2017年07月16日

NHKBSプレミアム コズミック フロント☆NEXT「宇宙は偶然か必然か?最新宇宙論が描く新しい姿」

NHKBSプレミアム コズミック フロント☆NEXT「宇宙は偶然か必然か?最新宇宙論が描く新しい姿」

この番組はたまに見てるんですが
今回は宇宙論で面白かったです。

最近ではユニバース、ではなくマルチバース、
つまり宇宙は唯一ではなく無数にあるという説が唱えられている
という話でした。

宇宙論でお名前をよく見かける方々がたくさん出ていたように思います。

○マルチバースが考え出された経緯
 最初の舞台は、つくばにある高エネルギー加速研究機構

 ここでは宇宙マイクロ波背景放射、
 という、最古の宇宙で放射されたと言われる波を測定している

 この波はヨーロッパのESAが打ち上げた望遠鏡でも観測されているが、
 この研究所では更に詳しいデータをとらえようとしている
 羽澄さんという研究員の方は、
 「放射のパターンは予言されており、
 出てたらインフレーションの証拠になる」
 とのことです。

 現在の宇宙論では、
 138億年前にインフレーションが起きた、とされている
 インフレーションとは、宇宙がビッグバンにより誕生した直後、
 急激に膨張したとされる現象

 マルチバースの考え方は
 このインフレーション理論から出てきた、ということで
 インフレーション理論提唱者の一人である
 佐藤勝彦さんが出演されていました。

 ・インフレーション理論から導きだされるマルチバース
  佐藤さんのインフレーション理論は1981年に発表されたそうです

  インフレーション理論は、量子力学の法則から考えられた

  量子論を宇宙の始まりに適用すると
  真空エネルギーが宇宙を始めた、という話になるそうです

  真空、というと何もない状態に思えるが
  量子論の考え方では、
  ミクロの世界では反粒子と粒子が生まれ、ぶつかっては消えを繰り返しており、
  この反応がエネルギーを生んでいる

  佐藤さんは、このエネルギーがビッグバンを起こしたと考えたそうです
  その結果生まれた空間は倍々でどんどん大きくなっていく
  この急激な膨張がインフレーションなのだそう

  どれくらい急かというと、
  佐藤さんの大きさの空間が7回倍々になるとスカイツリーくらいの高さになり
  24回で地球より大きく、
  100回で宇宙より大きくなるそうです

  そしてこの真空エネルギーによるビッグバンは
  確率論的に考えればどの場所でも起こりうる
  となれば、宇宙はいろんな所でポコポコ生まれている、
  ということになるそうです

  彼によれば、
  ビッグバンの起きた先に別の宇宙が産まれ、
  元の宇宙とへその緒のような繋がりが出来るが、
  やがてこのへその緒は切れて
  全く違う宇宙となる
  言わば宇宙が子宇宙を産んでいるような感じで
  子宇宙は孫宇宙を産み
  無数の宇宙、つまりマルチバースとなるのだそうだ

  しかし佐藤さん自身は
  計算でその結果が出たときはにわかには信じられず、
  何かの間違いではないかと思ったそうです

  しかし議論を重ねていくうちに、自分の考えが、正しいと思ったのだそうです

  冒頭のつくばの研究所では  インフレーションの証拠を探すために
  チリのポーラーベアー望遠鏡を準備中で
  2018年に観測を始める予定だそうです。

  宇宙の始まりだけではなく、
  宇宙の物理法則についても分かるのではないか、とのことです

 ・超弦理論から導き出されるマルチバース
  一方超弦理論からも、マルチバースは導きだされるのだそう
  超弦理論の礎を作った
  スタンフォード大学のレオナルド・サスキンドさんが出演されていました。

  超弦理論では、素粒子が弦のようなものでできていて、振動していると考える
  これで全ての物理現象を説明できるのだそう

  「この理論は、素粒子の本質を説明するとされてきたが
   重力の理解にも適用できると分かり
   今は重力と素粒子の両方を説明する理論となり
  マルチバースに発展した」

  超弦理論では、ミクロの世界では別の世界、別の次元が隠れていると考えるそうです

  綱渡りに例えると
  遠くから見ると、綱渡りの綱は一次元の線に見える
  しかし綱に近づいてみると
綱の凸凹が見える
  この凸凹に沿って進むてんとう虫にとっては三次元の世界になる

  超弦理論でも、
  ミクロの世界では別の次元が隠れていると考える
  今の我々の世界は時間と空間を合わせた4次元の世界だが、
  実は6つの次元が隠れていて10次元なのだそうです

  さらに、次元が次元を巻き込んで、
  別の世界を作っている。
  巻き込みかたにより
  宇宙の数が増えるのだそうです

  どれくらいの数かを計算したところ
  10の500乗、という無限に近い数になったのだそうだ
  「超弦理論では、マルチバースは当たり前なのです」

 次は、マルチバースが
○加速膨張宇宙の矛盾を解決するマルチバース
 登場したのは、テキサス大学オースティン校のスティーブン・ワインバークさん

 彼は素粒子物理学の研究者で
 1979年にノーベル物理学学賞を受賞されています

 受賞対象の研究では真空エネルギーが関わっていて
 彼はそれを宇宙論に適用しようとしたのですが
 「それから長期間、この真空のエネルギーに悩まされることになった」

 真空エネルギーとは
 先ほど佐藤さんの話で、
 インフレーションを起こしたエネルギー、として登場しました。

 しかしこのエネルギーでは
 今の私たちの宇宙の状態は説明できないそうです

 重力理論である一般相対性理論の式は、
 右辺がエネルギー、
 左辺が重力などによる時空の歪みを示しているそうです。

 左辺は2つの記号の足し算になっていて、
 その1つΛ(ラムダ)は宇宙定数と呼ばれ
 収縮や膨張に関わる、とされている

 ワインバークさんは、このΛを真空のエネルギー、と考えて計算したそうです

 Λが大きいと、重力とは反対の斥力が働き、宇宙は広がる
 Λが小さいと、銀河などの引力の方が強くて収縮してしまうこともある

 しかし、彼はΛを素粒子物理学の理論で計算すると
 (ミクロの世界で素粒子が産まれるときのエネルギーを全て足すのだそうです)
 Λはとてつもなく大きな数になり
 宇宙は発散してしまうことになったそうです

 さらに当時は、Λはゼロと考えられていたそうです。
 アインシュタインも
 「宇宙定数は人生最大の失敗」
 と言ったように、宇宙定数を捨ててしまっていた

 しかしワインバークさんは
 Λはゼロではないのでは、
 と直感的に思ったそうです
 この宇宙が成り立つためのΛがあるはず、
 と思ったそうです

 しかし先ほど言ったように、素粒子の計算では出てこない

 しばらく彼は格闘していたが
 1987年になって、
 逆に我々の宇宙を成り立たせるためのΛはどのくらいか、を計算してみたそうです
 すると10のマイナス120乗、という非常に小さい値になったらしい

 しかし値は分かっても由来が分からない。
 彼は理論に基づかない求め方は禁じ手だとは思ったそうです

 そんなときに出会ったのがマルチバース
 マルチバースなら説明できると考えたそうです
 つまり、無数の宇宙があればいろんなΛを持つ宇宙があり得る
 その中の我々の宇宙のΛが、たまたま10のマイナス120乗だったのでは、と。

 「ほとんどの宇宙ではΛはとてつもなく大きく、
  そういう宇宙では急激に膨張し、
  銀河も惑星も生命も存在しないだろう

  しかしごくまれにΛが小さいときがあり
  そういう宇宙ではゆっくり膨張して、
  星や生命が生まれることもできる」

 しかしこの理論は、当時は多くの物理学者から
 理解されなかったそうです

 ところがそこから10年して風向きが変わる
 宇宙の加速膨張を示す観測結果が発表されたそうです

 この宇宙の加速膨張の発見については
 この番組でも別の回でやっていましたが
 超新星爆発の観測をしているとき
 (超新星は明るいので観測しやすいそうです)
 超新星爆発までの距離と
 遠ざかる速度の関係をグラフにすると比例関係にはならず
 遠くの星ほど遠ざかる距離が遠くなる、
 という結果だったそうです

 この結果はアメリカとオーストラリア、別グループで同時期に発見、発表され
 この功績により、両者は2011年にノーベル物理学賞を受賞しています

 宇宙の加速膨張に基づきΛを計算したところ、
 10のマイナス120乗になったそうです
 Λも小さい値を取りうることを示した、とのこと

 彼は
 「ほらみろ、なんて言いませんでした、あまりに幼稚ですからね(笑)」
 「マルチバースが正しいかは分からないが、
  1つのテストには合格したのかな」

 そのあと、Λはゼロではなく小さな値だという考えが受け入れられるようになった
 スティーブン・ホーキングや
 マーティン・リースなど
 名だたる物理学者がマルチバースに賛同するようになったそうです

○我々の宇宙は数ある宇宙の1つに過ぎない
 マルチバースによれば、我々の宇宙は数ある宇宙の1つ、ということになる

 しかし以前は、地球は特別な星、という考え方もあったそうです。

 我々の地球は
 太陽からの距離はちょうどよく
 離れすぎて凍ることもなければ
 近すぎて灼熱の大地になることもない

 また大きさ、重力も絶妙で
 水や大気を繋ぎ止める程度の重力をもつ

 月もちょうどいい位置で
 これも生命を維持するのに役立っている

 宇宙は地球や人類が生まれるために微調整されたのではないか
 と考える人もいたのだそうです

 これは「人間原理」といい、
 人間中心的な考え方でもある

 しかしいろんな宇宙があるんだよということを
 マサチューセッツ工科大学のマックス・テグマークさんが
 例え話で話しています
 (彼はモーガンフリーマンさんの番組でもよく見かけますが、今回はマジメでした(笑))

 彼は
 「宇宙の誕生する条件は無数にあり、
  条件によりいろんな宇宙ができるのでは」
 とのべ、宇宙の誕生を車の運転に例えていました

 初めての車を運転するとき
 いろんなボタンを触り、いろんな条件を設定していく

 宇宙の設定の場合、
 我々の宇宙は四次元だが
 他の宇宙ではもっと多い次元をとることもありうる

 快適に運転できるように条件を設定し、
 全て決まってエンジンをかけるときがインフレーションなんだそう

 宇宙とはなにか?を彼に聞くと
 「我々はなぜこのような宇宙があるか、と聞くが
  本当は、なぜ我々はこのような宇宙で、他の宇宙に住んでないのか、と問うべきだ」
 と述べていました

 つまり、人は数ある宇宙のなかで生存に適した環境にいるに過ぎない、ということだそうです。

 次は、日本の若い研究者たち二人の考える最新の宇宙の姿です
 二人は全く宇宙の形を考えていました

○パラレルワールド?
 一人はカリフォルニア大学バークレー校の野村泰紀さん
 彼は素粒子論、宇宙論を教えているそうです

 マルチバースは量子力学で理解されると考えている

 「量子力学はミクロの世界のものと思われていますが、
  我々もミクロなものからできている
  であれば、大きな世界も同じと考えた方がとすっきりするはず」

 では、量子論の世界を大きな世界に適用したらどうなるか?

 彼は大学の構内で、赤いTシャツを着た人とすれ違い、挨拶しています
 「僕は毎日彼とすれ違うんです。
  彼は今日は赤いシャツを着ているけど
  青いシャツを着ていることもある。

  では、彼がそこの角を曲がって僕の目の前に現れる前に
  赤いシャツ、青いシャツどちらを着ていると思いますか?」

 奇妙な質問です。
 普通に考えれば
 彼が出会うときには赤いシャツを着ているんだから、
 その直前に着ているのも赤いシャツに決まっている

 しかし量子論的に考えると、赤と青は同じ確率で
 すれ違うまでは分からない。

 「?」ですが、彼によれば、
 彼がシャツの人に出会うまでは、
 赤いシャツの世界と青いシャツの世界が平行に存在し、
 重ね合わせの世界になっている
 観察する自分のいる世界が五分五分なんだそうです。

 この世界では、
 我々の宇宙の他に
 ほかのTシャツを見ている自分がいる宇宙、変な宇宙などが同時に存在している
 つまりパラレルワールドが存在している、ということらしい

 パラレルワールドは、
 全然違うところではなく我々の宇宙に寄り添うところ、
 量子力学的な確率の空間の中にあるそうです。

 パラレルワールドについては、先ほど出ていたテグマークさんも他の番組で同じようなことを言っていたと思います。

○マルチバースを考えなくていい?
 もう一人の研究者は、
 ミュンヘンのマックス・プランク研究所にいる小松英一郎さん

 彼は最初に万有引力の法則を見せ、
 このような当たり前の物理法則は、
 宇宙を説明するには限界があるのでは、とのべています

 宇宙の始まりから今の宇宙までを模した図
 我々はこれを常識と思っているが
 この中には宇宙の物理法則が及ばない世界があるのではないか
 とのことです。

 「アインシュタインの一般相対性理論は、
  真空エネルギーが空間を押し広げている、としている
  ただしこれはアインシュタインの理論が100%正しい場合で
  これを正しいとするデータは今のところない」

 一般相対性理論にあるΛは膨張エネルギーで、
 これは真空エネルギーが源とされてきたが
 彼は、他に膨張エネルギーがあると考えている

 それはダークエネルギーみたいな、
 重力とは逆に働く力だ、とのことです。

 さらに彼は、彼はダークエネルギーは時間変動する、
 ダークエネルギーの密度が時間により増えたり減ったりしている、と考えたそうです。
 もしダークエネルギーの密度が増えれば、宇宙の膨張は速くなり、
 密度が減れば膨張は遅くなる

 ダークエネルギーの密度がちょうどいいところにあるのが
 今の我々の宇宙なのだそう

 「そもそもなんでマルチバース、かといえば
  観測された加速膨張が説明できないからで、
  ダークエネルギーが時間変動すると考えれば、
  マルチバースは考えなくてもいい」

 つまり彼は、
 マルチバースを考えずとも宇宙の加速膨張が説明できるという立場だそうです。

 「これを証明するには、
  時間ごとのダークエネルギー密度を比べればいい。

  現在のダークエネルギーの密度と
  100億年前のダークエネルギーの密度は同じ、ということは分かっているので、
  それ以前を調べている」

 彼の共同研究者、ゲイリー・ヒルさんは、
 アメリカのマクドナルド天文台で、
 このダークエネルギー密度を測定しようとしているそうです

 彼は、おおぐま座の方向にある、
 100億年前より古い銀河を観測しているそうです

 それぞれの銀河の距離の散らばり具合を調べれば

 100億年前の銀河に比べて、
 120億年前の方が銀河の散らばりが多ければ、今よりダークエネルギーの密度が多いことになり
 ダークエネルギー密度が減っていれば散らばりは増えないことになる

 最初のデータを出すのに2、3年かかり、
 そこから数年観測するので
 結果がでるのは早くて5年後なんだそうです。

とはいえ小松さんは
 「ダークエネルギー密度は一定、と出たら
  頭を抱えるしかない
でももう少し、という手応えはあるんです」

○エンディング
 出演者の皆さんの宇宙観は様々だな、と思わされる編集になっていました。
 佐藤さんは
 「物理学を研究していたら、宇宙が産まれるのは必然と思える」

 テグマークさんは
 「我々の宇宙は必要に迫られて存在していると思うね」

 といい、ワインバークさんは
 「宇宙の始まりについては勘弁してくれ」
 と正直な意見(笑)

 サスキンドさんは
 「今はマルチバースが常識になるかの過渡期だと思います、
  そのうちに新しい人が全く違う理論を考えて、驚かされるかもしれない」

 また、新しい世代の研究者の野村さんは
 「後世から見て、
  我々の時代の最大の貢献はマルチバースになるかもしれない」

 しかしどの研究者も共通するものがある、と思わされたのは小松さんの一言。
 「宇宙の研究の止められない所は、
  ゴールが見つかったと思ったら次のスタートが始まっていることですね」

 まだ未知のものを解明するワクワク感があるからこそ、皆さん研究は止められないのかな、
 と思いました。

○感想など
・インフレーション理論、超弦理論、加速膨張宇宙、パラレルワールドなど、
 主要な宇宙論てんこ盛りという感じで面白かったです。
 この番組、映像も綺麗だし。

 ただ最後にダークエネルギーが出てきて、
 そういやダークエネルギーって何だっけ?
 真空エネルギーと何が違うんだ?と思ってちょっと調べましたが

(http://科学情報誌.xyz/2016/05/28/post-1305/
http://科学情報誌.xyz/2016/05/27/post-1286/
http://djweb.jp/power/cosmology/cosmology_03.html
他にも色々)

 ダークエネルギーとは、
 宇宙が加速膨張するには、目に見える物質のエネルギーでは足りないために考え出されたエネルギー。

 ちなみに、名前は似ているがダークマターは、
 銀河たちが集まるための重力が、目に見える物質の重力では足りないので考え出された物質、
 ということで、

 ダークマターによる収縮のエネルギーは銀河の内部など、局所的に働く力、
 一方ダークエネルギーは、
 空間全体に働くもっと広域的な力、
 という違いがあるみたいです。

 しかしダークエネルギーの正体は今のところ不明で
 有力な候補となっているのが真空エネルギー、だが、
 小松さんみたいに別の候補があるのでは、
 と考える方もいるようです。

 加速膨張宇宙、という現象は、観測されてしまったので動かせない。
 しかしその原因や由来が分からないので、
 取り合えず便宜的にダークエネルギーを考えている
 ということかしら。

・佐藤さんのいう
 「インフレーションが産み出す子宇宙、孫宇宙」
 サスキンドさんがいう
 「隠れた次元が産み出す全く別の宇宙」
 ワインバークさんがいう
 「Λが違う、発散する宇宙、収縮する宇宙」
 などは、全く別の宇宙が   我々の宇宙の外の空間にある、
 (そこには全く別の生き物がいる?)
 という感じですが

 野村さんがいう
 「パラレルワールドの宇宙」
 は、いろんな自分が枝分かれして存在する複数の宇宙が
陰のように存在する、
 (そこには別の自分が同時にいる)
 という感じなのかなと思います。

 小松さんは、別の宇宙はないかも、という立場。

 しかしもしかして、本当はどれも真実で
 どれも見方を変えただけかもしれない。

 白い光をプリズムで分けたらいろんな波長の光に別れるように
 この宇宙も、あるプリズムでみたら、
 自分が複数同時に存在するパラレルワールドがたくさんあり、
 あるプリズムで見たら
 いろんな条件のいろんな物理的環境の宇宙があるのかもしれない。

 しかしそのように分かれて見えるのは
 我々人類が肉体とか次元とかに縛られているからで、
 超越した存在が世界を見たら
全部1つになるのかもしれない、

 …とも思います。

 だとしたら、
 結局、我々の分かることは部分的なことだけなのかもしれない。

 でもいろんな人がいろんな考え方を持って研究しているのはおもしろい、と思いました。

 物理を学んだうちのだんなによれば
 「物理学がガチで好きな人は宇宙論に行く」
 (ちなみにだんなはそのタイプではなかったらしい(笑))
 と言っていました。

 そういう天才たちから
 相対性理論とか、量子論みたいに
 そんなんあり?みたいな、
 あっと驚く理論が急に産まれるかもしれないなと思います。

色々勉強になりました。

というわけで今回はこの辺で。




posted by Amago at 22:16| Comment(0) | テレビ(科学) | 更新情報をチェックする

2017年07月15日

Eテレ モーガンフリーマン時空を超えて「神が進化を創造したのか?」

Eテレ モーガンフリーマン時空を超えて「神が進化を創造したのか?」
今回は進化の謎について。
大きく分けると
神のような存在が生命を作ったとする説、
自然淘汰による進化を支持する説
の2つの話になっていました。


○インテリジェント・デザイン説
 最初の生物化学者は、神のような超越的な存在が生命体を作った、とする
 「インテリジェント・デザイン説」
 を唱えています。
 これは古代の生物が祖先、という考え方とは矛盾しない、とのこと
 彼によれば
 「ダーウィンの進化論は、
  進化が突然変異により起きたとするのが問題」
 実際の自然を見ると、何かが意図して作ったとしか考えられないものが多く見られる、とのこと

 彼はバクテリアの鞭毛について研究してきたそうですが
 鞭毛は自然界のモーターのようなもので、
 留め具で細胞に繋ぎ止められ、
 必要に応じて回転することで働く
 プロペラ1つ欠けても機能しないそうです。
 
 このような研究を続けた結果、
 彼は生物がいかに精密であるかを知り、
 これは一つ一つの部品がゆっくり変化してできたとは考えにくい、
 と思うに至ったそうです。

 生命体は体全体で機能する必要があり、
 一つが欠けても動けない。
 このような複雑で精緻な仕組みは、
 徐々に進化したのでは作り上げられない、
 超越的な存在が、意図をもって作り上げたと考える方が妥当だ、とのこと

 彼はキリスト教徒なので神を信じるが
 その存在は必ずしも神でなくてもよい、とのことです
 何か意図が感じられるという点が重要なのだ、とのこと

○生物は生存に有利になるように徐々に変化したという説
 一方次の科学者は、
 生物は生存に有利になるよう進化していった、と考えている

 彼はバイオロボティクスの研究者で
 背骨の進化について調べているそうです

 我々には脊椎があり、脊椎は椎骨によりできているが、
 もとは脊索というやわらかい軟骨のコラーゲンが祖先だそうです
 今では一部の魚がこのやわらかいコラーゲンを持つとのこと
 彼は脊索が脊椎へと進化したのは
 DNAのちょっとしたミスによるもの、と考えているそうです。
 ミスにより背骨が強い魚が産まれ
 背骨の強い魚がより獲物を捕らえられるので生き残った、とのこと

 しかし、この過程は化石を辿るだけではわからない
 彼はロボットを作って調べています。
 ロボットと言っても丸い形のものに
 しっぽみたいなものが付いていて、そこに脊索が付いている

 これを深海に見立てた丸い暗いプールで泳がせて、
 5億年前の世界を再現しています
 獲物は光で、光に向かって動くようになっている

 このロボットを4つ用意し
 それぞれの脊索に椎骨をつけ(0個、5個、10個、15個)
 光を追うように競走させる
 
 彼らは
 0個が一番遅く、椎骨が多いほど速い…と予想していましたが、
 実際は
 15個より10個の方が有利でした

 この科学者は
 「椎骨には適正な数があるのだと思われる」
 と話していました。
 そして、これは、
 進化が様々な試行錯誤の末うまれたことを示している、
 と述べています
 この試行錯誤は、食べる、逃げるなど、
 淘汰の圧が起きて行われる

 彼はこの実験で、我々の背骨がどう進化したかもわかる、と述べているそうです

 彼によれば、
 「生命の進化のパートナーは背骨」
 なのだそう

 背骨があってこそ、
 我々は立つこともできたし、
 体をいろんな方向に曲げることもできるようになった
 この背骨は祖先からの贈り物、とも言え、
 進化の過程とはすなわち、体の組織を背骨の発達により強靭にする過程だった、とのことです

 「バイオロボティクスで見た脊椎の進化は、自然淘汰の一端を見せてくれた」
 
 つまり彼は自然淘汰による進化論を支持しており
 インテリジェント・デザイン説については
 「人間の持つ素晴らしい素晴らしい能力が
  行き当たりばったりに起きたと考えるのは抵抗があるのかもしれない」
 と理解を示しつつ
 「しかし進化は創造主によるものではなく、何もない自然から起きたもの」
 と述べています

〇進化の進み方は近道がある、と考える科学者
 進化論者は人類は38億年かけて進化した、とするが
 インテリジェント・デザイン説を支持する科学者は
 「生命体の精密さができるには、
  進化論の言う38億年だけでは時間が足りない」
 と考える

 しかし次の科学者は
 「行き当たりばったりの進化でも、時間はかからない」
 としています。

 この方はMITのコンピューター科学者で、
 子供の頃はコンピューターゲームを作るのが夢だったそうです
 「ゲームは世界のミニチュアみたいなもので、
  作る人はこの世界をすべて把握しているよう」

 彼はゲームのキャラクターは工場で作られると信じていたが、
 実際は人間がプログラミングで作っており
 その仕組みを知って感激したそうです

 「プログラミングコードとはゲームを説明するものではなく、
  ゲームそのもので、
  コードを変えればゲームの仕組みそのものも変わってしまう。
  これは数学の問題と同じだ、と思った」

 彼は現在は、複雑な生命体の進化を、数学で解明する研究をしているそうです

 彼はインテリジェント・デザイン説には反論する立場のようで
 「彼らは自然淘汰で人間の脳や鳥の羽などができたなんて考えられない、
  それはまるで竜巻がガラクタを巻き上げて、仕様可能な建物を作り出すようなものだ、という」

 彼のいるラボの近くの建物は奇妙なデザインが多いが
 「これは建築家が設計して建てたものです。
  しかし数学の世界では、ユニークな構造を作るために建築家は要らない」

 インテリジェントデザイン説の人たちは
 進化に38億年では足りない、というが
 彼は、それなりの時間があれば進化できることを示したのだそう

 「進化には近道がある」
 話を簡単にするために、チェスボードを作る問題を考える
 これは真っ白の8×8のマス目の盤を
 白黒の市松模様に塗り変える、という問題
 
 インテリジェント・デザイン説の場合
 神のような存在が、すでに作る模様をわかっていて
 一番早いパターンで白マスを黒に塗り替えるため
 隅の方から64歩で市松模様を作り上げることができる

 一方泥臭い進化で、総当たりのやり方をとる場合
 隅から出発して、すべての可能性の配色を1つ1つ試し
 ダメだったらまた最初からやり直す、というやり方をする
 この場合、2の64乗、つまり1800京というとんでもない歩数が必要になる

 しかしバクテリアから人間まで進化していくときに
 いちいちやり直ししていたら時間がかかる

 そこでもう一つのやり方を考える
 これは、初めに当てずっぽうにすべてのマスをランダムに塗るが、
 そのあと隣の色が同じマス目だけを選び、
 そのマス目の色を塗り替える、というやり方を取る 
 この場合、シミュレーションすると、かかる歩数は5000歩なのだそうです。

 つまり、試行錯誤の方法なら、神がデザインするよりは歩数は多いが
 総当たりよりははるかに少ない歩数で、市松模様を完成させられるそうです。
 
 彼は、進化の筋道でも、近道を見つけられるのでは、と話しています。
 進化の過程はランダムに変化しても、
 やり方次第では速く進化できる、とのこと
 「科学的に考える、とは、謎を見つけてもそれに屈しないこと
  常にこれはなぜだろうと説明を求めて、
  いい説明が見つかったら、さらにいい説明がないか探求することです」
 と話していました。

〇DNAの祖先を見つけた、と考える科学者
 すべての生物はDNAやRNAなどの遺伝物質を持っている、
 これは、生命は同じ祖先を持つ、とする進化論者の考えと合致する
 
 しかしこの説には一つ難題があり、それは
 「DNAの起源は何か?」
 ということだそうです。
 インテリジェント・デザイン説的には
 DNAは神が作った、ということになってしまう

 そこで次の科学者は
 DNAの起源や、DNAがどのように長期間生き延びてきたのかを研究をしているそうです
 この科学者はアリゾナ州立大学の化学者。

 生命は生きるためにDNAが必要だが、
 細胞が分裂する過程で、
 このDNAは完璧にコピーされ、受け継がれなければならない
 DNAをコピーする際には
 DNAポリメラーゼ、という酵素が働き
 鋳型となるDNAの配列通りに塩基をつなぎ、同じもう一本のDNAを作る、
 という作業が必要になる

 しかしDNAポリメラーゼというのはもともと存在していたわけではない
 そこで、DNAに先立つ遺伝物質があったはずだ、とのこと
 
 そのためには、DNAの二重らせんに結合するものでなければならない
 候補として挙がったのがRNA

 RNAはDNAより単純な構造をしていて
 リボースという糖からなっている
 しかしリボースの構造はちょっと複雑で、
 酸素原子1つと炭素原子4つが、特定の配列を取らねばならない
 この分子が自然にできる確率は、とてつもなく低いのだそうです。

 そこでこの化学者は、もっと単純な構造の物質を探したのだそうです
 そして試験管の中で試行錯誤し
 見つかったのがTNA(トレオース核酸)と呼ばれるもの
 これは炭素原子4つで、RNAよりも単純なのだそうです

 TNAから鎖状の高分子を作ると
 RNAの塩基とは結合できることが分かったので、
 RNAとの遺伝情報の交換は可能だ、とのこと

 TNAはRNAやDNAの祖先だったのかもしれない
 TNAはコピーを作れるかどうかは不明だが
 複雑な生命体にあるRNAに近い物質だと彼は信じているそうです。
 
 「我々は複雑な生命体を見ると、神のような存在を信じてしまう。
  しかし化学者としては、生命はどの分子が存在し、どの分子と結合したか
  それに尽きる」
 とのこと

 (TNAは、人工合成された核酸ポリマーで、天然には存在していないようです。

 ただここで登場したジョン・シャプーさんは、
 TNAが単純な構造で、原料も一種類の元素で済むこと、
 RNAなどと同じく遺伝情報をコピーできること、
 ポリメラーゼで合成できることなどから、
 RNAが生まれる前の初期の遺伝システムとなりうる、と考えているようです。

 http://www2.tba.t-com.ne.jp/nakada/takashi/origlife/
 によると
 RNAを構成するリボースは、
 自然では出来にくい、とのこと。

 自然界には糖類の異性体がとても多いので、
 炭素原子と酸素原子を普通に反応させても、
 リボースのできる割合は非常に低くなるし、
 しかもリボースは安定性が低くすぐ分解してしまうのだそうです。
 ですので初期の地球では、
 核酸を構成する糖類としてリボースやデオキシリボース(DNAの糖)以外のものも使われていた可能性もある、とのこと。

 つまりシャプーさんがTNAを代替物質として考えるのも不自然ではないようです。

 ただDNAやRNAの起源については他にも説があるようで

 http://indeep.jp/life-on-earth-was-started-by-comet/
 によれば

 彗星の原料となるダスト粒子ができる状態をシミュレートし
 (低温の真空に近い状態で
水とメタノールを混合)
 そのあと原始の地球に近い条件となるよう
 紫外線を照射して、太陽熱に近い温度に上げたところ
 リボースを含む幾つかの糖が生成されたそうです
 (この研究はサイエンスに掲載されたそうです)

 つまりリボースが、宇宙空間の凍ったダスト粒子から生成され、
 それが地球に落ちてきた可能性もある、とのことです。

 ちなみにDNAやRNAの他の材料である核酸やリン酸は
 原始の大気、火山ガスから生成されたり
 あるいは隕石に含まれていた可能性もある
 と考えられているようです)

〇構造から進化を考えた科学者
 次の科学者は、身の回りにある色んな似た構造から、
 生命の流れを考えた科学者です。

 この科学者はもともとルーマニアのバスケットのスター選手だったそうですが
 今は機械工学者
 「私は共産主義の国から来ましたが、
  バスケットのプレーの仕方はどんな政治体制でも関係ない」と話していました

 彼は今は流れについての研究をしているそうです
 彼によると、
 「バスケットボールのボールは、様々な経路を通り、
  コートのあらゆる場所からバスケットに向かって流れている

  攻める側は流れを広くしてボールを通りやすくし、
  一方守る側は、流れをせき止めて妨害しようとする」

 ボールは優秀な選手に集中し、その経路は大きくなる
 ボールが行かないところは経路がなくなっていく
 このボールの経路を線で描いていくと
 枝を広げた木のような形になるそうです。

 この流れのパターンは自然界にもたくさんあり、
 稲妻や葉っぱの葉脈なども同じ

 彼は、この共通構造は
 物質がある点から別の点へ流れていくことに関係がある
 と考えているそうです。

 例えば木の中には水が流れ、土から大気中へと水が動いていく
 そしてほかにも、「力」も木を通じて流れていく
 彼はこうした、ものの流れやそれが作る形には、
 自然の普遍的法則がある、と考え
 「コンストラクタル法則」と呼んでいるそうです

 「この法則を簡単に説明すると
  大きさと限りがあるものが生き残っていくには
  より大きな場所に、より効率的に流れていくしかない、ということ」

 これは人間の体の中でも同じで、
 酸素、血液、電気信号などもこの法則に従って流れるのだそうです。

 宇宙はこうした複雑な形を作り出すように設計された、
 とすれば、インテリジェントデザイン説になりそうですが、
 彼は創造主の存在は否定しています。
 「すべての形は自然現象で、
  私たちができるのはそれらを観察し、法則にまとめあげるだけ」

 彼によれば、
 木のような形、それを作る流れが生命を生み出すのだそうです。
 「プレー中のバスケットの動きは、
  社会の中の個人の動きの象徴そのものです、
  誰かが道を切り開こうとする一方で、誰かが阻止している」

 宇宙が進化し、流れを作り、生命を作っているのかもしれない

 (いまいち「コンストラクタル法則」がわからないので調べましたが

 http://president.jp/articles/-/11355?display=b

 https://www.jsme.or.jp/column/201312.htm

 http://hpo.hatenablog.com/entry/20131231/1388494029

 などを見ると、この研究者(エイドリアン・ベジャン)は
 「コンストラクタル法則」
 についての本も書かれているようです
 (邦訳「流れとかたち」、比較的読みやすいそうです)

 私は読んでないですが
 書評などをみると
 この本のなかでのコンストラクタル法則の定義は
 「有限大の流動系が時の流れの中で存続するためには、
  その系の配置は、中を通過する流れを良くするよう進化しなくてはならない」

 とあるようです。
 私なりに書きますと

 世の中で生き残るためには
 その中にスムーズな流れを持つことが必要、

 ということで
 これは自然現象だけではなく
 人間社会や歴史でも言える、
ということを
 ベジャンさんはこの本で述べているそうです

 逆に言えば、
 流れを読んで、それに乗る能力がないと生き残れない
 何かが止まったり詰まったりしていたら死んでしまう
 ということなのかな?

 古い体制の組織とか
 干からびかけた川とか
 壊死しそうな組織とかに
 当てはまるのかなぁと思いました…
 (もちろん逆の例もありますが)

 まぁただこの本には批判的な意見もあり
 突然の災害とか、予測不能な突発事態についてはどう説明するんだ、
 という意見もありました。

 しかしながら、自然現象から人間の社会まで大局的に見て
 共通する大きな法則を見つける視点はおもしろいなと思います。
 時間があれば読んでみたいです)

〇宇宙の成り立ちや人の倫理観は、幾何学や数学の法則が決めたと考える科学者
最初にモーガンさんは
 「我々の体は原子からできているが、
  原子の立場からは、自分が体の一部とは知らない
  原子が飛び散らないのはなぜか」
 …という問いを投げ掛けていました

 ここで登場した宇宙物理学者(ジョージ・エリス)は宇宙論と物理学の第一人者だそうです
 彼の最近の関心は、宇宙の成り立ちではなく世界の成り立ちについてなのだそうです

 彼はその複雑さを、ユース合唱団の歌声に例えています。

 「物理学者は電子と陽子が相互作用し、
  それぞれの人の脳内で、歌を歌うように振動を起こす
  物理は法則がすべての物事を起こす、と考える」

 しかし彼は今、
 この歌は単に粒子による物理的プロセスの寄せ集めではない、と考えているそうです
 
 ユース合唱団の例で言えば
 指揮者によるコントロールが必要になる
 指揮者の考えが、歌う人の脳内へとトップダウンでつながっていると考えられる、
 とのこと
 これを「トップダウン因果律」と呼ぶそうです
 聖歌隊員を構成する素粒子は、
 指揮者にコントロールされている、と考えるのだそうです

 (この説には少し違和感を感じました。
 これが本当なら、全く訓練を受けていない人たちでも
 名指揮者がいれば、指揮者のコントロールにより
 美しいハーモニーを産み出すことになるが
 実際は聖歌隊はたくさん練習しているはず。

 実際は、聖歌隊は、
 指揮者の振る舞いを見て
 そこからサインを読み取る練習をし、
 この振りの時にはこう歌うと記憶する

 その上で、本番歌うときに
 指揮者のしぐさを視覚情報として脳内に取り入れ、
 その情報が刺激となり記憶が想起されて、歌が出てくる、
 というメカニズムなんじゃないかと思うのですが…)
 
 では、美しい自然には指揮者がいるのか?

 彼は、幾何学模様にその存在を見出したそうです。
 彼は三角形を見て、
 「この図形にはピタゴラスの定理がある、
  これは宇宙全体に通じる普遍的な原理です」

 彼は幾何学の法則は、宇宙が始まる前から存在し
 物質世界はそれに支配されている、
 人間は後追いでそれを発見したに過ぎない、と考えているそうです

 古代ギリシャの哲学者プラトンも同じ説を唱えた

 しかも彼によれば、その数学的な法則はただ存在しているだけではなく、
 意味を持っていて
 人間の倫理観も規定している、と考えているそうです

 彼によれば
 善悪の判断、他人との接し方などは
 人類の誕生前からパターンが存在している、
 事象とはただ物理的に存在しているのではなく、意味を持っている、とのこと

 モーガンさんのナレーションによれば
 「人間が善悪を持つのは、人間が倫理的な存在に創造された、ということのあかしなのか
  それとも進化により、人間の道徳観が作られていったのか…」

〇道徳を決める脳内物質
 この科学者は、神経経済学という新しい学問を研究しているそうです。
 脳内物質の変化が行動にどう影響するかを調べる学問なのだそうだ。

 彼のお母さんは修道女だそうです。
 修道女は、善悪のスペシャリストですが、
 彼は「道徳観は一つではない、善と悪はどこから来たんだろう」と考えているそうです

 道徳観を特定する物質の候補としてオキシトシンが考えられたそうです

 オキシトシンは
 出産時の陣痛促進くらいしか役割が知られていなかった
 しかし男性にも存在することが分かった
 それはなぜか?
 
 彼は、オキシトシンは愛、信頼、共感に関係があると考えた
 そこで、脳内オキシトシンは他人を信用するときどう働くのか?を調べたそうです

 「オキシトシンは信頼感を促進する
  というのは実験室レベルでは分かっている、
  しかし現実世界ではどうか?」

 彼は体を張って、自らスカイダイビングをして調べていました。
 まずスカイダイビングする前に、地上で採血する
 ダイビング後もまた採血し
 脳内物質がどう変化したかを調べる
 
 彼はタンデムスカイダイビング、というのに挑戦
 これは二人で一組になり、一つのパラシュートを使う
 パートナーとなったのはほぼ初対面の方
 また、パラシュートなど器具の準備はすべて他人に任せている

 スカイダイビングの事故は、
 多くは人為的なもので
 パラシュートのたたみ方とか、器具の不具合などがほとんどなのだそうです
 しかし彼は他人を信頼して準備を任せた

 彼らは飛行機で3000メートルの空へ飛び
 そこでは「もう君を信用するしかないよ」
 「深呼吸して」「マジで?」といいながら飛び降りる。
 (見ててもこわいです…ようやるなーこんなん、と思いました…)
 
 長く感じる時間を経て無事にパラシュートが開き、着陸。
 「残りの人生、ようこそ」

 彼は
 「3000メートル以上の高さからでは、石のように落ちている
  遠ざかる飛行機を眺めていたらパニックになりそうだった」
 といいつつも、採血をそのまま行う

 分析してみると
 ストレスを感じると分泌されるコルチゾールは500%増加、
 勇気と関係するテストステロンは40%増加
 この辺は想定内だそうですが
 オキシトシンは17%増加、だそうです
 「全くの他人への信頼としては上出来」
 彼によれば、結婚式の後、新婦が新しい新郎への信頼感を示す時は28%増加する
 その半分以上なら十分だろう、とのこと

 さて、道徳分子があるとすれば、それはどのようにして作られたのか?についてですが
 彼は
 「進化が始まる前に何があったのかは分からない、
 創造主が作ったのかどうか、
 それは自分は答えられない、それは信仰の問題だ」
 と述べています。

 道徳分子は、神が作ったのか、
 それとも単に進化の過程で作られたのかは分からない

モーガンさんは最後に、
インテリジェンス・デザイン説は
善なる意図を持つ大きな存在が
この精緻な世界を作り出した、と考え

進化論は、自然淘汰という法則にのっとり、どん欲に自分の生存を求めることが
進化を推し進めてきた、と考える

どちらが正しいかは分からないが、
ただ一つ正しいのは、生命は素晴らしいことだ、と締めくくっていました。

○感想など
・インテリジェント・デザイン説は、
 「神が7日間かけてこの世を作った」
 とする聖書の世界観の人たちには受け入れられやすいのかなと思いました。

 私自身は、超越した存在というのはあるかもしれないと思うが
 「超越した存在が、精緻な生命体を意図して作った」
 てのは出来すぎな話かなぁと感じます。

 まぁたしかに自然界の美しさ、
 生命現象の精密さを見ていたら
 何かの創造主の存在を見いだしたくなるのも分かります。

 でも神とか超越した存在が、
意図して世界を作ったというのは
 神が上、我々は神の作った世界のキャラクター?て感じで
 上下関係がある気がして
 個人的には気に入らない(笑)

 それに、最初から意図しているなら
 完璧でない機能が残っているのはなぜか。
 例えば人間の尾てい骨とか、進化の名残のような不要なものをなぜ残すのか。

 あるいはなぜこの世に悪や犯罪があるのか…
 もとから善なる人たち、完璧な世界を作ればいいわけで。
 「悪を学ぶためだ」
 という人もいるかもしれないが
 もとから無いなら学ぶ必要は無いわけで…

 私の考えでは
 どっちかというと
 神様はいろんな実験をしているのかもしれないと思う。
 いろんな生き物、いろんな存在、いろんな考え方の人たちをこの世に作り
 どんな世の中になるかの実験…

 でもそれは「より良いものを作る」とか目的がある実験ではなく
 いろんな多様性を見たいのかな、と。

 そういう神(超越的存在)の世界観では
 悪は存在してはいけないものではないのかな、と思う。
 キリスト教的世界観で言えば
 悪はダメ、善なる人になれと言うが
 悪が無いと善も存在しないんだと思う。
 陰陽の世界観、太極図に近いのかなと思います。
 悪が無ければ善もない、
 辛さががあるから喜びがある、
 反粒子が無ければ粒子は無い…

 もちろんこの世に悪は無い方がいいんだろうけど、
 誰しも心の中には悪もあって
 それがあるから他人のミスに理解を示し、優しくなれる一面もある。
 そういう全てが混じりあった、
 全ての存在を認める世界、
 というのを実現しているのかなと思います。

 「悪を根絶せよ」という神様より
 「悪はありうる、みんな存在していいんだよ」
 という神様の方が
 私は優しさを感じます。

・進化の近道がある、という話も興味深かったです。
 進化を効率的にするアルゴリズム、というのが存在するのかもしれないですね。

 「群れはなぜ同じ方向を目指すか?」
 という群知能を扱った本では
 道が作られていない公園の中で
 出口にたどり着く最短ルートを作る問題で
 みんなが通るルートをより太く
 通らないルートを消していくと
 早く正解にたどり着ける
 というアルゴリズムが紹介されていました。

 人類の進化、遺伝子の突然変異にも
 似たようなアルゴリズムが使われているのかもしれない。

・DNAの起源、の話も不思議でした。
 考えてみたら、何で地球上の生き物はみんなDNAを持つのだろう。
 宇宙人がDNAにメッセージを残していったのでは、とかいう説が
 過去のこの番組で紹介されていたけど
 高度な知性をもつ宇宙人がDNAを残した説もあったりして、と思いました
 (想像するだけなら勝手なので(笑))

・最後の宇宙物理学者の
「幾何学の法則は宇宙以前から存在する」
 という考え方は「?」と思いました。

 それが本当とすれば
 なぜ幾何学の法則はできたのだろう?
 誰かが意図して作ったのか?
 たまたま出来てしまったのか?
 なぜそれが我々の倫理観を決めるのか?
 …よりいっそう疑問がわいてしまいました…

 しかし、そもそも幾何学の法則は絶対なのか?とも思います。

 幾何学法則は、
 我々のこの宇宙の、三次元世界だけに通用する法則なのかもしれない。

 そもそも、宇宙のこと自体が謎だらけで、
 10次元あるという人もいるし
 別の宇宙があるという人もいる。
 もし別の次元や別の宇宙があるとすれば
 そこでは別の数学の法則が通用しているのかもしれない、
 とも思います。

 個人的には、幾何学の法則は宇宙の誕生と共にできて
 私たちが住んでいる世界
 (というか、私たちの肉体で見ることができる世界)
 をある程度限定しているかもしれない、とは思うが
 宇宙全体もそうだ、とまでは言い切れないのではないかと思います。

インテリジェント・デザイン説にしろ
進化論にしろ
結果的にできたこの世界、生き物たち、生態系システムはみんな精密で美しいですね…
物でもそうだけど、作るのは難しいが壊すのは簡単。
壊さないように守らねばならないと思いました。

というわけで今回はこの辺で。

2017年07月14日

Eテレオイコノミア「世界は”オークション“でできている!」

Eテレオイコノミア「世界は”オークション“でできている!」

今回はオークションの話。
オークションっていうと
美術品とか骨董品くらいしかイメージがなかったのですが…

〇スカイツリーの眺め
 今回の講師は坂井先生。
 最初に又吉さんとスカイツリーに登っていました。
 展望室から眺める東京の街。
 双眼鏡を通して見ると
 「道路や公園が見えるでしょう、
  これは入札というオークションでできています」
 「そして住宅も見えますよね。
  住宅を買うためのローンも、国債のオークションで決まるんです」

 他にも魚や肉、花なども市場の競りというオークションで売買されている。
 生活のほとんどはオークションと関わっているようです。

 さて次に二人が訪れたのは都内の飲食店。
 「又吉さん、お腹すいたでしょ、ね、ね。」
 という先生の強引な展開で(笑)焼肉店へ。
 中にはゲストのカンニング竹山さんが待っていました。
 竹山さんは以前詐欺のドラマの回で出てましたね…

○ミートオークション
 さて焼肉店では
 「8時になりましたんでミートオークションを行います」

 ミートオークション?

 この焼肉店では、四年前から
 極上肉の値段を競り落としで決め、
 落札した人が食べられる、という催しをしているそうです。

 又吉さん
 「我々も参加しましょうか」
 竹山さん
 「お金どうするの?」
 又吉さん
 「やっぱり先輩の竹山さんが…」
 竹山さん
 「えー、割り勘にしようよ」
 先生
 「割り勘にしましょうか」

 最初はA5ランクの黒毛和牛のゲタカルビ236g、
 普通に買ったら7000円相当だそうですが
 競りは100円からスタート

 「200円」「400円」…
 などと上がっていくが、
 又吉さん、なかなか言わず…
 結局2600円で競り落とした方がもらっていました。

 オークションは盛り上がっていきますが
 いよいよメインのお肉が登場。

 A5ランクのリブ芯623g、
 普通に買えば3万円相当だそうです。
 オークションは300円からスタート。

 子供も参加してどんどん値段が上がっていく。
 「2100円」「4000円」 …
 又吉さんも「5000円」
 しかしさらに「6000円」の声。
 そこへ先生が「6100円!」

 そのあと続く人はおらず、
 A5ランクの3万円肉は3人の元に!

 「意外と安いなという印象ですね」
 竹山さん
 「僕、割り勘でも2000円くらいまでならいいかなと思ってたんすよ」
 又吉さん
 「僕も3万のお肉でしょう、1万ならラッキーと思ってたから
  6000円ならかなりお得」

 見てみると大きい塊です。
 ローストビーフなどの切る前の肉みたいな感じ。
 3人はそのお肉の塊を焼いてもらいながら
 「これ3万が4万になることはあるんですか」
 とお店の方に聞くと
 「ありますよ」 とのこと。
 「安く食べたい人と、負けたくない人の二種類いるんですよね。
  彼女の前では負けられない、とか」(笑)

 3人は「うまーい!」とお肉を堪能していました。

 このオークションは、口コミでお客さんも増えているそうです

(どうでもいいかもしれないんですが、
 お肉のランクなどがわからないので調べました
 http://www.mie-msk.co.jp/rank.html

 A5って何のランク?と思ったのですが
 A、B、Cは「歩留等級」というらしい

 これはロース芯の面積、ばらの厚さ、皮下脂肪 の厚さ、半丸枝肉重量、
 の数値らしいのですが
 要するに肉の脂肪の量とか大きさ、重さなどの
 物理的な計測値を示したもので、
 標準より良い、標準、悪いの順にA、B、Cみたいです

 「A5」の5は
 「肉質等級」だそうです

 こちらは
 ・脂肪交雑(霜降りの度合い)
 ・肉の光沢
 ・肉の締まりとキメ
 ・脂肪の光沢や質
 について目で見て判断するようです。

 それぞれの項目について5段階評価して点数を出し
 一番低い点を全体の点とするようです。
 つまり5がつくということは全ての項目で5だということですね。

 それから肉の部位の名前も知らなかったけど
 http://deokure1haron.com/gyuuniku-bui-matome/
 によると
 ゲタカルビとは
 肋骨の骨と骨の間にある部分で、
 切り出した際の跡が下駄に似ているのでこの名前らしい。

 骨の周りなので柔らかく、
 骨から出る旨みをたっぷり含んでいて美味しいのだそうだ。
 一頭から少量しか取れない稀少部位だそうです

 また、リブ芯とは、
 リブロースの芯の部位で、

 リブロースの中で最もバランスの取れている部位とのことで、
 全体の牛肉の部位の中でも
 ツヤ、霜降り、柔らかさ、見た目の良さなどが抜群の部位なんだそうです

 とにかく、めちゃんこ良さそうなお肉だったんですね…)

○オークションの利点
 さてここからはトークのスタジオでした。
 又吉さん
 「オークションって盛り上がりますよね、
  さっきもそうだったけど、競り上がっていくから」
 先生
 「盛り上がらないやり方もあるんですよ」
 先生によればオークションはいろんなやり方があり
 方法により結果が変わることもあるのだそうです

 竹山さん
 「オークションってテンション上がりますよね、
  1万、1万5千…と上がって
  自分の出せない金額になっちゃう怖さもある」
 先生
 「うっかり買っちゃった、てことになりますけど
  それはもうしょうがないといえばしょうがない」

 しかし歴史にはしょうがないで済ませられないケースもあるそうで
 先生
 「例えば西暦193年では、
  ローマ帝国の皇帝の地位がオークションにかけられてしまった、
  そこでユリアヌスというお金持ちがうっかり競り落としちゃったんです。
  しかし、彼は2ヶ月で暗殺されてしまった」
 「こわ~」「最悪ですね」

 先生
 「このように、オークションは怖い面もありますが、
  けっこう便利で役に立つこともあるんですよ」

 オークションのメリットは
 ・売り手が、その商品を誰がいくらで買ってくれるかを聞くことができる
 ・買い手が大人数いたとしてもいっぺんに買い値を聞くことができる
 ・特別な交渉術が要らない
 などがあるそうです

 例えば10人の買い手がいたとして
 売り手がいくらで買ってもらえるか予測できないとき、
 全員に聞いて回っていたら、時間がかかる
 肉など鮮度が勝負のものは、その間に腐ったりして商品価値も下がってしまう
 オークションなら一回で済む
 また、オークションなら値段さえ言えばいいので
 特別な駆け引きは必要ない
 …ということらしい

 竹山さん
 「交渉は苦手ですよ」
 又吉さん
 「僕もそうですね」

○いろんなオークション
 さらに先生によれば、
 オークションは
 ・公開型
 ・封印型
 の二種類があるとのこと

 ・公開型
  公開型にも種類があり
  有名なのは「競り上げ型」
  これは、先ほどのミートオークションのように
  低い値から値段を上げていき、最後に残った人がその価格で商品を買うやり方
  美術品や市場の競りがこれに当たるそうです

  他に「競り下げ式」
  というのもあるそうです
  これは、高い価格から下げていき
  最初に誰かがこの値で買う、と手を上げたらそこで終わる
  竹山さん
  「それもなんか難しそうですね、
   もうちょっと待てば安くなるかな、とか」

  これは花き市場などで行われているそうです
  今はコンピューターで行われており
  画面を見ると、車の燃料メーターみたいな円グラフが、満タンくらいからどんん減っていき
  それが止まったところで成立、となる

  「このやり方のメリットは何ですか」
  先生
  「競り上げ式だと時間がそこそこかかるんですが
   競り下げならあっさり早く終わるんです」
  花の場合、鮮度も勝負だし大量に裁く必要があるので
  このやり方を採用しているとのこと

 (ちなみに、競り上げ式はイングリッシュ・オークション、
 競り下げ式はダッチ・オークションともいうのだそうだ
 オランダは花の栽培や輸出が盛んで、
 花のオークションに競り下げ式が使われたことから、だそうです)

 「でも公開型にも欠点があって、
  誰が落としたかとか、いくらで諦めたかとかの情報が、
  ライバルに知られるデメリットがあるんですね」
 竹山さん
 「確かに後で居酒屋とかで言いたくなりそう、
  又吉負けたけど、あいつこのくらいまでは出すつもりだったよ、とか」
 先生
 「いくらまで払うか、という情報は
  けっこうライバルにとってはいい情報になるんですよね」
 又吉さん
 「これだけ出すってことはこの商品をどうしてもほしい、大事に思ってるんやな、とかね…」
 先生
 「あるいはこれくらいの価格で諦めるってことは
  資金繰りに困ってるのかな、とか勘ぐられることもある」
 そこで採用されるのが封印型だそうです

 ・封印型
  これは、入札者が金額を紙に書き、箱に入れる
  主催者が開くだけで、途中のプロセスは見られない
  他者に値段を知られないメリットがある

  竹山さんもドラマで、課長代理役として
  この箱いれ方式のオークションに参加したことがあるそうです
 又吉さん
 「封印型の方がそれで完結できるから好きかも…」

 先生
 「この封印型にも二種類あるんですが、
  とりあえずやってみましょう」

 と全員別の場所に移動。
 するとそこには…

〇オイコノミアオークション
 熱烈な又吉ファンの皆さんが10人ほど椅子に座っていました。
 中にはこの番組のイラストを描いている浅生ハルミンさんも…

 「今からオークションをしてもらいますが、
  品物は…」
 黒い布を取り外すと、出てきたのはオイコノミア特製Tシャツ。
 又吉さんのほんわかした絵が描かれていて、又吉さんのサイン入り。
 2枚ペアになっていました。

 参加者たちは少々緊張気味で反応に困っている感じ…。
 又吉さんは
 「普通オークションって、モノが出てきたらおぉ、ってなりますけど、大丈夫ですか?」(笑)

 先生からルールの説明がありました。
 「1番高い価格を付けた人が、その価格で落札をする
  価格はそれぞれ紙に書いて箱に入れるので、ほかの人には分からない」
 
 皆さん触ったりして品定め…

 そのあと値段を書いて箱に入れてもらっていました。

 結果発表。
 先生
 「先ほどは盛り上がりに欠けていましたけど(笑)
  実際は盛り上がっております。熾烈な争いでした」
 そして
 「一番高かったのは、3万円の価格を付けた浅生ハルミンさんです」
 
 又吉さん
 「ハルミンさん…意外というか、不思議ですね。
  自分の作品だから、ハルミンさんが持っているのはいい感じ」
 ハルミンさん
 「自分で描いた絵だし
  又吉さんのサインも入っているから価値を高くしたかった」とのことです。

 そして、このあと
 先生
 「本来は入札価格は公表しないのですが、
  今回は特別に皆さんに書いてもらいます」
 自分の入札した価格と、
 本当はいくらまでなら出してもよかったか
 を書いてもらう

 入札価格は、自分の出したい額を書くんじゃないの?
 と思いがちですが

 結果は
 5千円と書いたけど本当は2万出してもよかった、など
 実際書いて入札箱に入れた額の方が安い人が多い。
 参加者は
 「ほかの人がどれくらい出すのか気になった」
 「相場が分からないから、ほかの人の顔色を窺った」
 と話していました。
 「一人だけ高い価格をつけると損する気分になるんですね」

 中でも実際の落札額より大きな金額の、4万5千円ならいい、とした人もいて
 (実際彼が書いたのは1万円代)
 「実際の価格を見ると、払える価格だったので
  もう少し高くつけてもよかったのかな」
 と話していました。

 このやり方は「第一価格オークション」
 というそうです。
 しかしこのやり方は
 「値段の相場が分からない、
  わかっていれば相手より1円高くつければいいんですが、そうはできない
  だから運任せになりやすい
  オークションってもともとギャンブル性もあるやり方ですが
  この方法はその傾向がより高くなる」

 実際は、公共事業の業者を決めるときに使われているそうです。

 第一価格オークションは
 「相手の額の読み合いが起こり、一番支払い能力がある人が競り落とせない可能性がある」
 という欠点がある
 
 そこで経済学者は知恵を絞ったそうで、2番目のやり方を行っています

〇オイコノミアオークションその2
 次の品物は「又吉さんの「経済ポエム」全集サイン入り」
 番組の最後に又吉さんが経済ポエムを書いていますが、
 それを全部集めた作品集なんだそうです(非売品)
 もちろん又吉さんのサイン入り。

 さて次はルールを変えています。
 「1番高い入札価格を付けた人が落札するが、
  支払いの額は2番目に高い入札価格」
 
 ??ですが、とりあえずやってみましょうということで
 皆さんに書いてもらっていました。

 結果発表。
 先生
 「凄いことになっております」
 
 競り落とした価格はなんと12万。
 そして支払いは9万5千円だそうです。
 競り落としたのは温泉川さんという方で、
 先ほどのTシャツに4万5千円出してもいいと言った方です。

 竹山さん
 「でも橋本さん、悔しそう」
 一番悔しそうな顔をしていたのは橋本さんという女性。
 彼女は
 「さっきのTシャツが4万5千円、っておっしゃってたから
  その倍くらいで9万かなあ…と、
  でも怖いから9万5千円って書いてたんです」
  つまり2番目は橋本さんの書いた9万5千円で、
これが温泉川さんの支払い額になるということですね。

 一方温泉川さんは
 「さっきみんなより自分が高めだったので、今度も高めにした
  12万は高かったかなとは思いましたけどね」
 とのこと
 「でも、12万払っても持っていたかったですか?」
 「そうですね。あくまでも個人的な趣味になりますけど」

 このように第二価格オークションは
 自分の払える最大の額を気にせず書けるので
 入札に後悔しないメリットがあるそうです。 
 先生によれば
 「このルールの下では、過少入札をしても得をしない、ということが現れている」

 竹山さん
 「逆に、例えば100万って書いて、実は10万だろうと思って落札しても、
  2番目に99万って書く人がいたらそれを払わなきゃいけない
  多目に書いても得しないですね」
 
 そしてこの次に、今回も特別に
 みんなの書いた額を公表してもらっていました。
 結構万単位で高い値が付いてます。
 
 しかし橋本さんはこれを見て
 「もうちょっとつけても良かったかな」
 と言っていました。
 竹山さん
 「正直、いくらまでなら出してました?」
 彼女は
 「うーん…」
 と迷った様子で
 「落とせるならいくらでも…
  ほかの人の金額が分かればそれより上をつけていた。
  12万って分かってたらそれより上をつけていたのに…」

 しかし、先生はそれを聞いて
 「それは僕としては残念ですね…」とコメント。

 「第一価格オークションは他人との駆け引きが要る、
  しかし第二価格オークションは要らないはずなんです。

  …なぜ己の頭の中だけで決めない?

  自分で価値判断して、それを素直に書けば一番得だったはずなんです」
 と力説(笑)

 又吉さん
 「このやり方だと、最大支払える額を書かずにほかの人が入札した場合、
  後悔するから正直に書いた方がいい、ってことなんですね」

 先生
 「おっしゃる通りなんですけど…
  今回のこの結果を見て
  人間ってめんどくさいな、むつかしいなと思いました」
 先生、人間めんどくさい、て正直すぎ(笑)

 又吉さん
 「(笑)そこまで思いました?」
 先生
 「思います思います」

 竹山さん
 「実際はバイヤーみたいな人がやりますよね、
  そういう人、ビジネスとしてやるなら合ってるんでしょうね…」
 又吉さん
 「落札したらコメント求められるかなぁ、とかいうのもありますしねえ」
 竹山さん
 「(笑)又吉さんのファンだから、性格も又吉さんによく似てるんだね」
 又吉さん
 「僕は気持ちよくわかりますけどね」
 
 ちなみに、この第二価格オークションは
 インターネット検索サイトの広告枠の落札に使われているそうです。
 場所ごとにオークションされているのだとか。
 
 このオイコノミアオークション参加者に感想を聞くと
 「価格のついてないものを値段付けるのは難しいですね」
 又吉さん
 「それけっこう重要ですよね、
  三日くらい前から見てて、前日くらいに決められたら大きいですよね」
 先生
 「たしかにそれは非常に重要で、
  美術品のオークションなんかは、長い閲覧期間というのをもうけています。
  今回はそれが短かったのはあると思います」

 先生はまた
 「普通は入札価格は分からないのですが
  今回は特別に見させていただいて、勉強になりました。
  人間の複雑さというか、不思議さというのを教えられたような…」
 
 今回は実際の金銭やり取りはせず、落札した方にそのままプレゼントしたようです。

○まとめ
 竹山さん
 「いろんなオークションがあるのは知らなかったから、勉強になりました。
 ただ怖いなと思ったのは、
 巧妙にできているとは思うのだけど
 インチキする人間が出て、そういう人間が徒党を組むと、悪いことにつながる」
 先生
 「そうですね、例えば談合しちゃうとか、あるいは嘘の出品をするのは起こりうる」

 又吉さん
 「そういうのを無いようにしないと、オークションも参加できないですね」
 竹山さん
 「オークションって信頼ですね」
 先生
 「おっしゃる通りで、
  オークションというか売買自体、信頼の社会基盤がないとうまくいかないんですよ。
  ちゃんと渡してくれるか、支払いされるかなど…

  信頼はオークションで売買できない、
  というかお金で買った瞬間に、それは信頼でなくなる」

 竹山さん
 「みんながつながってないとすべてがうまく回らない、人間味のあるものなんですね」
 先生
 「オークションというゲームがフェアになるような社会が必要になると思います」

感想など
・第2価格オークションとはゲーム理論の1つで、
 米国の経済学者ウィリアム・ヴィックリーさん
 (ノーベル賞受賞者)が考案したものだそうです。
 読めば読むほど良くできたシステムだな~と思いました。

 http://www.bk-web.jp/2012/0102/bkseminar.php

 http://brevis.exblog.jp/20554631/

 などによると

 オークションにおいては、
 それぞれが、自分が一番いい、と思う価格を正直に提示する戦略をとると、
 みんなにとって最適な均衡状態になるのだそうです
 (ナッシュ均衡、
  どの参加者も、自分の戦略をこれ以上変えても得にならない状態、
 と言うのだそうだ)

 ここには前提として、
 みんなも正直にベストな額を提示するはず、
 と「周りを信頼できる」条件が必要だが、
 第1価格オークションではこれが成立しないらしい。

 というのは、各人のオークションの戦略を考えると

 例えばAさんという人がいて、
 この品をめちゃんこ欲しいから、aという高い値をつけたとする

 このときオークションでAさんが取りうる戦略は
 1aより高い額を書く
 2aを書く
 3aより安い額を書く

 のどれかだが、

 経済学の「人は自分の利益を最大にするように行動する」という理論を当てはめれば
 1はあり得ない
 なぜならこの場合、
 競り落としても利益がマイナスになっちゃうし、
 競り落とせなければ買わないから利益はゼロ
 つまりどちらにしてもプラスにならないため
 (実際は、無理してでも買うよ、って人はいるかもしれんが)

 2の場合は
 競り落としても落とさなくても利益はゼロ、
 損にはならんけど利益はない
 (どうしても欲しいものが手に入る、という満足感はあるが)

 そして3の場合
 競り落とせれば利益はプラスだが、
 競り落とせない可能性が出てくる
 つまりギャンブルに近い

 ここで、他の参加者がそんなにその品を欲しくない、あるいは財力がなく
 aより安いbという値段をつけているとすれば

 一番理想的なのは、
 「bよりちょっとだけ高い価格で競り落とすこと」
 こうすれば利益が(a-b)で最大になり、品物も手に入る

 しかしbより少しでも下回る額を書けば、品物が手に入らない
 bギリギリを狙うのが最適

 しかし
 第1価格オークションではbが分からないので
 aを正直に書くと
 「もっと安く買えたのに…」
 と後悔する可能性があるし

 bより安く書いたら競り落とせず
 「正直に書いといたら良かった…」
 となる可能性がある
 Bさんもそれは同じなのでbを書くとも限らなくなる

 他人の情報が分からず、
 予想で自分の決断が左右されるので、均衡状態にならないのだそうだ。

 一方第2価格オークションだと、
 Aさんがaと書き、一番になって競り落としても、実際払うのはb
 つまり先ほどの
 「利益a-bを得て、しかも品物もゲット」
 という理想状態が実現できることになる

 このため、みんなが正直になれるので、
 全体としても均衡がとれる、
 ということだそうです

 「信頼」を作り出すシステム、
 というのはおもしろいと思いました。

 ただしこれは美術品など、
 本人が純粋に自分の価値観で値段が決められる時に限るそうで
 公共事業など、
 値段設定に他人とか他の企業などの要素が絡んでくるものは、
 正直に額を設定できない場合もあるようです。

 それからヴィックリーさんは
 封印型第1価格オークションは公開型の競り下げ式、
 封印型第2価格オークションは公開型の競り上げ式と
 理論的には等価ということを示したのだそうです

 一瞬「?」と思いますが
 競り下げ式は、自分の出せる価格を先に言うかどうかの読みあいがある

 競り上げ式は、自分の出せる価格を先に言う必要がない
 他に買う人がいなければ、それより安い所で取引が成立する

 …という点で同じなのかなと思います。

 ただし、実際は公開型オークションの方が、
 他人の情報が分かるので、
 それに自分の決定が影響されてしまう要素はあると思う。
 例えば「負けたくない」という感情で、
 その場の勢いで身の丈より高い価格をつけてしまい、
 後悔することはあるので
 全く等価とは思えないですが…

・第2価格オークション方式でも、
 橋本さんが遠慮しちゃったのは何でだろうなぁ…と思いました。

 私なりに考えますと
 1つは、第1価格オークションと何が違うんか、
 ルールの意味が分からなかったのかもしれない。

 私も最初ルールの意味が分からず
 「自分が出せるMAXの値段をつけても、損にはならない」
 ということが分かりませんでした。

 それが分かってたら、他人を気にせず思いきり自由に値段をつけられたかもしれないが、
 分からんから、最初のやり方と同じようにしちゃったのかもしれないなと思いました。

 第2価格オークションを成功させるためには
 ルールの意味も伝えて、
 みんなに正直になってもらうこと、
 互いを信頼しあえるようにコーディネートすることが必要なのかも。

 もう1つは、たくさんのお金を払うのにためらいを感じたのかもしれない、ということ。

 彼女はどうなのか分かりませんが
 私の場合、大きい額を使う習慣があんまりないので、
 いくら欲しいものでも、ポンと払うのはやはり勇気が要る…
 9万5千でもかなり大きな額で、
 それ以上のお金を普通に出すなんてちょっと気後れする、
 というか、概念にない、それって現実世界?くらいのレベルです

 (私こういう行動なので、なかなか金持ちに近づけないんだろーな。
 お金持ちとか、成功する人は
 そういう欲しいものに躊躇なくお金を出せる、
 その代わり、そうでないものにはびた一文出さない…
 というのを思い出しました)

 一方12万で競り落とした方は、
 そういう大きい買い物に慣れてそうな感じがしました。
 (勝手な想像ですので、間違ってたらスミマセン…)

 お金の使い方の習慣というのも
 買い方に影響が出るのかも?

・「人間ってめんどくさい」のはたしかにそうだなーと思います。
 理論を考えたってなかなかその通りには動かない。
 でもそこがおもしろい所なんだろうな。

 心理学的、脳科学、経済学など
 いろんな話を聞いていると
 人間や社会の活動って、
 けっこう感情とか気まぐれに大きく左右されているなと思う。

 経済学も、ゴリゴリの理論より心理学的なアプローチの方が
 説明できることが増えてくるのかな~と思いました

 ちなみに又吉さんのポエムは
 「案外価値を決めていなかった」
 たしかに、価値って自分でつけろと言われると難しいですね…
 先生も途中で問うていたけど、己の尺度で生きるのが一番合理的なのかも。

 色々勉強になりました。
 というわけで、今回はこの辺で。



posted by Amago at 10:34| Comment(0) | テレビ(オイコノミア) | 更新情報をチェックする