2017年09月01日

NHKBSプレミアム「アーススキャナー~“空白地帯”の謎に迫る~」

BSプレミアム「アーススキャナー~“空白地帯”の謎に迫る~」

世界の地図上で空白になっている所を調べに行く
という番組でした。

地理好き、地図好き向けのマニアックな番組かなぁと思っていたのですが
意外とそこには深い話があり、予想より面白かったです

進行は鈴木浩介さんと池澤あやかさん(IT女子らしい)
AIの「アーススキャナー」のオペレーションルームにいる、
という設定でした

 番組では3ヶ所取り上げられていました
 1地図にない水上都市(ナイジェリア)
 2海にそびえる謎の巨大構造物(イギリス)
 3ソ連時代にタイムスリップしたかのような町(モルドバ共和国)

というわけで内容。

1地図にない水上都市(ナイジェリア)
 ここではゲストにナイジェリア出身のボビー・オロゴンさんを招いていました

 地図を見るとナイジェリア、ラゴスという街の一角に空白地帯があり、
 「Makoko」と書かれている

 ボビーさんに聞いても
 「あんまり行かない」
 「あんまり知らない」
 ナイジェリアの人にとっても謎らしい

 地図を見るとここだけ真っ白だが、
 衛星画像では家がびっしり並んでいます。
 てことは人が住んでるんですね。

 現地のナイジェリア人リポーターの方が取材に行った映像がありました

 ・マココ地区
  ナイジェリアのラゴスは賑やかな街で
  アフリカでは、エジプトのカイロに次ぐ第2の都市なんだそうです

  マココに行ってみると、普通に露店のような商店が並ぶフツーの町。
  リポーターの女性も、キャッサバ(イモみたいなの)をあげたものを食べてました。

  しかし、この地区はほとんどが水上なのだそうだ
  現地の案内者とボートに乗っていくと
  水上には、簡素な家があちこちに浮かんでいる
  彼らは水の上で暮らしているらしい

 ・水上での暮らし
  水上のわりと広いところでは
  小さいボートが行き交っていて
  物を売る人もいました

  服を売るボート、
  パンを売るボート、
  ジュースを売るボートも。

  ジュースはビニール袋に入れて
  ストローを刺して飲むんですけど、
  リポーターも「これ美味しいのよ~」と飲んでました(笑)

  中には銀行屋さんもいました
  手帳を持ち、手数料をもらってお金を管理しているらしい

  水上学校もありました
  現地の人と外国の支援団体が作っていて
  先生はボランティアの方がしているそうです

  つまり水上でも物資には困らないらしい

 ・インフラなど
  インフラはどうかというと、
  水は陸からパイプを引いて手に入れる。
  土を入れて埋め立て地を作る人もいたし、
  電線を自分で引いている人もいました

 ・家屋
  電線を引く人の家にお邪魔すると、
  家屋は木造、わざと隙間のある造りになっている
  蒸し暑いからだそうです

  建物は二階建て、
  一階に台所、二階でご飯を食べるらしい

  電気は通るが、状態が悪く1日2、3時間くらいしか使えない
  しかも電気代は高いのだそう

 ・生計
  彼らは商売人もいますが
  伝統的に漁師さんが多いそうです
  この家の方も伝統的な漁で、
  9歳の息子さんと、船で10分ほど行ったラグーンで投網漁をしていました

  ここは海水と淡水が交わるところで魚がよく採れるのだそう
  1日でナイジェリアの平均労働者の1週間分稼ぐ日もあるそうです

 ・日本人調査員の話
  日本大使館の方が、彼らの生活を5年調査しているそうです。
  テレビ電話でインタビューしていましたが

 「なぜ5年も調査を?」
  という質問には、支援に向けて、謎だった彼らの生活を把握するためだ、とのこと
  「物資はあるが、衛生状態はいいとは言えない、
   医薬品や医療関係者が不足している」
  と問題点を指摘していました

 ・なぜ彼らは水上で暮らすのか
  ではそもそもなぜ彼らはわざわざ水上で暮らすのか?

  それは、彼らの歴史と生活に関係するそうです

  彼らの多くはエグン族という民族で
  伝統的に漁業をしてきた人たち。
  ボビーさんの属するヨルバ族とは違うのだそう
  (ナイジェリアの多くはヨルバ族らしい)

  エグン族は土地を持たず
  魚が採れる漁場があればそこに移動し、
  魚が高く売れる所で生活してきた

  この地区の近くにはラゴス環礁があり
  淡水と海水が交わる所なので、
  魚がたくさん採れる
  都市も近いので高く売れるのだそう

  先の電気を引いていた家族も
  ナイジェリア国内の違う漁師町に住んでいたそうですが
  魚がたくさんとれるのでこちらに越してきたそうです、

  他にも、隣国ベナンから来た人たちもいました

  よほどいい漁業なのか
  2000年と2017年の衛星画像を比べると、居住地は拡大しているそうです

  リーダーの一人によれば
  彼らは18世紀から、
  ベナンやナイジェリアの海辺で暮らしていて
  移動しながら漁をして暮らしてきた、とのこと

 ・国境の問題
  しかし、国境の問題がある。
  先の調査員の方に話を聞くと
  「20世紀に入ってこの地に列強が進出してきて、
  この土地に後から国境を引いてしまった
  そしてベナンはフランス、ナイジェリアはイギリスが支配した」

  「しかし、彼らは何百年も、移動して生活してきた背景がある
   だから、パスポートを持たずに移動する人もいる
   国際法的には、そういう人は、不法移民ということになってしまう」

  「国際法違反だ、と簡単に言うことは出来るが
   彼らの歴史を考えれば、もう少し柔軟になる必要はあると思う」
  とのことでした

  アフリカでは、国境、てのは欧米の都合だけの話なんだな、と改めて実感させられました。
  住んでる当人たちにはあんまりピンと来ないのかもしれないですね。
  ボビーさんも、民族が同じ人は言葉も同じなので、国が違っても別の国には思えない、
みたいな話をしていました。
  最近ベナン出身のタレントさんが同じ民族だと分かったとか。

 ・彼らを認めない政府
  2012年、ラゴス州の政府は
  環境保護や治安維持の名目で
  彼らの家を強制撤去したそうです

  家を壊されたため野ざらしになり
  弱い子供など、亡くなった方も多かったそうです

  しかし彼らはたくましい。
  半年後には、新しい家屋を建てていました。
  近くに木材の集積地があり、製材所もあるため
  魚を売ったお金でそこから木材を調達し、新しい家や簡易ボートを建てられたのだそう

  なぜそこまでしてここに住むのか?
  という問いに対しては
  「私たちは魚が採れる所に住んで暮らしてきた民族、
   それ以外生きる道がない」
  と答えていました

 彼らは、政府に認められていないために地図に載っていないようです。
 しかし、確かに彼らは力強く生きている。
 ボビーさんは
 「生きる力だと思いますよ、
  だって僕らがあそこに行ったって多分生き延びられないよ」
 池澤さんは
 「私泳げるからあそこに住んでも大丈夫そう~」
 と言ってましたが
 鈴木さんは
 「強気ですね、僕泳げるけど無理、て思っちゃった」(笑)

さて次のお話に入ります
2海にそびえる謎の巨大構造物(イギリス)
 ここでのゲストはイギリス出身のピーター・バラカンさん、DJをされているそうです
 (何でDJの人?と思ったけど、
 後で疑問が解けました)

 最初に、この「シーランド公国」発行の切手が…
 国の存在を主張して発行したらしいんですが
 切手収集家の間では
 「シンデレラ切手」
 と呼ばれているらしい
 (未公認国家のなので、いつ消えるか分からない、という意味らしい)

 さてこの「シーランド公国」、地図上で見たらどうなるか?
 最新の衛星画像では、海に浮かぶポツンとした点みたいなので、何だか分からない。
 ピーターさんは
 「ロンドンのちょっと東ですね」

 そこで、スタッフが実際に訪ねたそうです

 ・シーランド公国訪問
  まず訪ねたのはハリッジという港町。
  ここから船で行くのだそうです
  「皇太子」と称する方が迎えに来てくれました

  しばらくいくと何か見える。
  しかし島かと思ってたら
  見えるのは鳥居のような形をしたコンクリートの建造物で、
 「SEA LAND」と書いてありました。

 どうやって上陸するかというと
 てっぺんからクレーンみたいなので引き上げるのだそう。
 クレーンの先にはブランコがあり
 そこに座って引き上げてもらう

 スタッフが「大丈夫?」と不安そうに聞くが
 「失敗したことはないから大丈夫」
 無事上陸していました

 さて上陸すると
 数人の「国民」が待っていました
 いつもは一人ずつ、2週間交代で守っているらしい

 ・シーランド公国の生活
  実は、ここは英国海軍の要塞だった建物をリサイクルして使っているそうです

  生活はできるそうで
  食料は、イギリス本土から調達
  ただし2週間に1度しか補給されないので缶詰などが多い

  水は雨水を貯めて使い、トイレ、シャワーもある

  電気は風力発電で賄う
  海の上なので風はビュービュー吹くらしい

  唯一問題なのが冷蔵庫で
  電気を食うので小さいのしかないそうです

  建物の構造としては
  鳥居の上の平らな部分はメインのところで
  ダイニング、キッチン、リビングルームがある

  柱部分は階層構造になっていて
  地下6階まで部屋があるらしい
  地下1階は発電所、ディーゼル発電機がある
  地下2階はビリヤード台とトレーニングマシーン
  地下3階はゲスト用の寝室
  地下4階は礼拝堂、
  地下5階は会議室
  地下6階は刑務所があるんだそうだ

  一応、5階で議会を開き、
  国民は187人いる、とか言ってたけど
  会議室の椅子5脚しかないし、どこまで本気なのか(笑)

  元々は海軍の要塞なので
  ダーツの跡とか大砲を保管していた名残などが残っていました

  イギリスには、ドイツからの攻撃に備えて海上にこういう要塞が多くたてられ、残っているものも多いのだそうです

  ここにすむ「国民」の方によれば
  機械など老朽化が進んでいて
  それを直すのに忙しいらしい
  でもうるさいボスがいないから最高、と話していました

 ・シーランド公国の歴史は「自由」への戦いの歴史
  最近、この国への問い合わせが多いのだそう
  イギリスがEU離脱を決めてから、
  市民になりたいという人が増えているのだとか
  「自由を求める人にとっては最後の砦」なんだそう

  自由の砦とはどういう意味か?
  それは、この国の成り立ちと関係しているらしい

  この国はロイ・ベーツさんという方が1967年に建国されたそうです

  彼はスペイン内戦に義勇兵として参加、
  自由を信念として持っていた

  彼は戦後「海賊ラジオ」を開局
  「民間ラジオがないからこうするしかなかった」
  というのは、当時ラジオ局はBBCしかなく
  かけられる音楽も限られていた
  ビートルズなど、流行っていた音楽も1時間に1回など、かなり少なかったそうです

  このため、自由にレコード盤で音楽を聴きたい人が、
  無許可で海上からラジオを放送していたため「海賊ラジオ」と呼ばれた
  現在DJしている人なんかは
  この海賊ラジオを聞きまくっていたのだとか

  ロイ・ベーツも1965年、ラジオ・エセックスを開設
  しかし政府は違法者として1日100ポンドの罰金を課した

  そこで彼は領海外の場所に脱出を試みる
  当時沖合3㎞までが領海だったので
  その外からなら違法ではないと考え、移転の準備を始めたそうです

  しかし、政府は新しい法律「海洋放送犯罪法」を制定し
  「領海外からの海賊ラジオも違法」としてしまった

  彼らは新しい国を作ることを決意
  1967年、領海外にシーランド公国を作ったそうです

  国はそれに対して違法だ、と裁判を起こしたが
  裁判所は、シーランド公国は領海外なので問題ない、
  となんと政府の訴えをしりぞけたのだそう

  今のシーランド公国の国旗は赤、白、黒の三色ですが
  赤はロイ・ベーツ、
  黒は海賊ラジオ、
  白は純粋な道を示しているそうです
  今でもこの国は自由の象徴と取る人もいるんだそうです

  ロイ・ベーツは国のお金を稼ぐため
  独自の切手、記念コイン、爵位状などを作り、売っていたそうです。

 ・ピーターさんの解説
  ピーターさんも、
  「海賊ラジオは僕らの青春、
   法律で無くなると聞いたときは涙して聞いてました」
  だそうです。熱烈なファンが多かったらしい
  「僕もいつか自分のラジオを持ちたいと思いましたね」

  ピーターさんによれば、
  禁止令を出した翌年、
  BBCはチャンネルが増え、音楽を流す若者向けのチャンネルを開設したそうです
  そして、放送禁止令により職を失った海賊ラジオDJを抜擢したのだそう

  鈴木さん
  「そこは仲良くなったんですね」
  ピーターさん
  「彼のやってたことはエキセントリックですけど、
   イギリスはエキセントリックな人が好きなんですよね、
   今でもそういう人たちを応援するような所があります」

  「それからイギリスは個人の自由を求めますね。
   現実には階級とかは未だにあるけど、
   個人主義が深く根付いている」

  鈴木さん
  「それから裁判所も認めちゃったんですね」
  ピーターさん
  「国際海域でやってるから違法じゃない、そこはイギリスの裁判所もフェアにやってる。
  イギリス、民主主義のあるところは政府の圧力も裁判所には及ばないんです」

  ただし、現在は沖合12㎞が領海となってしまったのと、
  国際法では人工的な建造物は国にすることが出来ないそうで
  やはり違法ではあるらしい。

  一応イギリス政府にも取材を申し込んだそうですが
  「コメントは一切しない」
とのことです

  でも、黙認はしているのよね。
  何となくイギリスの懐の深さを感じます

  ピーターさんは
  「まぁ、認められなくても、彼らは自由にやってたらいいんじゃないですかね」だそうです(笑)

さて次の話です
3ソ連時代にタイムスリップしたかのような町(モルドバ共和国)
 ここのゲストは元大関の把瑠都さんでした。
 彼はエストニア出身で国は違いますが、
 どちらも旧ソ連の国です。

 最初に、プラスチックのおもちゃみたいなコインが出てきました。
 このコインは実際にこの共和国で流通しているそうです
 ロシア語なので把瑠都さんに読んでもらうと
 「プリドネストロスキー共和国」と書いてあるとか
 把瑠都さんはコインコレクターらしいですが、
 「見たことない」
 と話していました

 この「プリドネストロスキー共和国」は、モルドバのドニエストル川近くの地域。
 モルドバの人たちにこの共和国のことを聞くと、
 「沿ドニエストル地方のことね、
  この地域のことはあまり話したくない」と訳ありな感じ。

  地図にないので、スタッフが訪ねたそうです

 ・まるで旧ソ連のような街
  この街に入るには、通行ゲートを通るのだそう
  ゲートをいく人はパスポートを持っていて
  そこには「Migration Card」と書いてある紙が挟んである

  沿ドニエストルに行くと
  ハンマーと鎌(旧ソ連国旗の左上にあるマーク)
  の周りに、小麦と果物などの絵が書かれた独特の旗が、あちこちに掲げられている

  中心都市のチラスボリという所は人口10万以上のにぎやかな街ですが
  レーニンの像があり、
  役所には「ソビエト会館」と書かれており
  昔のソ連の名残が残っている

  ここは住民の3割がロシア系で
  経済的にもロシアと結び付いているそうです

  例えばコインは例のプラスチック製の独自通貨を流通させているが
  紙幣もこのコインも、ロシアの支援で発行されている

  また、石油のパイプラインがロシアから引いてあり、実質無料
  年金もロシアから1割支給されているそうです

 ・沿ドニエストル地方の歴史
  モルドバ共和国はルーマニア語圏らしいのですが、なぜここだけロシアの世界なのか?

  もともと、この地にはロシアが人を送り込んできた背景があるそうです
  オスマン帝国の時代、この地はトルコに支配されていたが
  ロシア帝国が対抗上、この地域にロシア人を送り込み、移住させていた
  ソ連の時代でも、
  労働者や農業生産者がモスクワなどから送り込まれていたそうです

  そして1990年には、ロシア系住民を中心に、
  ここの地方はモルドバからの分離を宣言した
  しかし、国際社会からは受け入れられなかった

  1991年にソ連が崩壊し
  モルドバ共和国が独立すると
  モルドバは西側諸国に近付く

  このため、沿ドニエストルの人たちは反発し、1992年に内戦が起きる
  1992年7月に沿ドニエストルが一方的に独立を宣言したそうですが
  国際社会からは未だに認められていないそうです

  彼らは独立したつもりなので
  警察も軍隊も議会も、モルドバとは違うものを持っているそうです

  車のナンバープレートの国旗も違うもの、
  言語もキシニョフ(モルドバの首都)はルーマニア語なのに対して、
  沿ドニエストルはロシア語なのだそう

  学校では、国の成り立ちについての教育に力を入れているそうです

  把瑠都さんによれば
  「ソ連崩壊で、色んな国家がソ連から独立したとき、
   まず最初にレーニン像は撤去されたんです。撤去はロシアからの独立の象徴だった」
  「沿ドニエストルはそこをあえて残しているんですね」

 ・国際的には認められていない国家
  沿ドニエストルのような国際社会から認められていないため国家は
  「非承認国家」と呼ばれている

  モルドバ政府にこの地方について聞いたところ
  「モルドバ共和国も沿ドニエストルも
   国際社会に認められた1つの国境の中にあると認識しています、
   今後は国の再統合に向けて取り組んでいきます」だそうです

  他国からは認められていないため
  輸出品には「沿ドニエストル産」ではなく
  「モルドバ産」と書かないと受け入れられない
  パスポートも、モルドバ共和国のでないと使えないらしい

 ・研究者の解説
  北大のスラブユーラシア地方研究センター研究員の方に、
  テレビ電話でこの地方についてインタビューしていました
  ロシアが年金支給など、経済的支援をしてきたことについて
  「ロシアにはなにかメリットあるんですか?」と聞くと
  「モルドバ共和国が、西側諸国に取り入れられないように
   ロシアが影響力を行使して
   何かあったときのカード、あるいはテコとして使う考えなんだと思います」

  しかし最近少し情勢が変わっている
  「2016年のモルドバの選挙で、
  大統領が親EUから親ロシアの人になったんです」
  モルドバの大統領は、ロシアとの関係改善を打ち出しており、
  ロシアはもう西側諸国に対抗する必要も無くなるので
  沿ドニエストルへの支援をこのままフェードアウトしていくつもりらしい

  研究者の方によれば
  「結局ロシアは支援はしてきたけど、
   ロシアにとっては財政負担になる、
   だからこれからはロシアは支援を減らして、
   沿ドニエストルをモルドバに再統合せざるを得ない方向に持っていくんだと思います」

  鈴木さんは
  「んー、負担になっちゃったから戻して下さい、てのも
   そこに住む人たちにとってはあんまりですね…」
  大国に翻弄される人々の悲哀が感じられました。

  市民の中には将来を悲観してロシア領事館に行き、
  ロシアの市民権を得ようとする人たちもいるんだそうです

  沿ドニエストルの人は
 「もう独立宣言して20年以上たつのに未だ認められていない、
  独立できそうにないのはもう慣れた。
  今は安定した生活が欲しい」
  と話していました

  ただこの方、「下を向いていても仕方ない」
  とギターをもって歌い、趣味の絵を描き
  孫娘は美容師になることを夢見ている
  厳しい現実は現実として、陽気に暮らしている姿もありました

●まとめ
 番組の最後には
 池澤さんは
 「何も無いところって空っぽなのかと思っていたけど、
  そうじゃなくて、書けない色んな事情があったんだなと思いました」

 鈴木さんは
 「歴史、状況、未来、過去とか、
  色んなものが見られたのが興味深かったです」

 さてこの空白地帯のスキャン、まだまだ続く、かも?
 という感じで終わっていました

○感想など
・最初のマココの話では
 以前読んだ「アフリカ 希望の大陸」(ダヨ・オロパデ)という本に、
 アフリカ人のたくましい「カンジュ」精神が描かれていたのを思い出しました

 カンジュとは彼らの言葉で
 「不便さを逆手にとってやりくりするたくましさ」
 みたいなのを示しているんですが
 (貨物コンテナを再利用して病院にしたり
 サッカーW杯で余ったブブセラで簡易洗濯機を作ったり、
 交通が整備されてないから自分たちで夜中の違法バスを走らせ、
 それでも客は多く、そこで物を売り歩く人もいる…など)

 マココ地帯でも、水上の不便さもものともせず、
 近くにある材木をうまく使って家を作ったり
 魚とりだけでなく、ボートで物を売り回って日々の糧にしていたり
 とにかくアフリカ人って図太い、素敵だなと改めて実感させられました。

 また、本には
 国境は実態を全く反映していないという問題点を指摘していました
 (そのため、国民に愛国精神がわかず、
 国の指導者はバラマキ政策、あるいは恐怖政治をして支持を集めるしかない)

 マココ地区に住む人にとっても、
 ベナンもナイジェリアもあんまり意味がない区切りなんでしょうね。

 先の本では、陸地でも移動をして生活している民族がいると指摘しており
 おそらくアフリカでは、EUのシェンゲン協定みたいな
 人の行き来が自由にできる制度にしてしまった方が
 生活も経済もうまく回るのかもしれません。
 あるいは、土地ではなく部族で国を決めるような
 全く新しい国のあり方も模索すべきなのかもしれません。

 …そんなことを考えさせられました。

・2番目の話では、イギリスの国民性の話が興味深かったです。

 昔エマニュエル・トッドさんが
 (彼はフランス人だが、イギリスに留学もしだそうです)
 イギリス人について
 「社会は階級社会だが、思想は個人主義」
 と書いていました
 イギリス人は個人の自由を尊重する、
 ブレグジットもその現れで、ドイツのEU支配から逃れるために国民が離脱を選んだ
 たいう見方をされていましたが、

 ピーターさんの
 「イギリスは個人の自由を尊重する」
 という言葉と重なりました。

 ロイ・ベーツさんの行動も、彼を支持した社会も
 今シーランドが再評価されているのも
 全て個人の自由を尊重する思想の現れなのね。

 またトッドさんは、イギリスについて
 「民主主義が徹底している」
 とも書いていました

 その証拠として、国民投票でのブレグジット選択後の政治家の動きを挙げ、称賛していたと思います
 当時のキャメロン首相は国民の意を受けいれ、速やかに辞任や後任選出の流れを作った、
 また次のメイ首相は、
 自身は元々残留派なのに、
 国民の意思を尊重して離脱手続きを行っている、と。

 シーランドの件でも、
 裁判所の判断は世論とか政治に左右されず、独立しているところは
 民主主義が徹底しているなと思いました。

 また、「エキセントリックな人を愛でる文化」…(笑)
 アメリカもそうなんですが、
 芸能人のゴシップとかでも、
 けっこうぶっ飛んだことをしてたら、日本なら干されますよね。
 でもこういう国だと容認というか、むしろ支持されちゃったりしている…
 これは、変わった人から新しい何かが生まれることもある、
 だから応援する、みたいな
 アングロサクソン系の考え方があるんかなと思いました
 (先のトッドさんによれば
 変革はアングロサクソンから生まれるらしい)

・3番目の話は、ロシアのしたたかさというか冷徹さを感じました。

 ロシアについては
 「ザ・リアルボイス」とか
 プーチンさんのドキュメンタリーとかを見ていたので、
 なるほど~と思いました

 以前、問題にされたクリミア併合では
 「ロシア系住民を救うため」
 というロシアの名分があり、
 ロシア国民やその地域の人たちもそれを支持し、
 世界からの経済制裁も、一致団結して農業などの国内生産を増やし、乗りきっています

 沿ドニエストル地方の支配もそれと重なりました。
 プーチンさんは人の心をつかむのが上手だそうなので、
 たぶんロシア民族で団結しよう、
 ロシア人を助けよう、
 みたいな鼓舞の仕方が上手なんだろうぁと思う。

 しかし本当にロシア系住民のことを考えているかと言えば疑問符はつく。

 プーチンさんは結局自分の権力を守りたい人みたいなので、
 (色んな黒いことを既にしているので守らざるを得ない、
 というのが正しいかもしれない)

 沿ドニエストルみたいな複雑なところは
 西側諸国に対抗するための格好のカードに過ぎない。

 西側に対抗する必要が無くなったから
 沿ドニエストル地方の支援から露骨に手を引く、てのはその現れなんだろうけど、
 たぶんそこも彼のこと、
 徐々にフェイドアウトして、非難を受けないようにうまいことやるんだろうな、と思いました。

 翻弄される沿ドニエストルの人々…
 最後に取材されていた、沿ドニエストルの家族の楽観主義が何か救われる気がしました。

地図に載らない地帯にも色んな人がいて、ドラマがあるんだなぁと思わされました。
また続編あるんかな?
(視聴者の反応が良ければやるんかな)

というわけで、今回はこの辺で
posted by Amago at 15:33| Comment(0) | テレビ | 更新情報をチェックする