2017年07月04日

NHKスペシャル 「謎の“日本人テロリスト”を追え ~ダッカ・テロ事件から1年~」

NHKスペシャル 「謎の“日本人テロリスト”を追え ~ダッカ・テロ事件から1年~」

バングラデシュのダッカのテロ事件については
NHKさんはニュース、Nスペ、クロ現でも取り上げていました。
(と思ったら、クロ現はテニスの試合に差し代わっていた。
 クロ現見てから書こうかなと思っていたのに…)
なにかあるんかなと思って録画していたもの。

おそらく
・テロからちょうど1年(起きたのは2016年の7月1日)というのと、
・犯行グループのJMBのメンバーで、指名手配されている人の中に
日本と関わる人がいる(まだ逃亡中)
のが理由かなとと思われます

最初は暗い内容なので見るのやめようかなと思っていたけど、
見てみたら、問題は根深そうでした。

〇ダッカのテロの日本人犠牲者
 テロが起きたのは、高級レストランのホーリー・ベーカリー。
 当時食事をしていた日本人7人も犠牲になった。
 彼らは、みんな発展途上国の支援活動をしていた方たちだそうです

 犠牲者のうちの一人の岡崎さんという方のご両親は
 「息子がどんな最期だったのかを知りたい」と話していました
 彼は32歳と若い方で
 都市工学を学び、発展途上国の人のために働くことに生きがいを感じていたそうです
 「みんなに喜ばれるのがうれしいと話していた」

〇当日起きたこと
 スタッフは現地に飛び、当日そこにいた生存者を探し、話を聞いて回る
 テロリストからの報復を恐れて、口を閉ざす人が多かったが
 店の元従業員などが話をしてくれたそうです

 当時店を襲撃した実行犯は5人
 JMBという、ISのバングラデシュ支部を名乗るグループの犯行で 
 彼らは事件後に犯行声明を出したそうです

 ・一人の元従業員の証言
  「夜の8時半ごろ、店の厨房にいたら
   ホールから「アラーは偉大なり」という声が聞こえ、銃声が聞こえた」
  当時店にいたのは外国人
  (イタリア人、インド人、スリランカ人、日本人など)
  のほか、バングラデシュ人もいたそうです
 
  「みんな助けてくれと泣き叫んでいたが
   彼らはテーブルの下に隠れていた人にもみんな発砲した」
  バングラデシュ人だけは撃たず、外国人を狙い撃ちしていたとのこと
  「彼らはみな笑っていた」

  日本人もみな狙われたが、
  一人だけ外のピザ窯の裏に逃げ込み、助かったそうです

  20分近くしてから警察と治安部隊が到着したが
  警察官2人が負傷し、膠着状態になったそうです

 ・別の元従業員の証言
  しかし、本当はもう一人助かっていたはずの人がいたそうです
  この従業員は、日本人のテーブルの近くにある冷蔵室にいたが、
  日本人の一人が助けを求めてきた

  彼はその人の手を取り、冷蔵室に引き入れたそうです
  どの人だったか写真で確認すると、岡崎さんでした

  冷蔵室の中で、二人で息をひそめながら
  寒いのでスクワットしていたそうです
  「外に出たい」とも言っていたが
  「危ないから警察が来てから出よう」と話していたらしい

  しかし夜中の1時過ぎになり、
  冷蔵室の前に来たのは警察ではなく実行犯たち
  二人はドアを開けられないように押していたそうですが
  彼らはものすごい力でこじ開けたそうです

  そのあと二人は店内に引きずり出される
  店内には人質になっていたバングラデシュ人の家族
  (子供の誕生日パーティーで来ていたそうです)
  がいたので
  「子供がいるから人を殺さないでくれ」
  と頼んだそうなんですが

  実行犯はその従業員に前に出るようにいい、コーランの一節を唱えさせた
  「しかしそのあと、後ろで銃声が聞こえた
   日本人の彼が撃たれたとわかった」

  人質になっていた女性によれば
  「許してください、助けてくださいと言っていたのに、話す隙も与えなかった」
  
  朝7時40分になり、陸軍と特殊部隊が突入、犯人たちをすぐに射殺したそうです
  しかし外国人17人、バングラデシュ人を含めると22人が犠牲になったそうです

  岡崎さんと冷蔵室にいた従業員は、今でも自責の念に駆られるそうです
  「何とかして彼を救えたのではないか」
  その思いは耐え難い苦痛として心に残っているそうです

〇JMBについて
 JMBはなぜ外国人だけを狙うのか?
 スタッフは、JMBの元幹部に話を聞くことができたそうです
 この元幹部はダッカテロにはかかわっていない、とのことです

 「なぜ外国人を狙うのか」という質問に対し
 「外国人を狙えば、政府の立場が弱くなる
  外国からの圧力が強まり、発言力が弱くなる」
 「ターゲットは外国人、
  もしくは今の政府を支援する人々だ」

 つまり政府の弱体化を狙っている
 もともとバングラデシュは親日国ですが、日本人も例外ではないらしい
  
〇JMBの中の日本とつながりを持つ人物
 このJMBに属する人のうち
 10人が危険人物として指名手配されているそうです

 そのうち、首謀者とされる人はアジトにいるのを警察が見つけ射殺
 別の一人は潜伏先のシリアで殺害されたそうです
 
 しかし別の人たちは行方が分かっていない
 この逃亡中の人の中に、日本人名の人がいるそうです
 
 彼はサイフラ・オザキ(本名はサジット・デブナット)
 事件にかかわった証拠はないが
 SNSを通じ「募金」と称して日本国内のバングラデシュ人から資金を集め、
 過激派組織に資金援助をしたたしかな証拠はあるので、
 指名手配になっているとのこと

〇彼と日本とのつながり
 彼は2002年に学生として来日したそうです。
 母国の発展のために留学していた

 当時彼の指導教官だった立命館アジア太平洋大学の方によれば
 「優秀で、しっかり勉学にいそしんでいた」という印象だったそう
 「日本はフェアな社会だから好き、永住権も取りたいくらい」
 とも言っていたそうで、
 日本を第二の母国のように感じていたようです

 その後彼は立命館大学の准教授となり、学生を熱心に支援する
 私生活でも日本人の妻との間に4人の子供をもうけ、
 幸せに暮らしていたそうです。
 「子煩悩のお父さんで、仲の良い親子だった」

 しかし少なくとも、2014年頃からISのテロネットワークには関わっていたようです
 日本にいるバングラデシュ人の若者を過激思想に染め、
 シリアにあるISの拠点に送る活動をしていたようです

 彼に勧誘され、テロを起こした若者の一人の供述調書によると
 「私がオザキと知り合ったのはフェイスブックだった
  彼は日本在住で、シリアとパイプを持つというふれ込みだった
  当時私は人生で最もつらい時期で、
  彼は私にシリアの戦闘活動に加わるように、私の気持ちを煽り続けた」
 
 サイフラ・オザキはバングラデシュと日本を行き来していた
 バングラデシュのモスクに若者を集め
 日本では、彼らのシリア行きの算段を取る
 
 なぜ日本なのか?
 現在、シリアに行くには、トルコから国境を越えていかねばならないらしい
 しかし、トルコではテロ対策として、ビザを出す審査が厳しくなっている
 ところが日本のビザを持っていれば、信用が増し、
 トルコのビザも比較的簡単に取れるそうです

 テロを起こした若者も
 「オザキは、日本のビザがあれば、
  トルコのビザもオンラインで取得できると教えてくれた
  日本のビザは、オザキが身元引受人になってくれたので一週間で取得できた」
 と言っています

 また、バングラデシュ警察も
 「トルコに渡航する人は外国人戦闘員として入る人が多い」
 として、バングラデシュのトルコ大使館でビザを取る人には警戒を強めている
 実際、何人か逮捕したことがあるそうです
 「彼らは、バングラデシュの大使館でビザを取ると
  逮捕されたり計画が露呈する恐れがあると考えたのだろう」

 同志社大学にいた、オザキ氏とつながりのあるバングラデシュ出身の学生3人も
 現在行方不明になっているそうです
 彼らもシリア入りしたと思われています。

〇彼が心変わりしていった理由
 ではなぜ彼はISと接点を持つようになったのか?

 彼の生まれ故郷で両親に話を聞くと
 両親は
 「なぜ息子が容疑者になっているのか分からない」
 「連絡を取りたい」
 彼から電話も来ないそうです
 
 彼の家は、村では珍しいヒンズー教徒で、
 しかも下のカーストだったそうです

 彼はバングラデシュ唯一のエリート士官学校に進み
 家を出ると両親に断りもなく、イスラム教に改宗したのだそう
 当時を知る同級生は
 「彼はイスラム教はフェアだと言っていた、
  黒人も白人も関係ない、みんな平等なのはいいと言っていた」
 
 しかし世界では、ムスリムは厳しい立場に置かれていた
 彼を変えたのは、長期にわたるシリアの内戦だそうです
 「アサド政権と反政府勢力が対立していて、
  そこにロシアとアメリカが介入したため、
  戦闘は泥沼化し、多くの人たちが犠牲になり、避難している」
  
 「世界はアンフェアだ、
  イギリスやアメリカがイスラム教をこんな風にした」
 と言っていたそうです

 ISはその後国家樹立を一方的に宣言
 「ジハード」と称する戦闘を行っている

 彼は当時、ISのサイトを熱心に見ていたそうです
 ISは世界をフェアにする、
 イスラム教を広めないと、世界はフェアにならない
 と考えるようになったそうです。
 「ISは理想の国を作る」とも言っていたとか…

 日本に対する態度も変わっていったそうです

 安倍首相が2015年にISと戦うと宣言、
 2人の日本人がISの犠牲になった

 この時の日本の反応に、彼は失望していたそうです
 「日本は、ISが日本人2人を殺したら大騒ぎするのに
  イスラム教徒が何千人も殺されてもニュースにもならない、
  日本はアメリカの言うことをうのみにするだけで、
  ムスリムの厳しい現実を知らない」

 そして彼はダッカテロの半年前、姿を消したそうです
 ブルガリア経由でシリアに入ったのだろうと言われているそうです

〇ISに感化される若者たち
 ダッカテロの実行犯には、地方の貧困者もいれば、都市部のエリートもいる
 彼らはネットを通じてISに感化されたそうです

 元幹部によれば
 感化されやすい若者は使いやすい、のだそうです
 「若者は自分をテロリストと思っていないのだ。
  アラーに従ったジハードをしているんだ、と信じている。
  その背景には国家からの抑圧や、社会への不満がある
  こういう人たちがいる限り、テロはなくならないだろう」
 幹部を射殺したところで、
 これからもISは若者を感化し続けるだろう、とのこと

〇最後に…
 帰国後、スタッフは岡崎さんのご両親と再会したそうです
 さすがに事実を告げるのはためらっていたそうですが
 「どんな残酷な最期でも教えてほしい」
 と二人に言われ、彼と一緒にいた従業員の証言ビデオを見せていました

 二人とも最初は涙があふれ、言葉も出なかったのですが、
 父親は絞り出すような声で
 「最期即死だったなら…
  こんなこと、親が言いたくないことだけど
  苦しまなくて済んだ、それが本人にとっては良かったんじゃないかな」
 と自分に言い聞かせるように言っていました。

 岡崎さんの墓石には、「ダッカテロ人質事件」という文字と
 志半ばで逝った7人を象徴する星7つが刻まれているそうです
 「事件を風化させないでほしい」とご両親は話していました。

〇感想など
 最近のテロでは、生活が苦しい貧困層だけではなく
 比較的裕福なエリートも実行犯だったりする。
 それはなぜだろうと思っていたけど、
 理想の世界を作りたいという思いから来ているのだなと思いました。
 (並べていいのか分からんが、
  一時期のオウム真理教に走っていたエリートに通じるものがあると思う)

 特にオザキ氏の場合
 自分がカーストの低いところにいたから
 おそらくヒンズー教徒だったころはつらい体験をしていたのだろう。
 それを救ってくれたのがイスラム教だったのに、
 なんでみんなそれを否定するのか、という思いが強いのだろうと思う。

 こうしてみていると、
 お互いの誤解がどんどん広がってしまっているから難しい…

 本来はイスラム教は、彼が言うように平等で平和な宗教なんだけど、
 一部のテロリストのせいで
 欧米では「イスラム教」イコール「怖い人たち」というイメージができつつあるし、

 一方欧米はテロリストだけを攻撃しているつもりなんだけど、
 オザキ氏のような人たちは
 自分はテロリストではなく、純粋なムスリムだと思っているから
 「欧米の攻撃」イコール「イスラム教への迫害」と勘違いしている…

 どちらも「自分は正しい、正義を実行している」
 と思っているし
 どちらも部分的には正しいので、よけいややこしい。

 話し合うことができたら…と思うのですが
 ここまで来るとお互いの信頼感がゼロだろうから、
 余計難しい。

 というか、話し合いよりも戦争をやりたがっている人たちがいるようにも見える。

 アサド大統領の話も昔ドキュメンタリーで見たけど
 あの方はアメリカなどに降伏したら
 自国内での自分の立場がなくなる(悪ければ抹殺される)から、
 絶対に何があっても負けたとは言わない、ということは分かりました。
 (たぶん北朝鮮も同じ)

 なのでいくら他国が攻撃したところで
 いつまでたっても抵抗し続け、終わらないことは分かっているのに
 欧米はなんで戦争を続けるんだろう。

 たぶん武器を売りたい人とか
 この国は気に入らないから倒したいと思う人とか
 戦争をしたい人が世の中には少なくないのだろうと思う。

 そしてそういう戦争をしたい人たちが
 オザキ氏のような純粋な(間違った純粋さですが)若者たちを
 「感化」して「利用」しているのだろう。
 ここまでくると、どうにも手に負えないな~と思ってしまいます。。

 日本でできることはなんだろう、と思ったのですが
 偏見をなるべくなくすこと、異文化の人たちのことも理解しようとすること
 (特に若い世代の人たちは)
 なのかなと思います

 オザキ氏は日本での報道に憤っていたけど
 日本でもイスラム教についての正しい知識を
 もう少し広めた方がいいのかもしれない、と思う。
 草の根レベルで仲良くなれたら、
 誤解もすることはないかもしれない…
 
 ちなみに私も学生時代
 イラン人の留学生さんが同じ研究室にいて
 (といっても私は別の場所だったので、あんまり話す機会はなかったけど)
 「一日5回お祈りするための部屋はありませんか」
 とおっしゃっていたそうで、
 イスラム教って本当にお祈りするのか~、
 と思った記憶があります。
 彼のために飲み会ではお肉抜きのメニューを考えたり、という体験も新鮮で
 ご本人も穏やかで楽しい方でした。

 お互い、顔を突き合わせて
 同じ人間なんだ、と感じられたら憎しみあうこともないと思う。

 でも、オザキ氏も奥さんが日本人で
 彼が親切にしてもらった日本人も少なくなかっただろうに
 それでもISのネットの情報の方を信じてしまう
 というのはなんだかやるせないなと思います。
 やはり、幼いときからのカースト体験の方が強烈だったのだろうか。
 
 最近、ISの戦闘員が
 シリアだったかイラクだったかの子供を洗脳して
 攻撃的な人間にしてしまっている、
 という報道を目にしました。
 (その攻撃性は、後々残ってしまうそうです)

 こういうのを目にしても
 子供のころこそ、異文化の人たちと仲良くする
 みんなに親切にされる
 という経験は必要なのかなと思います。
 親として、そこは心にとめておきたい。

 それにしても、オザキ氏の奥さんや子供たちはどうしているのだろう。
 なんでこうなってしまったのか、
 なんで彼を止められなかったのか、
 と思っているのかもしれないし
 あるいは諦めているのかもしれない。
 彼にも、奥さんや子供たちへの思いが少しでも残っていれば…と思います。

 そして、
 発展途上国の人たちを救いたい
 と純粋に願っていた7人の人たちの思いも
 無駄にならない世の中が来てほしいと思います。

いろいろ考えさせられました。
というわけで、だらだら書いてしまいましたが、今回はこの辺で。
 
 
posted by Amago at 12:04| Comment(0) | テレビ(政治) | 更新情報をチェックする