

  「キッザニアは、メキシコ発祥の企業の代表ですね」という質問には
  「私はメキシコを心から愛していて、国の成長を心から願っている。
   メキシコからより多くの企業家が出て、世界に打って出る必要がある」

 ・映画作り
  メキシコでは国立大学に映画学科があり
  70人の学生が学んでいるそうです。

  彼らはプロと同じ機材を使い、
  国の支援を受け、実践的に映画作りの手法を学ぶ

  その教育が実り
  近年ではこの学校を卒業したメキシコ人の監督が次々とハリウッドに進出、
  アカデミー賞を受賞している

  ここの教授に大越さんが
  「最近はメキシコ人がアカデミー賞を征服していますね、この秘訣は?」
  と聞くと、彼は笑いながら
  「メキシコには59もの土着文化、59の言語、価値観がある。
   多様な文化を通して、
   他者から学ぶ経験を身に付けているからです」
  と話していました
  アメリカにとって魅力的な映画を作れるのも、
  アメリカの文化から学んでいるからで、
  文化が交わるメキシコ人だからこそ作れるのだ、と話していました

  メキシコ人だから作れる映画、を目指す姿勢は学生にも受け継がれている
  ある女子学生は、女性の解放をテーマにした映画を製作していました
  「この国では性犯罪など、女性が被害を受けることが多い。
   また、女性だからと何事も諦めてしまう人も多い、
   それもこの映画のテーマです」

  彼女はこの学校の卒業生が世界で活躍していることについて
  「学生たちはみんなああなりたいと思う、
   それはハリウッドで活躍しているからだけではなく
   自力で何事も成し遂げたからです」
  「世界で認められる人はオリジナリティがある、
   私もメキシコ人にしか作れない映画を作りたい」

 ・壁画を描く人たち
  最後に、国境沿いの街ティファナに戻りました
  ここでは毎週末に、国境沿いの壁に壁画を描く人たちがいる

  人間が苦しむ絵もあれば
  自由の象徴なのか、
  海を泳ぐ大きなクジラや、空を飛ぶちょうちょの絵も…

  「この壁は残酷、悲しみの象徴と言われるが
   私たちにとってはキャンバスです」
  自分達の思いを世界に伝えるキャンバスなのだそうです

  途中、この男性は壁越しに、
  アメリカ側の国境警備隊と話していました
  「何を話していたんですか?」
  「私たちの活動についてです」
  「理解してくれましたか?」
  「意義は分かってくれたと思います」

○まとめ
 トランプ氏の政策もあり、歴史的な経緯もあり、
 メキシコではアメリカとの壁、
 家族との分断、跳ね返される移民…がクローズアップされがちですが、

 大越さんはこの取材を通じて一番感じたのは
 「人の温かさ」だそうです
 誇りをもち、人生を謳歌する彼らに圧倒されてばかりだった、と話して終わっていました。



 私の後輩が、大学時代メキシコに旅行して
 「メキシコめっちゃ良かったです~」
 落ち込んでいたとき元気をもらえたそうです。

 高校時代の同級生も、
 人生に行き詰まり、そこでメキシコに3週間留学、放浪して今のだんなさんと出会ったとか…

 私はメキシコに行ったことは無いですが、
 そういうエネルギーを貰えるようなものがあるのかも、と思いました。
 機会があれば行ってみたいなぁ。

 現在、メキシコには日本企業の進出が進んでいるそうです。
 真面目に働く国民、というから
 日本と似ている所もあるのかも。
 日本がものづくりのノウハウを教えるとか
 メキシコの発展に貢献できることもあるのかもしれないし
 日本にとっての新しいビジネスチャンスも生まれる可能性もありそうだなと思いました。

 また、家族を思いやったり
 音楽や芸術を楽しんだり
 辛さの象徴の壁画も鮮やかな壁画に塗り替えたり
 逆境をパワーに変えるところは見習いたいな~と思いました。

何気なく見てたけど、思ったより面白かったです。
というわけで今回はこの辺で。


2017年07月24日

NHKスペシャル「AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン」

NHKスペシャル「AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン」

 最近AIがなにかと話題です。
 囲碁将棋もAIがプロに勝ち、
 医療診断も投資もAIに頼りつつある…

 ならば日本の未来もAIに聞いてしまえ、
 てなことをNHKが企画しちゃったらしい。
 去年の紅白といい、NHK最近暴走してますねぇ…
 出てきた提言は奇想天外なもの、
 しかもその聞き手があのマツコ・デラックスさん、
 ということで、思わず見てしまいました。

 AIさんは提言だけで理由も解決策も言わない、
 だから専門家が結果についてあーだこーだ言うわけですが
 その話の広がりが興味深い。
 マツコさんの直感的な分析もなかなか的を得ていました。

 私はてっきり大学などの研究を紹介しているのかと思っていたんですが、
 このAIはNHKが独自に開発したものなんだそうです。
 ここに、日本の医療、生活、社会など、
 過去30年分のデータを学習させているのだそう
 また、たくさんの人の追跡データも加えて、
 日本人の行動パターンや価値観なども組み込んでいるのだそう。

 マツコさんは
 「余計なお世話ね、
  そんなの東大か京大に任せときゃいいのに」
 と相変わらずの毒舌ぶり。

 マツコさんはNHK初司会だそうですが、
 もう一人の司会者有働アナとの掛け合いもテンポ良く、
 横道に逸れそうになったら本題に修正していく手腕はさすがでした。

(メモで書いてるので、データなどの細かい間違いあったらすみません)

○AIによる20年後の日本
 さて最初はくらーいデータ。
 AIさんによれば、今のままだと日本の20年後には
 ・高齢化率35%増加
 ・出生率は2.0を下回ったまま
 ・ガンによる死亡が23%増加
 ・医療費が7.6兆円増加
 ・85歳以上の就業が54%増加
 ・自殺、餓死者が44%増加

 …になるんだそうです。
 そんなAIが提言するのは

 ●健康になるには、病院数(病床数)を減らすべし
 ●出生率を上げるには、結婚するより車を買うべし
 ●ラブホテルが増えると、女性が活躍する
 ●女子中学生の肥満度が上がると、中年男性に影響がでる
 ●40代独り暮らしが日本を滅ぼす

 …?ですね。

 最後の
 「40代独り暮らしが日本を滅ぼす」
 はNHKが一番力を入れてたみたいで
 スタジオには40代独身の人たち30人を集め、
 この話だけで後半50分を費やしていました。
 前半1時間であとの4つをさばいていました。

さて最初の提言。
○今回のゲスト解説員
 ゲストには、
 解説員として東大の坂田一郎氏、京大の柴田悠氏がいました。

 坂田氏はAIのデータを分析するデータサイエンスが専門だそうです。
 「今回は雑多なデータを一緒に分析しているのが新しい
  ふつうAIは囲碁に勝つなど、ある目的を持ってデータを選んで分析するが、
  なにもなくデータをごったに分析するのは珍しいらしい

 柴田悠氏は、統計分析を政策に反映する研究をされているそうです
 (この方の「子育て支援が日本を救う」という本を読んだことがあります)
 専門は社会保障、少子化など
 「今回は各都道府県のデータ5000種類を集めているんです。
  ふつう我々のような専門家が扱うデータは多くて50くらい、
  ですからAIはこの100倍のデータを使っている」
 とのこと

 そしてNHKの偉いさんとして?大越健介氏もいました
 マツコさん
 「中年のエロスよね」(笑)
 予想外のコメントに
 「最大の誉め言葉です」と照れつつ
 「NHKの責任者出てこい、と言われたらいけないのでスーツを着てきました」(笑)

 もう一人解説の方がいて
 有働アナ
 「次は、今回のAIの開発者の阿部ひろしさんです」
 「ひろふみです」(笑)
 阿部博史ディレクターでした。
 今回のAI開発者の責任者だそうです。

 「失礼しました」(笑)
 と本題に入ろうとしたとき、マツコさんが
 「ちょっと待って、AIの名前どうすんのよ」

 有働アナ
「生まれたばかりで成長過程なんで、名前はまだ無いですね」
 マツコさん
 「じゃあさ、さっきあなたが間違えたひろしにしましょ」(笑)
 「だって無茶なこといっても、ひろしが言ってんのよ、って言えば角が立たないでしょ」
 有働アナ
 「そんなひろしが言うからですか(笑)」
 マツコさん
 「そんなひろしに騙されてみましょ」(笑)
 というわけでマツコさんの命名により、AIさんの名前は「ひろし」に決定したようです(笑)

さて最初の提言
●健康になるには、病院数を減らすべし
 マツコさんは
 「病院じゃなくて、病床数なのよね」と確認してました
 柴田氏
 「そうです、ベッドの数ですね」

 ・AIのデータ分析
  ここで、今回のAIのデータ分析と人間の違いを説明すると
  例えば坂田氏など人間が原因を探ろうとすると、
  病院数のデータがなにと関係するか、
  思い付くものを書き出して線でつないでいく
  (風が吹けば桶屋がもうかる、式の流れで)
 しかしこのやり方だと発想に限界があり、途中で止まってしまう

 一方AIでは、
 「パターン学習」
 「ディープラーニング」という方法で
 たくさんのデータの中で、
 病院数を増やしたり減ったりしたときに、
 連動して減ったり増えたりする(もしくは増えたり減ったりする)データを見つける
 その際は、AIくんは関係がある、というだけで
 意味や因果関係は考えないそうです

 例えば病院数からは100個以上の線が出ており
 中には「バナナの購入数」
などという一見関係なさそうなデータも…

 阿部ディレクターが分析画面を示すと
 AIの脳みその中で、
 「病院数」などの各データの項目が円で囲まれ、
 円同士が線で三次元的につながっている

 「病床数」データが増えれば囲む円が膨らみ、減ると円が小さくなっている
 そして「病院数」の円が伸び縮みすると、
 連動する(線でつながっている)データの円も伸び縮みする。
 複数のデータが連動して変化する様子がビジュアルで分かるようになっていました

 有働アナ
 「ただこれだと見にくいので、パネルで示しました」
 関係が強いデータだけ抜き出して、平面的に図で示しています
 マツコさん
 「企画の段階で言ったのよ、これ絶対分かりにくいって」
 このパネルはマツコさんの発案だったそうです
 「悪いんだけど、民放のようにさせていただきました」だって(笑)

 さて病院数が減ると、
 ・ガンによる死亡減
 ・脳血管疾患減、
 ・女性の平均寿命増
 ・65歳以上男性の死亡者減…

 マツコさんは
 「医師会にけんか売ってんのかしら」(笑)
 とも言いつつ、
 「ふつうは近くに病院がある方がいい、病気になっても安心と考えますよね?」

 柴田氏によれば
 「ここで注釈を加えると、
  30年分のデータを集めているだけではなく
  時系列的にも分析しているんです」
 例えば病院数が減ってから5年後、などの時系列的な変化も反映させているそうです
 「その上で、健康になったから病床数が減ったわけではなくて、
  病床数が減ったから健康になった、
  と見る方が妥当だということになった」
 つまり純粋なデータ分析の結果が
 「病院が減れば健康になる」
 らしいです

 ここは私の印象ですが、
 病院が少ない方が死人が減る、とかいうのは、
 今話題の本などにもある
 「医者や薬が病気を作る」
 的な話につながりかねないせいか
 けっこう皆さん発言が慎重でした。

 ・夕張市の例
  しかし、これが現実化した都市が実在するらしい
  それは夕張市

  ここは2007年、財政破綻して唯一あった病院がつぶれてしまった
  診療所が代わりに医療を担うものの、病床数は1/10に激減
  しかしこの状況下で、
  市民はむしろ健康になっているらしい

  データによれば、男性では
  ・肺炎による死亡者32%減少
  ・ガンによる死亡5%減る
  ・心疾患35%減る
  女性では
  ・心疾患15%減少

  これはなぜかというと
  「健康に気を付けるようになった」からみたいです。

  集まって健康体操をする高齢者に聞くと
  「健康には気を付けている」
  バナナを毎日食べてる人もいました。
  「バナナのカリウムが体の老廃物を排泄してくれる」
  スタッフが「詳しいですね」というと
  「そういう健康もの好きなの」

  さらにAIの話を裏付ける事実が…
  ・店ではバナナが山積み
   「人口に対しては多すぎよね」
   好きではないが健康のため食べる、というお年寄りもいました
  マツコさん「あたしバナナ買うわ」(笑)

  ・ボランティアをする人も増加
   AIは「病院数が減る」と「男性のボランティア時間がふえる」と提示していました。
   夕張市では、草刈りや掃除などを自発的にしている年配の男性もいて、
   「助かる」と感謝されていました

  市長に話を聞くと
  「病院数と健康の関係は考えたことは無かったが、
   そういう事実があるなら新しいアイデアにつながるかも」
  と話していました

 ・スタジオでの話
  マツコさん
  「雪降ろしとか、地域のことをできないから自分たちでやろうということになって、
   それが結果的に健康になってる、てことなのね」

  大越さんは
  「ただ、夕張はドンピシャだけど
   AIはこうしなさいと言ってるわけじゃないんですね。
   地域や自治体により違いがあるので、減らせばいいと言い切ることはできない」

  マツコさんは
  「病院とか、環境が整いすぎると頼っちゃうのかもしれないわね」
  それを受けて坂田氏は
  「油断しちゃうんでしょうね」
  そして、連動する他のデータも合わせると
  病院が減ることで社会全体の活動量が増えていることを指摘。

  例えば・スポーツの時間が増加、
  ・ボランティア活動増加、
  ・パートタイム勤務増加、
  ・買い物平均時間増加
  など、体を動かすことが増えている。

  柴田氏
  「活動的になることが大事だとすれば
   病床数を減らすことにこだわらなくてもいいのかもしれない」

  マツコさん
  「ただ病院無くなるくらいの大事件がないと、人間は動かないのかもしれないわね」
  坂田氏も
  「それくらい影響を与える政策が必要とは言えるのかもしれない」

  柴田氏は
  「それから、減ると影響が出るのは病床数であって、
   町医者が増えるのは問題ないんですね。
   だから大病院から地域医療に移す、などの方向性はあってもいいのかもしれない」

  すると大越さん
  「政府では在宅医療にシフトしましょう、という話はあるけど、
   そうなると関わる家族の負担も考えなきゃいけない。
   だから医療の話は考え出すと深い話になる」
  坂田氏
  「AIの出す提言をどう解釈するかが我々の責任でもありますね」

さて次の提言です
●少子化を食い止めるには結婚するより車を買うべし
 日本では、出生率は1990年から1.5で横ばい、あるいは低下しているのだそうです。
 ここをあげないと少子化に歯止めがかからない。

 そこで出生率と関係あるデータを探すと
 「婚姻数」でも「出来ちゃった婚数」でも「結婚年齢」でもなく
 「製造業付加価値額」と「車の購入数」だそうです。なぜ?

 ・車は基幹産業
  結論から言うと
  「車は」は象徴的なもので、
  みんなこれを買うために頑張るぞ、みたいな産業があると、
  経済が活性化して、子供も増えるだろう、
  という話みたいです。

  マツコさんは最初に
  「多分、車は基幹産業だから、
   ここが増えることで、豊かな人、結婚に前向きな人が増えるのかな」
  と話していて、ここが議論の軸になっていました

  坂田氏は
  「車は高額商品の代表ですよね、
   そして子供を持つのも経済的に余裕がいる」
  つまり、お金に余裕があることが前提にあるのでは、と指摘。

  柴田氏は
  「戦後の時代に三種の神器、そのあと新三種の神器、
   新三種の神器に車は入っていたけど
   それ以降はそれに当たるものがない」
  「みんなが欲しがるような産業がないと経済が回らない、
   雇用も増えないということかもしれない」
  と話していました

  では次に来る産業は?
  マツコさん
  「阿部ちゃん、何かないの?」
  阿部ディレクター
  「AIは過去のデータはみますけど、これから来そうなものは出せないですね」
  「じゃあ阿部ちゃんは、何が欲しいの?」
  「私はパソコンですね」(笑)

 ・婚姻件数などとの関係は?
  ちなみに出生率に関係がありそうな他のデータも、検討はしたそうです

  例えば婚姻件数。
  これが増えると
  ・即席めん購入額減る
  ・スポーツの平均時間増え
  ・パック旅行増える
  ・ガンによる死亡減る
  ・心疾患減る
  ・自殺者減る
  ・新規就業者数増える
  ・製造業従業員数が増える
 ・・財政収入増える

  …といいことだらけだが、
  出生率は減っちゃうらしい。

  また、「でき婚数」「婚姻年齢」は、出生率と関係ないとAIは出しているそうです

 ・次の産業は農業?
  「次の世代に来るものはなにか、を読みとかないといけないかもしれない」という話のなかで
  マツコさんは突然
  「農業だと思う」

  有働アナ
  「…なぜ農業を?」
  マツコさん
  「だって日本はこれだけ先進国なのに、
   自給率が低い国って他にはないわけでしょう、
   (日本の食料自給率は39%、ほかの先進国と比べてかなり低い、というデータが。)
   農地を作ってそれを活用すれば食料問題も解決するし
   雇用も増えるんじゃないかしら」

  マツコさんは気づいてなかったみたいですが、
  実際AIも、出生率と農林漁業従業者数が連動している、と言っているんだそうです

  柴田氏は、例として秋田県の大潟村の話をしていました。
  ここは1950年代、国策で干拓され、大規模農業が始まり、
  若い世代が近代的な農業をしているそうです
  マツコさん
  「じゃあ後を継ぐ人がいるってことですか?」
  「若い人は一旦都会に出るんですけど、ちゃんと帰ってきて跡を継ぐ。
   しかもお嫁さんを連れて帰ってくる、
   だから新しい女性が増えているんです」

  マツコさんは干拓地など見に行ったことがあるそうですが
  「小規模でも、なり手がいないから使ってないいい農地がたくさんあるんですよね、
   それを活用すれば、雇用も増えて自給率が上がるんじゃないかな…
  とかお風呂に入りな がら考えてます」(笑)

 ここまでの話で、マツコさんは
 「なんか面白くなってきたわ」

 「人間だけだと、今までの知識や考えを話しているだけになるじゃない、それが行き着くとこまで行ってるのが現代の世の中だと思うのね。
  だけど新しい何者かが、中立的な立場で何かを出してくれることで
  建設的な議論ができるわよね」
 なるほど。

さて次の提言です
●ラブホテルが増えれば女性の活躍が増える
 AIによれば、ラブホが増えたら、
 女性の給料、パートタイム勤務増加、65歳以上の寿命が上がる…というデータがあるらしい

 マツコさんはズバリ
 「やっぱりセックスができるってことは女性にとって活力の源なんじゃないですか」
 と言ってましたが

 ここで、ラブホの研究者がいる、ということで電話していました。
 ご本人によればラブホ研究ではなく
 「江戸時代の貸間産業の研究」だそうです。
 マツコさんは
 「貸間産業って、粋な言い方ねぇ」
 と感心していました。

 この研究者にによれば、
 最近はラブホも女子会に使われたり
 女性が終電を逃したときの宿泊場所などとして使われたり、多様化しているのだそうです。
 マツコさんの意見にも
 「女性がそういうことも自由に選べるようになったのは、婚前交渉が禁じられてた時代に比べれば大きいと思う」
 と賛同していました

 しかしマツコさんは
 「でもバナナの購入数減ってるわよ、なんで?」(笑)

 バナナはよくわかりませんが(笑)
 ラブホが多いのはいいことばかりではなく
 ・40代の未婚比率が増加、
 ・デキ婚が増加、
 ・婚姻数が減少…なども。

 坂田氏の指摘によれば
 「ラブホテルが多いのは、自由な雰囲気を表しているのかもしれない」
  リチャード・フロリダさんという経済学者が、
  アメリカではフロリダ州など温暖な地域はクリエイティブな町で、ゲイも多い
  これはゲイが多いからクリエイティブなのではなく
  自由な雰囲気だからではないか、
  という論文を書いているそうです
  なので、ラブホが多いのは女性にとって自由な所、ということで活躍できるのでは、とのこと
 「ゲイが多くてラブホが多い、と言えば新宿?」
 「新宿ってクリエイティブ?」
 …とか言う会話をしていました(笑)

 坂田氏の分析では
 スポーツ時間が減少したり、住民税も減少などいい影響でもない、
 全体として考えるべき、とのこと

 マツコさんは最後まで
 「ちょっと、バナナは誰も説明してくれないの?」(笑)
 「阿部ちゃん!」
 阿部ディレクター
 「因果関係が分からないってことは、データが少ないってことですね」
 冷静に流してました(笑)

 さて次の提言
●女子中学生の肥満度が中年男性に影響を及ぼす
 これは分かりにくかったんですが、
 女子中学生の肥満度が上がると

 男性の
 ・30代の未婚率増加、
 ・40代の離婚率増加、
 ・65歳平均余命が減少
 ・大卒の初任給減少
 …など、関係無さそうなおじさんの人生を悪くするらしい

 ただし失業率が下がったり
 60代前半の離婚率が下がったり
 ボーナスが上がったり
 の正の影響もあるそうです

 …意味不明ですね。

 大越さんは
 「我々も議論したんですけど、
  直接の因果関係が分からないから
  間に補助線を引けばいいのでは。
  例えば女子中学生がスリムになれば日経平均が上がる、ていうデータもあるんです」

 坂田氏は
 「難しいときはデータ全体を見て、共通する要素を拾ってみるといい」
 例えば肥満になる原因は活動が減ること、
 ここからなにかが見えないか…

 ここで柴田氏は
 「例えば肥満は貧困を反映しているのかもしれない」
 最近では、貧困世帯の方が肥満が多い
 ということは、女子中学生の肥満は社会の貧困化を先取りしているのかも、とのこと
 「炭鉱のカナリア」と表現していました
 (炭鉱で酸素不足になると、真っ先に死ぬのがカナリアらしい)

 つまり、女子中学生の肥満が少ない、てことは、
 社会の活動が活発で、
 経済がいいことを示すのかもしれない、とのことです
 だから日経平均も上がる

 ちなみに、男子中学生の肥満はあんまり経済に関係ないらしい
 マツコさん
 「男は単に太ってるだけ?」(笑)

 これについては「日本は女性がリーダーシップをとっているのが大きいかも」
 とのことでした
 たしかに物が流行るのも女性から、
 視聴率も主婦や若いおねーちゃんが見ないと上がらない

 ただしここまで議論しながら、
 この項目についてはマツコさんは
 「これだけでは何とも…キャッチーではないわね」
 と切り捨てていました(笑)

さて最後の提言です。
●40代独り暮らしが日本を滅ぼす
 ここは長く時間をとって議論していたんですが、
 なぜNHKが40代シングルに力を入れているか?

 実は今回AIの分析で、今後の日本に大きな影響を与える要素を10個挙げているそうですが
 その第2位が40代独り暮らし、らしいです

 (第1位は核家族世帯数、だそうで
 今回は全く触れられていなかったですが、
 そのうち特集を組むのかな?私の勝手な推測ですが。

 ちなみに3位以下は
 病院数、女子中学生の肥満、平均婚姻年齢、車の保有数、でき婚率、平均寿命、老衰死亡数、婚姻件数、だそうです)

 AIによれば、
 40代独り暮らしは、
 社会の貧困化、少子化、地域の空洞化をもたらす…
 空き家数増加、出生率低下、生活保護、自殺者が増える…など
 社会への負のインパクトが大きいようです

 ○役所などの反応
  この結果を荒川区役所に持っていったそうです
  荒川区は再開発が進み、40代独り暮らしがこの10年で増加しているらしい

  しかし役所の人たちは
  「??」という反応。
  そもそも40代の独り暮らしの人たちがピンと来ないらしい
  「行政としては関わりが一番薄い」
  「子育てしていれば接点もあるけど…」
  「豊かなイメージ、必要がないから役所にも来ない」

  しかし40代独り暮らしが増えると、
  老人クラブの会員数が減る
  という結果を見て驚いていました。

  というのは、荒川区は認知症予防などのため、
  老人クラブ会員数増に力を入れてきたそうです

  老人クラブの人に
  「この中で40代のとき独り暮らしだった人います?」
  と聞くと
  「そんなモテない人いないよ」
  と笑っていました
  (マツコさんは
  「あたしたち、この人たちに笑われてるわよ」と自虐的なコメント(笑))

 ○なぜ40代シングルが日本を滅ぼすのかの議論
  さらに、救急車の出動も増えるんだそう 。
  「40代は働き盛りだから呼ばないわよね…」
  とマツコさんは首をひねってましたが

  スタジオに集まってもらった、
  40代の独り暮らしたちに意見を聞くと
  40代の男性は
  「離婚したあとは、ファミリーの住みそうな所は避けて住むようになった」
  シングルの人が住みそうな所に住みたくなるそうです

  坂田氏
  「シングルの人が集まる、大都市化が進むということですね」
  他の指数を見ると、
  救急車の出動回数など、社会的サポートが必要になる傾向。

  「他に意見は…」
  40代女性は
  「社会に迷惑をかけている気はないんですけど…」
  と発言し
  「あなたたちが悪い訳じゃないですから」
  と大越さんにフォローされてました(笑)

  しばらく議論するうち
  柴田氏は
  「子供世代が孤立しているときは、
   親の世代も孤立している」
  と指摘。
  そしてそこには共通の背景があると考える必要がある、とのこと。

  40代独り暮らしが増えると50代の独り暮らしも増える、
  公的支援が必要な人が増える…
  「40代の独り暮らしの人たちは、
   社会のネットワークが切れていると示す、社会のカナリアなのかも」
  と話していました

  つまり最初のデータだけ聞くと
  極端な話、40代が独り暮らしでいるのが悪い、みたいな話に聞こえるけど、
  実は40代独り暮らしは、社会の危険の被害を最初に浴びている人たちなのかもしれない
  キーワードは「孤立社会」

  大越さんは
  「この人たちは社会のツボみたいなもので、
   ここを押せば社会全体に効く、みたいな役割かも」と表現していました

 ではどんな対策をすべきか?

 ○40代の独り暮らしの分類
  40代の独り暮らし、と言っても独身貴族の人もいれば
  収入が無いから結婚に踏み切れない人もいる
  タイプがバラバラだと対策しようがない

  というわけで、AIに分類してもらったそうです
  東大、阪大など4つの研究機関の持つ、
  職業や年齢のデータや、アンケートによる行動パターンなどのデータを
  個人情報を消した状態で分析したそうです

  男性、女性ともに3タイプありました
  男性は
  ・仕事バリバリタイプ
   割合としては38%
  ・残業もいとわない
   食べるときあんまり噛まないという傾向もあるとか。

  ・結婚したくてもできないタイプ
   割合としては33%
   非正規で収入が少ない
   タバコをたくさんすう、列に割り込むなどの傾向もあるとか

  ・現実逃避タイプ
   割合としては18%
   非正規雇用、健康に不安があるなどの傾向があるらしい

  女性は
  ・充実キャリア、一人で楽しいタイプ
   割合は55%
   貯蓄もあり仕事が好き、スポーツなど楽しむが孤独感はある

  ・結婚はコリゴリタイプ
   割合は22%
   夫と死別や離婚歴あり、
   人は信用できないと考えている

  ・日々に不満タイプ
   割合は15%
   非正規で貯蓄なし、周りは豊かと思う
   ビール毎日3缶飲む、という傾向もあるとか

  ちなみにマツコさんは
  「あたしはこっち(男側)なのかしら…なら仕事バリバリタイプ」
  「もっと仕事バリバリタイプが多いのかと思ってた」
  坂田氏
  「女性の方が前向きですね」
  男性の方がシングルでない方がいいのになぁ、と思う人が多いのかもしれない

 ○幸せとは何か?
  有働アナは
  「あなたは充実キャリアタイプでしょ」と言われ
  「ええ、1年前より幸せと思ってるし、仕事は生き甲斐だし…」
  しかしマツコさんは
  「そう思い込んでるだけじゃないの?」

  「…そうですかねぇ」
  「そもそも幸せって何?
   幸せって無くせばいいと思う。
   幸せがこうだ、こうであるべき、てのがあると満たせないと思っちゃうでしょ」

  さらに有働アナ
  「ちなみにあなたどれくらい幸せなの?10段階なら?」と聞かれ
  「…6くらいですかねぇ」

  これには専門家の方々も
 「ええ?」
 「もっとあるのかと思ってた」
  有働アナ
  「だって朝4時起きですよ。なのに家に帰っても誰も慰めてのくれない…」
  マツコさん
  「だからそこよ。
   あなたはそれが不幸と思うけど、
   有働さんみたいにバリバリ働くのに憧れてる人もいるわけでしょう。
   そういう人から見たら、何4時起きくらいでビービー言ってんのよ?て感じでしょ」(笑)

  …幸せの形はさておき、
  NHKさんは、40代でシングルになる可能性を示す人生アミダくじも作ったそうです
  (ちなみにマツコさんは40%、有働アナは90%でした)
  ホームページで確認できるとか。

 ○肝心の解決策
  さて、次はAIの示す解決策ですが
  40代独り暮らしを減らすには
  「家賃を下げる」ことだそうです。
  特に男性、民間賃貸住宅の家賃を下げるといいらしい

  これに頷く方がいて
  都内に住む非正規雇用の男性は
  「家賃の負担がきつい」
  月収は12万、
  風呂トイレなど共同の所に住んでも、家賃で1/3以上は取られる
  貯蓄ができないから結婚なんて考えられない、とのこと

  また、荒川区では、南千住など再開発が盛んだが、
  建てられるのはシングル向けのマンションがほとんどなのだそう

  不動産屋さんの話によれば
  「大屋さんがシングル向けを建てたがる」
  そうなんですが
  それは儲けがより取れるからだそうです

  ファミリー向け2部屋より、
  同じ値段でシングル向け4部屋作る方が儲かるらしい。
  つまりシングル暮らしは割高になっているんですね。

  荒川区の防災町作り推進課に、
  40代独り暮らしの影響と、
  再開発でシングル向けマンションが多い話をすると
 「今まで気づきもしなかった。
  区でどれくらい種類を指導できるか…
  ただ現実的には難しい」
  と話していました

  スタジオの40代の方も
  「今非正規で収入も低い。
   お金が貯められると思えれば、将来に前向きになれるのに」
  と話していました

  マツコさんは
  「非正規、正規って幸福の別れ道よね」
  40代は、派遣が当たり前になるなど、
  非正規雇用の先頭の世代、とも指摘していました

  「でも、家賃下げればいいって言ってもいくら下げればいいの?」
  阿部ディレクター
  「実はそこも聞いてまして、
   1坪当たり1000円すれば38万人の独り暮らしが減る、
  と出ています」

  つまり10坪で1万円値下げする計算。

  坂田氏によれば
  「これはけっこうインパクトのある政策です」
  40代の独り暮らしは249万人、このうち38万人となると15%
  それだけ減るのは大きいのだそう

 マツコさん
  「簡単なんだけど、人間だとなかなかそういう発想が出てこないのかもしれないわね」
  しかし、世界を見れば、例えばフランスは少子化対策として補助金を出し、
  実際効果を挙げている、とも指摘。
  額よりも政府が補助を出す姿勢をとるか、という効果もあるのでは、とのこと

  一方柴田氏は
  「日本でも、1970年代、補助金は無かったけど、
   ニュータウンを建てるなど
   安い住宅を提供することはしていた、
   だから住宅を補助するのは実はそんなに新しいことでもない」

  大越さんは
  「さきほどフランスの話が出てましたけど、
   フランスは全世帯の21%が住宅補助を受けている」

  「日本の住宅支援は、今までは持ち家中心だった
   賃貸への補助が考えられていなかった、
   ここを押せば効果があるかも」
 と話していました

  また、
  「独り暮らしは結婚しなきゃいけないんですかね?
   シェアハウスとかでもいいのかしら」
  という質問に、柴田氏は
  「シェアハウスもですが、最近はコレクティブハウス、という形態も出ています」
   コレクティブハウスとは、ファミリー、老人なども含め色んな世代が集まり、
   小さなコミュニティみたいなものを1つの屋根の下で実現させているものだそうです
  日本では馴染みがないが、外国にはある
  「だからこういう場所なら、自分は結婚してなくても他の子の面倒をみたり、違う世代との交流もできる。
   実はそのコレクティブハウスが荒川区にできているんです」

  マツコさんも
  「このアイデアはすごく現実的ね」
  と話していました
  結婚しろと言われたら困るけど、
  他にも選択肢があるならそれはいい、と。
  「例えば今、団地って人が減っちゃって、空き部屋が増えて困ってる所が多いでしょう?
  そういうところをシェアハウスとかコレクティブハウスとかにすれば補助を出しますよ、て政策にすれば
  団地にとっては人口の流出も防げるし、
  40代の独り暮らしも解消できる
  でもこれってすぐできる政策よね」

  たしかになかなかいいアイデアですね。

 ○再び、幸せとは
  AIは、独り暮らし40代が幸せになれる方法を提示しているそうです
  それは「仕事を面白がるな」

  マツコさんは
  「あたしにとっちゃ余計なお世話よ」とは言っていましたが(笑)
  「仕事に依存しちゃいけない、てのは分かる」

  しかし「仕事がいきがい」と言っていた有働さんは戸惑っている顔。

  マツコさんは
  「分かる?さっき幸せって何?て話をしたけどそれと同じよ。
   あたしたちは、仕事がいきがいだと思い込んでる、
   仕事にすがっちゃってるのよ」
  「でも他になにかあるのかな…」
  「なにかがあるんだよ。
  「分からない」のは、それだけあたしたちは毒まみれになってるってことよ」(笑)

  大越さんは
  「AIはヒントを与えているだけで、先を考えるのは人間。
   AIが言ってるのは、たぶん仕事を面白がらなくてもいいよ、てことで、
   成長一点張りのモデルを疑ってみましょう、ということなんだと思います」

○まとめ
 最後に皆さんの感想を聞いていましたが
 坂田氏
 「AIひろしくん?が、色んな気付きを与えてくれたと思います、
  ただひろしくんのいうことをそのまま実現することにはならない、とは思います。
  ひろしと友達になって、語り合わないといけないと思う」

 柴田氏は
  「こうやって色んな話がみんなで議論できる、ということに希望を感じました」

 マツコさん
 「たぶん最初、みんなAIに恐怖を感じてたと思うの、
  でもいろいろ分かってくると
  誰も予測できないものに対して、
  ひろしがヒントを与えてくれた」

 「ひろしって名前がつくと可愛くなってくるわよね」
 とも話していました

 ひろしも生まれたばかりで、次回もあるそうです
 (ホームページによれば、2020年までに7回シリーズの予定だそうです)
また見てくださーい、と締め括っていました

○感想など
・マツコさん、専門家、AIひろしの化学反応がすごいなーと思いました。
 特に最後の、コレクティブハウス、シェアハウス促進、は政策として進めても面白いなと思いました。
 他の子供や老人も普段から見る生活をする人が増えたら、
子供や老人に優しい社会になりそうな気がする。

 けっこうシェアハウスって良いと思う。
 私も一人が好きな人なんですが、
 大学の時は寮の経験があり、意外と楽しんでました。
 自分スペースと共同スペースが共存していると、
 一人になりたいときはなれるし
 でも不安定なときは誰かと話せるし
 もっと広まってもいいと思う。

 あと、日本ってたしかに家賃確かに高すぎ。
 家建てるのもお金掛かりすぎ。
 スペインのマリナレダ村みたいに、住む場所だけでも政府が保証してくれないかなぁ。

・病院が減ると健康になる、てのもわりとインパクトありました。
 私はなるべく医者に行きたくない人間ですが、
 私に輪をかけて病院嫌いなのが義母さん。

 彼女は絶対無理をしない生活、を心がけていて、
 暑さがしんどそうと思えば冷房はどんどん使うし
 体がちょっとだるければ動かない
 生まれた頃から虚弱体質で、1週間生きられないと言われていたから無理はしない、と断言していました
 (といってもよく気がつく方なので、だらけているわけではない)

 日本人って無理するのが美徳、みたいな所があるけど
 それくらい自分の体を大事にしてもいいのかなと思います。

・次に来る産業が農業、てのも面白い視点だなと思いました。
 私も農業って生産法にデータを活用したり、
 売り方とか加工の仕方に工夫したり
 工夫の余地があるクリエイティブな産業だなという印象がありました。

 ただ新規参入が難しいという壁があるのかな。
 私の学生時代、新規就農したい人が
 「農家の女の子と結婚しないと就農できない」とか言ってました。
 田舎だと特に、新参者は嫌がられるんだそうです。

 まぁ今はそれから何年もたっているので
 少しは入りやすくなっているのかな…
 若い人がどんどん入れるようになったらいいなと思います

・40代独り暮らし、の話で、
 幸せについての議論は深いなと思いました。
 仕事が生き甲斐、というのは
裏返すと仕事しかない、ということ…
 その結果がどうなるかは、
 段階世代の元モーレツ社員が定年後に抱える問題、と同じなのかなと思います。

 だんなも最近
 「仕事は生活の手段で、あとは家族と子供と過ごす時間を充実させた方がいいのかな、と思う」
 と言っていて、私もそうだなと思います。

 もちろん生活のために長時間働かざるを得ない人もいるのかもしれないけど、
 それでも別の顔は「自分のために」持っている方がいいのかもしれない。

 でないと仕事でつまづいたときにポキンと折れてしまうと思う。
 (有働さんも仕事生き甲斐、といいながら早起きとか辛そうですし…)

 前読んだ本の中に、
 これからの時代は仕事だけでなく社会活動、地域活動など色んな顔を個人で持つことが大事、という話があったけど
 身近に気の合う人がいなければ
 別にネット上で活動するとかでもいい、
 ネットワークを複数持つといいのかもしれない。

たしかにAIひろし、名前がついて面白くなってきた。
次回もまた見たいと思います。
(ただ2時間半は長いので、
 次回からは1時間番組にしてほしい…)
というわけで今回はこの辺で。
posted by Amago at 11:30| Comment(3) | テレビ | 更新情報をチェックする

2017年07月22日

NHKBS世界のドキュメンタリー「(不)正直な私たち~“ウソ”を巡る“本当”の話」

NHKBS世界のドキュメンタリー「(不)正直な私たち~“ウソ”を巡る“本当”の話」

アメリカ2015年製作のドキュメンタリー。
去年の8月に放送されていたそうです。

何気なく見てたら、行動経済学者のダン・アリエリー氏のプレゼンテーションを軸とする番組でした。

ダン・アリエリー氏はよく
たしかオイコノミアでも何回か名前を見るなーという方ですが
(研究内容はあんま覚えてないけど(笑))
本人を拝見したのは初めてで、
へー、こんな人だったんだーとか思ってしまった(笑)

○ウソをつく度合いを左右する「ごまかし係数」
 ダン・アリエリー氏は
 デューク大学で行動経済学を研究されているそうです

 人間の行動は合理的だったりそうでないときがあるが
 その選択の違いにはどのような心の動きがあるのか、
 に興味があるそうです。

 ここ数年はウソや不正について研究されているとのこと。

 不正は企業でも政治でも、
 スポーツの世界でも
 (ドーピング、八百長など)
 どこでも見られるが、それはなぜか。

 アリエリー氏によれば
 我々は自分を
 「善良で正直で立派」と思いたい一方で
 「ずるをして得をしたい」とも思っていて、

 この2つの思いを両立させるために、心の働きを使っているそうです。

 これを「ごまかし係数」と言うそうで
 (fudge factor、なので、ごまかし因子、でも良さそうです)
 この係数の大小は色んな要素で決まっているそうです
 その要素とは
 ・みんなもやっている
 ・利益相反
 ・誰も傷つけない
 ・他人のためのウソ
 ・創造力が高い
 ・他人の監視がない
 ・社会規範
 ・疲れ
 ・犯罪からの距離
 ・自己欺瞞(勘違い、思い込み)
 …など
 (利益相反、の意味がわからなかったので調べましたが、
 辞書的な意味では、社会的な立場としての利益と、個人の利益が対立している状態、だそうです
 具体的には、研究者の研究結果と、金銭関係のあるスポンサー企業(製薬会社など)の意向が違う場合とか、
 あと最近では、トランプさんが大統領任期中のビジネスが利益相反では、と言われていました)

○NBAの審判の不正
 番組では、このあと何人か不正を働いた人にインタビューをしていますが
 最初に出てきたのは元NBA審判の方

 彼は父親がバスケの研究者、
 自分もスポーツ好きということで、
 自然とNBAの審判になったそうです。

 最初は忠実に審判していたが
 先輩から
 「出世のためには必要な不正がある」
 と言われた、とのこと

 彼は次第に同僚の不正の存在に気づき、
 自身も関わるようになっていった

 優秀な選手は優遇され、違反が見逃される
 有力チームの監督からは圧力がある

 コミッショナーとはあからさまな相談はしたことはないが、
 ミーティングなどでメッセージを感じたそうです。
 彼は試合展開のプランニングもし、
 対戦カードを見るだけで勝敗が分かるようになっていた

 「審判は上の意向にしたがっているだけなので、罪の意識はない
  ボーナスをもらうためなら仕方ない」

 ある日友人に勝ちそうなチームを聞かれ、
 彼が答えられることに友人は驚いていたそうです。

 そのうち友人の名前で、スポーツ賭博をするようになる
 彼は儲けてはいたものの、罪の意識を覚え、止めたいと思ってはいた

 しかし友人は無断で情報をマフィアに流していて、
 マフィアの会話を傍受していたFBIにその内容が伝わった

 彼らは逮捕され、禁固1年3ヶ月の刑を受けたそうです

 (注目すべきは「上の意向に従うだけなので罪の意識はない」
 という発言で、「みんなやっている」「他人の監視がない」「誰も傷つけない」という意識が彼を不正に走らせたのかなと思います)

○小さなウソが積もりつもって大きな社会的損失となる
 アリエリー氏は2002年、
 「人はどれくらい嘘つきになれるか?」を調べるため、計算実験をしたそうです

 やり方は、
 ・被験者に計算を20問解いてもらう
 ・問題自体は簡単で、足して10になる2つの数を見つけるもの
 ・これを5分で解いてもらい、鉛筆をおいたあと、正解数を数えてもらう
 ・そして、前でプリントをシュレッダーにかけてもらう
 ・そのあと自己申告で正解した数を報告してもらい、正解数だけコインをあげる

 つまり不正をしようと思えば、いくらでもできる環境を作った

 しかしこの実験には仕掛けがあり
 ・シュレッダーは実は端っこだけで、真ん中は残っている
 ・このため実際の正答数と、報告した正答数を比較できる

 結果は、
 実際の正答数は平均4、申告した正答数は平均6
 4万人の被験者のうち、7割以上がウソをついていたそうです

 ウソの内訳を見ると
 あからさまな不正申告した人は20人
 全問正解と言い張り、400ドルをだましとった

 一方小さなごまかしをしたのは3万人
 彼らは合計5万ドルをだましとったそうです
 (お金のかかる実験ですね…)

 アリエリー氏によれば
 「これは現実の世界を反映していると思う」
 つまり、とんでもないぺてん師はいるが、
 いるとしても数は少ないから影響はあまりない

 しかし小さなごまかしをする人は結構数いて、
 その人たちの不正がつもり積もって大きな社会的損失となる、とのこと

 アメリカでは
 ・年間15%の脱税者がいる
 ・保険金の不正請求は年間400億ドル
 ・医療保険の不正請求は年間2000億ドル
 …などの不正による社会的損失があるそうです

○ウソは社会的なものでもある
 ハーバードビジネススクールの研究者アリエリー氏と共同で、
 他人の不正が行動に与える影響を調べるため、以下の実験を行ったそうです

 やり方は、先程の計算実験に、
 あからさまな不正をするサクラを加える

 この人は開始30秒後に
 「全部とけたんですけど…」
 と言う
 普通は1問目を解いたかくらいの時間なので、
 明らかに不正だとわかる
 しかし実験者は問いただすこともなく、
 結構な額をみんなの前でその人に渡す

 この人を混ぜて実験した結果、
 不正をする人が増えたのだそう

 アリエリー氏はこの理由として
 ・ズルをしても咎められないから、
  (自分が罰を受けないから)
 ・ズルをしても社会的には不都合がないから
  (他人に迷惑をかけないから)
 を挙げていました

 この実験の変形として
 カーネギーメロン大学で同じ実験をして、
 不正をする人にピッツバーグ大学のトレーナーを着てもらった

 すると、同じ大学でない人が不正をした場合は
 ズルは減ったのだそうです。

 つまり、ウソを平気でつけるかは、お咎めを受ける受けないよりも
 自分の所属する社会でその行動が受け入れられるか、
 に大きく影響されるのではないか、とのべていました

○寂しさで夫に隠れて浮気した女性
 この女性は夫に浮気というウソをついていました。

 彼女は結婚後間もなくたくさんの子供ができ、
 (6人の子供で、夫との間の子供は2人、というから4人は連れ子かもしれない)
 子育てに追われていたそうです
 一方夫は仕事が忙しく
 会話は仕事か子供のことだけ

 彼女はちゃんと夫婦がしたくて、夫に泣きながら訴えたそうです
 しかし彼は「そうか」と言うだけ
 彼女は打ちのめされた気分になった

 そんなときインターネットで既婚者向けの出会い系サイトを見つけた
 (「地域の既婚者を探してチャットしよう」
 とかかれていました)

 彼女によれば、
 みんな既婚者なので後ろめたさもなく、
 ネットなので姿も見えない安心感があったそうです。
 同じ地域でたくさんの人が登録していたのだそう

 そのなかである男性と親しい仲になり
 数か月後には直接出会うようになっていた
 素敵なレストランにドレスアップして連れていってもらったり、
 夢のような時間が過ごせたそうです

 しかしある日帰宅して
 夫に「あなた出張ないの」と聞くと
 「俺の留守中に彼と電話できるからか?」
 と返してきた
 彼女は動揺し、どうやって夫がそのことを知ったのか尋ねたそうです

 原因は、彼女がメールを開きっぱなしにしてたんだそうですが…

 彼女は夫に
 「誰でもいいから振り向いて欲しかった、
  バカみたいだけど助けが欲しかった
  あなたとは別れない」
 といい、その日のうちにアカウントを削除した
 今では夫婦で離婚セラピーを受けているそうです

 彼女は「私は浮気性ではないが、ウソをついた」と話していました

 (ここでのポイントは
 「既婚者だから後ろめたさがなかった」
 「寂しかった」
 ということですかね。
 「みんなやっている」「子育てのストレス」が彼女を不正に走らせたんでしょうか…)

○ウソは脳や心の発達に重要
 道徳教育に力を入れる学校の子供でも、
 ウソについてたずねると
 「上手なウソはいい」
 「人を喜ばせるようなウソ、例えばサプライズパーティーはいいウソ」
 と答えている

 また、デューク大の脳科学者によると
 ウソは脳の発達に必要な能力、とのことです

 生物学的にも、ウソは生き残るための能力で、
 鳥や魚が色を変化させるカムフラージュもウソの一種
 進化論的には、脳が大きいほどウソをつくようになり、
 チンパンジーも餌を独り占めするために仲間をだますそうです

 また人間でも、
 小さい子は罪のないウソをつくが、
 これは楽しみでもあり、脳を育てることにもつながるのだそう
 ウソをつくことで、他人の気持ちを想像するし、他人を思いやる気持ちも育つ
 つまりウソは他人への共感力を育てるそうです

○作家の道徳的なウソ
 ある作家の心温まるウソの話が紹介されていました

 この作家は飛行機に乗っているとき、
 エアポケットに遭遇したそうです

 近くにいたイタリア人の婦人はパニックになり
 振り返ると客を落ち着かせるべき客室乗務員も泣いていたそうです
 それだけ揺れがあったということかな?

 そこで彼は婦人の隣に座って
 「僕は泣いてないでしょう?
  なぜなら僕は航空エンジニアなんです。
  この飛行機は世界一安全ですよ」
 とウソをついたそうです

 婦人は感激し
 「神があなたを使わしたに違いない、
  私が地球上の人の中で、エンジニアと隣になるなんて奇跡」と話していたそうです

 作家は
 「これは道徳的なウソだと思います。
  だってそのあと墜落して死んだとしても
  ヒステリックなまま死ぬよりは
  安心しながら死ぬ方がいいでしょ?」
 と言っていました。

 「ウソはナイフのようなもの。
  人を刺したらよくないが、
  バターをパンに塗るためならいい」

 アリエリー氏によれば
 ウソ発見器は、誰かのためにウソをつくときは反応しないそうです

 ウソ発見器はウソをついたときの感情の波を検知する機械ですが、
 誰かのため、と思えば葛藤が起きず、感情が波立たないためだそう

○子供のために住所をごまかした女性
 この女性は、子供の学校への申請書類にウソの住所を書いて有罪になった方。

 彼女には二人の娘がいたが、
 今の学区の学校はレベルが低いので
 実父が住む、5キロ離れた学区の学校に通わせたいと思ったそうです

 彼女はウソを書くのはためらいがあったようですが、
 新しい学校は勉強に集中させてくれるいい学校だったそうです

 しかしある日父の家に、
学校から彼女の実在を疑う電話がかかってきた

 彼女は否定したが、そのあと財務担当者と教育長から
 「あなたがこの学区に居住していない明らかな証拠がある」
 という書類が送られてきた

 女性は免許や有権者登録も父の家の住所に変え、
 「娘たちはここに住んでいる」
 といい続けたが、このために事態は悪化

 理事会はカンカンに怒り、
 子供を転校させろと言われたので彼女は逆ギレ?して、子供を退学させたそうです

 しかし彼女は2年後に学校に訴えられ
 刑事責任を追われて有罪判決を受け、懲役と社会奉仕を命じられたそうです

 子供には正直に話したそうです
 「善かれと思ってごまかしても
  人生にとてつもない影響を与えることもある、と伝えたかった」

 (子供のため、と思いすぎたのかもしれない。
 途中から正直に告白して、
 この学校は素晴らしいからいさせてくれ、とか言えば良かったのかもしれないけど…)

○人は楽観的になりすぎる
 ごまかし係数の要素の中に「自己欺瞞」がありましたが
 アリエリー氏はこれについて
 「人は自分について楽観的になりがちで
  運転がうまいとか、大病にかかりにくいとか思い込む傾向にある」と話していました
 そして楽観的になるうちに本当にそうだと信じてしまう。
 これが自己欺瞞なんだそうです。

 ほかの研究者も
 「8割の人は自分のことを楽観的に考える、
  人は自己評価を高くしているうちに自己欺瞞に陥るのだろう」
 と話していました

○経歴詐称をしていた女性
 28年間MITの入試事務局長として働いていた女性は、
 替え玉受験などについて
 「最近は高望みしすぎて不正を働く人が多い」と批判していました

 しかし彼女自身が経歴詐称をしていたらしい。
 MITあての履歴書を書くとき、
 聴講生としていた大学の名前を
 卒業したものとして書いたそうです
 「通っているのは同じなんだから、と思った
  卒業したミッション系の大学ではMITは相手にしてくれないと思った」のだそう

 彼女は実力があったのか、
 瞬く間に昇進し、本を書くことも勧められ、執筆もしたそうです
 メディアにも取り上げられるようになった
 プロフィールはメディアが勝手に探してきたそうで
 博士とか修士と呼ばれていたが、私は私、と気にしていなかったそうです

 しかしそのうち経歴詐称を暴く人が出てきて
 彼女は28年勤めたMITを離職
 「私は私で変わらないのに、同僚にも会えなくなった
  世の中から突然拒絶された」
 彼女は混乱し、ドン底だったそうです

 (私の印象ですが、彼女はあんまり自分が悪いことをした意識が無さそうでした。

 「私もウソをついたが
みんな同じだと気付きました」
 「いい人と悪い人がいると思っていたけど、
  人間はみんな同じだと思った」 と話していました。

 まぁたしかに学歴より能力の方が大事という考え方もあるし、
 聴講生でもしっかり勉強したんだから、という自負もあるのかもしれない…)

○現金離れが不正を増やす
 アリエリー氏によれば
 現金からの距離が遠いと、不正を働きやすいそうです。

 先程の計算実験で、
 報酬としてコインの代わりに 同じ数のプラスチックコインを渡し、
 あとで換金するようにしたところ、
 ごまかしは2倍になった

 現代は現金ばなれが進んでいる。
 ビットコイン、ストックオプション、電子マネー …

 しかし現金離れになっても、
 人は取引相手や自分を善良な人間と思うのだそうです。

 インサイダー取引などの金融関係の不正は、こうして起こるのかもしれない
 (アリエリー氏によれば、
 政治のスタッフより、金融関係の人の方が不正は2倍増えるらしい)

○インサイダー取引
 次は実際にインサイダー取引に関わった人に話を聞いています。
 A氏はプロのトレーダーで、
 トレーディングが大好きで、お金稼ぎよりいいトレーディングが大事と考えていた
 彼はニューヨークで最初にB氏と知り合った

 (B氏は取材に応じてくれず、写真だけでした)

 C氏は有能な弁護士で、B氏とは2年の付き合いだった
 有数の弁護士事務所で働き、有名企業とも取引していたそうです
 ある日B氏に
 「君の持つ情報がほしい人はたくさんいるだろうね」
 とやんわり悪の誘いを受けたそうですが、
 違法でリスキーなことはしない、と断ったそうです

 しかしB氏は
 「僕は優秀なトレーダーを知っている、
 彼なら君の情報を有効活用してくれる」とA氏を紹介する

 C氏は悪いことと思ったが、B氏は
 「悪いことだがよくあること、誰も傷つけない」といったらしい
 A氏も
 「インサイダー取引はみんなやってる」と話していました

 弁護士のC氏がB氏に情報を流し、A氏がそれをもとに株の売買をする
 これを17年続けたそうです
 不正にせしめたお金はしめて1億900万ドル

 しかし、ある日B氏からC氏の元に
 「家宅捜査が入った」と電話。
 C氏は盗聴されているかなと思ったが、まさかと楽観していたそうです

 しかし実際はFBIに盗聴されていて
 C「うちの事務所は何も追及されていないよ」
 B「証拠が押さえられているかで状況が違う」
 C「電話の記録さえなければ問題はないだろう?」
 という会話が残っている

 そしてその次の日に弁護士事務所に捜査が入ったそうです
 また、A氏の家にもFBIが怒鳴りこんできたらしい

 結局3人は実刑判決を受け、
 A氏は9年、C氏は12年、B氏は司法取引により2年3ヶ月の懲役だったそうです

 (これも「みんなやってる」「誰も傷つけない」「自分はつかまらないだろう(自己欺瞞)」がポイントですね)

 インサイダー取引も利益相反に関係する不正ですが、
 アリエリー氏によれば
 利益相反が不正の最たるもの、としています

 人はシステムの中の人間になり、
 そのシステムに不正がはびこっていると知ったら、
 個人のモラルを捨ててしまいがちなのだそうです。

 「だからこそ、我々はより良い行動を選択するために、
  どうしたらいいかを知らなければならない」

そのヒントがいくつか示されていました。
○タミルドゥ州の「正直ショップ」
 インドのタミルドゥ州には、
 「正直ショップ」があるそうです

 これは学校の中にある無人ショップで
 文房具を置いておき、買いたい子は箱の中にお金を払う
 監視もないので生徒の善意に頼るしかないシステム

 この学校の元校長は
 「私たちは勉強の成績よりも、
  豊かな人間性を育むことを重視しています。
  人間性は成人すれば花開くからです」

 生徒によれば
 最初は正直ショップも不正が多かったが
 その都度校長先生が粘り強く
 「不正を働くと失業者がでて、自分の将来を傷つけることになる」
 と諭してくれたそうです

 今では不正を働く人はおらず、
 ある子供は
 「このショップは私たちに、
  正直でいるべきことを教えてくれる
  校長先生から私たち生徒への信頼の証であり、
  生徒同士の信頼の証でもある」
 「不正をしようと思えばできるけど僕はしない、
  ズルをするより、正直に生きる方が成功できると分かっているから」
 と話していました

 自分が悪いことをしたら困る人がいること、
 自分にとってもそれは良くないと思えれば不正はしなくなる

 また、自分は信頼されている、と思うと悪いことができなくなる(レッテル効果ですかね)
 というのもあるのかなと思います

次はアリエリー氏の実験です
○道徳心を思い出させる実験
 トロント大学の研究者は
 「我々は不正を防ぐ方法を模索している」と話していました

 彼女はアリエリー氏と共同で、
 UCLAで先ほどの簡単な計算実験をしたそうです
 ただし計算テストをする前に、被験者に旧約聖書の十戒を書いてもらう
 十戒はあっていてもいなくても構わない
 (実際全部正しく書けた人はゼロ、オリジナル十戒もあったらしい)

 するとなんと、不正を働いた人はゼロだったそうです

 これはよりたくさん書けたら不正が減るかと言えばそうでもなく、一様に不正しない
 信仰する宗教にも関係なかったそうです

 アリエリー氏らは
 「例え無神論者でも、聖書を前にすると、なんらかのモラルを思い出すのだろう」
 と分析していました

 さらにこの実験には続きがあり
 MITで、今度は宗教とは関係ない倫理規定で同じ実験をした
 「MITの倫理規定のもと試験を行います」
 という書類にサインさせてから計算実験をしたところ、
 やはり不正はゼロだったそうです
 ちなみに本当はMITに倫理規定はないそうですが…

 一方プリンストン大学では大学で厳しい倫理規定があり
 入学後一週間で叩き込まれるのだそうです

 この両方の大学で
 規定に従う、という書類にサインしてもらう人、してもらわない人に分けて、
 同じテストを受けてもらった

 するとどちらの大学でも、
 サインしたグループは不正せず
 しなかったグループは同じ割合で不正を働く人がいたそうです

 アリエリー氏はこれを分析して
 「1つは残念なことで、プリンストンの特訓は意味がない。
  もう1つはいいことで、道徳的な特訓をしなくても、
  個人の中にあるモラルを思い出すことで行動が変わる」

 個人のモラルに訴えるのが大事なんですね。

他にも方法はあるようです
○ 社会を変えれば個人の行動が変わる
 ハーバードビジネススクールの研究者は
 「些細なことで人は変わりうる、と考えるのが行動経済学」
と話していました
  だから行動経済学では、
  個人の行動を変えるには、社会や文化を変える、と考える。
  小さな変化が大きな行動を起こすこともある、とのことです

 イギリスでは、この行動経済学を政策に生かすためのコンサルタントチームがある
 キャメロン首相(当時)の指揮のもと作られた「行動経済学チーム」で
 国民の意思決定、行動パターンを行動経済学で分析し
 政策決定に反映させるための助言をしているそうです。

 例えば税金は国民の正直さに頼るシステムだが、
 滞納者に
 「10人のうち9人は期限内に納めています」
 という一文をつけると
 期限内に納税する人が30%から35%に上がったそうです

 大した効果ではないという人もいるかもしれないが
 一文を入れただけで税収が増えるなら大したものだ、と話していました
 このような小さな種をたくさんまけば、
 つもり積もって大きな効果になるだろう、とのこと

 このコンサルタントチームのリーダーは
 「一人の行動は周りに感染する。これは実験室レベルでも現実社会でも証明されている。
  また、不正の広がり具合は、社会に対する信用度に大きく影響を受ける」
 と話していました

 例えば北欧の6割は周りの人を信頼している、と答えるが
 アフリカや南米ではこれが1割になる

 社会の信頼度の高さは国の経済を成長させる、という結果があり、
 その効果は政治家の手腕よりも大きいそうです

 「行動を政策に組み込むのは難しいが、
  理想的な行動モデルを組み込めれば、
  社会に変化をもたらすことができる」
 と話していました

○不正は万国共通、人間の本質
 アリエリー氏はイスラエル生まれの方なんだそうですが、
 最初は自分の国で実験し、
 イスラエルは不正が多いと感じたそうです

 しかしそのあとトルコ、中国らコロンビア、南アフリカ、ポルトガル、ドイツなどに行ったが
 意外にも統計的には国による違いはなかったそうです

 ズルさは国によって違う、と旅行しながら感じたのに、
 傾向は万国共通だったらしい

 彼は
 「我々の実験は普遍的であるがゆえに、
  「不正をしても誇りを持つ」
  という人間の本質を明らかにしている」
 と述べています
 ズルさは世界共通の人間の本質、なんだそうです

 心の弱さを知れば、我々は大きな教訓を得られる。
 簡単ではないが、我々は正直で倫理的な世界を作っていく力がある、
 とアリエリー氏はしめくくっていました。

○感想など
・アリエリー氏の実験が、国により結果は変わらない、というのが意外でした。

 と思っていたら、
国の正直度を調べる実験が紹介されていました。

 http://indeep.jp/test-how-honest-country-people-of-japan/

 このブログはイギリスの新聞記事を紹介しているのですが、
 イギリスのイースト・アングレア大学が、
 15か国100人ずつ、計1500人を対象に
 2つの実験をしたというもの。

 1つはコイントス実験で、
 ・コインを投げて表なら5ドルだったかの報酬がもらえる
 ・結果は自己申告してもらう
 ・コイントスの確率は半々なので、
  確率が5割より大きく離れていたら不正直と判断される

 もう1つは音楽テストで
 6つの音楽に関する問題に答えてもらう
 ・テストの前に「答をネットなどで調べない」という文章を読ませ、誓約ボタンを押してもらう
 ・6つのうち3つは調べないと分からないくらいの難問で
  ここを正解していたら不正直と判断される

 国により正直度に違いがあるのか、
 あとその国の経済発展と国の正直度に関係があるのか、
を調べたかったようです。

 国によりランキングが出ていて、
 両方とも上位にあるのはイギリス、スイス、デンマーク
 両方とも下位にあるのは中国、インド、ブラジルでした。

 日本はというと、コイントスではビリから2位、
 音楽テストでは1位という極端な結果。

 研究者の分析では、
 日本のような結果はアジアの国に同じ傾向があり、
 これは文化的なものや、ギャンブルに対する態度なども影響しているのでは、とのことです

 一方この記事を紹介したブログの方は日本人の極端な結果について
 日本人は正直かどうかという問題ではなく
 明文化してある規律は守らなきゃいけない、という意識が強いのでは、
 と指摘されていました。

 他に、研究者によれば
 被験者には予測もしてもらっていたそうで、
 「実際よりも自国民は不正直、と予想する人が多かった」
 つまり自国の正直度については悲観的な人が多いらしい。
 これはメディアのニュースなどによる影響があるのでは、とのこと。

 また、
 「正直な国は豊かで、貧しい国はどちらかというと不正直ということが分かった」
 つまり正直さは経済成長にある程度影響がある、ということらしいです。

 日本人の結果は面白いなと思いました。

 私はアリエリーさんの実験を見たときは
 正直そうな日本人がこの実験で不正をするのは他人にバレないからなのかな、と思っていました
 (中国人は他人の目を気にしないと本に書いてあったが、
 日本人はけっこう気にするように思うので)

 しかしこの実験を見ていると、
 日本人は集団主義社会、お上意識が強いので、
 決まりとかルールには弱いのかなぁ~と思ったりしました。

 また、2つのテストいずれもトップクラスのイギリスについては
 以前何かの記事で
 「イギリスは損得勘定にうるさい」
 と書いてあるのを見たことがあります

 イギリスは政策を国民に説明するとき
 「この政策をすれば国民一人当たり何ドルの負担、何ドルの得」
 とか細かく数字で示さないと納得しないらしい。
 なのでEU離脱交渉の支払金で揉めているのも、
 EUの請求する額の根拠がはっきりしないから国民が苛立ってるんじゃないか、とのことでした。
 なので、損得には公正な国民性なのかなと思ったりしました。
 イギリスで計算実験してもやっぱり一緒なのかな?

 まぁでも、あくまでランキングですので差がいかほどあるのかは分からないし
 各国100人ずつ、なので比較的データが少ないかなぁとは思います。

 ですのでアリエリーさんの結果が本当なら、
 人類全体からみたら国別の差は微々たるものかもしれないですね…

・アリエリーさんの言いたいのは
 「不正を働く心は、民族、人種、宗教などには関係ない」ってことだろうと思います。

 ここからは色んなことが言えると思います。

 「だから私も悪いことをしてもしょうがない」
 と開き直ることもできるけど、

 逆に言えば、
 誰かが過ちをしたときは、
 それは自分にも起こりうる、と考えて気を付けねばならないし、

 その人がもうやらないようにしたい、と思ったら、寛容にならねばならない、とも思う。

 また、
 「○○教だから悪いやつ」とか
 「○○民族だからマナーが悪い」
 とか、差別や決めつけをしてはいけない、ともいえる。

 また、経済学的には
 「不正をするのは人が悪いのではなくそうさせるシステムも良くない、
  ならばどんなシステムにすべきか」
 という発想をしていかねばならないのかなと思います。

 事実は事実、それをどう生かすかが知性なのかなと思う。

・不正を起こさないためのヒントがいくつかありましたけど
 インドの例では
 ・ほかの人が困るよ、とその人の道徳心に訴える
 ・あなたを信用していますよ、と伝える
 アリエリーさんの実験では
 ・個人のモラルを思い起こさせる
 イギリスの例では
 ・善良な行いを自分で選んでしまうようなシステムを作る

 ということがあるのかなと思います。

 なんかこれ、アンドリューカーネギーの「人を動かす」
に似たようなことが書いてあったな~と思ったんですが

 「人を動かす原則」の中の
 ・相手の良心に訴える
 ・期待をかける
 ・喜んで協力させる
 などがこれに当たると思いました。

 ほかは、相手の立場になる、とか相手をまず誉めろ、とかあるんですが、

 ・相手を非難しない
 ・相手に案を思い付かせる
 ・負けん気を起こさせる
 ・命令しない
 ・相手に肩書き、権威を与える
 ・言い方を変える

 …などが政策とかに使えそうかなと思いました
 (行動科学的に研究されているかは分かりませんが)
 政治家にしろ科学者にしろ、
 国民への提案のしかたひとつで協力する気が起きるか起きないかが決まるのかもしれない。


色々勉強になりました。
というわけで今回はこの辺で。

posted by Amago at 20:06| Comment(0) | テレビ(科学) | 更新情報をチェックする