2017年10月13日

NHKBS世界のドキュメンタリー「オーダーメイド・ベビー」

BS世界のドキュメンタリー「オーダーメイド・ベビー」

2017年フランス制作のドキュメンタリー。
生殖医療の問題を扱った番組で、
現在どこまで技術が進んでいるのかの紹介と、
命を選別していいのか、障害者の権利はどうなるのかなどの議論についてでした。

予想できる展開ではあったんですけど
SF小説のようなセリフを真面目に言っている人たちが
既に存在している事実には改めて驚きを感じました。

○生殖医療の現在
 体外受精は1978年、イギリスで初めて行われたそうです。

 それ以来、西側諸国では100人に3人が体外受精により生まれ
 それ以外の国でも1000人に3人が体外受精により生まれている。
 生殖医療の市場は年間200億ドルとも言われているそうです。

○インドのクリニック
 最近生殖医療で注目されているのはインド
 技術も高く、値段もお手頃だそうで、海外から不妊治療を受けに来る人が多い

 取材されていたクリニックでは
 レーザーにより着床を促したり
 卵子や精子を凍結保存するなど
 色々な治療法が選べるそうです

 普通卵子は一回の排卵周期で1つ排卵されるが、
 人工受精の場合は6個か7個1度に行う

 このクリニックでは、エンブリオスコープ、という顕微鏡があり
 全ての受精卵の胚分裂の様子をいっぺんに見られる。
 モニターにもつながっていて、
 全ての受精卵の生育状況が同時にリアルタイムで見られるようになっており
 育ちのいい受精卵を子宮に移植するのだそうだ

○デンマークの精子バンク
 この精子バンク(クリオス社)では、
 精子ドナーの履歴が見られるカタログがあるそうです

 カタログ(といっても電子カタログです)には
 ドナー男性の子供の頃の写真、
 親の国籍、心の知能指数、
 筋肉質かなどの体質、靴のサイズなんかも見られる
 ドナーの肉声も聞ける

 高い料金を払えばこのような詳しいプロフィールが見られるそうです
 40~1000ユーロまで値段設定があり
 安い料金の場合はドナーの情報は基本的なものだけらしい
 精子は液体窒素で保存されており、永久に持つとのこと

 代表の方によれば
 最高品質の精子を所有するため、
 ドナー希望者の中でも採用するのは10人に一人なのだそうです

 不妊カップルだけではなく
 独身女性、レズビアンカップルからの問い合わせもあり
 「需要と供給のバランスで、これは1つのマーケットです」
 だそうだ

 1つのマーケット、と言い切るのがすごいですね…

○ロスアンゼルスの卵子バンク
 精子バンクがあるなら卵子バンクもあるそうですが、
 アメリカのロスにある卵子バンクは
 経営者である女性の辛い体験から生まれたそうです

 彼女は子供を授かったが、早くに亡くなる
 そのあと授かりたかったが叶わなかったそうです
 彼女は自分のように子供が欲しいと願う人たちの手助けになりたい、
 と考えているそうです
 「親の経験がある女性として、
  子供を持つ喜びや、ドナーへの感謝の気持ちも分かる」
 と話していました

 ドナーとなった女性に話を聞くと
 「最初は病院で検査を受け、
  超音波で卵胞や生理周期のどのあたりかなどを調べる。

  そのあと、排卵誘発剤の注射を受ける
  たしか1日2回を7日間、
  そのあと1日3回を3日間だったと思う。
  効き目によってはトリガーショット、という注射を自分で打つこともある。

  卵子を取り出したあとは、回復するまで1日はかかる。
  人によっては2、3日。
  ヒリヒリするだけだけどね」

 このドナーの女性は3人子供を持つシングルマザーで、
 ありていに言えば金銭目的で卵子提供を行ったそうです
 3人の子供を持ちながら学校を出て、仕事を始めるくらいの時期だったので
 経済的には苦しかった。
 報酬で学業ローンの支払いができ、
 子供のための貯金もできた、と話していました

 また、別のドナーの女性は
 「ドナーになるときは、自分の子供、という意識を持たないこと」
 と話していました
 卵子を渡したらあくまでも生まれた子はその人の子供、
 自分は彼らが子供を持つお手伝いをしただけ、
 と割りきることが大事だそうです

○赤ちゃんの性別、瞳の色も選別できる
 カリフォルニア州の生殖医療研究所では、
 早くから受精卵の性別を選べる事業を行ってきたそうです

 この研究所の男性が説明してくださいましたが
 手法としては、受精卵から細胞を1つ取りだし、染色体を調べる
 胚は傷つきやすいので取り出す作業は神経を使うそうです
 性染色体を染め、XYなら男性、XXなら女性

 最近では瞳の色も選べられるそうですが
 それを発表したとき、バチカンから電話がきたらしい
 「彼らはとても丁寧な話し方で
  「瞳の色の選別はまだ社会が受け入れられていないから、慎重に進めてください」
  と話していました」

 しかし、彼によれば、瞳以外の選択は難しいそうです
 肌の色、知性などはまだ仕組みが解明されていないらしい

○天才精子バンク
 しかし1980年代には、ドナーの知能指数で精子を選別する試みがなされていたそうです

 カリフォルニアにあったこの精子バンク「天才精子バンク」は
 ロバート・グラハムという方が設立したそうで
 実際にこのバンクから精子提供を受け、自分が産まれた、
 という女性もいらっしゃいました

 彼女の父親は不妊体質だったそうですが、
 テレビでこのバンクが紹介されていたのを祖母が発見し
 提供を受けたのだそうです

 ドナー男性のことも分かっていて、
 名前、知性が高いこと、卓越した運動能力があること
 などは知っているそうです

 彼女がそれで優秀な方なのかどうかは番組で触れられていなかったので分かりませんが、
 彼女自身は
 「両親は私が小さい時からそのことを正直に話してくれた、
  でも自分にとっては奇妙でも特別でもない、
  私が存在するにはこれしかなかった」
 と話していました

 この精子バンクは、グラハム氏の死後は閉鎖されているらしいのですが
 グラハム氏へのインタビュー映像は残っていました
 
 この精子バンクには3人のノーベル賞受賞者や、
 20人ほどの優秀な遺伝子を持つ人たちの精子が凍結保存されていたらしい
 グラハム氏によると
 「若手リーダーの住所録から目ぼしい人を探し、
  その人に手紙を書いてドナーになってくれるようお願いした、
  1、2%の人は快く引き受けてくれた」とのこと

 彼は
 「建設的な生殖を進めていくことが、我々の使命だと思っている。
  優秀な遺伝子を残していくことが大事だ」
 と話していました

 「建設的な生殖」「優秀な遺伝子を残す」
 というのは、かつての「優生学」の考え方をほうふつとさせる

 生物学者のジャック・テスタール氏によると
 「優生学は、ダーウィンのいとこのフランシス・ゴールトンが提唱した考え方で
  「悪質な遺伝形質」を淘汰し、「優秀な遺伝子」を残すという考え方。
  この考え方は古代からあったにはあったが、
  1910年から30年代ではとくに盛んだった。
  このころの生物学者はみんな優生学者で、
  彼らの目的は人類を向上させること、
  遺伝子疾患のある子供が生まれないようにすることだった」

しかし、その「優秀な遺伝子」の選別はすでに始まっているのかもしれない…
という話が次になされていました
○受精卵の出生前診断
 スペインのバイオメディカル企業では、
 体外受精の受精卵を移植する前に、遺伝的な検査を行っている
 これはPGE(出生前診断)と呼ばれる

 1人の人間のヒトゲノムは、8時間あれば解析できるそうです
 この研究所の研究者は
 「38歳を超えたら胚の遺伝子診断をする必要がある。
  流産や染色体異常の恐れがあるためです」
 と話していました

 産婦人科医のカルロス・シモン氏は
 「昔は、出征前診断は不妊患者の妊娠のために使われていたが、
  現在は、健康な赤ちゃんを産むためのもの」
 と話し
 「専門家を頼れば健康な赤ちゃんが産まれる、
  セックスは楽しみのためのもの」とまで言っていました
 小説の世界のような話ですね…

○選べる医療が現実になってきた
 フランスでは、120あまりの遺伝子疾患がPGEで発見可能、
 イギリスではこの5倍なのだそう
 しかも外観の欠陥も遺伝子検査で分かるのだとか

 パリのデカルド大学の医学者グレゴリー・カッツ氏は
 「自分が子供を作るときは、家族限定に限って優生学を取り入れるつもりだが
  社会全体が優生学を受け入れられるかは自信がない、
  命の選別や修正をするのは映画の「ガタカ」そのものの世界」
 (「ガタカ」は1997年の映画で
  遺伝子操作で子供を作るのが当たり前の社会、
  生まれた瞬間に子供の将来の疾患の可能性が%で分かる世界、
  という設定の作品らしい

  一応あらすじを調べますと、
  遺伝子操作で生まれた子は「適正者」、普通の性交渉で生まれた子は「不適正者」
  とされる社会で、
  不適正者として生まれた主人公が、
  宇宙飛行士になるために困難を乗り越えていく話だそうです)

 生物学者のジャック・テスタール氏は
 「重い障害を持つ子供が産まれることは、もちろん親は望まない
  しかし問題はどこまでが障害か、の線引きだ」
  現実的にはそれは線引きできない、
  障害をすべて取り除こうと思ったらきりがない、
  許された限界を突き進んでしまったら人間は自尊心を失う、
 と話していました

 しかし産婦人科医のカルロス・シモン氏は
 「自然に任せるのが本当にいいのか?
  もし介護が必要な子供が産まれたら、両親は苦労する。
  それでもそれが一番だというのか?
  我々のような医者がいるのは、自然が完ぺきではないからだ」
 と話していました

○3人の親を持つ子供が生まれる?
 2015年、イギリス議会では「3人の親を持つ子供」が法的に認められたそうです。

 これはどういうことかというと、
 ミトコンドリア異常の女性が、それを子供に伝えないための治療方法ができたとのこと

  ミトコンドリアは細胞の内部に存在し、
  核(主な遺伝子が詰まっている所)とは別に存在している
  エネルギー生成などの重要な役割をしていて、
  女性側の卵子に含まれるため、子供にはそのまま母親から受け継がれる
  このため母親にミトコンドリア異常があると、子供にも引き継がれてしまう

  そこでニューカッスル大学では、
  女性の卵子から核を取りだし、
  別の女性の卵子(核を取り除いたもの)に入れる
  そのハイブリッド卵子で普通の体外受精を行う、
  という治療研究を行っていたそうです

  つまり「3人の親」というのは、
  卵子の核、卵子の核以外、精子がそれぞれ別の人間由来、という意味です。

  ただしこれは少々誤解を招く表現で、
  実際は卵子の核以外の部分にはほとんど遺伝子はなく
  ミトコンドリアにも遺伝子はあるけど、
  割合としては体内の遺伝子の1%以下だそうですが…
  (そもそも、ミトコンドリアのDNA自体が細菌由来ですしね…)

  この方法を使えば、
  今までは母親にミトコンドリア異常があったら
  それが子供に引き継がれ、その次の代にも異常が引き継がれる恐れがあったが
  この方法を使えば、それが防げるようになるそうです

 アメリカの研究では、この方法によるベビーがすでに誕生している
 ただし、行われたのはアメリカより法律が緩いメキシコだそうです
 イギリスでは2015年にこの治療法が合法になり、
 まもなくこの方法でベビーが誕生するだろう、とのこと

 イギリスではこの法案を審議する際、
 専門家による助言なども受けていたそうですが
 そのうちの一人マンチェスター大学のジョン・ハリス氏は
 「人間が、安全を確定できないレベルまで、
  科学技術を発展させるのは
  いいことなのか、災いをもたらすことなのか?
  これを常に考えなければならない」
  と話していましたが、

 この法案については
 「3人の親、という表現は誤解を招く。
  ミトコンドリアの遺伝子は全体の1%以下、それも意味がないもの。
  3人が関わるのはたしかだが、それが何だというんだ」
 という話をしていました
 
〇人工卵子、人工精子
 最近では、卵子や精子を人工的に作る、という研究もされているそうです

 アメリカのボストンにある企業では、
 女性の体内の卵子を若返らせる薬の開発を目指しているらしい
 この企業の遺伝学者によれば、実現は間近だそうです

 この企業では、女性の卵子を、幹細胞から育てることもしているのだとか
 今は2年育てていて、もうすぐ赤ちゃんを産めるくらいになる、と話していました
 人工的に卵子を育てられれば、
 オーダーメイドの卵子を作ることも可能になるそうです

 また、フランスのリヨンにあるベンチャー企業では
 人工的な精子を作った、という発表がされたそうです

 この研究者によれば
 生殖細胞から精子を育てるのだそうですが
 この技術を開発するのに23年かかったのだとか

 ネズミの精子が成功し、次にヒトの精子を育てた
 今後は、生殖機能があるかどうかを確認する必要がある、とのこと
 
 ほかの研究者は、育てるのはヒトなので
 慎重に進める必要がある、と話していました

 しかしこの成果の発表後、男性不妊に悩む方々からの問い合わせが多いそうで
 「カップルの写真を送ってくる方もいる、
  彼らが親になる手助けができればうれしい」
 と研究者は話していました

 先ほど優生学の解説で出てきた生物学者のジャック・テスタール氏は
 「人工的な受精卵を沢山作ってスクリーニングする、
  そういうやり方は優生学の思想そのもの」と話していました

〇ゲノム編集技術
 最近では、「ゲノム編集」の技術も進んできている
 医学者のグレゴリー・カッツ氏は
 「受精卵を処分するかどうか、は昔の話だ。
  今は低コストでDNAにはさみを入れて編集できる。
  これは遺伝学者の遺伝子組み換え技術に利用されている」
 
 最近ゲノム編集で話題なのは、クリスパー・キャス9というシステム
 (確かちょっと前にサイエンスゼロでもやってましたが
  http://neuro-educator.com/crisprcas9/
  (【図解:3分で解説】クリスパー・キャスナインとは|遺伝子改変、ゲノム編集技術
  このページが一番ビジュアル的にわかりやすいかも)
  http://www.cosmobio.co.jp/product/detail/crispr-cas.asp?entry_id=14354
  (コスモバイオ社のホームページ)
  http://www.japanprize.jp/data/prize/2017/j_2_achievements.pdf
  (「CRISPR-Casによるゲノム編集機構の解明」これは発見の経緯です)

  などにもありますが
  私の理解でざっくりいうと、
  クリスパーとキャス9という2つのたんぱく質からなるシステムで、
  クリスパー(たんぱく質とRNAとの複合体)により、体の中の標的遺伝子を見つけてくっつき、
  キャス9という切断酵素でその標的遺伝子をカットする、というもの)

 このクリスパーキャス9システムは、今までの遺伝子組み換え技術よりも、
 標的遺伝子を正確に確実に見つけ、切断できる技術なのだそうです

 このシステムを発表した研究者の一人エマニュエル・シャルパンティエ氏は
 「この技術は病気を治療するためのもので、
  望ましくない目的には使われるべきでない」
 と話しています
 
 しかし中国では、ヒトの胚に遺伝子改変を行った受精卵を誕生させた、
 という発表がされた
 血液の病気の原因となる遺伝子を組み替えたそうです
 子宮への移植は行われなかったそうですが
 オーダーメイドベビーへの第一歩だとして大きな問題となったそうです

 (最近では、アメリカでも行われたそうです
  http://gigazine.net/news/20170803-first-us-human-embryos-edited/
  によりますと、
  「2017年8月2日に科学誌Natureで発表されたMitalipov博士らの本研究」
  で、米韓中の共同研究チームによるものだそう
   内容としては、
   ・肥大型心筋症の原因遺伝子を持つ精子
   ・正常な卵子
   を体外受精させる際、精子の心筋症原因遺伝子をクリスパーキャス9システムで切り落とし
   正常な卵子の遺伝子で補わせる、
   というもので
   成功率は約72%だったそうです
   (ちなみに、受精卵は3日後に廃棄されたらしい))

 外科・泌尿器科医のローラン・アレクサンドル氏は
 「まだ発展途上だが、2025~35年にはオーダーメイドベビーは実用化するかもしれない、
  ただこの技術は、生まれてくる子供の能力を変えることになる。
  我々はそこを考えないといけない、
  我々が完成させようとしている技術はとてつもない力を秘めている」
 と話していました

 クリスパーキャス9システムを発見した、エマニュエル・シャルパンティエ氏は
 「個人的には、ヒトの生殖細胞の遺伝子をいじるべきではない、と考えている」
 とのこと
  生殖細胞の遺伝子組み換えは
  いったん許されるとどんどんエスカレートし、一線を越えてしまうからで
  遺伝子組み換え技術は制限されるべき、と話していました

 一方、泌尿器科医のローラン・アレクサンドル氏は
 「一線を越えるべきではない、という人もいるが
  一線というのは時代とともに変化する」
  体外受精も出生前診断も人工心臓も、
  数十年前には受け入れられなかったが、
  今はむしろなくてはならないものになっている
  遺伝子組み換え技術だってそのうち日常的になるかも、とのことです

 また、医学者のグレゴリー・カッツ氏は
 「突然変異を排除するのはリスクがある」
 そもそも選別するのは果たしていいことなのか、と疑問を投げかけていました
 「突然変異を排除してしまったら、
  我々人類は、ある日突然環境の変化に対応できなくなるかもしれない」
 それから
 「ベートーベン、モーツアルトも遺伝子変異に苦しめられたが
  彼らから変異遺伝子を取り除けばよかったとは思わない。
  あの素晴らしい音楽は、体の不具合を乗り越えるために生まれたものだ。
  たとえ人間に欠陥があっても、それが人間を人間らしくしている要素だ」
 と含蓄ある意見を述べていました

もし遺伝子変異が悪い遺伝子、というのなら、障がい者などの存在はどうなるのか…
と次の方は問いかけています
〇車いすのアーティスト
 ロンドンの科学博物館には、
 車いすのアーティストの作品があるそうです

 その名も「パンドラの箱」
 遺伝子検査をテーマにした作品だそうです
 アーティストの女性によると、
 人間の価値とは何なのか、
 人間は後戻りできない道を突き進んでいるのでは
 という気持ちから作られた作品だそう

 彼女は遺伝子検査すべてに反対しているわけではない、
 と話していました
 ガンなど、命に関わるような病の治療のためなら賛成だと。
 ただ問題なのは、
 遺伝子疾患があるだけで価値が低い、
 と勝手に決められることで、
 特に医療機関の人たちは勝手に価値を決めている、
 と話していました

 彼女は
 「私は、障害があっても結婚もし、
  忙しく、充実した生活を楽しんでいる
  制約があっても質が低いとは思わない」

 「でも他人から見れば、
  私の姿は親が子供に望む姿ではないかもしれない。
  でも、だからこそ、もっと話をしたい」

 また、
 「もし誰かが、
  あなたの病気は治る医療はあるが、今の自分でなくなるかも、
  と言ってきたら、私は危険を冒すことはしない」
 
 そして、
 「苦しいのはこの体の状態ではなく、
  周りの人たちの態度など、ということも多い。
  遺伝子疾患などをなくすよりも、
  バリアフリーの精神を大切にする方が先ではないか、
  そうすれば住みやすい社会になるのではないか」
 と話していました

〇感想など
 最初は単に、最近の生殖医療の紹介かなあと思っていたのですが、
 だんだん話が哲学的というか、根が深いものになっていって
 見ごたえがある番組でした。

 最後の方で
 「欠陥は、人間が人間らしくあるためのものだ」
 という言葉がありましたが
 実際問題、欠陥のない人間っているのかな?と思います。
 同時に、いいところが一つもない人間もいないと思う。
 凸凹があるから個性が産まれるんでしょうね。

 途中で医療関係者が
 「自然に任せて、親の介護の必要な子が産まれたとして、それは幸せなのか?」
 という問いがありましたけど
 そりゃたしかに、物理的肉体的には、毎日介護しなきゃいけない、
 ってのはきれいごとでは済まされないだろう。
 でもそういう状況だからこそ味わえる喜び、ってのもあるんじゃないかなと思う。
 同じ状況の人を分かってあげられる優しさも芽生えると思う。

 一方で「優秀な遺伝子」を持つ人生は本当に幸せなのか?とも思う。
 それも分からない。
 もしかして人を馬鹿にする子供になっちゃうかもしれないし
 挫折から這い上がる達成感も味わえない、
 それも味気ない人生かもしれないなと思います。

 それに、何らかの事故が起きたり、あるいは精神的にダメージを受けたりして
 途中から障害を持つ場合だってあるわけで…

 だから、最後にアーティストさんがおっしゃっていましたけど、
 障害を完全になくすよりも、
 多様性を認める社会、
 どんな人でも暮らしやすい社会を実現する方が
 本当はみんなが幸せになれるんじゃないかなと思います。
 
 たしかに、医療の発達は素晴らしい。
 子供が欲しいけど得られない人、
 不治の病でももっと生きたい人のために治療法を確立させてあげたい、
 という医療関係者の気持ちもよくわかる。
 でもクリスターキャスパー9の科学者さんの言葉のとおり
 歯止めはかけた方がいいのかなと思います。
 
 どんだけ科学が発展したとしても、すべての望みをかなえることはできないし
 望みがかなっても幸せになるかどうかは分からない。
 望みを諦めたから、めっちゃ幸せになれた、って場合もあるから
 人生はわからない。

 ある程度はあきらめるというか、
 運命を受け入れるというか、
 ないものを追うよりも、目の前の幸せを喜ぶ、
 そういう心のトレーニングをした方が
 結局は幸せになれるのかもしれないな、と思いました。

 個人的には、
 出生前診断とか、オーダーメイドベビーとか
 選択肢が増えるほど悩みも増えるような気がする…
 これからの人たちは選ばねばならない分、ある意味大変かも。。

いろいろ考えさせられました。
というわけで、今回はこの辺で。

 
 

 
  


posted by Amago at 13:47| Comment(0) | テレビ(科学) | 更新情報をチェックする

2017年10月12日

NHKBS世界のドキュメンタリー「私の周りはサイボーグ」

NHKBS世界のドキュメンタリー「私の周りはサイボーグ」

 フランス・スペイン制作の2017年ドキュメンタリー。
 義肢、脳チップなど、体の中に端末を埋め込む人たちの話です。
 これらの人工物は、今までは病気や怪我などで失った機能を補うためのものだったが、
 最近は人間を超えた機能を追加するためのものも出てきているそうで、
 倫理面など、これから議論が必要な分野になりそうだとのことでした。

 技術がスゴいというより、それらを本気で応用しようとしている人たちにビックリな内容でした。

 ただ番組としては、いろんな話がゴチャゴチャして見にくかったかなぁ…
 海外のドキュメンタリーにありがちなんですが
 いくつもの話を同時並行的に進めるので混乱してしまいました。
 NHKのドキュメンタリーみたいに1個1個順番に紹介してくれる方が分かりやすいなぁ
 (これは好みの問題だろうけど)

 なので整理しながら内容を少し紹介したいと思います

○義手をつけるトラック運転手
 最初に紹介されたのはスウェーデン、
 義手を着けたトラック運転手マグナスさん。

 彼は13年前腫瘍が見つかり、右腕を失ったそうです
 そこで彼は骨と金属を接合する最新のインプラントを着けた
 3つの接触点があり、その接触点が触れた場所に応じて感覚を伝えるため、
 触感も感じることができるそうです

 彼は研究対象にもなっているみたいで
 電球をつかむことを試したり
 チューリヒ(スイス)で開かれた「サイバスロン」という大会に出ていたりしました

 この「サイバスロン」は、
 平たく言うと「サイボーグのオリンピック」
 障害者の生活を支援する装置、技術などを競い、磨き合うもので
 2016年の10月に第1回が開かれたそうです
 部門がいくつかあり、
 ロボットスーツ、義手、義足、車イスレース、
 脳とコンピューターをつなげたインターフェイスでのテレビゲーム
 などだそうです
 (サイバスロンについては
  http://www.sensors.jp/post/cybathlon.html
  http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/091200067/101100004/
  などに少し説明がありました
 (「世界が注目する"人機一体"テクノロジーの祭典「サイバスロン」とは?」
  「サイバスロン」を知っていますか?」
  などの記事)

  この大会は、リハビリロボットを研究するロバート・リエナー氏
  (スイス工科大学チューリッヒ校)
  の呼びかけによって始まったそうです。
  「サイバー義体」技術を前進させるためで、
  パラリンピックは、障害のあるアスリートが中心ですが、
  サイバスロンは、テクノロジー自体が注目されるのだそうです。

  一応正式種目を書いておくと
  「ブレイン-マシンインターフェース」「機能的電気刺激自転車」「パワード義手」「パワード義足」「パワード外骨格」「電動車いす」
  2020年に開催が予定されている第二回大会の候補地には、日本の名前も挙がっているのだとか…。オリンピックあるからそんな余裕無さそうだけど)

 これらの技術は最近発達してきて、
 足りない機能を補うだけではなく、
 人間にない能力を付加するもの、という意味合いのものも出てきているそうです
 例えば、手首が360度回るという義手など
 また、マグナスさんの義手は力が強いので、
 危険防止のために自分の手は握れない設定になっているそうです

 ただ、マグナスの使う義手を作った研究者は
 「今は失った機能を補うのが精いっぱい」と話していました

○人工内耳
 次はベルリン、人工内耳を着けるプログラマー、エノさん。
 彼は20歳で聴覚を失ったが、
 人工内耳により音のある世界を取り戻したそうです

 この人工内耳は30万人が使用、一般的になっているみたいです
 2つのパーツからなり、
 1つは脳に埋め込み、もう1つは耳の後ろに補聴器みたいな感じで着ける
 補聴器パーツが捉えた音の情報を、
 頭の中のパーツに電気信号として送る
 その信号で聴覚神経を刺激し、
 音を聞いたときと同じ効果を出すのだそう

 この装置は脳手術が必要なのでリスクはあるし、
 周波数の問題、電池交換の手間などデメリットはあるそうです

 しかし彼によると便利な面もあるらしい
 補聴器パーツは音響機器や携帯電話などに差し込んで、直接接続できる
 そのまま信号が脳に伝わるのでクリアに聞こえる

 また、音をオフにもできるので
 うるさい音を聞かなくても済むらしい

 それから、周りがうるさいときモードもあるので
 人混みなどでは健常者より人の会話が聞こえやすいらしい

 彼はプログラマーなので、
 自分でもこの装置をプログラミングして色々試したいそうです
 ただ、悪用される恐れがあるので、
 現段階では個人ではプログラムをいじれないようですが…

○アンテナを脳に埋め込んだアーティスト
 次はイギリスのニールさんというアーティスト。
 彼は11歳のときに色覚障害と診断されたそうですが、
 色には興味を持ったそうです

 白黒の世界は嫌ではないが、
 ほかの人には色が分かるのに自分には分からないから、
 世界から取り残された気分になるらしい
 そこで彼は脳にセンサーを埋め込み、
 色を音として認識できるようにしたそうです

 具体的には、アンテナの光を波長としてとらえ、
 脳に埋め込んだチップに伝える
 それを振動として耳に伝え、音として認識するみたいです。

 彼によれば黄色のポストはソ、緑色の木はラ、
 白いビルはCメジャーやAフラットとかに聞こえるそうです
 彼は音も色も同じように認識するので
 電話の音は緑色だし
 人の肌の色はいろいろ言われるが
 彼はどの人も濃さが違うオレンジだと言っています

 彼の頭からは、センサーとなる曲がった棒が頭から出ていて、
 「私はサイボーグです」と自分で言っていますが、
 時代によって呼ばれ方が変わるらしい
 最初のころは「読書灯?」と聞かれ、
 そのうち、マイク、携帯電話、小型カメラ
 最近はウェアラブル端末、
 この前子供には「自撮り棒?」と聞かれたんだそうです(笑)

 しかし本気で馬鹿にしたり反対したりする人もいるそうで
 エイリアンとかテレタビーズ
 (イギリスの子供向け番組で、電波をとらえてお腹の画面に映す謎のキャラクター。私はあのシュールさがけっこう好きですが)
 とか言われたこともあるし
 神の教えに背いていると批判されることもあるらしい

 彼はこのアンテナをつけるために手術を4回したそうで、
 結構大変だったと話しています
 1回目は色の波長を振動に変える装置、
 その次2回はシステム全体を制御する装置、
 最後の1回はインターネットと接続するための装置
 を脳に埋め込んだ

 手術を引き受けてくれる医師も少なく、
 匿名でなら、という方により実現できたのだそう

 周りの理解も少なく、
 映画館では「撮影されるかもしれないから」と入場を断られることも多い
 また、パスポートの写真を作るとき、
 イギリス当局からアンテナ付きの写真が許可されなかったそうですが
 交渉で認められたそうです
 「これは私の一部、取り外しできるデバイスとは違う」と話していました

○内蔵チップ
 次に紹介されたのは、アメリカの体の中にチップを埋め込むティムさん
 彼はピッツバーグの生まれで、
 鉄鋼やハイテク産業が停滞していくのを見て育つ
 「人間がロボットに乗っ取られる」という人もいたそうですが
 彼自身は「人間も機能を追加し、ロボットになっちゃえばいい」と考えたそうです

 彼はバイオハッカーという団体を立ち上げた
 自分から端末を体に埋め込み、違う感覚を身に着けるのだそうです

 彼はたくさんの端末を体に埋め込んでいます
 例えば手の甲の真ん中へんにはBluetooth接続したソフトウェア、
 これでネットの世界にもつながるらしい
 また、親指の付け根には電子チップが埋まっていて、自宅のデータがすべて入っている
 小指や耳には磁石が埋め込まれ、今までよりも感覚が鋭くなるのだそうです

 また、昔は肘の内側に四角い端末を埋め込む実験をした
 生体デバイスとして体温などを測定し、外部にデータを送る端末で、
 彼はこのプログラムのコードを公開し、
 個人が好きなように使えるようにしたそうです
 実験は成功し、彼は3か月してその端末を取り出した

 彼はなぜそんなことをしているかというと、
 埋め込み端末を科学者だけのものにしたくないからだそうです
 実験室の中だけではなく
 友達同士が路地裏とかに集まってみんなで変えていくテクノロジーを見たいのだそうだ

 彼に言わせると、パソコンはみんなに普及したからこそ発達した
 こういう技術も、研究機関の外で革新を起こしたい、
 人々の創造性を解き放ちたい、と話していました

○その他
 ほか、最近ではいろんなテクノロジーが進んでいて、例えば
 ・3Dプリンターで気軽に義手が作られる
 ・手にチップを埋め込み、かざすだけでロック解除や支払いができる
 ・脳の信号を送り、考えるだけで機械の手を動かす装置
 ・脳に刺激を与えて学習機能を挙げる機械
  (頭に電極のついたベルトみたいなものを巻くもの)

 ・専門機関で行われているものとしては「脳深部刺激療法」
  これは、パーキンソン病の治療法として1990年代から行われているもので、
  脳に電極を埋め込み、電気刺激を与えることで 
  異常な働きをしてる部位を正常に直すもの
 
  これは「フランケンシュタインの誘惑」でも紹介されていましたが

  パーキンソン病は進行性の病で、
  手足のこわばり、震えなどが起きるが
  これが劇的に改善するのだそうです

  この治療法はうつ病など、ほかの病気の治療に応用するための臨床研究がまだ行われていて、
  40か所以上の部位が試されているそうです
 
  しかしこの方法にも問題があり
  装置がかさばること、
  数年たつと効果が薄れ再発すること、などがあるそうです

 ・脳に電子チップを埋め込むインプラント
  ほかには、電子チップを埋め込み
  病気で体の筋肉が動かせない人が体を動かす、ということもされているそうです
  ピッツバーグ大学では、患者さんがチョコレートを食べることに成功していました
  ただし、これは頭のチップとコンピューターをつなげるケーブルを
  頭につなげないといけない問題がある

  しかし、カリフォルニア大バークレー校の研究者は
  1ミリ以下のケーブル不要なチップを開発していて、
  5年、10年先に臨床研究を行う予定だそうです
  
  チップは脳の信号を機械に送って動かすだけではなく、他にも応用できる
  内臓器官や神経の動きがモニターできるチップも将来的には埋め込めるかもしれない、
  とのことです

  ただ、脳はまだ研究途中、謎が多い。
  脳に刺激を与えて、新しい機能を追加してもそれに対応できるのか、制御できるのか?
  脳に影響はないのか?

  マサチューセッツ工科大学の研究者や、
  スペインのポンペウ・ファブラ大学の研究者は
  そんなに影響はないのでは、と話しています 
  (マウスによる実験ではそういう結果だそう)

  ポンペウ・ファブラ大学の方は、
  アルツハイマー病の人が記憶が衰えてしまう問題を
  この技術で解決する方法を探っているそうです
  具体的には、アルツハイマーの方の記憶を外部デバイスにコピーして
  記憶のバックアップを取る研究だそうです
  
後半は新たな課題として、倫理面、安全面に関する議論についての話でした
 
〇ピッツバーグのティムさんの団体の場合
 例えばピッツバーグのティムさんの団体では
 メンバーは電子チップなどを埋め込む手術をするが
 それを頼むのは医療機関ではなく、タトゥーを彫る人たちなんだそうです

 普通体に穴をあける行為は医師免許を持つ人に限られ
 彼らのやっていることは違法スレスレのことらしい

 しかし彼らは、これは医療行為とは思っていないようです
 ティムさんの仲間たちは
 「知り合いの形成外科が、我々の装置を政府に認可するよう働きかけてくれる、
  と言っている」
 「でも医療装置と思われると厄介だ、
  規制なんてごめんだ」
 「我々は権力嫌いの天才だ、力を見せてやる」
 というような話をしていました

 彼らは、どちらかというと規制されるくらいなら認可は要らない、
 という感じですね…
 しかし体に穴をあけるのは間違いないし、
 どこまで自由を許すべきか、危なくないのか、という問題がある。

〇アンテナ人間、ニールさんの場合
 ニールさんは、アンテナをつけるとき、医師の倫理委員会の許可が下りなかったそうです
 理由としては
 ・治療目的ではない
 ・安全性が確保できない
 ・病院側のイメージダウン(アンテナ付けた人間を作る病院はよろしくない)
 などがあった

 パスポートや映画館を断られるなど、
 昔は理解されないこと、批判されること、笑われたりすることが多かったが、
 それでも世の中はだんだんと変わってきたようです

 彼には手術などで新しい感覚や能力を身につけたい、という問い合わせは多かったそうで
 彼は2010年、「サイボーグ財団」を設立
 専門機関や医師を紹介しているそうです

○人工内耳のプログラマー、エノさんの場合
 また、ベルリンのプログラマー、エノさんは
 定期的に主治医の所に通い、
 主治医は彼の話を聞きつつ内耳の端末を調整している
 エノさんは主治医に、人工内耳のプログラミングを自分で変えたいと申し出ましたが
 「脳神経に作用するものだから、
  メーカーはプログラムのコードを公開しないだろう」
  と主治医はやんわり断っていました

 エノさんも
 「私の医者も私の望みには気づいているけど、
  悪用などの恐れがあるので個人でプログラムを変えることには同意しないだろう」
  みたいなことを言っていました

  彼はEU議会の公聴会で
  (人体と機械を結びつける装置についての倫理観について話し合う会)
 「患者も自分で設定を変えられる権利をもつべき」を主張していました

 しかし技術をどこまで制限し、
 どこまで個人の自由を認めるかは難しい

 ハッカーに乗っ取られたらどうするのか、
 警察はデバイスを押収できるのか
 などの問題も出てくる

 EUでは専門のプロジェクトを立ち上げ、
 これらの技術が社会に及ぼす影響や、
 倫理面の問題などについて議論し始めているそうです

 ニノさんはベルリンで、サイボーグを推進する団体を設立したそうです
 サイボーグの文化や技術について話し合う機会をもうけたり
 技術者、医療者向けの紹介サイトなどを作っている
 心臓のポンプの力で発電するシステム?とかいうのも話していました

ニールさんやニノさんは、
個人の権利として、サイボーグを自由に選択できる世の中を願っているようです。
ピッツバーグのティムさんもそうですけど、
彼の場合はどっちかというとテクノロジー自体に興味がある、という感じですね。

○サイボーグ技術の是非を話し合うイベント
 デンマークの高校では、
 これらの抱える問題を扱うイベントが開かれたそうです
 脳に刺激を与え、能力を高めるという機械はすでにネットで販売されているそうで
 手に入る前に、それらの機械を手に入れるメリット、デメリットを考える必要がある、
 とイベント関係者は話していました

 イベントでは、生徒たちが
 ・脳に刺激を与え、学習能力を高める機械を着けて、どの程度刺激があるか確かめる
 ・聴力アップの機械でどの程度強化されるかを確かめる
 ・ゴーグルをつけ、他人のスマホで撮影した画像が流される機械
 などを実際に体験できたのだそうです

 そのあと生徒たちはディスカッションしていて
 「私はこんな装置いらないわ」
 「私は賛成、みんな平等になると思う」
 「いつかはこれらは現実になると思う」
 「こういう装置は世の中を二分する、
  賛成する人は身に着けて能力を高めて、反対の人と対立するだろう」
 「もっとオープンな議論が必要」
 など、いろんな意見が出ていました

〇シリコンバレーの人たちの意見
 アメリカのシリコンバレーの人たちは
 テクノロジーが人間や社会の問題を解決する、
 と考える人は少なくないらしい

 テスラモータース、スペースXなどを起業したイーロンマスクは
  「人類はサイボーグになるかもしれない」
 フェイスブックを創業したザッカーバーグは
  「AI、テレパシー、仮想現実」
 投資家のピーター・ティール
  「死を免れることは使命」
 などの言葉を残している

 これらは簡単に実現できる、という人もいれば
 そんな簡単ではない、という科学者もいるのだそうです

〇トランスヒューマニスト党
 アメリカではゾルダン・イシュトヴァンという方が
 「トランスヒューマニスト党」
 なるものを立ち上げ、
 この前の大統領選に立候補していたらしい

 彼は人間の生物学的な能力には限界があるので、
 それをテクノロジーで解決すべき、
 強く完璧な人間になりたい人は応援すべき、
 と考えているそうです
 つまり、サイボーグ的な技術はどんどん推進すべきだと。

 彼は選挙運動期間中、
 棺の形をしたバスに乗り
 「25年以内に死なない社会は実現できる」
 と主張して回ったそうです

 このキャンペーンでは、途中で
 墓地や、永遠の命を信じる宗教団体、
 ロボット研究施設を訪れたり
 デバイスを埋め込む公開手術に挑んだりしたのだそう

 更にはホワイトハウスに
 「人体を改造する権利」
 をうたう条項を乗せる憲法案を書いた紙を貼ろうとして捕まりかけたらしい

 ちなみに、ゾルダンさんによれば
 この「改造の権利」は
 人だけでなく、AIみたいなのも対象にしているんだそうだ

 彼の支持者は
 「今のところ、ヒューマントラスト党は変人の集まり扱いになっているが、
  いずれは古い政治を塗り替える勢力になるだろう。
  今の政治は保守対革新だが、
 いずれは保守対トランスヒューマニストの戦いになる」
 と話していました

 アメリカとかイギリスってこういうぶっとんだ人、たまにいますねえ…
 
 (ちなみにゾルダンさんについては
 https://www.gizmodo.jp/2015/05/post_17193.html
 には本人の寄稿があります
 http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/070700053/070700003/
 にはインタビューもありました
 (いずれも大統領立候補時のものです)

 それによると、
 トランスヒューマニスト、というのは
 「サイエンス、テクノロジーを生活や肉体に取り入れ、
  人類を肉体的に改善して死を免れよう、と社会に働きかける人たち」
 みたいです。
 具体的には
 「人工心臓、脳インプラント(脳チップ)、人工四肢、外骨格スーツを使ったり、
  無限の長寿を追求する」
 ということらしい
 
 ほかにも、宇宙への移住、海上の開発で人類が暮らせるようにしたり、
 人工知能などを開発してさらに文明を発達させること、
 そして、宗教とか思想の対立を超えた思想にし、
 戦争、疫病などをなくすことも目指しているそうです
 また、経済的にはベーシックインカムを配り、
 ロボットに仕事をやらせて人々は余暇を楽しむ、という世界にしたいらしい。。

 ただ、アメリカではキリスト教が主な宗教なので
 「神を冒涜している」と言われ、
 逆に争いの種にされるんだとか…

 あまりにユートピア的な思想で、
 一昔前の共産主義にも似てなくもないかなあと思いました。。
 人間の感情とかやりがいはどうなるんだろう、と思ったりするんですが…)

○まとめ
 これらの倫理面、安全面などの問題は、継続して議論が必要なようです。

 しかし最後にスペインの科学者が言っている言葉も含蓄がありました
 「このような装置を頭に埋め込むのが、本当に我々の未来なのか?
  今の教育システムは破綻していて、
  自分達の能力を活かしきれていない、そこをまず心配すべき。
  先にすることがあると思う」

 それからアンテナ人間のニールさんは、
 「できればサイボーグがもつ否定的なイメージを変えたい。
  笑い者やSFの世界だけのものにしたくない。
  でもみんなだんだん分かってきてると思う、
  これは現実の世界に役立つ技術、
  宇宙や地球で、私たちの活動に新たな地平線を開いてくれるものになるはず」
 と話して締めくくられていました

〇感想など
 うーん、個人的には外科手術さえやりたくないな、と思うので
 (若い時、ピアスしてたけどそれすらもう空けたくない)
 病気でもないのに積極的に体に穴をあけて、体に異物を埋め込む人たちにはびっくりでした。
 
 ましてや脳とか、障害が残ったらどうしよう…と思っちゃうのは
 私が小心者だからでしょうかね(笑)

 まあでもそういうことを積極的にしたい、という人にはさせてあげればいいんじゃないの、
 とも思います。

 もちろん自己責任で、危険とかめんどくささを覚悟でするのであれば、ですが。。
 そもそも科学って、そういう勇気とか好奇心のある人たちのおかげで進展してきたんじゃないかね、と思うし。
 (麻酔だって命がけだし、発酵食最初に食べたい人、すごいと思うよ)

 ただ怖いのは悪用されることかなぁ…
 脳とか心臓とか、生きるのに大事な機能を乗っ取られたら
 ほぼ奴隷状態になるだろう。

 まあでも、かといって政府とか大きな機関に任せたら安心か、と言われれば
 長い歴史を見たらそうでもないんじゃないかなと思います。
 だって政府が国民を支配する可能性だってなくはない。
 (特に、アメリカなどは国民が国家を信用していなさそうだ)

 安全性とか合理性などは、市場に任せた方が実は監視の目が多くていい、
 という場合もあるはずだと思うので
 みんなの目で監視できるシステムができたらいいのかもしれない、
 そういうシステムの方こそを先に作るべきなのかもしれない、
 とも思います。

 最後のスペインの科学者がおっしゃっていた言葉はそれに似ているのかもしれない。
 ロボットとかテクノロジーに頼る前に、
 人間が自分の頭で考えるべきことは考えるべきなのかな、と。
 それが人間の知性であり、テクノロジーを生み出した人間の責任なのかもしれません。
 
いろいろ考えさせられました。
というわけで、今回はこの辺で。

 
posted by Amago at 16:26| Comment(0) | テレビ(科学) | 更新情報をチェックする

2017年10月09日

NHKBSプレミアム「コズミックフロント☆NEXT 宇宙が真空崩壊?宇宙の未来をパパに習ってみた」

NHKBSプレミアム「コズミックフロント☆NEXT 宇 宙が真空崩壊?宇宙の未来をパパに習ってみた」

 最近はたまにしかこの番組見ないのですが、
 宇宙の終わりはどうなるか? という話をしていたので、
 面白そうだな~と思って見てみました。

 すると最近の終末論?的な説が紹介されていました。
 それによると、この宇宙に突然真空の泡ができ膨張し、
  (その膨張は光の速さなのであっという間)
 それにより宇宙は崩壊する、という説だそうな。

 何とも物騒な話ですが、科学的な根拠はあるらしい。
 阪大の理論物理学者、橋本幸士氏がパパになり、
 年頃の娘にこの問題を解説する
 という設定で番組が行われていました

 最初は、
 娘に 「お前進路どうすんねん」と父が話しかけ、  
 娘は 「そんなことより、地球に真空の泡ができて滅びる、て話聞いたけど、
 そっちの方が重要じゃないの?」 という質問をする

 そこで物理学者である父が解説する、という筋書きでした

○この宇宙の成り立ち
 最初に、この宇宙の成り立ちについての話でした

 宇宙に存在する物質は、ミクロの世界で見ると原子核と電子に分けられる
 さらに原子核を細かく見ると、陽子と中性子に分けられる
 さらに、陽子と中性子はクオークから構成される
また、陽子が崩壊して中性子になるときはニュートリノが放出される

 つまり細かく見ると、物質は電子、クオーク、ニュートリノに分解される

 これらは放っておくとバラバラに飛んでいってしまうので
 互いを結びつける力がある
 この力は3つあり、
 ・電荷を帯びた粒子に働く「電磁気力」
 ・クオーク同士を結びつけて陽子や中性子を作る「強い力」
 ・陽子などが崩壊するときなどの「弱い力」

 しかしこれらの力が働くためには
 まずそれぞれの粒子に重さが与えられないといけない
 それぞれの粒子に物質を与えるものとして考えられたのがヒッグス粒子だそうです。

 ローレンス・バークレー国立研究所の村山斉さんの話によると
 「宇宙の始まりの段階で 宇宙にヒッグス粒子が「固定」され、
  そのヒッグス粒子のせいでほかの粒子が動けなくなり、
  質量が与えられた」とのこと

 こうして、質量が与えられた各粒子が3つの力を持ち、
 それらが集まってこの世の物質が出来た
 これが現在の標準理論と言われるものだそうです。

 しかし、この標準理論の要となるヒッグス粒子は 、
 理論上だけの存在だけで、
 なかなか見つからなかったそうです

 このような小さな粒子はどうやって検出するのか?
 古くから、大型加速器で加速させるやり方が考え出されていたそうです

 粒子を限りなく加速させ、高速にすると、
 波長が短くなるので小さい物質が検出しやすくなる

 (ここは「?」と思ったんですが後で調べたら、
 波の性質(波長=振動数÷速度)から、 粒子の速度が上がると波長は短くなる
 また、顕微鏡の原理は、光を当ててその投影像を見るものだが、
 当てる光の波長が短くなるほど解像度が高くなる
 つまり、波長が短い粒子が多い場では、小さいものまでよく見える顕微鏡状態になるんだそうです)

 粒子をなるべく加速させるため、
 円形の容器の中でグルグル回らせる装置(粒子の走る距離を長くできる)が考え出された
 これを巨大にしたのがCERNなどにある超大型加速器

 それから、2つの小さな素粒子を光速に近い速度で加速して、それらを衝突させると
 非常に高いエネルギー状態のもの同士がぶつかり合う場になる
 これは、宇宙が生まれた時、  
 ビッグバン後に凝縮された宇宙空間で、素粒子が激しく反応しあっていたのと似た状態らしい
 「いわば宇宙の始まりを再現する装置」なのだそ う

 そこで、電子同士をCERNで加速、衝突させる実 験を何度も繰り返した結果、
 2年でヒッグス粒子が検出されたのだそうです

 これは物理学からしたら大きな成果だったそうで
 村山氏によれば
 「相対性理論と量子力学の理論を融合させた。
  素粒子の振る舞いやそれらに働く力を記述した 、
  20世紀の科学の金字塔のようなもの」なのだそうだ

 CERNではそれを祝して、4つの式が刻まれた記念碑が建てられたそうです
 4つの式とは
 ・電磁気力、強い力、弱い力を統一して記述する数式
 ・この3つの力がどのように素粒子に働くかを記述する数式
 ・ヒッグス粒子により素粒子が質量を獲得する過程を記述する数式2つ

 …ちなみに、娘にこの話を解説しているパパも、
 これらの式を書いたTシャツを着ていました。
 娘には「いつも同じで臭い汚いシャツ」と酷評されていましたが(笑)

○ヒッグス粒子の質量が軽すぎる
 しかしこれで宇宙の全てを表現できた…
 と思ってもそうはいかなかったみたいです

 というのは、宇宙に存在する粒子の重さに対して
 観測されたヒッグス粒子が軽すぎたのだそう

 フェルミ国立研究所(CERN、日本の高エネルギー加速器と並んで世界3大の高速加速器があるらしい)
 のパトリック・フォックス氏の解説によれば
 宇宙の安定のためには、ヒッグス粒子の重さと
 宇宙で一番重たい粒子の重さとのバランスが重要らしい
 ヒッグス粒子が、宇宙で一番重たい素粒子より重すぎても軽すぎても、
 宇宙は不安定になるそうです

 (ヒッグス粒子、てのは素粒子に質量=「動きにくさ」を与えるものなので
 ヒッグス粒子が重すぎると、素粒子が動きにくくて互いに反応しなくなり、
 物質や星などが生まれにくくなる、てことかな?
 軽すぎるとその逆なんでしょうか)

 しかし、観測されたヒッグス粒子は、
 宇宙が安定状態になる値よりやや軽いのだそうで す
 いわば準安定の状態
 一番低いエネルギー状態よりは少し高い、
 階段の踊り場みたいな所で取り合えず止まっている状態な のだそうだ

 しかし物質というのは、
 エネルギーが一番低い所が一番安定する
 この宇宙も、いずれ階段の踊り場から一番下まで転落する可能性があるらしい

 しかも宇宙の場合「量子トンネル」とかいう現象で、
 一番下の所に急にワープしてしまう場合があるらしい

 そうなると宇宙の中はどうなるか?
 例えていうと、宇宙の空間の中に真空の泡ができて、
 一瞬にして広がり、空間が崩壊するらしい
  (ヒッグス粒子が急に重くなると、急に素粒子間の力が弱くなり真空状態になるのだろう)

 これはいつ起こるか分からないし
 起こっても防ぎようがないそうです

○超対称性理論が解決する?
 では、我々は滅びるしかないのか?
 しかし「真空の泡はできない」 と考える人もいるそうです
 その一つが「超対称性理論」を唱える人たち

 そもそも対称性とは何か?
 左右対称とかと同じで、
 反対にしても全く同じものを対称というが
 宇宙の相対性、という場合、  
 時間、空間を含めた、ちょっと想像しにくい対称性を指すようです

 宇宙の対称性理論では
 標準理論を構成する素粒子たちに、
 パートナー物質(反物質、反素粒子みたいな、正反対の性質を持つ物質)
 が存在すると考え、
 これらのパートナー物質があってバランスを取っているから宇宙は安定している、
 と考えるらしい

 村山斉氏もこの理論を支持しているそうで
 「今の観測されているヒッグス粒子の重さというのは、
  鉛筆が机の上に逆さに立っているようなもので気持ち悪い、
  でも超対称性理論があれば
  パートナー粒子は鉛筆を支える手ぐすみたいなものになり、安定する」
 という説明をしていました

 しかしこの理論を証明するには パートナー粒子たちを見つけないといけない
 CERNなどの大型加速器で初期の宇宙状態を作れば
 そのような物質も作り出せるはずと考えられ、
 ヒッグス粒子を発見したときよりも加速を増やして、
 より初期の宇宙に近い状態で実験が続けられているそうです

 しかし何年たってもまだ見つかってない
 フェルミ国立研究所のパトリック・フォックス氏 は
 「超対称性物質が見つかればいいが、
  もし無ければこの理論は危うい、
  この理論自体が宇宙の不安定の要因になる」
 と話していました

○重力が宇宙の崩壊を防ぐ?
 しかし、真空崩壊は防げる(起きない)かもしれない、
 という理論は他にもあるそうです

 ・重力理論
  素粒子には3つの力以外に重力も働くと考えられているが、
  重力は実は、標準理論や超対称性理論には今のところ組み込まれていないそうです

  CERNにある重力研究チームのリーダーである寺師弘二氏によると、
  重力はこれらの理論に組み込むには難しい、
  新しいパラダイムが必要かもしれない、とのこと。
  そこで彼は、加速器のデータを集めて、
  この3つの力とは別の新しい重力理論を作ろうとしているそうです

  彼によると、加速器で初期の宇宙に近い高エネルギー状態を作れば、
  そこに重力を産み出す「重力子」という素粒子が見つかるかもしれない
  そうすればヒッグス粒子の矛盾が解決するかもしれない、とのことです

 ・重力が真空の泡に対抗する
  また、プリンストン高等研究所
  (アインシュタインや湯川秀樹が在籍したこともある名門研究所らしい)
  の新進気鋭の研究者(だそうだ)ニマ・アルカニ=ハマド氏は
  重力があれば、重力が真空のエネルギーに対抗し、
  真空崩壊を防げるかもしれない、と考えているそうです

  アインシュタインの相対性理論では、重力は空間や時間の歪みとされる
  つまり素粒子たちの入れ物そのものが歪んでいると考える

  強い重力があれば真空も歪むので、
  突如時空にできた真空の泡にも対抗できるということらしい

 ・ひも理論
  では重力により、ヒッグス粒子の矛盾が制御できる のか?
  そのために、重力をほかの3つの力と統一させる理論も考え出されているそうです
  その1つがひも理論

  実は今回パパ役の橋本幸士氏はこの理論の方だそうです
   (阪大の素粒子理論研究室)
  ひも理論とは、
  素粒子を全てひもと考え、
  その振動のパターンの違いが各素粒子の性質の違いに相当する、と考える理論

  宇宙の素粒子は実は全てひもでできていて、
  ひもの振動のしかたが違うから違う素粒子みたいに見える、
  と考えるみたいです
  このうち重力は、つながって輪になったになったひも、
  と考えるらしい

  橋本氏によれば、
  ひも理論に重力をどう加えるかにより、
  真空崩壊が起きたり起きなかったりするらしい
  うまいこと過程を考えると
  真空崩壊の可能性もゼロにできるそうです

 ・マルチバース論
  さらにプリンストン高等研究所のニマ・アルカニ=ハメド氏は
  マルチバース理論を考えているそうです

  マルチバース理論とは、
  いろんな性質を持つ宇宙が無数にあり
  生命や星がある我々の宇宙はその一つに過ぎな い、
  という考え方

  我々の宇宙に、これだけ微妙なバランスで生命や星が存在しているのは出来すぎてる、
  という考えから生まれたものみたいです

  ヒッグス粒子についても
  他の重さのヒッグス粒子をもつ多様な宇宙が色々存在していて
  我々の宇宙はそのバリエーションの1つに過ぎ ない、
  と考えるそうです

  しかし、マルチバース理論に反対する人もいる
  CERNの超対称性理論研究者のジョン・エリス氏なんかは
  「マルチバース理論は科学を否定している、
   「我々の宇宙はたまたまそうなってるだけ」 なんて、
   自然を理解する責任を放棄している」 と手厳しい。

  ちなみに「パパはどう思うの?」 と聞かれた橋本氏も
 「個人的には、偶然でこの宇宙ができた、という考えは好きじゃないなぁ」
  と話していました

 次の日、娘は 「お父さん、進路のことだけど、私やっぱり理系にする
 なんか面白そう」
 「そうか、お父さんも応援するぞ」
 という会話をしていました

 橋本氏は最後に
 宇宙の理論はどんどん新しい考え方が生まれている 、
 今の若い人には、昔の人の知識や考え方に囚われないものを考えてほしい、
 と話していました

○感想など
 宇宙が突然真空崩壊するという説は、
 心配というより、あまりに想像つかなすぎてポカーン、て感じだったんですけど、
 話としては宇宙項Λ(ラムダ)の矛盾と似てるなぁと思いました。

 Λについては別の回でも特集されていて、
 私の拙い理解で書きますと
 Λはアインシュタインが相対性理論を考えたとき 、
 静止宇宙を成り立たせるために無理矢理持ち込んだ項、
 重力項と釣り合わせるための項みたいです

 でも今は宇宙が膨張していることが分かり、
 Λはやっぱり必要だと考えられている
 しかし、観測によれば宇宙は膨張のスピードを速めていて、
 今のΛだと加速膨張している割に値が小さすぎる 、
 という矛盾があるらしい。

 Λについての回では、
 マルチバース理論を持ち込 んで
 「Λの値を色々持つ多様な宇宙がたくさんあって
  我々の宇宙のΛはたまたまその1つに過ぎない 」
 とする説が紹介されていました

 なので個人的、直感的にはマルチバース理論が一番しっくりくるんですが、
 今回見ていて物理学者の間では分が悪いのかな… と思いました。

 そりゃたしかに計算や方程式で全てを記述したい物理学者の身としては、
 別の宇宙があったとしても、証明しようがないので気持ち悪い。
 「そんなこと言ったら何でもありになるだろ」
 と言いたくなるんだろうな。

 でもひも理論は、なんか複雑すぎて美しくないなーと思うし
 超対称性理論はそれこそ反物質ってSFの世界だなーと思ってしまう。
 超対称性理論があるにしてももっと枠組みが大きくて
 パートナー物質だらけの宇宙があるんかもしれないな、
 我々の宇宙ではパートナー物質は見えないのかもしれないな、
 とは思うけど…

 でもそのうち、
 違う宇宙からの信号とか光が見える方法が確立されるんかもしれないですね。

 空想的に何でも思い付くのは楽なんでしょうけど 、
 そこまで理論と観測できっちり説明しないといけないので、
 物理学者って大変だなーと思います。

 宇宙の始まりとか終わりとか、
 まぁそんなの知らなくても生きてはいけるんですけど(笑)
 しかも橋本氏によれば
 物理学で宇宙が崩壊するかも、とわかったところでそれを止めることはできないらしいんですけど、
 理論物理はいろんな発想が出てきて自由な所がいいなーと思いました。

 これから、若い人がもっと、
 アインシュタインみたいなぶっとんだ理論を考えてくれると面白いな~

 というわけで今回はこの辺で。
posted by Amago at 20:32| Comment(0) | テレビ(科学) | 更新情報をチェックする