2017年12月11日

Eテレモーガンフリーマン時空を超えて「この世界は仮想現実なのか?」

Eテレモーガンフリーマン時空を超えて「この世界は仮想現実なのか?」

今回は、この世はもしかしてコンピューターの中の世界?という話でした
まさに映画「マトリックス」の世界ですねえ…
(私はこの映画大好きで、何回も観ました、一番気に入ったのはインド人の数学者です)
モーガンさん、映画の「マトリックス」になぞらえて
「本当の世界を知るための、赤い錠剤を飲む覚悟のほどは?」

〇ゲームデザイナーの仮想現実
 最初に登場したのは、カーネギーメロン大学のジェシー・シャル氏
 コンピューターの仮想現実を作るゲームデザイナーだそうです

 彼は平面上のゲームに三次元世界を再現しているが、
 彼によれば、これがリアル三次元世界の再現となると、はるかに難しくなるんだそうです。
 
 平面上のシミュレーションでは、
 ニュートンの法則や運動の法則を正確に守る必要がある
 これが崩れると、現実味の欠けるシミュレーションになってしまうのだそうです

 彼は大学で、現実世界をリアルに再現するシミュレーションを作ろうとしているそうですが、
 もしこの世界が誰かのシミュレーションだとしたら、
 あらゆる感覚を正確に再現しないといけない、
 それには、もっと複雑なプログラミングが必要になる、とのことです
 「コーヒーの味や温度がシリアルと同じなら、
  これは変だと思うでしょう?」と変顔(笑)

 しかし、精密なシミュレーションをしようとすると、コンピューターに大きな負荷がかかるそうです
 そうすると、処理能力が追い付かず、画面に乱れが起きるかもしれない
 フリーズも起きるかもしれないそうです

 しかし彼によると
 「シミュレーションの画面がフリーズして、中の人もフリーズして
  そのまま千年たってからまた動いたとしても、
  中の人は時間の断絶に気づかない」
 つまり我々が画面のキャラクターだったとしても、そこは問題はないらしい
 
 もし、我々がゲームのキャラクターに過ぎないとしたら
 創造的な力とか会話なども、誰かに支配されているのかもしれない
 彼によれば、
 「人間にとって重要なのは正確な会話」
 なのだそうです
 例えば、彼は人工知能と会話していましたが
 「将来は何になりたいですが」
 「消防士です」
 「消防士ですって、自殺願望があるか放火が趣味なんですね」
 など、人間ならこの人アブナイ?と思っちゃうような会話をしている
 彼によれば、全人類の会話をかみ合わせるのは至難の業なのだそう。

 この科学者はこのため
 「もし誰かがこの世のプログラミングを作っているとすれば、
  非常にシンプルな方法で負荷を減らしているはず」
 と話していました
 
 例えば、アクティブな登場人物を数人だけにして、あとはシンプルなキャラにする
 あるいは自分の視界の範囲内だけを詳細にシミュレーションし、
 あとはぼんやりしたものにする、などの方法が考えられるそうです
 我々にとって、アクティブなキャラは自分だけで、
 ほかの人は意識したときだけ動く、…としてもいいのかもしれない

 しかし睡眠はどうか?
 寝ている間も、自分のキャラクターは動いている
 「夢は仮想現実の一つなので、
  夢のプログラムは、仮想現実の中にもう一つ仮想現実を作ることになるから、さらに複雑ですね。
  この複雑な世界を作っているのはどんな人なのか、想像もできない、
  眠りながら考えます」
 と彼はベッドに入っていました(笑)

 シミュレーションのプロがこのように言うということは、
 この世界のシミュレーションはかなり難易度が高そうですね…
 しかし次の方は、この世界は未来の人類の仮想現実ではないか、というご意見です。
〇私たちは「ポストヒューマン」の仮想現実のキャラクター?
 次に登場したのはオックスフォード大学の哲学者ニック・ボストロム氏
 彼は我々の世界は、将来の人間、つまり我々の子孫の仮想現実の世界に過ぎないのでは、
 と考えているそうです
 言わばリアル「マトリックス」の世界ですね。

 彼は、
 数百年前にはテレビなど想像もつかない世界だった、
 ならば数百年後は今の人間には想像できない世界だろう、と話していました。
 そして彼の予想では、人類は近い将来、
 テクノロジーと生物学を融合し、
 人間とマシンのハイブリッド「ポストヒューマン」となっているのでは、とのことです

 現実の世界のシミュレーションは、20年前の世界では不可能だったが、
 今は精密な映像が作れるようになっている
 「ポストヒューマンなら、もっとリアルな世界が作れるだろう」

 彼は、人間の脳をシミュレーションするために必要な処理能力は大体わかっているし、
 高度な文明が持ちうる処理能力もだいたい計算できる、
 そこから考えると、十分に成熟した文明ならば、
 70億人の脳を再現することは可能、と話していました

 もしそんな高度文明を持つ生き物がいるとすれば、
 彼らは何のためにこの世界を再現するのか?

 この科学者によれば、
 「子孫にとっては、我々が舞台芸術を作るのと同じなのかもしれない」
 「シェイクスピアは「ハムレット」を400年前に仮想現実として作っていた、
  我々の物語が、ポストヒューマンの精巧な仮想現実である可能性はある」
 とのことです。
 それが娯楽目的なのか、科学目的かは分からないが、
 それは彼らにとって、技術的には可能だろう、とのこと
 
 そしてなんと彼によれば、
 我々の現実が仮想現実である可能性は、生身のオリジナルである可能性よりはるかに高いらしい
 「我々が仮想現実ではなく、生身である可能性は
  ハムレットの初演を見る確率程度に過ぎない」

 人生はコンピューター内の現実にすぎないんでしょうか?

 (「ポストヒューマン」という言葉は、「トランスヒューマニズム」という思想から来ているそうです。

 この科学者ニック・ボストロムさんはその思想の支持者で、
 「世界トランスヒューマニスト協会」てのを設立されたそうです。

 日本にもこの協会の支部があるそうで
 そのホームページによると
 「トランスヒューマニズムは、科学技術を積極的に活用することで生物学的限界を超越しようとする思想および運動、そして哲学」
 なんだそう。

 つまり遺伝子改変とか人体とロボットを融合させるとか
 テクノロジーと人体の融合で生物学的な限界を超えた人間が
 「ポストヒューマン」みたいです。

 この考え方は「シンギュラリティ」という言葉を世に広めたレイ・カーツワイル氏や、
 イーロン・マスク氏などのシリコンバレーの起業家たちも支持しているようです。

 そう言えば前
 「あなたの周りのサイボーグ」
 というドキュメンタリーで
 2016年のアメリカ大統領選挙で
 この考え方を支持する
 「トランスヒューマニスト党」
 なるものが出馬して話題になったという話が紹介されていました、。
 これを見たときは、党首の方が体内にコンピューターのチップ埋め込み公開実験をやったり
 棺の形をした車に乗って選挙運動したり、ちょっとクレイジーな人たちだな~とか思ってしまいましたが(笑)
 最近のAI技術の発展の速さを見ると、本当に数十年内にハイブリッドができているのかも?)

次の方は、仮想現実の実現を先取りするような研究をしています
〇デジタル生物を作る科学者
 次に登場したのは、カリフォルニア大の生物工学者スティーブン・ラーソン氏
 彼は生身の生き物のデジタルなレプリカを作ることを目指しているそうです。

 彼がモデルに使っているのは線虫、C・エレガンス
 生物学や神経科学ではよく使われる生き物です。
 この生物は1000個の細胞、300のニューロンで作られており、
 人間よりははるかに単純だが、
 シミュレーションするのは簡単ではないそうです。

 彼が目指すのは、見た目も機能もそっくりで、
 食べ物を見つけ、排泄もし、子孫も残すようなデジタル線虫。

 これを実現するには、
 それぞれの細胞の持つ固有のプログラムを、
 統一的に機能させ、自律性を持たせなければならない。
 しかし
 「筋肉の細胞やニューロンのモデルを作るだけではなく、
  それがどうやって一体化しているのか、
  神経学のモデルを作らないといけない、
  相互作用は複雑です」
 「自律的な生物を作るのは難しい、
  外見だけならすぐできるが…」
 とこの若き科学者は話していました
 
 というわけでまだプログラムは完成しなさそうですが
 「いずれはデジタル線虫は誕生するだろう」
 「何十年、何百年かかるかもしれないが、いずれデジタル人間も作れる」
 と彼は話していました

 うーん、最初の方と合わせても、まだまだ仮想現実ができるまでの道のりは長そうですが…

 次の方は視点を変えて、この宇宙が仮想現実的な作りになってるんじゃないか、と考える方の話です
〇この世にはグリッドが存在する?
 次に登場したのはワシントン大学の原子核物理学者サイラス・ビーン氏
 彼はこの世にグリッドが存在する、と考えているそうです
 (グリッド、ってのがよくわからなかったんですが
  コンピューターの画面上を区切る碁盤の目みたいなものみたいです)

 彼はグリッドのラインをアメフトのコートに例えていました
 アメフトのコートのヤードを区切る線を平面上に延長し、
 上空にも格子状の線を延長したようなものが、グリッドなんだそうです
 この世の中には、三次元上の空間にもこの区切り線があり、
 ビデオゲームの環境と同じく、いろんな空間が立方体の集まりになっている
 と彼は考えているそうです

 そしてこの構成するグリッドに素粒子が並んでいる
 それは科学的な観察では分からないわずかな隙間だが、
 この存在は、ある宇宙現象で説明できるんだそうです。

 それは、超新星爆発に伴う宇宙線の放出
 超新星爆発とは、恒星の最後に訪れる爆発で、
 これが起きると強い宇宙線が放出される
 …はずだが、観測はできていないんだそうです。

 そして、この科学者によれば
 宇宙線が観測できないのは、グリッドがあるからだ、とのことです
 「もしこの宇宙が人工でないとしたら、
  宇宙線を作る粒子のエネルギーには上限はないはずだが、
  現実には上限がある」

 彼によると、宇宙線を構成する素粒子は、
 グリッドに沿って動くよう制限されているのではないか、とのこと。

 「宇宙線の粒子がグリッドに沿っていないなら
  すべての粒子はあらゆる方向に同じように進むはずだが
  グリッドに沿うなら、方向により粒子のエネルギーが変わる」
 のだそう

 彼はアメフトのグランドをぐるぐる動く演奏隊で例えていました
  どの粒子もグリッドに沿わないならランダムに動き、エネルギーの消耗は同じだが、
  グリッドに沿うもの、沿わないものがあるなら
 沿わない粒子はグリッドに沿わない粒子に比べジグザグに進み、余計なエネルギーを使うのだそうです

 「いろんな方向に飛ぶ宇宙線のエネルギーを比較して、
  宇宙線の方向によりエネルギーが変わることが分かれば、グリッドの存在が証明できる」
 のだそうです

 (この科学者は番組で
 宇宙線にはエネルギーの限界がある、
 これは「グリッド」が宇宙に実在して素粒子の動きが制限されるからだ、
 と説明していましたが
 http://karapaia.com/archives/52198106.html
 によれば、この宇宙線のエネルギー限界、とは「GZK限界」と言うものだそうです
 「GZK限界」とは宇宙マイクロ線背景放射の干渉で素粒子のエネルギーが減るために、
 素粒子のエネルギーには限界がある、
 とされるもので、前から研究されていたものらしいですが

 しかし別のサイトなどでは
 「GZK限界」を破るエネルギー粒子が観測された、という報告もありました
 (東大の宇宙線研究所で1990年から10年の間に11個見つかっているとか)
 これは観測の誤差なのか、もとからグリッドや限界などないのかは今後の研究が待たれるのでしょう)

 そうすると、なぜグリッド構造があるのかという研究も進むのでは、とのこと
 「グリッドがあるとすれば、
  本当にそういう構造が自然界に存在するのか、
  もしくは、我々の世界は、高度な存在によりシミュレーションされた結果なのか、という話になる」

 もしコンピューターなどによるシミュレーションだとすれば、
 それを操るマスターコードがあるはず
 そのマスターコードはすでに見つかった、と主張する科学者がいるそうです
〇宇宙は単純なマスターコードで動いている?
 次に登場したのはスイスのテール・モール人工知能研究所の
 ユルゲン・シュミットコーバー氏
 ベレー帽をかぶってカフェでコーヒー。おしゃれなおじさま、という感じの方でした。
 彼は進歩した存在が宇宙のすべてをプログラムしていて、
 その全宇宙のプログラムは10行に満たないマスターコードで動かしている、
 宇宙を動かすコードは複雑ではない、
 と考えているそうです

 彼によると、宇宙の基本原則はデータ圧縮にあるそうです
 「例えばこの数字(円周率の数字、彼の座っているカフェの床に並んでいる)
  これは途切れることはなく複雑に見えるが、円周と直系の比で簡単に示せる」
 つまり複雑に見えるものでも、
 単純な数式に置き換えることは可能、と彼は考えているそうです
  
 彼によれば複雑な風景も単純化できる
 例えばフラクタル地形、というのも、三角形の形や大きさを変えて積み重ねれば描ける
 複雑な風景も、ほんの数行のコードであらわせる、とのこと

 では人間のふるまいもコードであらわせるのか?
 彼によれば、我々が学習、と呼ぶものもデータ圧縮にすぎないのだそう
 例えば初めて行く土地は、目的の場所まで時間がかかるが
 二回目なら簡単に行ける
 「人間は問題を解決したがる生き物、
  有能な人ほど簡単で素早い解決策を見つける」

 そして彼によれば、山登りなどの動きも1つのプログラムなのだそうです。
 複雑そうに見えるが、
 足の動き、手の動きなど、単純なサブプログラムの組み合わせなのだそう
 例えば、足の筋肉を電子記号にして、足を動かす、つまり歩行
 協調して足を動かすのも、一つの単純なサブプログラム、なのだそう

 「人間と機械の相互作用も同じで、
  別のサブプログラムが足を動かし、自転車を動かす」のだそうです

 では不測の事態もプログラムだというのか?
 例えば切符をなくすとか、電車が故障するときなど… 
 
 しかし彼によると
 この世には偶然などは存在せず、すべてはあらかじめ決まっているのだそう
 「この世界がプログラムでできているなら偶然は存在しない、
  あくまでも、偶然が存在しているように見えるだけだ。
  真にランダムなデータは単純化できないからだ」
 
 そうなると運やチャンス、自由意志もすべて幻想で、
 あらかじめプログラムされている、ということになる

 しかし、これらの動きは、本当にわずかな数行のマスタープログラムでコントロールできるのか?
 どうやって実現しているのか?

 彼によれば、ここでもカギはデータ圧縮、らしい
 「最初に、実行可能なプログラムを、短いものからリストにするプログラムを作ります。
  リスト化されていれば新しいプログラムを作ることができる
  そうすれば、マスタープログラムは、
  全体の時間のなかで、それぞれのサブプログラムをうまく配分することができる」

 しかし全てはプログラム通り、というと
 個人は大した存在じゃなくなる感じがしますが、
 彼によればプログラムを作る個人はすべて大切な存在なのだそうです。
 少しでもプログラムが変われば、世界はまるで変ってしまう
 一人の人間も削除するのは大変で、
 我々はみんな欠かせない世界の要素、なのだそうです

 宇宙がプログラムで示せるなら
 この宇宙の要素は物質ではなく情報、つまりビットなのか?
 次の方は、宇宙を構成するビットを見つけた、と考えているそうです
〇ひも理論はビットで示され、エラー訂正コードに相当するものを持つと考える科学者
 次に登場したのはメリーランド大学の物理学者、ジェームズ・ゲイツ氏
 彼はひも理論に賛同している方なんだそうです

 理論物理学者は、方程式、複雑な数式で世界を現す。
 彼の好むひも理論によれば、世界は少なくとも十次元からなる…

 しかしこんな話はほかの人は複雑すぎて理解できない
 そこで彼は、他の分野の人にも理解してもらうため、
 素粒子の相互作用を幾何学的に説明するモデル
 「アディンクラ」
 (抽象的な概念を意味する西アフリカの言葉)を提唱しているそうです

 このモデルは主流派からは批判されているそうですが
 彼はそれでもこのモデルで多くの数学者などと共同研究を続け、
 その過程で自分の方程式の中に、コンピューターのプログラムコードに共通するものを見つけたのだそう

 コンピューターは0と1で表す、ビットと呼ばれる単位でできている
 彼は、自分の方程式の中のビットがエラー訂正コードと同じものだ、
 と気が付いたそうです

 エラー訂正コード、とはブラウザ中にも使われる
 ブラウザでビットを伝送するとき、途中で失われるビットもある
 このとき、エラー訂正コードは失ったビットを保護したり補う役割をし、
 コンピューターのクラッシュを防ぐ役割をする

 彼は、このエラー訂正コードは宇宙にも存在し、
 素粒子間の相互作用を安定させるのにも役立っていると考えているそうです

 しかし現実の世界は本当にコンピューターのシミュレーションみたいなものなのか?
 という疑問があるが、

 彼は、自然界の現象でも、エラー訂正コードがあると気が付いたそうです
 例えば遺伝学の世界。
 DNAは複製により自分のコピーを作るが、
 間違いがあれば自己修復する。
 これにより、人間の体は安定して全体を保つことができる。
 彼はこれがエラー訂正コードではないか、と考えているそうです

 これは試合中のボクサーみたいなもので、
 エラーコードが無ければ腕が使えなくなり、片足が使えなくなる、目が見えなくなる
 そうなると急速にスタミナを失い、
 安定性が失われ、倒れてしまう
 「活力はいずれ無くなるものではあるが、
  エラーコードはその活力を長持ちさせる」
 
 細胞も同じで、エラーコードが無いと、死んだりガン化してしまう
 エラー訂正コードのおかげで、複製のエラーを10億万分の1に減らしているのだそうです
 
 彼は宇宙のエラー訂正コードも同じで、
 宇宙の基本粒子を平静に保っていると考えているそうです

 (http://karapaia.com/archives/52215519.html
 などによれば
 ゲーツ氏は
 「私は素粒子のクオークとレプトンの計算をしていたのに、ブラウザに使うコードが出てきた」
 「だから数学的にはこの世はシミュレーション、という仮説は正しいと言わざるを得ない」
 みたいなことをおっしゃっているそうです)

〇新しい宇宙を創ることを考える科学者
 最後に登場するのはブリュッセル大学のクレマン・ヴィタル氏
 彼は物理学者で、
 彼はいずれこの宇宙はなくなる、
 それに備えて新しい宇宙を創るべき、と考えているそうです

 その手順としては、
 まずコンピューターでシミュレーションする

 「はるかに進んだ文明ならシミュレーションも作れるはず、
  まず複数のシミュレーションを作り、それを検証して最良な1つを選ぶだろう」
 これは、我々の宇宙や地球が生命には最適な条件を満たすが、
 その謎の解明にもつながる、とのこと

 そしてシミュレーションができれば、次に必要になるのはエネルギー源
 ビッグバンを起こすほどの大きなエネルギーが必要で
 最終的には新しい宇宙を、この宇宙から切り離す必要もある

 彼はこのエネルギーを連星系から取ることを考えているらしい
 連星とは、白色矮星、中性子星などが連なっている、
 この連星は、片方の星がもう片方のエネルギーを吸い取り、大きなエネルギーを持つのだそう
 
 このエネルギーは木材ペレットのようなもので
 エネルギーが高密度で詰まっているのだそう

 片方の星のエネルギーがペレットに変換され
 (1つのペレットはエベレスト以上のエネルギーなんだそう)
 もう一方に移る、
 そのエネルギーの集積を利用すれば
 宇宙構造を変えることもできる、
 と彼は考えているそうです

 「新しい宇宙を創るためには、時空構造をうまく操る必要がある
 宇宙は高密度で変形させやすい、という説もある」

 しかしこのアイデアは壮大すぎ、奇想天外すぎて主流ではない
 それでも彼は、いずれはこの考えをテストしたい、できると考えているそうです
 「後は想像力を駆使して科学的なテスト方法を考えるだけだ、
  それにはまずシミュレーションが必要」

 あるいは、他の文明が既にテストしているのが我々の宇宙かも?
 それは完成バージョンなのか、それともテスト段階なのか…とのことです

モーガンさんは最後に
我々が仮想現実のキャラクターに過ぎないとしたら、
操り人形だと無力感を感じるのか、
それとも逆に自由な気分になれるのか?

いずれにせよ、人生は素晴らしいゲーム、
良い結果を出しましょう、という感じで終わっていました

○感想など
 今回の話で全体的に横たわっていた
 「我々が生きているこの世界は、未来の人類あるいは高度な文明の人たちのコンピューターのシミュレーションだ」
 という仮説は
 「シミュレーション仮説」というそうで、
 世の中では賛成派、反対派がおられるみたいです

 両方の意見を色々読んでみたんですが
 (多すぎて紹介できませんが)
 申し訳ないんですが、宇宙人はいるのか、というのと同じレベルの議論かなぁ…と。
 (悪く言えば不毛な議論…スミマセン)

 反論する人は
 「物理的な証拠がない」
 賛成する人は
 「高度な文明の人が作るんだから今の私たちには分からない」
 で、結局平行論になってしまう…

 まぁでも
 「この宇宙はなぜできたのか?」
 「どうやってできたのか?」
 「誰かが目的をもって作ったのか?」
 とかいう風に考えて、仮説を作っていくうちに本質にたどり着くんかなー、
 その助けになるんなら、荒唐無稽な仮説もありかなー、と思います。

 個人的には、この世界がリアルなのかシミュレーションなのか分かりませんが
 本質的にはどっちも同じなんじゃないかなぁと思います。

 シミュレーション仮説の人は
 「素粒子論の中にブラウザのコードが隠れている」とか
 「宇宙の構造とバーチャル世界の構造が似ている」
 とか言うけど、
 宇宙も我々人間もコンピューターも、
 細かくしてしまえば同じ素粒子、同じ宇宙なんだから
 似ている要素や構造があるのは当たり前なのかなぁ、とも思うし

 この世界はリアルだと思っていても
 生きていると、この世界って完全に自分の意思では決まってない、何かが動かしてるんじゃないかと思える瞬間が誰しもある。

 番組では、
 「この世はすでにプログラムされていて、マスターコードもあるんだ」
 と主張している方が
 「だから我々はコードの一部に過ぎない」
 んじゃなくて
 「我々はみんな重要な存在」
 と話していました。

 私はこれにちょっと驚いた、というか感動しました。
 我々がプログラムの一部だろうがリアル生身だろうが、
 それぞれの命の大切さは変わらないわけで、
 それだけで、もうどっちでもいいんかなー、と…

 話はずれるかもしれんが、
 私は昔は前世とか信じていたけど
 今はどっちでもいいかなと思っていて、
 それは、前世があろうが無かろうが、現世で全然自分は覚えてないんだし
 それなら今の人生を後悔なく生きるしかないんじゃないか、
 と思うようになったからです。

 それと同じで、我々がコンピューターゲームのキャラクターであろうが無かろうが、
 ゲームオーバーになるまで楽しくみんなと仲良く、ハッピーに生きられたらいいんかな、と思いました。

まぁでも、宇宙をシミュレーションするとか、
新しい宇宙を中性子星のエネルギーで作るとか
そういうでかい突拍子もない発想、個人的には好きですねぇ…
こういう発想から新しい発見が生まれるんだろうなぁ。見習いたい。

というわけで今回はこの辺で。




2017年11月04日

Eテレモーガンフリーマン時空を超えて「貧富の差をもたらすものは何か?」

Eテレモーガンフリーマン時空を超えて「貧富の差をもたらすものは何か?」

 今回は貧富の格差の原因についてでした。
 経済学の話かと思っていたら、物理学や生物学の話も出てきてなかなか面白かったです。

 最初にモーガンさんは、
 自分が小さいときは周りのみんなが貧しかった、
 という話をしていました。

 しかし有名になった今はお金には困らない。
 だから貧困は生まれによるものではない、と自分の体験から言える。
 しかし貧困が何世代にも渡っている地域というのはある。
 それは遺伝によるものなのか? …という話です。

○遺伝子が貧富にもたらす影響を調べた行動遺伝学者
 最初に登場したバージニア大学の行動遺伝学者(エリック・タークハイマーさん)は、
 遺伝子が貧富にどれくらい影響するかを調べたそうです

 その前に彼は遺伝子の複雑さについて説明していました。

 2001年にヒトゲノムが解読された頃は、
 人の性質(我慢強いなど)を決める遺伝子が分かった、という発表や、
 成功を決める遺伝子が特定できる、という意見もあったそうです

 しかし10年以上経ち、研究が進むと、
 遺伝子の働きは複雑に絡み合っており、個々の遺伝子の働きは特定できないと分かってきた

 「遺伝子は織物の糸のようなもので、
  ほかの糸と切り離して考えるのは難しい」

 この行動遺伝学者は、
 統計ソフトを駆使し、一卵性、二卵性の双子について、
 貧富を決めるのはその人の家庭環境なのか、遺伝子なのかを調べたそうです

 一卵性双生児はほぼ100%同じ遺伝子を持つが
 二卵性双生児はそうではない。
 色んな社会的、経済的階層の双子を調べることで
 遺伝と環境の影響の割合がどれだけかが分かる、とのことです

 その結果、彼によると
 「極度の貧困環境では、家庭環境の影響が大きすぎて、
  遺伝子はほとんど役割を果たしていない」
 ことが分かったそうです

 また
 「中間層になるにつれて遺伝子の影響が増してきて、
  富裕層になるほどますます遺伝子の働きが重要になる」

 つまり遺伝子は貧富を分けるある程度の要因にはなるが
 劣悪な環境だとそれが発揮されない、とのことです

 いかに優秀な遺伝子を持っていても、
 劣悪な環境により宝の持ち腐れになる可能性がある、ということですね…

 次の科学者も貧困の悪影響について研究しています

○子供時代の貧困は脳に悪影響を及ぼす、という神経科学者
 次に登場したのはペンシルバニア大の神経科学者(マーサ・ファラーさん)。
 彼女は、貧しい子供がIQや学校の成績がよくない傾向にあるのはなぜか、
 神経生物学の視点で研究しているそうです

 具体的には、色んな社会的、経済的階層の子供たちについて脳画像をスキャンした

 すると、極度な貧困層の子供では、
 ・海馬の成長の遅れ、
 ・前頭前皮質の萎縮
 などが見られたそうです。

 海馬は学習、記憶、ストレスコントロールなどに関係する
 前頭前皮質は記憶、知覚、運動機能などに関係する

 一方裕福な家の子供は、皮質が分厚い傾向もあった

 ここで重要なのは、この違いは遺伝子によるものではなく、
 最初はみんな同じくらいの脳だった、ということだそうです

 この原因としては
 貧困がもたらす極度なストレス、
 幼少期の知的刺激の欠如などが原因と考えられる、とのこと

 彼女によると
 「富裕層の子供は脳の認知機能にたくさんの刺激を受けている」
 例えば本の読み聞かせ、
 知的なおしゃべり、
 子供の興味を起こすような場所への外出
 などがこれに当たるそうです

 (先の
 「劣悪な環境で育つと遺伝子の役割はほとんどない、
  裕福だと遺伝子の影響を受ける」
 という結果と併せて考えると
 脳の構造は、遺伝だけで決まるのではなく
 後天的な環境で大きく変わってしまうんだな、と思います。

 しかも脳が変化しやすいのは子供の時期なので、
 子供の頃の貧困、てのは後々まで残る深刻な問題になるのかなと思います。

 昔、NHKで「相対的貧困」について取り上げられた番組で、
 日本なら相対的貧困でも衣食住は困らないけど、
 「経験の剥奪」が問題、と言われていました。
 貧しいために部活や旅行などの経験が出来なかったり
 本を買ってもらえなかったりするが、
 そういう子供は自己肯定感が低くて、
 自分はどうせダメだとか、諦めが早い性格になってしまう、と言う話です。

 子供の貧困が最近よく問題視されますけど、
 多感な子供の時期に色んな体験をさせること、知的な刺激を与えることが重要だとすれば、
 生まれに関わらず、
 どんな子供にも教育を平等に受けさせてあげることは必要なのだな、と改めて思います)

○国の多様性が経済力を決める?
 さて次は視点を変えて、国が貧富にもたらす影響についてです。

 ここで登場したのは二人の経済学者。
 一人はウィリアムズ大学の方(クァラムル・アシュラクさん)、もう一人はブラウン大学の研究者(オーデット・ガロアさん)

 彼らは国家間の経済格差や、貧困の起源について調べたそうです
 その結果、
 「遺伝的な多様性が経済発展に関係あることを発見した」
 これは8万年前だろうが現在だろうが変わりはないらしい

 遺伝的多様性は、国の経済発展の要因の1/6を占めるそうです
 また、多様性は大きすぎても小さすぎてもダメで、
 「スイートスポット」という適切な範囲が存在するそうです

 「スイートスポット」とは、
 野球で言えばバットの先端から15㎝の場所で、
 ここでボールを当てると
 バットの威力は最大になり
 かつ手にかかる衝撃は最小になるらしい

 民族の多様性でこのスイートスポットに当たるのが、
 現在のアメリカくらいの多様性なんだそうです
 アメリカくらいの多様性だと、
 急速に変化するテクノロジーへの対応能力が高くなるのだそう

 遺伝的多様性が小さすぎると、革新性に欠けてしまう
 一方遺伝的多様性が大きすぎると、信頼感や団結力、協調性が低くなってしまう
 適度な多様性であれば
 色んな意見が出やすく、技術革新も起き、経済発展もしやすいのだそう

 しかしそんな理論を主張する彼らに反論する人たちもいて
 「そんなスイートスポットなどない、
  そんな主張は人種差別や民族大虐殺を正当化してしまう」
 と言うそうです

 しかし彼らの言いたいのはそこではないらしい
 「多様性を尊重し、色んな民族集団を保護していけばいい、ということだ」
 「特定の国が有利だと言いたいわけではない、
  重要なのは多様性の度合いだと言いたいだけ」
 とのことです

 (http://edamame.hatenadiary.jp/entry/2017/01/13/120721
 にこの方々の話題が取り上げられていました。
 探したら英語の元論文?らしきものもありました
 http://www.nber.org/papers/w17216

 これによりますと
 スイートスポットには他にもアジア、ヨーロッパ、中国、日本も入るそうです。
 日本とか中国って単一民族かと思ってたけど、
 そんなに多様性があるのかな?

 しかし、そもそもどの程度の遺伝子の違いをもって遺伝子が違う、同じ、と判定するかは曖昧だなぁ…と思います。
 (実際、この論文には批判もあるらしい)

 また、民族多様性の違い自体もまた国の個性なのかなぁ、とも思う。
 ほとんど遺伝的に同じ人たちの国、めちゃんこ違いのある国など、
 色々あっていいのではないかしら。
 イノベーション起こりまくりの国、
 イノベーションに慎重な国など色々あるから適度な成長ができるのでは。

 それも多様性の1つなのかな、と思うと、
 スイートスポットだらけの世界も果たしていいのかよくわからなくなるなぁと思うんですが…)

○富の格差は、物理学の法則上仕方ない、とする経済物理学者
 次は物理学の視点から富の格差を分析しています。

 現在、お金の動きを予測する数式を作る試みがされているが
 (いわゆる金融工学ですね)
 あまりうまくいっていないようだ…
 とモーガンさんは言いますが

 このメリーランド大学の経済物理学者(ビクター・ヤコベンコさん)は、熱力学で金融市場、資本、収益力を分析しているそうです

 彼によれば
 世の中には中間層と言うものはなく、
 3%の富裕層と97%のその他の層しかないのだそうだ。

 3%は全体の富の9割を独占し
 97%で残りの1割を分けあっている。

 彼によれば、それらは別の経済で動いているそうで
 97%側を熱経済、3%側を超熱経済と呼んでいるそうです

 熱経済とは、鍋で沸騰している水分子のようなもの
 熱力学によれば、これらの水分子は熱平衡に達するとき
 「ボルツマン分布」に従うそうです。

 ボルツマン分布は、水分子同士がぶつかり、エネルギーがやり取りされる時のエネルギー分布を示す

 運動エネルギーが横軸、その大きさのエネルギーを持つ分子の割合を縦軸になっていて、
 ざっくり言えば山のような分布。
 エネルギーの低い分子と高い分子は山のふもと(割合が低い)
 真ん中より少しエネルギー低い寄りの所が頂上になっている

 彼によると97%の人たちの経済はこのボルツマン分布に従い、
 低所得、高所得の人たちの数の割合は低く、
 中間層の人たちの割合が高い分布になっている

 しかし3%の富裕層はそのボルツマン分布とは別の分布に従うそうです。
 それは沸騰した水から飛び出す蒸気の分子の分布で、
 「べき乗則」というそうです
 これは水よりも自由で、右に行くほど無限大に発散する

 彼によれば、
 「97%の層と3%の層はルールが違う」のだそうです
 97%の人たちは給料をもらい雇われる
 3%の人たちは株や不動産投資で儲けている
 富裕層の利益は天井知らずなのだそうです
 「彼らは、鍋という境界線を突き抜けている」

 このパターンは古代から現在まで続き、
 どんな国家もこの分布になるのだそう

 例えばイスラエルは1948年の建国当時は社会主義的で、貧富の格差はほとんどなかったが
 1990年になると熱経済の段階になったそうです

 彼によれば、
 「富の格差は、富裕層ができればさらに拡大する、
  平等とは、不安定ですぐに消えてしまうものだ」
 とのことです

 (水分子の分布がなぜ経済に当てはまるんだろう、と思って少し調べました。

 色んなページを見た私の理解で書いてみますと
 (間違ってたらすみません)

 そもそもボルツマン分布とは、
 エネルギーを横軸、
 そのエネルギーを持つ粒子の存在する確率を縦軸に示した図ですが
 これは統計物理という手法を使っているそうです。

 熱力学では、系全体の熱がどれくらい、とかいう計算をするが、
 統計物理では、この熱を系全体としてではなく、
 分子一つ一つの動きに分けて、
 それらの運動エネルギーにより産み出されるもの、
 と考えるみたいです。

 そして、系全体がこの熱量のときはこれくらいのエネルギーの分子がこれくらいの確率で存在する、
 という感じで記述するようです。

 それから経済物理学とは、
 この統計物理的な手法を
 お金や経済活動の動きの分析に転用している学問、のようです。

 しかし、なぜ分子はこんな存在確率で分布するのか?
 なぜ人の所得も同じ分布をするのか?
 てのが分からなかったんですが

 http://credo.asia/2014/12/05/conservation_energy/
 の方のページを見ていると
 (経済物理学の話ですが、
書き手は素人さんなのか専門家なのかは不明です)

 ボルツマン分布は、互いの分子どうしのエネルギーのやり取りにより産み出される、ということと、
 所得などは、互いのお金のやり取りにより産み出される、
 というようなことが書いてあってなるほどと思いました。

 分子の分布は、互いの相互作用により確率論的に自然に決まる。
 そして所得についても、お金=エネルギーの相互作用により確率論的に自然に決まる、
 という理屈なんですね。

 なぜ経済に物理学?とも思っていたんですが、
 お金をエネルギー、と見なすと思えば納得できました。

 しかし、なぜ大金持ちの所得はボルツマン分布ではなく、べき乗則になるのか?
 についても少し考えました。

 私なりの考えで書くと、
 たぶん、所得には給与所得と投資の所得と二種類あり、
 給与所得はボルツマン分布、
 投資による所得はみんなべき乗則に従うのだろう。

 投資の所得、てのは金利、つまり%に左右されるので
 投資の元手が大きいほど収入は多い。
 だから富めるものほどお金が吸い寄せられる、
 という仕組みになっているんだろうと思う。

 富裕層もその他の層も、給与所得も投資所得もあるのだろうけど
 (もちろん金融商品へ投資をしないと投資の所得はゼロになるが)
 割合の問題なんだろうと思う。

 富裕層は投資の所得がめちゃんこ多いので
 全体の所得はボルツマン分布の影響はほとんど受けず、
 べき乗則に従うことになり、

 その他の層の人は投資行動するほどの資金が無いから投資はやらないか、
 やっても微々たる額なので、
 いつまでもべき乗則に乗れないのだろう、と思います)

 ここまで、物理学的には貧富の差は仕方ないという感じの話でしたが
 それでも我々人間は、
 互いに協力しあう、富の差を分けあう性質は備わっているのではないか、その方が生き残りには有利なんじゃないか…
 という話を次にしています

○利他性、協力は進化に大事
 ダーウィンの進化論では
 進化は「生き残りをかけた戦い」と表現されたそうですが、
 最近では利己主義と同じくらい、協調性が生き残りには大事だと分かってきたそうです

 ウッズホール海洋研究所、というところの海洋科学者(トレイシー・ミンサーさん)は
 微生物を採取し、その働きを研究しているそうですが

 彼によると、昔は微生物たちはコロニー単位でしか観察できなかったが
 最近では遺伝子など分子レベルでのミクロな世界も分かってきた、とのこと

 そのなかで、単純な微生物でさえ協力しあう、ということも分かってきたそうです
 例えばビブリオ菌の一種をシャーレで培養し、
 敵であるブライン・シュリンプもシャーレに入れると
 ビブリオ菌の一部が毒素を出し、敵を殺すそうです

 しかし、この毒素は仲間の近縁種は殺さない
 また、敵を殺した一部のビブリオ菌は自分も犠牲となるそうです

 これらは共同体のために自分を犠牲にした行動に見える
 「微生物にも利他的行動がある、
  そうして全体の共存を助けている
  種の生存のためには戦いだけではなく、集団の協力も必要なのだ」
 と彼は述べています

 微生物は人のように話すことはできないが、
 化学物質によるシグナルで、これらのコミュニケーションを可能にしているそうです

○サルも公平を考える、という進化生物学者
 次も生物学ですが、こちらはサルの研究です。
 科学者はジョージア州立大学の方(サラ・ブロスナンさん)。
 彼女は霊長類の研究を通じ、人間の社会的行動の起源を調べているそうです

 具体的には、サルが不公平な状況にどう対応するか、というもの。

 一般にサルはボスザルがエサを独占し、残りのサルがおこぼれをあずかる、
 という風に思われているが
 独占を受け入れるにも限度があることが分かったそうです

 彼女は二匹の隣り合うケージのサルに同じ仕事をさせた
 両方に報酬としてピーマンを与えたが
 一方だけブドウもあげたそうです
 サルはピーマンも好きだが、ブドウの方が好きなのだそう

 すると、ブドウをもらえなかったサルは
 隣はもらえたのに自分だけもらえなかったとわかると、
 怒ってピーマンを床に叩きつけた
 「報酬を拒否したのはビックリしました、想定外だった」

 さらにこの実験では、
 相方がブドウをもらえないと分かると自らブドウを遠慮するサルもいたそうで
 サルの世界では、ボスが支配するといっても
 力の強い方も限度をわきまえているのでは、とのことです

 サルのボスは独裁者というよりは、どちらかいうと連立政権のリーダーに近い。
 ある程度は仲間に公平にふるまい、仲間からの支持も得ないと、
 そのボスは群れを追い出されることもあるのだそうです

 彼女は
 「我々が他者に公平であることの意味とは、
  ものごとを平等に運ぶための義務みたいなもので、
  平等性の高い人が、より協力的なパートナーを得られることになる」
 と話していました

 つまり集団においては、
 少数があまりに利己的に振る舞うと逆に集団を危険にさらしてしまうため、
 ある程度は利他的、協力的になった方が自分にとっても有利。
 我々は利己性と平等性のバランスをうまく取ることで生き残っている、とのことです

 人間が共感能力や、言葉によるコミュニケーション能力などを発達させて来たのも協力しあうためなんでしょうね。

○「恥」の意識が利他性をもたらす、という科学者
 次の科学者は、恥が利他的行動を起こさせる、という研究をしています

 彼女は最初、「共有地の悲劇」 の話をしていました。

 羊飼いが1頭羊を増やせば、それは羊飼い個人の利益になる
 しかし羊を育てるコストは牧場全体の負担になる
 羊飼いが欲を出しすぎると、全員を破滅に追い込んでしまう

 彼女によれば、
 現実社会では、この牧場に当たるのが空気、水、森林などの共有地なのだそう
 力を持つ少数があまりに共有地を消費すれば、
 革命が起き、これを止めることもある

 しかし彼女は
 「恥の意識もある程度は訴えかける」と話していました

 彼女の言う恥とは
 「自分だけ皆の期待を裏切る行動をして、
  それを暴露された時に受ける感覚のこと」
 だそうです

 彼女は「恥」が利他的行動に及ぼす影響を調べるため、次の実験をしています

 何人か人を集め、一人10ドルを渡し、
 共同資金に好きなだけ出資してもらう
 これを10回行い、最後に集まった共同資金は倍にしてみんなに渡す、というもの

 みんなが募金すればみんな20ドルずつもらえる計算になり、全体として最大の利益になるが
 自分は募金せず、他人の募金の倍額だけもらうこともできる

 これを
 ・互いが見えず、話すことができない条件
 ・最後に、募金額の一番少ない人二人の実名を発表する
 という2つの条件で行ったそうです

 すると、互いが分からない場合だと、二人ほどは全く寄付せず、利益だけ得ていた

 しかし下位二人の名前を発表する、という条件になると、
 みんな1ドルずつ募金するようになり、
 協力額が50%増えたそうです

 現実ではどうか?
 2008年のリーマンショック後、アメリカでは銀行に2450億ドルの支援金が政府からつぎ込まれたが
 銀行はそのお金から職員のボーナスを出した
 当時のオバマ大統領は「恥知らず」と批判したが、
 銀行は恥とは思っていなかったようだ、、とのこと
 「大統領は国民に批判させたかったのかも」
 といううがった見方もしています

 また、カリフォルニア州では
 税金滞納者の多い順に500人をネットで実名公開しているそうです

 しかしこの恥の意識は貧富の差を変えるのか?
 彼女は
 「貧富の差は、恥だけでは解決するものではない」
 としていますが

 「恥を利用するのは、コストはあまりかからない、
  また、他に手段がないこともある」
 とのことでした
(ここでは恥、と表現していましたけど
「誰かが見ている」という感覚なのかなと思いました。

 ちょっと前にオイコノミアで「お地蔵さんがあるところはソーシャルキャピタルが高い」とかいう話をしていました
 (「信じるココロの経済学」の回、
 ソーシャルキャピタル、とは社会関係資本のことで、
  お互い助け合ったり、
  利他行動を取ったり、
  信頼しあう関係を資本とみなす考え方)
 「神様仏様が見ている」
 と思うと利他的行動が増えるのかなと思います。

 成功、金持ちになるための本とかにも
 「信仰心を持つこと」
 を挙げている人もいますし
 誰かが見ている、という感覚は利他的行動を促して、
 回り回って自分にとっても利益になっていくのかもしれません)

 モーガンさんは
 貧富は遺伝子が決めるわけではない、それは自分が実証している、
 貧富は物理学、生物学、遺伝学など色んな要因で決まるようだ、
 そのなぞが早く解明され、みんながもって生まれた力をフルに発揮できる日が来ることを願う、としめくくっていました

○感想など
 べき乗則、ボルツマン分布の話を見ていると
 今の資本経済を続けている限り、
 富裕層とその他の層の差はますます拡大するんだろうな…という気になってしまいます。

 個人の行動としては、金融商品へ投資して
 少しでもべき乗則分を増やしてる人が勝ち組になるんかなぁ…とか思ってしまいました。

 しかし、たぶん今まででも、
 文明が起きて貧富の差が出てそれが拡大して…
 というのは繰り返されて来たんだろうけど
 それでも少数が暴利を貪って人類全体の危機になる、
 てことにならなかったのは
 本能的に
 「みんなに平等、公平にしないと種としてヤバい」
 という危機感を持つ金持ちが一定数いたんだろうなと思います。

 その証拠に、お金持ちはたくさん税金を払うシステムを作ったり
 お金持ち自らが率先して寄付して学校を作り、貧しいが優秀な人を育てる…
 ということをしてきているし

 今でも長者番付に名が乗る人は寄付をたくさんしています。

 とすれば、これからもお金持ちのモラルというか
 本能的な危機感というか
 そういうのを期待するしか無いのかなぁ…という気もしてくる。

 人工知能とかイノベーションが進んでいくと
 お金を稼ぐスピードもますます速くなって
 貧富の差も拡大していくのだろう。
 仕事が無い人も出てくるのかもしれない。

 そうなると、
 ベーシックインカムなどを配り、貧困層の生活を保証しつつ
その人たちのアイデアを生かす…
 という世界も現実になるかも、
 とか思ってしまいました。
 まぁでも、人間って悪い面として優越感とか差別意識もあるから、富裕層から異論も出そうだが…

ベーシックインカムでも何でもいいので、
モーガンさんが最後におっしゃったように、
みんなが生まれに関わらず、能力をフルに活用できる時代が来るといいと思います。

色々考えさせられて面白かったです。

というわけで今回はこの辺で。

2017年10月16日

Eテレモーガンフリーマン時空を超えて「宇宙人も神を信じるのか?」

Eテレモーガンフリーマン時空を超えて「宇宙人も神を信じるのか?」

前回のゾンビはスルーしてしまいました汗
今回は、宇宙人がいるなら宗教や信仰心も持つのか?
というテーマに沿っていましたが
本質的には、
 宗教は必要なのか、
 宗教は何のためにあるのか、
 宗教はいつかは必要なくなるものなのか、
 宗教と科学の関係は、
という問いになっていて興味深かったです。

○我々は本能的に、神のような存在を信じたがる?
 最初はボストン大学の児童心理学者デボラ・ケレメンさん。
 ショートカットでキリッとして綺麗な方ですねぇ。
 彼女は子供の「なぜ?」について研究しているそうです

 3、4歳くらいになると子供は質問攻めになる
 彼女は、
 「多くの子供には説明を求める衝動が存在する
  私は子供が自然に考える答え、好む答えに興味がある」
 と述べていました

 彼女は色んな年齢の子供たちに
 「尖った岩が出来ているのはなぜだと思う?
  1長い年月を経て、石のかけらが積み重なった
  2痒いと感じる動物が体を掻けるように」

 「池が静かなのはなぜ?
  1動物が流されずに体を冷やすため
  2水が池に流れ込まないから」
 などの質問をした

 するとどの年代の子も、
 先の質問は2、2番目の質問には1、と答えるそうです
 子供は、自然現象には目的があってそうなっている、
 という考え方を好む

 自然は意思のあるもののために存在する、
 という考え方は宗教に通じる考え方だそうです
 多くの宗教では、神聖なる存在が万物を作った、と考える

 大人になると、岩がとがっているのは地質学的な理由だ、とか科学的な答えが分かる
 しかし彼女は、
 大人でも、本能的には目的論的な考え方を好むのでは、と考えたそうです

 そこで、大人に対し、
 自然現象を目的論に基づいた説明する文章を読ませて、
 正しいと思うか素早く押してもらう実験をした
 すると正しいと考える人が多かったそうです

 彼女によれば、直感的に判断せねばならない場面では、我々は目的論を好む
 物事には目的がある、という考え方を元に推察することに慣れているのだそう

 そして、宇宙人も我々と同じような進化をし、同じような文化を持っているとすれば、
 目的論的な考え方、宗教的な考え方をする可能性はある、
 と話していました

○ゾウやイルカにも信仰心がある?
 次の舞台はタイ北部。
 この比較心理学者は、
 シンク・エレファント・インターナショナル
 という施設でゾウの心理学を研究しているそうです
 ゾウの心理学専門の施設があるんですねぇ…
 (Think Elephants International
 ホームページはthinkelephants.org/
 ゾウの知能の研究とともに、
 ゾウ保護のための子供たちへの教育活動なども行っているそうです)

 ゾウは動物のなかでもトップクラスの知能を持っているので、
 行動と知能の進化を見るにはいいのだそう

 彼がしたのは、ゾウに鏡を見せる実験
 鏡を見るのは人間にとっては当たり前だが、
 自己認識、という複雑な能力が必要なのだそう

 彼はオスの20歳のゾウ、ソムジャイに初めて鏡を見せた
 すると不思議そうに後ろを見たりした
 普通の動物は鏡を見ると、無視するか他の生き物と思って見つめたりするそうです
 しかしソムジャイは、映っているのが自分だと気づいたようで、
 口を開けたり足を上げたり、
 自分では普段見られない場所を見ていたそうです
 「これはゾウにも自己認識があることを示しているのではないか」 とのことです

 彼は、ゾウに自己認識があるということは
 ゾウにも心の理論があるはず、と考えているそうです
 心の理論とは、他者の気持ちを推し量ったり理解して行動できること

 そこでこの科学者は
 ゾウは他のゾウと協力できるかを実験したそうです

 部屋のなかにはゾウの好物が入っているケージがあり、
 その前に台が置いてある
 台の回りにはロープがぐるりとまかれ、両端が出ている

 片方だけ引っ張るとロープが抜けてしまうが
 両端を同時に引っ張ると台が動き、ケージが開くようになっている

 ゾウはパートナーと協力して ケージを開くことができたそうです
 「このことから、ゾウは、他のゾウの考えていることを理解している、
  つまり心の理論をもつと考えられる」

 心の理論は他人の存在を意識することなので、
 神のような存在を信じる信仰心にもつながるらしい

 実際、この科学者によれば
 「野生のゾウは家族が死ぬと、その場所に戻り、思いに耽っているような様子を見せている
  ゾウは社会的な動物なので、家族が亡くなったことを理解しているのだと思う」
 とのことです

 他の動物でも、例えばバンドウイルカは
 死んだ子供を背中に乗せて何日か泳ぐこともあるそうです

 動物でも死を悼む気持ちがあるのかもしれない
 宇宙人も、死を悼む気持ちがあるなら宗教心もあるかもしれない、とのことです
 (動物が死を悼むような行動を見せる、という報告はほかにもなされているようです
  http://karapaia.com/archives/52207459.html
  ゴリラ、ゾウ、チンパンジーのほか
  アシカ、イルカ、ヒヒ、オオカミ、ラマ、
  ほかカササギ、ハイイロガンなど鳥などにもそういう行動がみられるんだとか…
  昔、この番組でタコも知性があるとか言ってましたけど
  タコはどうなんでしょう?)

○人は社会を成り立たせるために宗教を必要としている
 次の科学者はカナダのクイーンズ大学の心理学者。

 彼は、宗教は進化の過程を妨げることもあるのに、
 なぜ必要とされるのか疑問だったそうです
 例えば宗教の儀式の間は狩りや採集ができない
 これは何か必然的な理由があるのでは、と考えたそうです

 彼は人に自制心を持たせるためではないか、と考えた
 そう考えたきっかけは、彼が誘惑に負けたことだそうです

 彼はチーズバーガーを食べたかったが、我慢してサラダを食べた
 (ダイエットのためか理由は不明、
 でもこの方そんな太ってない、ていうかたくましそうな体ですけどね…)

 しかし誘惑に負け、アイスクリームを食べてしまった
 その時彼は、宗教の役割は自制心を持たせることではないか、と考えた
 自制心がないと、浪費や奪い合いにより文明は滅びてしまう

 彼はこれを確かめるため実験を行った
 被験者に単語を5つ提示し
 1つを外して4つで意味のある文を作らせる

 この際、2つのグループに分け、
 片方のグループは一般的な単語、
 もう片方のグループは神とか宗教的なイメージを起こさせるような単語を混ぜた

 このあと、不味い飲み物をのんでもらう
 オレンジジュースとお酢を混ぜたものだそうで
 吐きそうなほど不味いんだそうな。

 これを飲ませた時の違いを見ると、
 宗教的な単語を混ぜた方が不味い飲み物を2倍飲んだそうです

 これは宗教的な言葉が自制心を起こさせたからではないか、とのこと

 自制心がないと他人に攻撃的、反社会的な行動を取るようになってしまう
 宗教は社会を作るために必要なのではないか、と彼は述べていました

 (個人の信仰心や道徳心に訴えかけると不正は減る、
 という結果は他にも聞いたことがあります

  経済学者のダン・アリエリーさんの実験なんですけど
  (NHKBS世界のドキュメンタリー「(不)正直な私たち~“ウソ”を巡る“本当”の話」
  で紹介されていました)

  この実験は
  被験者に簡単なテストを受けさせて、
  採点は自分にさせ、点数も自己申告する。
  点数に応じてコインを持っていってもらう
  答案はシュレッダーにかけるので、点数をごまかしてもバレない、
  というもの

  ただしこれはダミーの実験で、
  実際は答案はシュレッダーされてなくて、
  後から答案を回収して誰が不正したかを調べる、というのが真の実験です。

  この場合普通は不正を働く人が多いそうですが
  このテストの前にモーゼの十戒とか、
  信仰心を思い起こさせるものを書かせると不正は減るのだそうです

  この実験では、
  倫理規定に従います、という誓約書を書かせても同様に不正が減るという結果でした。

  ですので自制心を持たせるのは宗教じゃなくてもいいのかも、
  とも思います。
  良心を起こさせるもの、
  例えば他人への同情とか、
  しない方が合理的と判断する知性、
  などでもいいのかもしれません)

○数学的には宗教はいずれ無くなる?
 次の方はノースウェスタン大学の応用数学者、ダニエル・エイブラムスさんでした

 彼は最初、メトロノームをたくさん、
 キャスターつきの台の上に乗せて動かした

 メトロノームの振り方は最初はバラバラ、
 しかししばらくそのまま放置すると、
 全てのメトロノームが同じリズムになる、つまり同期する

 これはなぜか?
 しばらくしていくつかのメトロノームが同じ動きになっていくと、
 その動きは、キャスターを通じて他のメトロノームに伝わる
 そうなると他のメトロノームの動きもそれに従うようになる

 こうして同期するものが大多数になると、
 少数派もその同期に加わらざるを得ない瞬間が訪れるそうで、
 それを転換点といい、そこからは後戻りできず、雪崩を打って全部同期するのだそう

 (メトロノームの同期については、少し前に又吉さんの番組「ヘウレーカ!」で紹介されていました
  数学的には、同期モデルを式で説明した蔵本予想、という式があって
  (京大の蔵本さんという方が昔予想した式)
  それを九州大の若き研究者、千葉さんが解いたそうです

  やり方などはhttp://www2.math.kyushu-u.ac.jp/~chiba/paper/sugaku2016.pdf
  などに書いてありますが、さっぱりわかりません(笑)

  平たく言うと、
  それぞれのメトロノームが下の台車で連結している場合は、
  お互い少しずつ影響しあい、引力が働く
  その力がどんどん大きくなって動きを合わせていく、みたいなんですが
  数式にするとかなりめんどくさいですね(笑))

 さてエイブラムスさんによると、人間社会にも転換点があるそうです
 例えば言語。

 彼はホットドッグ屋さんで、
 謎の言語で注文していました
 これは滅びかけている古代インか帝国のケチュア語だそう
 しかしホットドッグ屋さんは誰も理解できない

 インカ帝国はスペインに征服されたが、
 スペイン語が多数になると、転換点が訪れると考えられる
 彼によると、
 みんな多数派になりたがるのはそれが楽だから、だそうです

 彼の予測によれば、
 ケチュア語は既に転換点を越えており、今世紀末には滅びるだろう、とのこと
 (ケチュア語がほろんだのは、文字を持たない、というのも大きかったのかもしれません。
  しかしこのケチュア語について詳しく書いてくださっている方もいました
  http://quechua-japanese.blogspot.jp/2011/08/blog-post.html
  (「ケチュア語講座」←発音などもアルファベットに対応して表記してくれています。
    最近更新されていませんが))

 エイブラムスさんは、
 宗教にも同じようなことが起きるのか興味を抱き、
 色んな国の国勢調査を分析したそうです

 すると世界85か国を調べた結果、
 どの地域でも無宗教の人が急速に増大しているそうです

 9か国
 (オーストラリア、カナダ、フィンランド、アイルランド、スイス、チェコ、オーストリア、オランダ、ニュージーランド)
 を数学的に分析しただけでも
 どの国も2050年には世界で無宗教が大多数になり
 宗教はなくなっていく、という推測結果になったらしい

 彼はこの理由として
 人々が宗教から得られる利益が減ったからではないか、と述べていました
 かつては教会などに属していないと生活しにくかったが
 今は所属しなくても生活できる

 彼によれば、
 「物理の法則は宇宙のどこでも成り立つはず」
 従って
 「宇宙人がいたとしても
  とっくの昔に転換点を迎えて宗教はなくなっているのかもしれない」
 とのことです

○人工知能も宗教心を持つ?
 次に出てきたのは香港に住む人工知能の研究者
 彼は瞑想が好きだそうですが
 (ベン・ゲーツェルさんという方で、ちりちりの長髪でがっちりしているので、
 瞑想姿は何となくサイババを思い起こさせる…(笑))

 テクノロジーは精神性を無くすのではなく
 むしろ増大させるのでは、と考えているそうです

 今のテクノロジーは新たな連帯感を産み出している、
 人々は多くの人と繋がり、精神的に豊かになっている。
 テクノロジーは精神性には重要、と話していました

 彼は人間と同じやり方で、
 人工知能が周りを理解していくプログラムを考えたそうです

 具体的には、 
 バッテリーを手に入れるために階段を作るロボットキャラクターと、
 そのキャラクターを見て、階段の作り方を学ぶ少女キャラクターを作った
 主人公たちは世界を巡りつつ新しいものを作っていく

 これらのキャラクターは
 世界を巡りながら自分や世界について学んでいくそうです

 このようなやり方なら
 人工知能も我々と同じようなやり方で意思や精神性を獲得するかもしれない、とのこと

 さらに、人工知能は情報をメール交換のようなやり方で共有できるので、
 彼らのやり方で精神的な体験を他の人工知能と共有しあえるかもしれない、
 それは独自の宗教を産み出すかもしれない、
 とのことです

 彼は更にボディを持つロボットを作り、
 現実世界でもこれを人工知能に体験させることを考えているそうです

 彼は、
 テクノロジーは神の概念を弱めるのではなく、
 むしろ強くするのではないか、と話していました

 テクノロジーは人と人との結び付きを弱める、温かみを奪うと心配されているが
 ロボットが精神性を獲得し、
 そういうロボットと交流すれば、
 我々はむしろ豊かになれるのではないか、
 とのことです

 高度な文明を持った宇宙人も、既に人工知能と互いに交流しているのかも、
 宇宙人と人工知能が結びつき、考えられないような高度な文明ができているのかも、
 そうして宇宙の謎を解明しているのかも、
 と話していました

○数学が宗教に代わる?
 次に出てきたのは理論物理学者のマックス・テグマークさん。
 この人よく出てくるんですけど、私はこのおじさん好きです(笑)
 独特なワールドがあるのよね…
 (ただ数学が世界のすべて、という彼の考え方には賛同できないけど)

 彼は科学の力で、全てを解き明かしたいと考えているそうです

 彼はスウェーデン出身で、
 スウェーデンにはトール(僧侶)がハンマーで巨人と戦う神話があるそうですが、
 彼によれば現代の神話は数学に基づく、とのことです
 このため我々はたくさんの数値を計測し、計算して予測し、問題を解決する

 彼のハンマーはマックスウェルの方程式なんだそう
 「あらゆる電気的な事象を説明するだけでなく、
  新たなテクノロジーを与えてくれるんです」
  よほど好きなのか、立派な額縁に入れて飾ってありました。
  やっぱりこの人おもしろい…(笑)

 彼によれば、数式で科学の全てを解明できれば
 宗教は要らなくなるだろう、とのことです

 宇宙はチェスの駒のようなもので
 真っ直ぐしか進めない駒とか
 斜めにしか進めない駒とか
 それぞれの駒にはルールがある

 宇宙のものも数学というルールが全てで、
 これは宇宙の全ての構成要素に当てはまる

 宇宙の構成要素は、電子やクオークなどの素粒子
 この素粒子は、数学的な特性に従うだけであり
 それを完全に説明する方程式を発見したら
 宇宙の全ての謎が消滅する
 そうなると、宗教は必要なくなる、とのことです

 しかし、次の科学者であり哲学者である方は
 人類はそのような数式にたどり着けないのではないか、
 と考えているそうです
○人が知ることができることには限界がある
 次の科学者は、マルセロ・グライザーというダートマス大学の方。
 テグマークさんは何となくギラギラしてますが、この方は穏やかな雰囲気でした
 (私の勝手な印象ですが(笑))

 彼は科学による宇宙の解明をフライ・フィッシング(フライ(偽の魚)を使った川釣り)に例えています

 フライ・フィッシングはフライを投げないと何があるか分からないが、
 投げれば分かる
 科学も同じで、観測機器などを使うことで見えない世界が見えてくる、と彼は言います

 しかし、科学でいつか宇宙の全てを解き明かせる、という人もいるが、
 彼は科学では永遠に解き明かせない、と考えているそうです

 その根拠となるのはクルト・ゲーデルという数学者の定理
 ゲーデルさんは最高の数学者の一人だそうですが
 彼は1931年に
 「不完全定理」
 というものを発表しているそうです

 「これは簡単に言うと、
  自己完結的な論理の形式体系では、
  可能な主張は体系内では説明できない」

 …全然簡単じゃないんですけど(笑)、
 金魚鉢の中の金魚は、
 金魚鉢の中にいる限り、
 金魚鉢の中のことを全て説明できない
 という感じの意味みたいです

 彼はゲーデルの思考実験を紹介していました
 真理マシーンがいるとする
 この真理マシーンは私が真実を言えばそれをおうむ返しに言い、
 真実でないことを言えば黙る

 この真理マシーンは
 「2+2=5」というと、
 これは嘘なので沈黙する

 「「2+2=5」を私は2回言えない」
 というと、これは真実なので繰り返す

 しかし
 「「2+2=5」を私は2回言えない」
 「「2+2=5」を私は2回言えない」
 というと、困惑してしまう
 「「2+2=5」を2回言えない」は真実だから返さねばならないが
 「2回言えない」と言いながら2回言っているからこれは真実ではない

 グライザーさんは
 「このように、真理マシーンが発見できない真理をいくつか知っている」
 と述べていました

 このように、数学、物理学などどんな知識体系も
 定義上全ての法則は不完全なのだそうだ

 マトリョーシカの中に知識の領域があるとして
 その中の紙を知識とすると
 全てを理解するとはできない。
 もっと大きなマトリョーシカの中になら
 説明できる原理があるのかもしれない。 

 これを繰り返してさらに領域を増やすと
 最終的に、宇宙の全てを理解するには
 宇宙の外の領域に出なければならなくなる。
 しかし、我々は宇宙の外に出ることはできず、それは不可能

 つまり我々が知ることができることには限界があるのではないか、
 とのことです

 そして、我々がどうしても知り得ないところに
 神の領域、概念が入り込む余地があるのではないか、とのこと

 他のいかなる星にもそれは当てはまるので
 宇宙人にも、すべてを知ることはできないのではないか、とのことです

モーガンさんは
知識の追求には永遠にゴールがない、とすれば
どんなに高度な宇宙人にも、我々にも永遠に埋められない空白がある、
そこに神が存在する余地があるのかも、
という感じで締めくくっていました

〇感想など
・最初の「人は理由ある説明を好む」
 というのは、どちらかいうと心理学、脳科学的な心の働きではないかと思いました。
 ヒューリスティックスと呼ばれるものの一つ?

 人間って目的があって何かすることが多い、というか、
 何かをするときに目的があった方がやる気が出やすいから目的を探すけど、
 モノとか現象に対しても、擬人的な解釈をしたくなるんでしょうね。
 例えば「雷さんが怒っているから雷が鳴る」
 という解釈をした方が、なんとなく自分と似たものを感じて恐怖が和らぐし、
 「怒ってるならそのうち機嫌が直るだろうから、待とう」みたいに我慢の心も出てくる。

 つまり感情や本能的なものが暴走しないように、
 そういう心の動きが反作用的に生まれたのかなと思います。
 宗教ができたのも、人間が感情などで暴走しないように、
 ということなのかもしれない。

 しかし知性が発達してきて、
 科学や理性が感情をコントロールできるようになったら、
 宗教も要らなくなるのかも…
 とも思います
 ただ緊急時、理性が動きにくい瞬間には信仰心がよりどころとなるのかもしれないが。

・テクノロジーと精神性、人工知能の話は興味深かったですが
 人工知能が精神性を獲得していく過程をもう少し知りたかったです。

 最近やっていたAIの番組(「人間ってナンだ?超AI入門」)で
 人工知能も、モノをつかむなどの行為は
 練習、体験を繰り返して学習していく、
 という話をしていましたが

 意思とか精神性(善悪?)とかいう抽象的なものについては
 体験を通じてどういう風に学習するんだろう?
 と思います
 もちろん人間でも、子供は最初具体的な概念しか分からないけど、
 小学校3、4年くらいから抽象概念を覚えていく、と聞いたことがあるが
 (算数の「10歳の壁」ってやつですね)

 善悪、好き嫌い、意欲などは人それぞれ、
 同じ経験でも善人になる人もいれば、悪の道へ行く人もいる
 その違いがどう生まれていくのか、知りたいです。
 まだそこはブラックボックスなのかな?偶然の産物?

 高度な精神性を持つテクノロジーは、すべて善の道に歩んでいくのか?
 神の世界とかだったらそうなんだろうけど、
 実際は悪用の恐れもある。
 そこを解明しないまま進んでいくのは危うい気がするのですが…

 それとも、そこを善の道に戻すのが信仰心なのだろうか。
 信仰心、宗教心は、
 テクノロジーがどんなに発達したとしても、
 良心の砦として、どこまでも知性に必要とされるのかもしれないですね。

・最後のテグマークさん、グライザーさんの対照的な考え方が印象に残りました。
 数式ですべて説明できるはずだ、
 というテグマークさんの考え方は物理屋、数学屋らしい考え方だなと思います。
 ある意味野心的というか…
 でも個人的にはグライザーさんが言うように
 「我々がすべてを知ることはできない」という考え方に同意してしまいます。

 まあ科学者からしたら「そんなの科学の放棄だ」かもしれないんですけど
 たぶんこの地球上にいるとか、肉体を持っているとか
 そういう時点で我々には制約がかかっている気がするのですよね。
 光より早いものはどうしても見られないし
 量子力学の「同時に存在している複数の粒子」は見ることができない。
 (なぜなら、自分が観察した時点でほかの粒子が消えてしまうので)
 そうなると妄想の世界(宗教?)だけど、妄想の世界は証明できない…

 宗教というか、神や大いなるものを感じる世界、神秘体験の世界、てのはどちらかいうと「主観の世界」
 科学は「客観の世界」だと思うのですが、
 最近の量子力学とか見ていると、
 科学も主観的な視点が加わってきた気がします。
 っていうか、そういう視点を持たないと理解できない科学の領域が出てきたのだろうと思います。

 そうなると、今までのやり方ではどうしても証明できない科学の領域を理解するのに、
 神や大いなるものを感じる感性、みたいなものが必要になるのかもしれない、 
 とも思いました。

・原始的な「神様が救ってくれる」考え方とか、神様によりかかる宗教、
 てのは社会に秩序をもたらすために生まれただけで、
 文明が高度になれば廃れるのかもしれない、と思います

 でも、「自分たちを超えた大いなるものが確かに存在する」とか、
 「目に見えない世界、あの世みたいなものもある」というような感性や
 人類みな兄弟、みんなつながっている、という善なる心、
 などというものは、(宗教という名前なのかは分からないけど)
 文明が高度になればむしろ強まるのかもしれない、とも思います。

いろいろ考えさせられました。
というわけで、今回はこの辺で。