2016年11月21日

Eテレ モーガンフリーマン時空を超えて「ロボットはどこまで進化するのか?」

Eテレ モーガンフリーマン時空を超えて「ロボットはどこまで進化するのか?」

今回はロボットの話。
個人的にはロボットねぇ…
って感じですけど、
人間を人間たらしめる
判断、学習、進化などへの理解に繋がるのかなと思いました。

というわけで内容から。

○ケンブリッジ大の神経科学者
 この科学者は、人間が「行動」を起こすメカニズムを研究している

 彼は、「行動」こそが環境に影響を及ぼすことができる唯一の手段だとし、
 環境に応じて行動するために生物は脳を進化させてきた、と述べている

 例えば人間は、
 言葉を発する、コミュニケーションをとる、火を使う、など
 人間固有の行動により生き延びてきた

 この科学者は、
 知覚も感情も思考も、
 行動に移されてこそ価値がある、
 と述べている

 では「行動」はどのように起こされるのか?

 クリケット(イギリスではメジャーなスポーツ)の
 「玉を打つ」動作を例に挙げている

 この科学者によると、このとき人は
  ・目でボールの動きを認識し、
  ・どの位置にボールが来てバウンドするかを予測し、
  ・脳が打ち方を決定、
  ・指令が出て600もの筋肉が収縮して手足が動く

 ボールの動きは不確実なので、
 毎回ボールの動きを予測し
それにあわせて自分の動きを変えなければならない

 そして、この予測のカギになる
 と彼が考えているのが
 「ベイズ推定」

 (ベイズ推定は、経済学などで話を聞いたことがあります。
  辞書的な意味では
  「原因の確率(事後確率)は、
   結果の確率(事前確率)

   事象が発生する確率(尤度(ゆうど、もっともらしさ)) の積に比例する、
   というベイズの定理を用いる」

  …難しいですが私なりの理解ですと、
  この出来事がどのくらい起きそうかな、という予想は
  確率論の計算で出てくる確率(コインの裏表の出る確率2分の1など)だけではなく、
  その物事についての情報(コインに細工がしてあるなど)や、予想者の信念などが入ると修正される。
  その修正された確率を指すようです。

  つまりこの場合、
  クリケットのボールがどこに来るかの予想もいろんな情報により修正される、
  ということだと思われます)

 彼はベイズ推定の際、
 2種類の情報を使うと述べている
 ・1つは視覚情報
  ボールの軌道を見て、どこでバウンドするかを予想する
 ・もう1つは事前の情報
  投手のクセなどから、どこにボールが来やすいかを予測する
 この2つは不確実であり、確率でのみ表される

 人はこの2つの確率が組合わさった場所を無意識に計算し、
 ここにボールが来ると確信してスイングする、
 としている
 脳はこの計算を自動的に行っているのだそうだ。

 つまり、ロボットが人間のように「行動」するためには、
 その前に視覚などの認知や事前の知識などから情報を得たり、
 それらの情報を元に予測するプログラムが必要、
 ということになる

 しかし、ロボットが人間を超えて進化するためには
 自ら学習することが必要となる。
 次の科学者らはその学習のプロセスを研究しています。
○自ら学習するロボットを研究する科学者たち
 ここでは、ロボット工学者と
 コンピューター科学者
 の二人の科学者が出ている

 ロボット工学者は
 人間の知能は、外界と関わりあうことで発達する
 と述べている

 子供には好奇心と創造性があり、
 これらを原動力に外界に働きかけてアイデンティティを獲得していく

 この学習の過程をロボットにも実現させるため、
 彼らは動き方を自力で学習するロボットを開発している

 彼らはまずコンピューター上でロボットのシミュレーションをする
 2本足だけのロボット、4本足だけのロボットなど
 自然界にはない奇妙な形のもの
 これらに動き方を自分で学ぶプログラムを与え、
 歩行するのに最適な動きがであるようになるまで自分で学ばせている

 コンピューター科学者によると、
 「このプログラムを働かせると、
 人間や動物にはない奇妙な動きを見せることもある
 しかしそのうち画面の端から端まで歩けるように進化していく
 このとき、うまく歩けない動きをするロボットは消去し、
 効率のいい動き方をするロボットをコピーし、残そうとしている」

 人や生物だと、この進化の過程には何百年もかかるが
 コンピューターなら数時間でできる。

 更に、面白い動きをしているロボットについては
 実際にそのロボットを組み立て、
 現実の世界でも同じ動きをするのかを確かめている

 現物があったのは4本足だけのロボットでした。
 ロボット工学者
 「このロボットは最初はゆっくりでおぼつかない、
  いわばハイハイの赤ちゃんと同じ
  しかし試行錯誤をしながら
  最終的にうまく歩けるようになる」

 このロボットは、転ぶたびに違う動きを試し
 自分の体を認識していく
 彼らは、このような自分の体についての認識が意識を生むと考えている

 ロボット工学者氏は
 「このロボットに意識があるかは難しい問いだが、
  重要なのは、このロボットが自己認識を積み重ねていることだ」
 と述べている

 ここでは自己認識が意識の始まりだとしているが、
 次の科学者は「感情」が意識を産み出す、と考えている
○科学哲学者の考える意識
 彼は、機械が意識を持つには感情が不可欠、と考える

 この科学者は、4、5歳のころ
  なぜ自分は自分なのか?
  姉とか兄とかではなくなぜこの自分なのか?
  なぜこの体なのか?
 などを考えたらしい
 そしてそのうち、
 人が「自分」を意識するのは
 周囲にたいして感情的に反応したときだ、
 と気付くようになった
 (小さい頃から哲学者ですね…)

 彼は、
 痛いという感覚について
 「我々は「指が痛い」と思う。
  実際には、痛みは脳の反応の結果にすぎない
  しかし、この「痛い」と感じる感覚が意識だ」
  と述べている

 彼によると、
 体験とは、五感の感覚により生じる脳の電気的な反応に過ぎない
 しかし、我々はこれを悲しいとか楽しいなどの感情と結びつけてイメージを作っている
 そのイメージの集合体が意識だ、とのこと。

 ロボットに意識を持たせるためには、
 感覚から得た情報を感情と結びつける必要がある
 と考えている

 彼は、五感を感じることができるロボットXCR-1に、
 感覚と感情を結びつける実験
(「連想学習」)をしている

 例えば、緑色を見せながら叩く
 (ロボットは痛がる)
 青色を見せながら、頭をなでる

 「子供の躾と同じです、
  お勧めはしませんがね」

 この結果、
 このロボットは「green、bad」「blue、good」
 と認識するようになる

 このように、いろんな行動について、
 感情と結びつけることを重ねていけば、
 動物と同じく感情に基づいて判断できるようになるかもしれない

 この科学者は
 「この体に自分がいるのはなぜ?」
 などと問うようになるロボットを作るのが夢だそうです。

 次の科学者は、
 優れた人に見られる「ひらめき」をロボットに行わせる研究をしている
○方程式を探しだすプログラムを考えたデータ科学者
 この科学者は、世界は複雑な美しさ、と表現している
 花がとりどりに咲く庭園で
 「複雑さがあふれる庭園が大好きなんです」と話していました。
 ここには方程式がたくさん隠されている、とのこと
 (単に花がきれい、というだけではない感性が面白いですね…)

 彼によると、
 ニュートンが発見した万有引力の法則は
 リンゴひとつの動きを表すことはできる
 しかし実際の世界はもっと複雑
  例えばリンゴが落ちる
  このあと土埃が舞い、
  花の花粉が埃に覆われ
  花が枯れてしまい
  庭園の生態系が壊されるかもしれない

 このように自然界の動きが複雑、予測不能なのは変数が多すぎるからだ、としている
 この多数の変数による複雑な動き「カオス」

 しかし、この科学者は
 でたらめに見える動きも特定のパターンがあると考え、
 この法則をコンピューターに発見させるソフトを開発した
 「ユーレカ」
 アルキメデスの発したことば
 「発見した!」の意味

 例えば、
 1つの振り子の一端にもう1つの振り子をつなげた装置
 「二重振り子」
 これを動かすとふにゃふにゃ動く
 一見不規則な動きに見え、実際方程式に表すのは難しいとされてきた

 ユーレカでは、
 でたらめな方程式をいくつか与え、
 これと二重振り子の実際の動きと比べ、
 動きが適合している方程式を採用、
 あまりにもかけ離れた方程式を消していく

 画面を見ると
 左側に方程式の候補のリスト
 右側に動きのシミュレーションと実際の動きをグラフ化したものが出ている
 時間がたつにつれ右のグラフが完全に一致してくる

 この結果、現象に合致する方程式が出てくる
 その方程式から、
 二重振り子の動きは
 2つの振り子が作る角度に依存することがわかった

 この科学者は、
 ユーレカは他のカオス的な動きからも一定のパターンを見いだすことができる
 としている。
 そして、
 人間が機械に任せて法則を探し出す時代が来るかもしれない、
 人の頭脳と違い、
 予見や先入観にとらわれないで方程式を探し出せるだろう、
としている。

 このように、ロボットに重要なことを任せるようになったとき、
 ロボットが人から独立し
 ロボットだけの社会を作るようになるのか?
 次の科学者はロボットの共同社会について研究しています。
○ロボットの協力関係の研究を行うロボット工学者
 人類は他の人と協力し、社会を築くことで繁栄してきた
 ではロボットも社会を築いたらどうなるか?

 この科学者(顔からしたらチャイニーズ系の方かな?)
 は料理が得意だそうで、
トマトと玉ねぎ入りのオムレツ?かなんか作っていました。

 彼によると、食料生産は人間の共同作業の結晶
 例えば材料のトマトは
 たくさんの人間が時間をかけて品種改良して出来たもの

 協力関係はいい方向に働けばいいが
 人間には自分勝手な一面もある
 渋滞などはその現れ
 みんなが自分が人より早く着きたいからおこる
 この科学者は
 「信号は他の信号と協力、会話しあって、
  人のためにスムーズな交通の流れを作ってくれているように見える」

 彼は、ロボットの協調社会は人間よりよっぽど協力的ではないか、と考え
 ロボットの共同作業について調べるため
 ロボットのサッカーチームを作り競わせている
 「ロボカップ」

 これらのロボットは
 センサー、ソフトウェアを使い
 相手やボールの動きを読んで、
 それに応じて次の自分の動きを決めている。

 また、それだけでなく、
 ロボットは相手と情報を正確に共有し
 自分の役割を変えることもできる。
 人間だと正確な情報は共有できず、
 叫んだりしてコミュニケーションを取ろうとする
 それでも勘違いもあるが
 ロボットはそれがない
 これらのロボットは柔軟に役割を変え、ゴールを決め、喜ぶこともできる

 ロボット同士が協力しあう社会
 「クラウドロボティクス」
 1つの目標に向かってデータを共有しあうシステム
 いろんなロボットが、クラウドを通じて情報を分かち合える

 (「クラウドロボティクス」
  は現在ホットな分野の1つであるようです。

  http://s.rbbtoday.com/article/2016/07/19/143605.html
  https://m.newspicks.com/news/1815630/body/

 元々はGoogleの研究者ジェームズ・ カフナーという方が考えた概念のようで、
 ロボットをクラウド(ネットに繋がったサーバー)とつなげたシステム

 これによる利点は色々ある。
 ・例えばロボットはクラウドを通じてネット上の膨大なデータを利用できる
 ・逆にたくさんのロボットを使えば、クラウド上にデータを集めて分析することもできる
  (接待用のロボットから接待のノウハウを集める、
  介護用ロボットの最適な体の動かしかたのデータを得る、など)
 ・また、ロボット同士がデータのやり取りをして効率的に学びあうこともできる

 近年では、ネットワーク網、個々のコンピューターの性能、ビッグデータの分析手法など、
 いろんな技術が進歩してきたために
 この構想が現実のものとなってきたようです。

 ロボットだけでなく、
 家電とも接続すれば
 IoT(Internet of Things、あらゆる物がインターネットを通じてつながることによって実現する新たなサービスやビジネスモデル)
 も実現可能になると期待されているようです)

 このシステムだと
 それぞれのロボットはデータをダウンロードすることにより
効率よく進化できる。
 ロボット同士のデータの交換もできる
 ロボットには身勝手さやいさかいなどの障害がない、とのこと。

ここでは、協力、協調、という人間特有の能力をロボットに持たせようとしていますが、
次の科学者は、もうひとつ人間に特有の能力である言語を
ロボットに作らせようとしています。
○ロボットに独自の言語を持たせようとしているベルギーの人工知能学者
 この科学者は
 言語は人間が作り出した最も素晴らしいもの、
 真の人工知能を作り出すカギとなるのは言語、と考えている

 彼はロボットに言語を独自に進化させ、
 ロボット特有のコミュニケーションシステムを作らせていくことを目指している

 すでに世の中にはコミュニケーションロボットは存在するが、
 これらは人間の定めたプログラムを使っている
 しかしここでは
 発声、学習メカニズム、発達メカニズムなどは搭載するが、
 どんな言語を語るかはロボット自身に任せる

 この科学者は、
 言語を学習させるため、
 ロボットに自分の体やその動きを認識させた

 するとロボットは感覚情報と指令との関係を自分で探していく
 鏡を見たり体を動かたりしながら、
 自分の体の動きを独自の言葉で表し始める
 二台のロボット同士で動きを表す言葉を教えあいもする
  何か言葉をいい
  それと違う動きをしたら首をふる、など

 ロボットたちによると「トキマ」は腕を上げる動作だそうです。
 科学者(人間)にも教えてくれるようになったそうです。
 「モータケ」といいながら手を水平に伸ばす
 「モータケ?」と聞きながら違う動作をすると首を横にふり
 動作を示してくれる

 これが進めば、いつかロボットが人間を無視して独自の言葉を操るようになるかもしれない
 この科学者は、
 「ロボットにどの程度自主性を与えるべきかを
  真剣に考えなければならない時が来ている」
 と述べている

前の2つの話は
ロボット同士だけが協調しあう独自の社会、
ロボット同士だけが会話しあう独自の世界、
という想像がされていますが、
いやいやロボットは人間と融合してお互い協力しあえるんじゃないの、
という話が最後に紹介されています。

○ロボットスーツ
 これは日本の研究。
 介護の現場などで有名なロボットスーツ、HALの話です。
 筑波大の山海嘉之氏が登場していました。

 HAL(ハイブリッド・アシスティブ・リム)
 人間の動作を助けるロボットスーツ、20年の研究の結果生まれた

 人は、体を動かそうとするとき脳が信号を出す
 この信号は皮膚表面に微弱電流として現れる
 このロボットは、その微弱電流を検出して患者の動きをアシストする

 実際HALはリハビリに使われている
 何年も歩けなかった人が歩けるようになった
 他に、200キロの重たいものを持ち上げられるスーツも製作されている
 (介護する人の負担を軽減させるスーツとしても使われていますね)

 また、HALは人間の動きや生理学的なデータを保存することもできる
 これを利用すれば、
 一流のスポーツ選手などの動きを保存して再現することもできる

 彼は、最終的には人間の動きの図書館のようなものを作ることを目指している

 HALは、ロボットと人間を融合させ、
 ロボットと人間との協力関係のある未来を示唆している、
 とのこと

というわけでいろんなロボット研究が紹介されましたが、
番組では
「ロボットは人類を追い越すのか、あるいは融合するのか?
 進化は常に未知のもの、驚きに満ちている」
という言葉で締め括られていました。

感想など。
・前半の研究は、
 後半にも指摘があったとおり人間のプログラムを必要としている、という点で
 人間についての謎がますます深まるような気がしました。

 例えば最初の研究では
 「行動」は生物が生き延びるには必要、としているが
 行動を起こすための
 情報収集、推測を自分からどうやってしているのかは分かっていない

 また、二番目の研究では
 「自分から外界に働きかけ、うまくいかなければやり直す行動」
 は人間によりプログラムされている
 つまり外界への働きかけの源となる「好奇心」や「創造性」は人間が入れないといけない。
 進化論的には好奇心が人間を優位にしてきた、とのことなので
 好奇心や創造性はどこから来ているのか、
 そこを知りたいと思いました。

 また三番目の研究でも、
 意識を産み出すという「感情」は人間が教え込んでいます。
 「感情」はどこから生まれてくるのかな、と思いました。

 これに関してはSOFTBANKの「pepper」の話を思い出しました
 (番組がちょっと昔なので、開発に間に合ってない可能性はあるが)

 「pepper」は
 (私の記憶によれば)
 人間の感情に関係するいくつかのホルモンに相当する値が、
 状況に応じて変化することで
 感情を産み出している。
 研究者も、どんな感情が出てくるか分からない、と話していました。

 pepperみたいに、感情すら教えこまなくても自分で身に付けるようになると、
 人間にも予測できない人格や意識ができてくるのかも。

・方程式を見つけるソフトの話は、
 ひらめきとは何かについての示唆があって興味深かったです。

 ひらめきとは、何か分からない不思議な力とかではなく、
 たくさんの情報から正解を瞬時に探しだす能力なのかな、
 と思いました。
 アーティストや作曲家のひらめきも他からの模倣から始まる
 セレンディピティと呼ばれるような科学者などのひらめきも、その分野を勉強して知識を蓄積して初めて発揮されるものなのかなと思いました。

・言語獲得については、
 言葉だけでなく、言葉に結び付く意味とか概念をどう教えるか、
 が問題になってくるのかなと思いました。
 汚い言葉や悪い道徳のある言葉だらけの環境に置いておけば
 攻撃的なロボットになってしまう
 (人間の子供でもそうだし、
  人工知能でも似たような問題があった)
 なので、ロボットのモラル教育も必要になってくるのかもしれない。

ロボットスーツにしろ、
クラウドロボティクスにしろ、
ロボットと人間が協力しあえる社会ができるといいですね。
そのためには我々自身の道徳、モラルを
今一度見直す必要があるのかもしれないな、
などと思いました。

というわけで今回はこの辺で。
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