2017年08月14日

ホウセンカが折れた!

ホウセンカが折れた!

先日の台風5号で、
上の子が学校から持ってきたホウセンカが倒されてしまいました。
風が強くなる前に玄関に入れとけば良かったんですが、
気づいたらヘアピンのようにぐねっと曲がっており…

しかもそのあと、宿題の観察日記のために無理矢理伸ばしたためか
曲がって弱くなった所がボキッと折れていました。
「触らんとき!」
と言ったんですが、間に合わず。

園芸好きな義母さんに聞いたところ
「手が要るんちゃう?」
そこで支柱を添えて、紐で縛りましたが、子供は涙目。

そりゃそうだよね、休み時間も熱心に水をあげてたそうです。
懸命に育てていたのに…

「まぁ紐で縛ったし、これで様子見しよう」
とは言ったものの、子供は涙が止まらない。
取り合えず、もう触らず数日様子見。
しかし最初の1日は持ち直したものの、
やはり折れたところは再生不能な感じでした。

なんか対策ないかなぁと思って調べてみたんですが
けっこう同じ目に遭う子は多いみたいね。

一番役立ったのはここでした。
http://log.engeisoudan.com/lng/201508/15080018.html

結論から言いますと
折れたところは諦めて切ってしまい
その先っちょを土に挿してやれば、根っこが生えてきて再生するそうです。

切った先の方は
葉っぱが付きすぎていると蒸散してしおれてしまうので、
下の方の茎についている葉っぱは取り
そのあと水に浸けておく。
元気になったところで土に植えるといいそうです。

しかしうちの場合、
しばらく様子見していたら
脇芽が横からくいっと曲がって上に伸びてきて、元気に花を咲かせていました。
脇芽くんは、次は俺の時代だと言わんばかりに急激に伸びた。
なんとまぁ元気なこと。
生命力に感動してしまった。

そして折れた部分は、
子供に確認を取ってから切ってしまい
下の方の葉っぱをある程度取ってバケツに浸けておいたら、
残っている葉っぱも花もピンとしてきました。
しかもまだまだつぼみから花が咲いている。

元気になってきたので
義母さんに聞いたら
「プランターでも地面でもどっちでもええけど、水やりが楽なんは地面やな」

しかし義母さんは畑を作っているので、どこに植えていいもんか分からんし
子供には
「ばーちゃんと一緒に植えて」
と言ってあとは任せることにした。
色んなサイトによれば半月くらいすれば根付くそうですが、
果たしてどうなることやら…

このホウセンカ、私の子供時代から教科書で使われている気がしますが
それだけ生命力が強いんですね。

子供は観察日記に
「台風5号のぼう風で折れた」
とかしっかり書いてました。
絵にもリアルに描写してあった(笑)

だんなは
「うまくいかんかったら、そんだけ書くことあるやん。
 実験なんて上手いこといかんことの方が多いで」
とコメントしていましたよ。

まぁなんとかめでたしめでたしになりそうで良かったです。
あとはこれをまた学校に持っていかねばならない、
という難題がありますが…
(種取りをするのでまた持っていかないといけない)
脇芽を折らないように気を付けよう。

ちなみに世の中には、
根元からボキッとやっちゃった、という子もいるみたいです。
でも観察日記はそういう結果として書けばいいんだし、
悔しいかもしれないけど、
時間さえかければ再生はできるので大丈夫ですよ。

植物の生命力を感じました…

というわけで今回はこの辺で。続きを読む
posted by Amago at 16:01| Comment(0) | 科学 | 更新情報をチェックする

2017年04月24日

「重力はなぜ生まれたのか」ブライアン・クレッグ (著)谷口 義明 (翻訳)

「重力はなぜ生まれたのか」ブライアン・クレッグ (著)谷口 義明 (翻訳)

重力というのが気になって借りてみた本です。
内容は、重力に関わる研究を行った科学者たちをたどった歴史、
という感じで
副題にある「ヒッグス粒子」の話は最後にちょろっと出てくるくらいですので、
「重力の探求史」とでもした方が分かりやすいと思うのですが…
(ちなみに原題は
 「GRAVITY How the Weakest Force in the Universe Shaped our Lives」
 「重力 宇宙で最も弱い力が、どうやって私たちの生命を形作っているのか」)
 これもなんか違う気がするけど…

いろいろ話が散漫に飛ぶ部分はありますが、
主要な科学者の功績をコンパクトにまとめてくれてあり、
読みやすい本でした。
理論自体が理解不能なのもありましたけど…

一応内容をざっくり書いてみます
〇宇宙ができたころ
 最初は、我々が生きているのは重力さまさま、という話です。

 宇宙ができたとき、ガスやダストが回転し、
 回転しながらぶつかり、塊ができ、その塊が重力を持つようになり
 重力がどんどんガスなどを引き寄せて星ができた。
 という話をしています。

 また、星の中でも、重力による変化が起きている
 恒星では、内部で水素原子どうしが核融合を起こし、
 その核融合で電磁波エネルギーが放出されるために光っている。
 恒星の重力によりガスやダストが恒星の周りで回転し、衝突合体して惑星もできている。

 そして、惑星上の生き物も、重力がないと生きていけない。
 宇宙船の実験では、無重力では、黄身が卵の殻にくっついてしまいかえらないのだそうです。
 人間の内臓も、重力がないと変な位置になってしまう

 このように、我々の生命自体にとって、重力は何よりも大切なのだそうです。

〇古代ギリシャ時代の宇宙観、重力観
 最初は古代ギリシャです
 この時代では、地理学や天文学などの発達により
 すでに地球は丸い、と思われるようになっていたみたいですが
 宇宙観は
 ・地球中心
  地球が中心になり、ほかの天体が周りを回っている
  ほかの星はガラスのような天球に張り付いている
 ・4元素理論
  世界は土、火、空気、水でできているという世界観

 そして、重力観はアリストテレスの「物理学」という本に表れているらしい
 当時の「4元素論」では
  土は宇宙の中心に向かう性質、火は中心から離れる性質をもち、
  空気、水はその中間
 そして
 「その物体がどの割合で4元素を持つかにより、落ちる速さが決まる」
 と考えられていたらしい
 
 つまり、物が落ちるのも、何かに引っ張られるというよりは、
 「その物質がそういう性質を持つから」と考えられていたようです

〇中世の科学(12~14世紀)
 この時代は宗教(カトリック)が勢力を持っていて、
 あまり科学は好まれていなかったようですが、
 イスラム世界の科学観、インドでの数学の発展
 (彼らはアルキメデスの重力観にとらわれておらず、
  アラビアの科学者は引力、
  インドの数学者は重力の存在を知っていたという話があるようです)
 それから古代ギリシャでもピタゴラス、アルキメデスによる幾何学の発達などがあり
 それらを土台として、次第に科学の基礎ができてきたようです。

 ・ロジャー・ベーコン
  彼は観測と実験による科学を最初に打ち立てた人物、だそうです。
  彼は修道士ではあったものの、教皇と仲良くなり
  「大科学事典」を編纂した
  その中で、数学と実験の重要性を説いていたそうです。

  といっても彼のいう実験は「伝聞」も入っていたそうですが
  それでも自然現象は「そういう性質だから理由はない」と疑問を持たれていなかった当時において、
  真実を知るには、客観的な観測、実験が必要、
  という考え方は、先の科学の発展には重要だったようです。

 ・この時代の宇宙観
  この時代でも地球が中心、という考え方だったそうですが
  そうなると惑星が逆行する動きが見られ、
  ふつうに考えると不自然な動きだったらしい。
  そのため、惑星は周回運動をするという説明を考えていたらしい
 
〇地動説の登場(15世紀ころ)
 古代ギリシャでも少数派ながら、地動説を考えていた人はいたそうです。
 アルキメデスの師匠のアリスタルコスは
 「宇宙を埋め尽くす砂は何粒あるか」を考えていたそうで
 (これは純粋な数学的な疑問だったらしい)
 その過程で「もし太陽が中心だったら、地球中心の宇宙よりもっと大きいはずだ」
 というアイデアもあったそうです。

 しかしコペルニクスが地動説を唱えるまでは、地球中心の宇宙観が主流だったらしい
 ・コペルニクス
  彼は医者だったそうで、天文学は趣味だったようです。
  しかしもともと天文学に興味があった(収入のよさそうな医者を選んだ)ようで
  だんだんそちらに力を入れるようになったらしい

  彼は天体観測から、惑星の逆行運動を説明するアイデアとして地動説を考えたようです。
  しかし宗教上、地動説は許されない考え方だったため、
  彼の本は死後出版されたらしい
  しかも編集者が「これは単なる思い付きで、まじめな考えじゃないです」
  みたいなことを書いてしまったらしく、あんまり真剣に考えられなかったらしい

 ・ティコ・プラーエ、ケプラー
  そのあと登場したのがティコ・プラーエとその弟子ケプラー。
  ティコ・プラーエは貴族だけど変わり者で、天体観測が趣味だったらしい
  彼自身は天動説を信じていたそうですが、
  弟子のケプラーはコペルニクスの地動説が正しいと思っていたそうです。
 
  ケプラーはプラーエの残した観測データをもとに
  惑星の軌道が楕円だ、と見抜き、ケプラーの法則を見出した
  (この法則から、のちにニュートンが万有引力の法則を発見することになる)
  しかし、時代のため地動説については沈黙を保っていたそうです

 ・ガリレオ・ガリレイ
  この人は「それでも地球は回っている」という裁判で有名ですね。
  彼は、反骨精神の塊の方だったみたいで
  アリストテレスの科学観に疑問を持ち、
  実験や実測で理論を作ることにこだわったそうです。
  
  彼は医者になりたかったがなれず
  貴族のために代わりに実験をし、生活を立てていたらしい
  (当時は貴族が科学に関心を持っていた)

  そしてそのうち、オランダ職人が作った望遠鏡を大学に貸し出し、
  その代わりに大学教授の地位と収入を得て、
  自分自身も望遠鏡で天体観測を行っていたそうです
  そして木星の衛星を発見し、
  「天体すべてが地球の中心を回っているわけではない」ことを証明

  そのあと、「天文対話」という本を出し、
  この中で地動説を唱えたために裁判にかけられます。
  結局最後は間違いを認め、死刑は免れるものの
  幽閉生活を送ることになった

  しかし、彼はこの後実験を重ね、「進化学対話」という本をかきあげ、
  アリストテレスの重力観への反骨精神を示したようです。
  (宗教上の理由で、この本の出版も命がけだったみたいですが…)

  そこではアリストテレスの重力観に反対しているそうで
  例えば「重いものほど速く落ちる」という考え方。
  しかしガリレオは「重いものと軽いものを結びつけて落としたらどうなるのか」と質問している。
  (軽いものが遅いのであれば、重いものは軽いものに引っ張られて単独よりも遅く落ちるはずだが
   軽いものと重いものがプラスされれば、全体の重さは重たくなるから早く落ちることになる
   このパラドックスをどう説明するのか、というわけです)
  
  また、「重力は加速度運動」という考え方も実験から見出しているそうです。
  そして実験から、重力の落下距離は落下時間の二乗に比例する(h=(1/2)×gt2(二乗))
  という法則も導き出している、つまりニュートン力学の域に来ているらしい。

  ただガリレオは重力の正体について
  いろいろアイデアはあるものの、何かはわからなかった
  ただ「分からないけど実験や観測の結果はこうだ」と書いていたようです

 ・ニュートン
  そしてお次はいよいよニュートンの登場です。
  時代としては、ガリレオが亡くなった前後に生まれたみたいです。
  (亡くなって生まれた、みたいな話もあるが、1年くらいずれているらしい)

  彼は裕福な農園の息子だったが、母親が社会的地位の高さを望み、学校に行かせていたようです。
  ケンブリッジ大学にも入学したが、ペストの流行のため実家に帰ることになる。
  しかし、そこでは召使に農園をやらせて2年間は研究に没頭、
  その間に万有引力の法則を考え出したのだそうです。

  彼の万有引力の法則はりんごの落下にインスピレーションを受けた、
  という話はあまりにも有名ですが、
  このりんごの木は実家の農園の木だったようですね。
  彼はこのりんごの木を見て

  「りんごの木が垂直に落ちているのはなぜか、
   それは地球がりんごを引っ張っているからだ。
   地球は回転運動をしている、だから垂直な力が働く。
   りんごも微力ながら地球を引っ張っているはずだ」と考えたそうです。
  
  彼のアイデアは「プリンケピア」という本に著されているそうです
  これは3部に分かれており
  第一部は物体の運動法則
  第二部は法則を裏付ける数学理論(流体力学、微分積分など)
  第三部は惑星運動や、地球の潮汐現象を運動法則により説明

  彼のすごさは法則を見出しただけでなく、
  それを数式に示して、地球上のすべての物体に適用したこと、
  また、それを惑星運動や、天体レベルの重力理論にまで発展させたこと、
  にあるそうです。

  りんごの木の話を聞いたときはいまいちすごさが分からなかったんですけど、
  りんごが「垂直に」落ちていると気づくこと
  (それはボールのついたひもを引っ張ってぐるぐる回しているように
   地球がりんごを目に見えない糸で引っ張りながらぐるぐる回っているから)
  「りんごも地球を引っ張っている」と考える発想、
  などが凡人と違うのかなと思いました。

  著者によれば、プリンケピアのような本が書けたのは
  彼が数学の才能に優れていたからではないか、とのこと
  彼はこの本では数式では述べていないが、
  二つの物体に働く引力は、物体間の距離の二乗に反比例する(G=-mM/r2)
  ということをケプラーの法則とホイヘンスの法則から数学で導き出しているそうです。

 〇重力の正体
  しかし、ニュートン自身は重力が何によって発生しているのか、
  はわからなかったみたいです。
  「エーテル」とか「粒子」のような、目に見えない何かが介在しているのでは、
  と考えていたようです。

  しかし当時は、それは幽霊が引っ張っているようなもの、
  としてオカルト的なものとして受け止められていたようです。
  また、エーテルとか粒子はどこからきたのか、
  それらがなぜ重力を媒介しているのか、
  謎が謎を呼ぶことにもなる。
  
  彼はそれでも「正体はわからなくても重力はあるのだ」
  として、潮汐現象などを説明している
  筆者はここで脱線して、潮汐現象について2、3の話を書いています
   ・潮の満ち干が2回起きるのは地球と月の間に働く引力と、地球と太陽の間に働く引力のため
   ・月は地球の引力により自転できず、常に同じ顔を見せる
   ・連星に働く潮汐力は、互いの軌道をふらつかせる …など
  (本筋とは関係ない気がするので詳細は省略)
   
〇相対性理論
 ・アインシュタイン
  いよいよアインシュタインの登場です。
  彼はドイツで生まれ、イタリアで教育を受けたそうですが
  ラテン語などの古典を学ぶ教育は肌に合わなかったようで
  (彼は自分の考えたいことについて、自由に思索にふけるのが好きだったらしい)
  このため先生からの評判はよろしくなく、大学もぎりぎりで卒業
  
  就職も三流で、特許庁の三級職員、だったそうですが、
  仕事が暇だったのが幸いして、自分の好きな研究に没頭
  そして1905年にのちに評価される3本の論文を出したそうです。
  一つは「光電効果」
  (これは量子力学の先駆けとなりノーベル物理学賞を受賞、
   ただし彼は量子物理学は気に入らなかったらしい)
  もう一つは「ブラウン運動を、水の振動による現象だと説明」
  そしてもう一つが「特殊相対性理論」

  ・特殊相対性理論について
   これは「光速度一定」が原理となっているそうです
  
   そもそもは、彼は電磁気学で
   「電気も磁力も、物体が動いていても同じ速さで伝わる」という現象があり
   その速さは今でいう光速の速さで、
 これはなぜなのかと興味を持ったそうです

   そして思考実験で、
   「AさんとBさんは同じ速さで走るとお互いに止まって見える
    では光と同じ速さで走ったら光は止まって見えるのか?」
   と考え、光は見えなくなることはないことから
   「光の速度は常に変わらない」という理論を考え出したそうです。

   ここから、時間も空間も光に合わせて変わりうる、と考え
   E=mc2(二乗)の式を導いた
   この式は
   ・時空は一体化している
   ・物体が運動するとエネルギーが増え、物体の質量も増える
   ことを示しているらしい

   ニュートン力学では
   「時間と空間は絶対的なもの」だし
   「質量は不変」
   が前提でしたが、これを覆す理論だったということだそうです。

   これを重力理論まで発展させたのが一般相対性理論なのだそうです。
   私は特殊相対性理論と一般相対性理論は別物とは思っていなかったのですが
    特殊相対性理論は「光の速度一定」
    一般相対性理論は「等価原理」(重力は加速度と同じ)が根元の考えらしい
   つまり特殊相対性理論の時点では、単なる物体の運動を相手にしていて、
   重力とか宇宙の成り立ちにまで考えが及んでいなかったらしい。
  
  ・一般相対性理論
   等価原理は、彼が「エレベーターの中にいる人は重力を感じているのか」
   と思ったところから着想を得たらしい
  
   そしてこのあと、アインシュタインは、重力は加速度と同じ、とし、
   ならば時空も重力の影響を受けるのではないか、と考えた
   というのは、

   特殊相対性理論によれば、
   動く物体と静止している物体とでは、時間の長さや進む距離が変わる

   一方、等価原理によれば、
   重力は質量のある物体に働く加速度運動とする

   これらを合わせると
   重力(質量のある物体の加速度運動)が働けば時間も空間も変化する、つまり時空が歪む、
   ということになる

   そうすると光はどうなるか?
   光は時空上を真っ直ぐ進むが
   時空自体が歪んでしまうと、それに沿って進む光も歪むのではないか?
   そして、この時空の歪みが重力ではないか?
   とアインシュタインは考えたようです。

   訳注によれば
    特殊相対性理論では重力は「独立した力」としているが
    一般相対性理論では重力は「幾何学的な歪み」と見ている、という違いがあるそうです。

   しかしこの時空の歪み、
   というのは凡人には理解しにくいらしい。

   「時空の歪み」は、教科書的には柔らかい布にボールが沈んだ絵で示されることが多い。
   これは直感的には分かりやすい絵で、
   光が重力で曲がる説明には使えるが、
   あれは正確ではないらしい。

   というのは、りんごが落ちるのはあれでは説明できない。
   本当は時間次元でも歪んでいて、
   りんごが落ちるのは時間次元で歪むから落ちるのだそうだ。

   アインシュタインは一般相対性理論の構築についてはてこずったそうです。
   というのは、この理論はからむファクターが多すぎて、数式化するのが複雑なんだそうだ。
   「私にもう少し数学の才能があれば…」
   と嘆いていたらしい。

   特殊相対性理論と一般相対性理論を比較すると
   特殊相対性理論は
   「ミンコフスキー時空」
   一般相対性理論は
   「リーマン時空」で扱うらしい

   ミンコフスキー時空とは、横軸に空間、縦軸に時間を示した座標
   時空が一体なことを示す
   一方、一般相対性理論ではリーマン幾何学
   (リーマン幾何学の説明はあんまりなかったのですが
    ネットで調べたら
    曲がった空間を数学的な概念で扱う学問で、曲率とか出てくるそうな)

   それから、重力に影響するファクターは、
   ニュートン力学では質量だけだが
   相対性理論ではもっとたくさんなのだそう
   ・重力変化に伴う質量、速度、圧力の変化
   ・重力変化に伴う時間の変化
   ・重力による空間の引きずり込み効果
    電流が流れると磁場が起きるように、
    自転する物質で重力が働くと空間を引きずり込む力が生まれるらしい
   ・重力変化に伴う正のフィードバックループ
    (重力が働くとエネルギーが生まれ、
     エネルギーから質量が生まれ、
     質量から重力が生まれ…とどんどん力が加算されていく)
    アインシュタインの一般相対性理論の方程式はシンプルな形だが
    この式にはテンソルという成分で表され、他の式が入れ子的に入っているそうだ

○相対性理論の実証
 アインシュタインの理論はそれまでの常識を覆したが、
 実証しないことには正しいかわからない

 ということで、日食を利用して実証したそうです
 太陽の近くの星から出る光が
 太陽の重力により影響を受けるかを調べるため、
 日食の時、太陽の近くを通る星の位置がずれているか観測したそうです

 結論から言えば、当時のカメラの精度や天候不順などがあり
 けっこう怪しい結果だったみたいですが
 当時の判定者は
 「アインシュタインは正しい」
 と英断した

 また、この観測以外にアインシュタインを後押しするものとして
 ・水星の近日点移動
 という現象もあったそうです
 相対性理論によれば
 太陽により惑星の軌道も影響を受けると予言されていたが
 距離が遠いので、観測で分かるのは一番近い水星くらいだとされていた

 水星の近日点が移動する現象は確認されていて
 これはアインシュタインの計算と合致したのだそうです。

 それから、光子時計などの実験もあった

 これらの実証から、
 アインシュタインの理論は受けいれられ
 スーパースターとしてもてはやされたらしい

○4つの力
 相対性理論とは別に、同時期に量子力学の発展もみられた

 相対性理論と量子力学は、共に自然界の現象を説明する理論ですが
 この2つは相容れない理論なんだそうです

 相対性理論は宇宙や惑星レベルの現象を扱い、
 式で示され、曖昧さがない

 一方、量子力学は電磁気力など、ミクロレベルの現象を扱う
 量子力学の世界では、物質の位置は曖昧
 観察するまで、物質は色んな位置を取りうるという不確定性原理をもつ

 ファラデーは実験により、
 重力と電磁気力との間に関係があるかを調べたそうですが、ギブアップしたそうです

 またアインシュタインも統一理論を構築しようとしたが
 かなわぬまま亡くなった

 量子力学では
 ・電磁気力
 ・強い力(原子核の中で陽子や中性子などを結びつける力)
 ・弱い力(引力ではなく引き離す力、ベータ崩壊など)
 の3つを扱い
 これに重力を合わせた4つの力が自然界に存在する、
 とされているそうです

 重力はほかの3つに比べて弱い。
 しかし集まれば巨大な現象を起こす
 その例として、中性子星、ブラックホールの紹介がされていました。
 詳細は省きますが
 ・中性子星は中性子間に働く反発力と、重力が釣り合ってできているようです。
 (重力が太陽の1.4倍になるとできるらしい)
 ・ブラックホールはさらに重力が強く、太陽の2倍以上とされる
  観測はされていないが、
  アインシュタインの理論で予言はされているらしい
  ブラックホールの中心では
  熱放射、電荷粒子などの放射、物質を引き伸ばしてスパゲティのようにしてしまう、
  などの想像もつかないような現象が起きるのでは、とされているそうです

 重力以外の3つの力は素粒子が媒介するとされ
 量子力学で説明されているそうです
 重力も重力子という素粒子が媒介するという説もあるが、
 まだ統一はされていないらしい
 次はその統一の話をしています

○相対性理論と量子力学との統合
 先に述べたように相対性理論と量子力学は相容れないが
 宇宙の始まりであるビッグバンや、ブラックホールの真ん中など
 「特異点」を考えると
 統一させる必要性があるらしい

 ミクロの世界の粒子の振る舞いは従来の物理学では説明できず
 量子力学が必要
 「特異点」は点の世界なので、ミクロの理論で考えなければならない
 
 一方、ビッグバンやブラックホールなどでは巨大な重力を扱うので
 従来の物理学で考えなければならない
 しかし、「特異点」では、従来の方程式が破たんする
 例えばブラックホールの中心では
 重力が無限大(重力は距離の二乗に反比例する、中心では距離はゼロに近づく)となってしまう
 
 これらから、時空や重力を量子理論と統一した、量子重力理論が必要になる
 しかし「時空を量子化する」とは
 時空をとびとびの単位で考えることで
 アナログからデジタルの世界に行くのと同じようなものらしい

 このデジタルな時空というのは、不確定性原理により存在が曖昧
 直感的には分かりにくい世界らしい

 しかし数学的な概念はこれを理論的に説明するのに役立つそうで、
 量子力学の理解に使われる数学として以下のものがあげられていました
 よくわからん部分もありますが、私なりの理解で書いてみます
 ・ツイスター理論
  ロジャー・ペンローズが考えた理論
  虚数も入った座標空間を考えるのだそうです。
  こうすると座標空間が2倍になり、時間軸も考えられるらしい

 ・量子的対称性
  対称性とは、数学の世界では折り曲げても同じな左右対称とか、
  回転しても同じ回転対称などがある
  (幾何学の授業で出てきたような気がします)

  そして物理法則では、対称性が守られているらしい
  例えば運動量保存則では空間的な対称性が保たれ
  エネルギー保存則では時間的な対称性が保たれている
  量子力学でも、量子的対称性が守られなければならないのだそうだ
  (素粒子は2つペアになっていて、
   片方がもう片方の正反対の性質を持つ、というやつかな?)

 ・非可変な幾何学
  可変なもの、とは順番を入れ換えても中身が変わらないもの
  (三つ以上の数字の足し算など)
  しかし時空を考えるときは、変換の順番が大事になるんだそうです
  時間と空間の順序を変えると全く違う現象になってしまう

 ・行列力学、波動方程式
  色んな状態を取りうる量子力学では、
  たくさんの要素の変換をいっぺんにできる行列が便利なんだそうです
  そして、量子状態を示した波動方程式は、
  物理学的には行列力学と同じ意味を示すのだそうだ

 さて量子重力理論に話を戻すと、
 現在色んな量子重力理論が百花繚乱で、検証も出来ていない状態だが
 なかでも有力なのは
 「ひも理論」とその発展形の「M理論」
 「ループ量子理論」
 なのだそうだ
 
 ・「ひも理論」
  物質は一次元のひものようなもので出来ている、と考え
  色んな種類の素粒子は
  そのひもが色んな振動状態になっているもの、と考えるらしい
  ひもが振動の仕方により、色んな音を奏でるようなもの、と書いてありました。
  (調べたら
   素粒子を弦の振動と考えているそうです
   この理論は素粒子のふるまいが、弦振動と似ていると分かったことから考え出された理論らしい
   そしてこの弦振動のなかで、
   「閉じた弦」の振動はミクロの素粒子、
   「開いた弦」の振動は重力子
   の振る舞いと説明できることから
   重力と量子力学を統一できる理論として注目されたらしい)

  物質をひもに統一しているので考え方はシンプルだが
  その代わり次元をたくさんにしないといけないらしい
  10次元の世界なのだそうだ

  そしてM理論では、色んなひも理論を統一したもので
  宇宙はひもではなく、11次元の世界に浮かぶ膜と考えるらしい

 ・「ループ量子理論」
  原子をノード(点)、原子同士を繋ぐ点をリンクと考え
  ノードとリンクが織り成すネットワークを時空と考えるらしい
  「原子は点状の物質のループのように振る舞うため、ループ量子論という」そうです

  「ループ」とは輪、環状のものを指すそうで、
  「点状の物質の輪っかのようにふるまう」というのが意味不明だったんですが、
  いろいろ説明を読んでいると、ループという呼び名はあんまりこだわらない方が良さそうです。
  
  私なりに解釈して書いてみます
  量子力学では、原子の位置は「不確定原理」のせいで定まっていない、雲みたいなもの
  この雲みたいな振る舞いをする原子どうしのネットワークが時空
  なので、時空も同時にいろんな状態を取りうるし、
  それぞれの時空は連続でなく、とびとびで存在する
  
  その中での時間は、いわば映画のコマ送りのように流れる
  ループ量子論のエキスパートの方によれば
  「時間はコマ送りのように存在するので、特異点も存在しない」
  つまり、特異点の前の状態から後の状態へとジャンプするのだそうです

  直感的にはわかりにくい世界かもしれませんが、
  私個人としてはループ量子論の方が分かりやすかったです。

 筆者によると、今はひも理論よりループ量子論に分があるそうです。
 というのは、ひも理論、というのは
 量子力学を考えていくうちに、
 「これは「重力子」にも適用できるのでは?」
 として考え出された理論で、時空についての考え方は別ものになっている

 一方、ループ量子論は、最初から時空の作り方が量子的、としているので
 宇宙の成り立ちを考えるにはすっきりする

 まあでもどちらの理論も、今のところ検証できていないのでなんとも言えないらしい
 もしかしたらどちらも部分的には正しいのかもしれない
 このほか、この本では新しい量子重力論もいくつか紹介されていましたが
 あんまり主流でもなさそうなので省略します

〇重力波の測定
 電磁気学では、電磁気力は粒子としても波としてもふるまう
 なので、重力も波の性質を持つのでは、とは言われていたらしい
 そして、アインシュタイン方程式の解として、
 アインシュタインが出した一つの答えが重力波だったそうです。
 重力波は、電磁気力と同じく、時空の中を光速で伝播していく

 また、アインシュタインが重力波の存在を予言してから40年後に
 ポールディラックという方が「重力子」の存在を予言した

 つまり、重力も電磁気力のように
 粒子と波の性質をもつ光のようなものが媒介する、と考えられたらしい

 重力は重力の振動現象で起きるそうですが、
 予想されている周波数は非常に低く、かなりゆったりした波と考えられているそうです。

 そして、この重力波を観測する話も紹介されていました。
 重力波を宇宙から検出しようとすると
 ほかの波のノイズがあり、検出するのが大変らしい
 また、揺らぎが微妙なので精度を高くしないといけないみたいです。

 最初に検出器を作成したのはジョゼフ・ウェーバーという方だそうですが
 これはお金と時間をつぎ込んだけどうまくいかなかった
 そのあと光の干渉を利用したLIGOが考え出された
 
 LIGOはL字型の装置を使う
 レーザー発生装置からビームを照射、真ん中にあるビームスプリッターに当たる
 ビームスプリッターで二つの光路に分けられ
 (一つは垂直に反射、もう一つはまっすぐ進む)
 それぞれ等距離の所にある鏡に跳ね返され、ビームスプリッターに再びあたり、
 最終的に検出器で検出される
 重力波により、装置が微妙に移動するので、
 二つの経路を通った光にずれが生まれ、検出器のところで光の干渉が起きる

 レーザーから発する光を電磁波(波長が非常に短い)とし、
 干渉計の光路の距離を長くする、ということで精度を高めるそうです。
 
 しかし、精度が高いのでノイズをどう扱うか、という問題はあるそうです。
 (最終的には、2016年に観測に成功という結果を生み出しています)
 このLIGO、検出までに10年以上かかり、
 「これ以上予算をつぎ込む必要があるのか」という議論もされたようで
 なかなか基礎研究というのはどこまであきらめずにやればいいのか、
 難しいものがありますね…

〇反重力は可能か
 ここでは、
 「重力は消せるのか?」「重力を人工的に作り出すことはできるのか?」
 という議論をしています。
 いずれにしても、SFとか似非科学の世界になってしまうみたいです
 例えば、
 ・等価原理で重力を作る
  加速度を常に与え続けて重力を作る、という方法だが
  これだと加速度を与え続けるためのエネルギーをどうやって調達するか、の問題がある

 ・宇宙船を自転させて重力を作る(遠心力を使う)
  外側に力がかかり続けるので、重力は感じることができる
  角運動量が保存されるので回転は続き、エネルギーは要らない
  しかしこれを実現したらめっちゃ酔いそう…

 ・重力遮蔽装置
  電磁気力は遮蔽できる
  これは電荷が分極して内部電場が作られ、外部電場を拒むためらしい
  質量は分極しない(負の質量がない)
  このため同じような重力遮蔽装置を作ることはできない

 ・風船で物体を浮かせるように、地球に地球をつなげて反対の重力を働かせる
  地球同士がお互いの重力でクラッシュしてしまう

 ・電磁気力を使い体を浮かせる
  これはリニアモーターカーの原理だそうです
  非常に強い磁場でレールと電車の間に反発力を働かせ、浮かせる
  ただ、これは車体とレールが大きい磁石に包まれないといけないので、
  飛行機には応用できない
  また、一応生物は水がほとんどなので、強力な磁場をかけて浮かせることは可能だが、
  脳みそがダメになる可能性があるので危険

 ・反重力装置の発明
  電磁気力などを使って「発明した」と主張する人はいたが
  ほかの人がやっても再現性がなく、結局忘れられていく人が多いみたいです。
  また、空飛ぶ円盤の発見、ステルス機の開発などと同じように
  秘密裏に軍などが研究しているのでは…ともたまに言われるが、
  筆者はこの情報化社会で、秘密裏に行える実験などない、と書いています。

 ・ゼロ点エネルギー
  これは以前モーガンさんの番組でやっていましたが
  真空に見える空間でもエネルギーはあり
  粒子のペアが生まれ、消滅することが繰り返されている
  これに関連して「カシミール現象」
  (2枚の平坦な板をつなげていくと、負のエネルギーが板の間に生まれ引き合う現象)
  も紹介されていました
  まあでもこれは微小な世界の話みたいです

 ・反物質、物質
  反物質は理論的には負の質量を持つといわれている
  しかしこれが現実世界に存在したら 
  重力が働いているときは等価原理が成り立たなくなってしまうのでは、とのことです

 ・ダークエネルギー
  宇宙を膨張させるエネルギーとされているもの
  これを利用したら負のエネルギーが作れそうだが、
  ダークエネルギーは密度がとても低いので使えないそうだ

 休憩話としては面白いかな…という話でした。

ファインマンによれば
「重力はとてもシンプル」
だそうです。

しかしそのファインマンは
「物理学はなぜ?には答えられない」
つまり物理学は、いくつかの法則や定数は出せるが、
測定したらそうなった、という結果だけで、なぜは説明できない

「物理学は実証できるかが重要
 理解しやすいとか常識にあっているとか、好みの問題ではない」
とも話しているそうです。

まさに重力についての歴史はこのようになっていますね…
ガリレオもニュートンも、重力の正体はわからないけど、「測定したらあるはずだ」とした
また、アインシュタインの相対性理論も、量子理論も、凡人の頭では理解はしにくいが実証はされた
次はどんな理論が出てくるのか…
という感じでしめくくっていました。

万有引力、相対性理論、量子力学、
など、今まで分かっていたようなわかっていなかったような感じでしたが
(もともと物理学は、電子回路と力学が面白くなかったので好きとは言えなかったが)
歴史的な意義というか、概念としての意義はなんとなくわかりました。
人間の世界、宇宙の世界にどう関係するのかな~
と考えると、面白いなと思います。

一般相対性理論と特殊相対性理論、
あと量子力学と相対性理論、がごっちゃになっていたので
ちょっと違いが分かってすっきりしました。
専門家の方から見たら
「そこ違うでしょ」というところもあるかもなので
間違いあったらすみません

高校、大学くらいの方で
これから物理学バリバリやろうかなという方は
興味を持つ読み物的に読むのもいいかもと思います。
文章はわりと読みやすかったです。

というわけでいろいろ勉強になりました。
長くなりましたが、今回はこの辺で。



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2016年08月21日

新幹線の話

子供が自由研究に、電車のことを調べたいと言い出しました。
電車と言っても切り口はいくらでもあるのですけど、
どうやら新幹線のことにするらしい。
というわけで、今回は新幹線について。

(最初に断っておきますが、
 私のざっくりした理解での話ですので、
 間違いがありましたらすみません…)

子供の持っている本はE5系の「はやぶさ」
(時速320km/hを実現、当時としては世界最高レベルの速度)
のことについて書いてあったのですが、
モーターのことを知りたいという。
モーターのことなんか書いてない…
ネットを調べても出てこない。

というわけで雑誌を図書館で借りてみた。
検索したら、鉄道ジャーナル2013年8月号にE5、E6のことが書いてあるらしい。
というわけでかいつまんで書いてみます。
(技術的なことは詳しくないので、ざっくりした理解で書いてます。
 間違っていたらすみません…)

●E5、E6系の技術的な特徴(鉄道ジャーナル2013年8月号より)
 ・先端形状をロングノーズにしている
  トンネル時のトンネル微気圧波
  (トンネルに出入りするとき、ピストンのように空気を押してボン、という騒音が出る)
  を防ぐため。空気抵抗も減る

 ・パンタグラフを騒音や抵抗が少ない仕様にしている
   振動や騒音の少ないシングルアーム型(くの字の形のもの)
   パンタグラフ自体2つと少ないが、
   走行時、後方の1つだけ立てて、もう1つは折りたたんでいる
   (1つだけだと外れてしまう恐れもあるが、架線との接触部分(すり板)を分割しているらしい)

 ・連結部分に全周ほろを付けている
   抵抗や騒音を減らしている
   曲線のときにも曲がれるような構造
 ・台車カバー、床板に吸音材
   ガタガタを減らして乗り心地をよくしている
 ・フルアクティブサスペンション(揺れ防止装置)を全車両に付けている
 ・車体傾斜制御装置
   カーブの時、空気バネで外側の車体が1.5度傾くようになっている

 さて問題のモーターの話です。
 結論から言うと、モーター自体はE2、E3と同じ規格だけど、
 高速仕様にして高速でも走れるようにしている、ということらしい。
 電源のところを見ると、
  一般的に電気は
  架線→パンタグラフ→主変圧器→主変換装置(インバーター、コンバーター)
  の順で送られ、主電源機(モーター)や電力回生制御(電力ブレーキ)の力になっているとのこと。

  変圧器は、架線から来る電気が高圧過ぎるのでそれを変換するための装置。
  変換装置は、架線からくる電気が単層交流、モーターが使う電気は三相交流と種類が違うので、
  それを変換する装置。
   詳しく言うと装置の中のコンバーターが単層交流から直流電気に変換し、
   インバーターが直流から三相交流に変換する、という二段階方式らしい。

  技術的な細かい話になるのですけど、
  ・E5系ではコンバーターを小型化、省エネ化をしたり、
  ・コンバーターやインバーターを3段階で制御できるようにしたり、
  ・これらの回路の半導体素子を変えて、電磁騒音(ウィーンという機械音)、
   トルクリプル(モーターの力を回転の力に変えるときの動きムラで起きる脈動)を減らしている、
  ということらしい。
  モーター自体がどうとかではなく、
  その周辺の機器を高速仕様にしているということかなと思いました。
  え
  他は、320km/hの高速になっても、
  ブレーキが今までと同じ距離で効くような仕様になっているらしいです。
  (中央締結式ブレーキディスク、等圧式ライニング、空圧式キャリパ装置…
   あと、地震などの緊急時にはセンサーが働き、緊急ブレーキが速くかかるようになっていたり、
     セラミック粉末が吹きかけられるなど)

 一生懸命読んだ割には、子供には新たな情報にはならなかったわ…
 まぁ、この号は欧米の高速列車のことがメインなんですけどね。
 日本の高速列車との比較もあって面白かったです。

結局、子供は自分の手持ちの本の範囲で内容をまとめていたのですけど、
私自身が新幹線の根本的な技術のことも知りたくなり、
「決定版 新幹線パーフェクトバイブル (学研ムック) 」
という本も借りてみました。
これは2011年出版なので情報は新しくはないのですけど、
当時最新式だったE5E6、九州新幹線のことをはじめ、
新幹線の技術的なことや歴史なども書いてあり、かなり読み応えがありました。
主に
・日本の新幹線の変遷と技術
・新幹線を作った人たちと歴史
の話でした。

鉄道マニアの方々には常識の範囲内のことかもしれないのだが、
私なりにまとめてみます。

●日本の新幹線の変遷と技術の進化
 新幹線の変遷を地域ごとで分けると、
 ○東海道、山陽
  0系→100系→300系(→500系)→700系→N700系
  (500系はJR西日本開発のものらしいのでちょっと異質)

 ○東北、北陸
  ・200系→E2系
  ・二階建てのE1、E4系
  ・ミニ新幹線の400系とE3

 ○九州
  ・800系
  ・N700系みずほ、さくら

 ○その他の新しい新幹線
  ・E5はやぶさ(東北)
  ・E6スーパーこまち(秋田)
  この本には無いけど
  ・E7、W7かがやき、あさま(北陸)
  ・E5、H5はやぶさ、はやて(北海道)

それぞれの技術について書いてみます。
 ○0系?N700系
  <0系(1964~)>
  ・最初の新幹線、だんご鼻が特徴
  ・一時期はシネマカー、こどもサロンなどもあったとか。

  <100系(1985~)>
  0系からのイメチェン、という意味合いが強かったようです。
  ・先端形状をシャープなイメージ
  ・二階建て車両も出てくる
  ・座席の前後幅が6センチ広がる
  ・三人席の向きを変えられる
  ・食堂車、グリーン席
  ・電光掲示板表示

  <300系(1992~)>
  100系からのフルモデルチェンジ、
  時速220キロから270キロへの大幅なスピードアップ、乗り心地が向上
  これは、飛行機に対抗する必要があったという事情によるらしいです。
  ここでの技術が現在の新幹線の基礎となっているそうです。
  ・車両の軽量化
    アルミニウム製、シングルスキン構造(外板と骨材を一体化して切り出す)
  ・ボルスタ(揺れ板)をなくす
   「ボルスタ」とは…
    単純にいうと、電車は
    下から、車輪、台車(板)、車体(箱)の順に乗っている構造。
    しかしこれでは車輪が動くたび車体が揺れてガタガタする

    そこで、台車と車体の間に
    ・空気バネ(模式図的には風船みたいなの)と
    ・揺れ板(ボルスタ、板)
    を挟んで揺れを抑えていた。

    空気バネの性能を上げて、左右前後上下の揺れを調整できるようにした結果、
    ボルスタなしが実現できたのだそうだ。

  ・モーターなどの機器の軽量化
   「三相かご型誘導電動機」というモーターにしたらしい
    現在主流のモーターで、電流を三相交流にしたモーター、だそうです。
    (電気回路が苦手なので詳しいことはよくわからんけど)
     誘導電磁体が要らない、
     構造が単純でメンテナンスが楽、
     安価、
     比較的丈夫、などの利点があるらしい。

  これらの努力により、車体は3割軽くなったとのこと

  ほか、空気抵抗やトンネル微気圧波も減らす工夫もしています。
  ・先端形状をシャープにする
  ・パンタグラフを2本に減らす(0系までは8本)
   これは「き電方式」を変えたことによるらしい
  「き電方式」
   新幹線の電気は交流電流なので、
   使っているときに電気がレールや架線から漏れてしまうらしい。
   そうすると一般の電話やテレビの線に電磁被害を起こすので、
   別の電線をつないで余計な電気を回収しないといけないらしい。
   このやり方が「き電」
   (電気を与える、という意味。
    レールと架線とで流れる電流が逆向きなので、
    架線に電気を与えてレールから吸い取る、ということか)

   回路の詳しいことは分かりませんが、
   昔は「BTき電方式」といって、
   架線に4キロ毎に位相が変わる部分(セクション)を作らないといけない方式だったらしい。
   このセクションをパンタグラフが通ると火花が起きていたらしい。
 
   新しい「ATき電方式」は架線にセクションを作らなくてもいいような方式なので、
   位相が変わる所がなく、
   パンタグラフ同士を高圧線で結べる。
   これでパンタグラフの数を減らせるようになったのだそうだ。

  ・パンタグラフカバーをつける
   騒音が減る
  ・天井の空調を床下に移動し、天井を低くする
   重心が下がり、抵抗が減る
  ・線路にカント(カーブの傾斜)をつける

 <500系>
  JR西日本のプロジェクトで作られた車両。
  山陽新幹線区間は利便性の高い飛行場があるので、
  飛行機との競争に苦戦しており、
  スピードアップ(300km/h)と時間短縮をはかったそうです。
  ・シャープな先端形状
   トンネル微気圧波を防ぐ
  ・T字パンタグラフ
   風切り音をなくす
   フクロウの羽を参考にしたそうです。
  ・車体間ヨーダンパー
   台車と車体をつなげる棒みたいなので、
   これがあると加速が大きいときの車体の横揺れが防げるのだそう。
  ・一部の車両にセミアクティブサスペンションを搭載
  ・ブレーキのとき車輪にセラミックを吹き付け、ききを良くする
  ・車体をアルミニウム合金、ハニカム構造(蜂の巣のような芯材を挟んで強度を増す)
   軽量でも強度を保っている

  東海道にも一時期乗り入れるが、ドアが片開き、客室が狭いなどの問題で撤退したらしい

  <700系(1999~)>
  JR西、JR東海の共同開発。
  のぞみだけでなく、こだまやひかりも含めた全体的なスピードアップを図るため、
  大量生産できるようコストダウンも行ったらしい。
  最高時速は285km/h
  ・車体を300系並みに広くする
  ・すべての車体間にヨーダンパー
  ・一部車両にセミアクティブサスペンション
  ・先端がエアロストリーム(カモノハシ)
   鼻の長さは500系より短いが、トンネル微気圧波は少ない
   客室の広さを確保しながら抵抗を減らすための構造らしい

  <N700系(2007~)>
  先端技術を集めたもの
  最高時速300キロ、騒音減、快適、省エネを実現
  ・先端がエアロダブルウィング型
  ・全車両にセミアクティブサスペンション
  ・全車両に車体間ヨーダンパー
  ・連結部分に全周ほろ(騒音防止と省エネの役割)
  ・車体傾斜装置
   空気バネでカーブのとき、片方が1度傾くようになっている
  ・スタートダッシュが速い
  ・無線LAN、コンセント、全席禁煙化(喫煙ルーム)

 ○東北、北陸など
  <200系>
  100系に比べ、寒冷地仕様にしてある
  ・スノープラウ(雪かき)
  ・雪切り室
   外気を機器の冷却に使うため取り込む際、雪を取り除くための部屋
  ・ボディーマウント
   床下の機器も車体で包み、防寒する
  ・線路にスプリンクラーをつけて雪を溶かす
  ・100系のように食堂車ではなくビュッフェ(乗車時間が少ないので)
  ・グリーン個室、カフェテリアなどが付いている車両も

  <E2系>やまびこ、はやて、あさま
  ・先端形状は、運転席が前に出ている
  ・雪切り室が無い代わりに、連結部分から冷却用の空気を取り込むようにした
  ・パンタグラフはX型と、くの字のシングルアームのものがある
   シングルアームでは、パンタグラフカバーがなくても騒音が出にくい構造
  ・200系より軽量化、騒音、振動を減らしている
  ・長野新幹線区間では周波数が変わるので、対応する編成もある

  <400系つばさ、E3系こまち、つばさ>
  ・軌道の狭い在来線区間も走れるミニ新幹線
  ・新幹線区間では駅と車体との隙間があるのでドア下からステップが出る

  <E1、E4Maxとき、やまびこ>
  ・二階建て
   首都圏に郊外から通う人のため、大量に人を乗せる必要に迫られた
   今は上越新幹線区間
  ・E1は12両、E4は8両編成
  ・E4はつなげて16両にすると1600人強乗せられる、これはジャンボジェット機の5倍の定員
  ・先端はストランドノーズ(断面が広く、トンネル微気圧波が出やすいため)
   E4では運転室の窓が突き出た形になっている
  ・二階建てのため、床下の機器を両端の車内にまとめて収納している

 ○九州
  <800系>
  遊び心があるデザイン、九州の地域性があるのが特徴
  ・ベースは700系だが、先端はシャープ
  ・インテリア、エクステリアは水戸岡鋭治さんがデザイン
(ななつ星のデザインもされていますね)
   西陣織、木製のブラインド、熊本のサクラなど沿線のものをデザインのモチーフにしている
  ・急勾配に対応するためすべての車両をモーターつき電動車

  N700系のみずほ、さくらも急こう配仕様になっているらしい。
  東海道に乗り入れないので、車体傾斜装置は付いていないとのこと。

 ほかの技術的なこともまとめてみます。
 世界の高速鉄道と比べた日本の新幹線の特徴として、以下のことが挙げられていました。
 ・動力分散方式
 ・高架橋の線路で、踏み切りがない

 ・動力分散式
  電車のように、各客車の下にモーターなどの機器をつけている方式
  ちなみに、欧米の高速列車は動力集中式
  機関車みたいに機動車が客車を引っ張る方式。客車はただの箱で、自分では動けない

  <動力集中方式のメリット>
  ・機器が集中しているのでメンテナンスが楽
  ・客車の下に動力がないので乗り心地がいい
  ・ひとつの動輪で大きな駆動力を得られる

  <電車方式のメリット>
  ・折り返し運転のとき機動車を付け替えなくていい
  ・ひとつの車輪にかかる重さが少なく、
   地盤が弱いところで沈まない、
   レールに負担がかかりにくい
  ・発電ブレーキが使える
   モーターで発電させ、電気を消費するときブレーキが働くしくみ

  過密ダイヤ、地盤の弱いところもある日本には電車方式が向いている、
  発電ブレーキにより省エネを実現できる、
  ということで電車方式を採用しているらしい。

 ・高架橋で踏み切りがない
  日本は車の交通量が多く、
  土地も狭いので、
  安全のため高架橋にしている

  外国は交通量が少ないところに既存の線路があり、
  そこに高速列車が乗り入れていることが多く、
  踏み切りもあるらしい。

●その他の新幹線の技術
 ・機密構造
  トンネルでは気圧差ができるために耳がつーんとなる
  機密構造にして車内の気圧を一定にし、これを防いでいる

 ・電気回生ブレーキ
  発電ブレーキの進化形。
  モーターで発電した電気を架線に戻し、電気は他の電車に送って消費してもらい、
  モーターの回転が戻るときの抵抗を利用してブレーキ力を得る、という仕組み。
  全体の省エネにもなる

  以前は交流区間では、時間の変化により電圧が変わる(位相差がある)ので出来なかったが、
  電車自体に位相の変換装置(インバーター)をつけることで可能になった
  300系から採用されているらしいです。

 ・ブレーキ制御システム(デジタルATC)
  従来のATCでは、段階的にブレーキをかけたりゆるめたりして減速していたが、
  デジタルATCにより、距離や状況からコンピューターが計算して減速
  これによりなめらかで速い減速ができるようになった

 ・運行制御システム
  CTC→COMTRAC→COSMOSと進化してきたらしい。
  CTC 指令所で信号機や分岐器を集中管理する。しかし個々の作業は手動だった
  COMTRAC 信号機や分岐器をコンピューターで管理できるようにした
  COSMOS 中央で管理するのではなく、
      各駅の指令所が、中央などと連携しつつ自律的に管理できるようにした

というわけでまとめると、
新幹線が速く、かつ乗り心地よく、省エネを実現しながら走るために行われてきたのは
・車体の軽量化(アルミ製、シングルスキン構造、ハニカム構造、ボルスタレスなど)
・機器の小型化、軽量化、パワーアップ
・車体の先端の形状の変化
・天井を低くする
・揺れを減らす(ヨーダンパー、セミアクティブサスペンション)
・カーブのときの車体傾斜装置、線路のカント(傾斜)
・パンタグラフの工夫(数を減らす、形を変える、カバーを付けるなど)
・連結部分を全周ほろ付にする
…などがあるようです。
リニアもあるし、まだまだ改善されていくのだろうなあ。

●新幹線の歴史
 この本には新幹線の歴史のことも書かれていました。
 技術というより人間ドラマの話になるのですけど…
 おそらく有名な話ではあるのだろうが、私は知らなかったので見入ってしまいました。

 印象に残ったところだけ書いてみます。
 ・軌道論争
  今の電車は新幹線より軌道が狭いけど、
  元々国際標準軌は新幹線の広さで、
  狭い軌道は植民地仕様だったのだそうです。

  これはイギリスが
   日本は狭い、輸送需要が見込めない、安上がり、
  といって狭い軌道を勧めたのをそのまま採用したらしい。

  その後広いのにしようとか狭いままでいいだろうとかいう論争があったらしいが、
  政変などに振り回され、新幹線は国際標準、電車は狭いままになり、今に至るのだそうな。

 ・弾丸列車計画
  昭和の始めには、幹線(東海道、山陽)を強化しようという意見はあったらしい。
  これは戦争に勝ち始めて軍事輸送が急増して、需要が増したこともあるみたいです。
  (下関から海底トンネルを通し、朝鮮半島、北京まで伸ばすという壮大な計画もあったとか…)
  
  調査委員会ができ、議会でも建設が決定、着工まで行ったらしいのですけど、
  第二次世界大戦に敗戦し、予算が無くなって中止になったのだそうです。

 ・新幹線完成への立役者2名
  何といっても、新幹線建設の立役者である、
  国鉄総裁十河(そごう)信二氏、技術者の島秀雄氏の2人の話は印象的でした。

  十河氏は70を超える高齢ながら総裁に就任。
  そのころ斜陽産業と言われ、事故などもあって現場の士気も下がっていた国鉄に
  「新幹線を作る」という大きな夢を持たせた。
  更には、自ら政治家を説得して回り、
  国会にはったりをかまして(3000億円を超える見積もりを2000億円弱にねじこんだ)予算を付けてもらう政治力もあったようです。

  予算も人材も新幹線につぎ込むなりふり構わぬやり方は批判もあり、
  電車の事故、予算不足などで最後は辞任に追い込まれ、
  新幹線の出発式にも出席しなかったようですが、
  彼の情熱と行動力がなければ新幹線はできなかったのではと思われます。

  一方島氏は、機関車方式が主流だった時代に、
  動力分散方式で高速電車を作る、
  という発想を持っていたそうです。
  そして、早くから「高速台車振動研究会」を発足して官民から参加者を募り、
  理論的な研究を進めていたのだそうです。  
  そしてその研究が
  ビジネス特急「こだま」(低予算でつばめ(機関車方式)より東京?大阪間を40分短縮させた)、
  さらにはIS試作台車へと繋がり、
  0系の完成となっていったようです。

  島氏は新幹線だけではなく、
  車両、信号、運転管理、橋、駅、軌道など、システムも含めて一から作り上げた功績がある、
  と書かれていました。
  また、義理人情には固く、十河氏が辞任すると、後を追って自らも辞任したのだそうです。

  立役者である両者が、新幹線の出発式には出席していない、
  というのは何とも皮肉な話ですね…

新幹線マニアもかなりの数だと思いますが、
新幹線ができるまでのドラマ、
使われている数々の技術を知ると、
人を引き付けるものがあるのも何か納得できる気がしました。
私自身はマニアになる気はないのだけど、
同じ日本人の話として知っていても損はないと思う。

上の子にはまだちょっと難しい内容だとは思うが、
もう少ししたらこういう話もあるよ、と教えてあげようかな。

プロジェクトXではないですが、
技術屋さんの話などを拾ってみるのも興味深いものがありますね~

というわけで、なんかまとまりないですけど、今回はこの辺で。



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