2017年06月26日

NHKスペシャル「人工知能 天使か悪魔か2017」

NHKスペシャル「人工知能 天使か悪魔か2017」

将棋の棋士の羽生義治さんが
人工知能について取材する番組で、
去年5月に放送された番組の続編だそうです。
前回よりもさらに、AIの進歩の早さをひしひしと感じさせてくれました。

というわけで内容から。
前回は囲碁のAI「DEEP ZEN GO」と韓国人棋士との対戦
軸になっていましたが
今回は将棋のAI「ポナンザ」と日本人棋士との対戦が軸でした。

○ポナンザと佐藤天彦名人との第1局その1
 2017年の4月に日光で行われたそうです
 「ポナンザ」は4年前に開発され、以後は無敵なのだそう
 佐藤名人は29歳、
 ポナンザを開発した山本一成さんは31歳、二人ともお若い。

 山本さんによれば
 ポナンザは機械学習と呼ばれる手法で将棋を学ぶ

 「機械学習」はAIの学習法で
 このあとも何回か出てきますが
 「教師データ」と呼ばれる膨大なデータを入力し、
 機械に自ら法則や方程式を探させる手法
 「ポナンザ」の教師データは、
 過去20年間分の色んな棋士たちの5万局の対戦だそうです

 さて佐藤名人とポナンザとの対局ですが、
 先手のポナンザの第一手は3八金。
 それを見た瞬間、佐藤名人は頭を両手で抱え込み、
 信じられない表情で首を大きく傾ける。
 解説「頭抱えちゃってますよ」

 羽生さんの解説によれば
 これは人間ではあり得ない手だそうです。
 普通は、最初の一手は相手の「角」と「飛車」の進行方向を
 自分の「歩」などで塞ぐことを先にする
 また、「金」は「王将」を守らねばならないからそんなに動かさないし、
 動かすにしても自分の「飛車」を塞ぐ所には置かない。
 何もかもセオリーに反するらしい

 しかしこの一見不可解な手が十手先に生きてくる
 この3八金を足掛かりに、
 「中住まい」という、自分の王将を強力に守る囲いを作り
 一方で佐藤名人を追い詰めていく

 佐藤名人
 「途中で顔色伺っても、機械だから動かないんですよね(笑)」
 「こんな手があるんだ、と思いました、
  人間には見えづらい、分かりづらい手、
  考え付かないような独創的な手を出してくる」

 開発者の山本さんによれば
 この独創的な手は自己学習によるもの。
 ポナンザ同士で700万局対戦させたのだそうです。
 これは人間にすると、一年3000局したとしても2000年以上かかる膨大な数
 ポナンザは人の未知の領域、神に近いのかもしれない、とのこと

 羽生さんは
 「シャベルやスコップで掘っていたのが、いきなりブルドーザーになったようなもの」
 と例えていました

 羽生さんの取材メモには
 「AIと棋士との対局は、未来社会の模擬実験のようだ、
  AIが社会に応用される時に想定される事態を
  先取りしているのではないか」

○お客さんの居場所予測にAIを使うタクシー会社
 さて次は名古屋のタクシー会社の話。
 この会社はお客さんの人数予測をするAIを導入したそうです。

 コンピューターの画面上に名古屋市内の道路地図が示され、
 その地図に、500m区画で碁盤のような区切りが引かれている
 この500m四方内の、今後30分のお客さん予測が各区画に数で示されている
 数が多いほどお客さんが多い場所となる

 この画面を見ていた入社二年目の新人ドライバーは
 「8、20のところ(大きい数字)を狙って行きます」
 この地図は、どの道をたどればお客さんが拾えるか、
 矢印で示してくれるそうです
 試しにその通りに行くと、5分でお客さんゲット。
 普段行かない道も指示通り通ってみると、お客さんが手を挙げて待っていました。

 このドライバーは
 「いつも午後は調子が悪くて、
  2時間お客さんを乗せないまま走ることもあるんですけど…」
 AIを使った方が、たくさんお客さんを乗せられたそうです。
 この会社によると、AI導入後は乗客が20%増加したのだとか
 
 このシステムは携帯電話会社のDoCoMoが1年半かけて開発したのだそうです。
  携帯電話の電波データで、
  人がどこに移動するかリアルにわかる
  しかし人が移動しただけでは誰がタクシーに乗るかは分からない
  そこで、このタクシー会社の過去1年、ドライバー1900人分の
  タクシー乗降データを掛け合わせる
 「タクシーを乗る人が多いエリアに、人が集まってくると、
  需要が高いと判断します」
 その他、天気や日付、曜日などによりどう変わるか、などの予測も加え
 精度を高めているそうです。
 
 車に乗りたいという需要と、車体の移動場所を最適化することで
 革命を起こす、と話していました
 この会社は、今年度中にすべての車両にこのシステムを搭載する予定だそうです

〇金融にもAIを導入するのが当たり前
 金融の世界では、機械化は早かったそうですが
 最近は投資をAIに任せる例も珍しくはないらしい
 ディーリングルームでは、
 かつては勘と経験を頼りにディーラーが電話などをし、忙しそうにしていたが、
 今はAIが動かす投資を画面上でじーっと見ているだけの人が多い

 AIの株価予測システムでは
 教師データとなるのは500銘柄の
 ・過去1年の株価の値動き
 ・実際に売買された価格
 の1/1000秒単位の変化で、
 ここから5分後の株価を予測し、利ザヤを狙うのだそうです
 瞬きしているうちに1000とかの取り引きをしているので
 目では見えないくらい速いのだそうです。
 
 今後はAI対AIのマネーゲームになるのではないか、とのこと
 証券会社の方は
 「AIは、今まで人間が思付かないものを導き出してくれる、
  使わないと生き残れない時代になるのではないか」

 (そういえば最近投資についての話を見ていなかったので
  AI投資ってホントにあるの?
  と思っていたら、かなりたくさんの商品が去年から今年にかけて出ているんですね~
  http://toyokeizai.net/articles/-/152711
  https://www.moneypost.jp/121550
  http://minnkane.com/news/29

  などで拾った範囲だけでも
  ・Yahooの「Yjamプラス!」
   (AIが運用する投信、Yahooの天気や検索データなども使うらしい。昨年12月から)
  ・三菱UFJ国際投信の「AI日本株式オープン」
    (AIが銘柄選択などを行う日本株投信、2月から)
    株式市場の状況を考慮に入れて選択するんだそうです
  ・SMBC日興証券の「GSグローバル・ビッグデータ投資戦略」
   (AIを活用して世界の株式に投資する)

  ほか、投資のアドバイザーロボットも出ているそうで、
  ・みずほ銀行の「SMART FOLIO」
   (資産運用ロボで、7つの質問に回答するとポーフォリオを作ってくれる)
  ・SBI証券の「SBI-ファンドロボ」
   (30万からなら売買まで自動で行ってくれる)
  ・楽天証券の「楽ラップ」
   (投資一任型運用サービス)
  ・マネックス証券の「MSVLIFE」
   (資産計画の目標、目標金額や期間、リスク許容度などを入力すれば、
    自動で資産運用計画を策定してくれる)
  ・三菱UFJ国際投信株式会社のポートスター
  ・カブドットコム証券株式会社のFUND ME(ファンドミー)
  ・東海東京証券株式会社のカライス 
  ・松井証券の投信工房
  ほか、ETF用のウェルスナビ、THEO(テオ)なんかもあるそうです。

  ほかにもあるかもしれんけど、
  投資信託で、ポートフォリオも勝手に作ってくれて
  売買もリバランスも勝手にやってくれる
  しかも手数料などのコストを安く抑えているものが多い。
  ある意味怖い気もするが、ちょっとチェックしようかなとも思いました)

〇ポナンザと佐藤名人との対局その2
 場面は佐藤名人とポナンザとの対局に戻ります。
 ポナンザの可能性を示してくれた手があるそうです。
 
 52手目の佐藤名人の手は「8八歩」
 これは8手先まで読んだ打ち方で、
 相手の「金」を呼び寄せて、
 8手先で自分の「飛車」を成り駒にし、
 呼び寄せた「金」を取る作戦
 こうすると、敵の王将が丸裸になるので勝てる

 しかしそれに対しポナンザが打った手は「7四歩」
 打った場所は隣に佐藤名人の「飛車」「銀」があり
 どちらからも打った歩はみすみす取られてしまう

 しかし、これで佐藤名人が「銀」で歩を取った結果、
 4手先になると、
 佐藤名人の「飛車」と相手の「金」の間にたくさん駒が入ってしまい、
 作戦通りには「飛車」が入れない構図になってしまった

 佐藤名人
 「人間が直感で捨てる手に、
  可能性があることを示してくれた」

 この「7四歩」が転機となり、一気にポナンザが勝利する
 
 ポナンザ開発者の山本さんは
 「最近は説明できないことが起きている」
 と話していました。
  思考過程が高速すぎて、作ったはずの自分の理解を超えつつある、
  怖いというか困っている、と話していました
 
 羽生さんのメモ
 「人工知能の思考処理の過程がブラックボックスになっている
  このブラックボックスは、これから大きな問題になるのでは」

〇犯罪者の刑罰をAIで判断するアメリカの裁判所
 次はアメリカの話。
 アメリカは3人に1人が犯罪を犯しており、再犯者も多く、
 刑務所の不足も問題になっている

 そんな中、カリフォルニアのソノマ郡の裁判所では、
 犯罪者の再犯予測にAIを導入しているのだそうです。

 これは過去の犯罪者の犯罪データと個人データを教師データとし
 パターンを解析させる
 被告となった人の個人情報(家庭環境、仕事、人種など)
 を打ち込むと、3秒で再犯の可能性を示してくれるらしい
 (「ドラッグ犯罪を起こす可能性が高い」など)

 この裁判所では、このシステムを
 被告人の刑期を決める参考にしているのだそうです。
 導入後は再犯率が10%減ったのだとか
 裁判所の方の話によれば
 「AIを使えば、被告人を釈放していいかどうかを判断できる、
  受刑者の数を管理するのにも役立つ」
 とのこと
 
 しかし、このAIは、なぜそう予測したのか、という理由は示してくれない
 また、取材をしていくと、
 裁かれた側は、AIを使って判断されている、とは知らなかった事実が分かった

 ある模範囚の方がいましたが、
 彼は行いがいいので昼間に外に出て仕事をするなどの行為は許されているが、
 1年半が過ぎても釈放されていない
 (普通は懲役2年、と出ても、1/3くらい経過したら仮釈放されるらしい)
  
 彼に番組スタッフが人工知能が判断している、と告げると
 「そんなの知らなかった」と驚いていました。
 「裁判所は隠していたんじゃないか?
  人工知能に人生を判断させて、もし間違いがあったら誰が責任を取ってくれるんだ?
  裁判所は、人の人生を狂わせることがあることを肝に銘じてほしい」
 と怒っていました。
 
 (こればらしちゃって良かったの?とも思ったんですが、
  アメリカってやることがすごい…
  言葉は悪いが、ある意味人体実験という気もする)

〇社員の退職予測にAIを導入した医療事務受託会社
 さて次は人物評価にAIを導入した企業の話です。
 この会社は医療事務の専門社員を、
 依頼された病院に配属させる医療事務受託会社

 医療事務はストレスが多く、退職者も多い
 (この会社も年間2000人やめるそうです)
 それまでは社員と定期的に面談をし、
 問題はないか、満足度はどのくらいかなどの聞き取りを行ってフォローをしていた

 しかしこの5月から、社員が面談で提出した文章から
 AIが退職を予測するシステムを導入したそうです。

 このシステムを開発したのは、文章解析の技術で世界をリードしている会社
 弁護士など、文章を扱う業界で実績があるそうです

 このAIは、文章を人間みたいに読むのではなく、
 単語や接続詞、助詞などに分解し、
 単語そのものや出てくる順番などから共通点を見つけ出す
 今回の場合、教師データは過去半年の退職者の面談記録の文章で
 ここから退職者の文章に共通するものを見つけ出し、
 面談記録の文章と照合し、
 当てはまる度合いを数字で出すのだそうです
 
 開発会社の方によれば、
 実際の文章と照らし合わせると
 「退職したいです」などはっきり予兆が読み取れる人はもちろん点が高いが、
 もっと前向きなことを書いていても退職する人もいて、
 そういう隠れた予兆を読み取るときこそ、AIが力を発揮するのだそう

 「人工知能は、なぜ予兆があるのかは提示していない。
  人工知能は機械なので、人のように内容の意味を理解したり、心理を理解することはしない。
  ただ特徴をとらえて、同じような文章を見つけている」
 と話していました
 
 実際に導入して1週間後、
 面接担当の社員さんは結果を見て「?」だったそうです
 結果は、3人が辞めそうだと出ている
 しかし、1人は前向きな言葉だったそうで
 「私の感覚だと、本人がもう少し頑張れば行けると思っていたんですが…」
 しかしこれが本当なら、隠れた社員の不安をフォローアップできるかもしれない。
 彼女は
 「怖い気持ちは若干ありますね、想像を超えるものが出てくるのかな」
 とも話していました

 羽生さんのメモでは
 「人工知能はこれから確実に浸透していく、
  それをどう活用するかが問われているのは間違いない。
  人工知能が社会を乗っ取る仮想敵、と位置付けて利用しないのは得策ではない。
  将棋でも、人工知能との対戦により、
  新しい手を考え、進歩するケースは多い。
  人工知能を人間が活用すれば、大きな力になるはず」
 というような内容が記されていました

 実際、佐藤名人は、ポナンザとの一局目を終えた後、
 二局目の日が来る前に名人戦があったようなんですが、
 そのときは今までとは違う、新しい手をどんどん繰り出していたそうです。
 ポナンザとの対戦が、彼に刺激を与えてくれたかのようでした。

 そして彼は、ポナンザとの第二局目を前に
 研究に没頭していたそうです
 佐藤名人によれば
 「人間同士の対局だと、将棋という大きな宇宙の中で
  ある1つの銀河に住んでいるだけだった、
  ポナンザとの対戦で、ほかにも惑星があると気付かされた
  今まで気づいていなかったものがあったので、それを顕在化しようとしています」
 と話していました
 
〇政策をAIに考えさせる試みをしている韓国
 次に韓国の話。
 2016年の1月にここで「グローバルリーダースフォーラム」という会議があり
 AI政治家の活用について話題になったそうです。

 「韓国の政治家は親戚を重用したり、自分の利益を中心に考える
  AIなら不正はなく、国民の最も望むところに予算を投じてくれる」
 と韓国の方が話していました。

 招かれたのはベン・ゲーツェルさんという人工知能ロボ開発の権威の方
 (ブラジル生まれでアメリカテンプル大学の数学博士号を得た方みたいなんですが
  https://roboteer-tokyo.com/archives/6037
  によると
  彼は社会的、政治的な意思決定を行う人工知能の開発を
  数年前から行っているそうです。

  人間の脳には、非理性的な感情に左右される、という欠点がある。
  また、政治家や官僚は、知識が不足している場合がある。
  これらを補えるのが人工知能ではないか、とのこと。

  目標は、2025年までに完全に意思決定できるロボットを開発することで
  「偏見や私利私欲のない人工知能が、公正な意思決定を下す時代が来るはず」
  と話しているそうです)

 彼は「ソフィア」というロボットを、AI政治家にしようとしているそうです。
 教師データとなるのは、
 世界各国の憲法、法律、それから世界情勢、経済指標、世論など
 今のところは、ソフィアは政策を提示するだけで、
 最終的な決定は人間が話し合って行うことを想定しているそうです。

 ただゲーツェルさんは
 「将来的には、国民と直接意見を交換できる人工知能にしたい、
  AIにより真の民主主義を作り上げたい」
 と話していました

 世界各国で民主主義の危機が問題となっている現在、
 人工知能が民主主義の救世主となるのか…

〇ポナンザと佐藤名人との対局その3
 2017年の5月、兵庫の姫路城で佐藤名人とポナンザの二局目が行われました。
 二局目も、ポナンザはしょっぱなから驚きの手を出してきたそうです
 いきなり王将を動かす「4二玉」
 解説思わず「マジっすか」
 
 佐藤名人も積極的に攻めるが、9時間後になると敗戦が濃厚
 「悪い手は打っていないのに、いつの間にか悪くなっていた」
 のだそうです。

 佐藤名人は何度も控室に戻ったり
 譜面を見せてもらって戦いを振り返ったり…
 自分の手は間違っていない、ということを確かめているようでした

 彼はこの時の行動を後に振り返って
 「人工知能は、もう神に近いところにあることを感じた。
  人間対コンピューターの戦いに、一つの区切りができた、と思った。
  ただその区切りを自分がつけなければいけないことの重さを感じて、
  気持ちの整理をつけたかったんですね」
 人間代表、の重みがあったのだろうか…

 そして彼は「参りました」と頭を下げていました。

〇まとめ
 最後に羽生さんは
 「人工知能は、もしかすると今までの人間よりも優れたものかもしれない、
  でもそれが正しいとも限らない。
  人工知能を取り入れるか、受け入れるか判断するのは人間。
  人工知能を利用して、どうやって人間の知能を伸ばしていくかが
  今後の課題になるのではないか」
 と話していました。

 先に出ていた名古屋のタクシー会社では
 新人だけではなく、ベテランドライバーも人工知能を試しに利用していました。
 自分の勘と経験があるので最初は半信半疑だったが、
 使ってみると確かにお客さんが増えている。
 使いこなせば便利、と話していました。

 しかし、人工知能がもっと進めば、
 自動運転が行われ、ドライバーすら要らなくなるかもしれない…

 「人工知能は天使か悪魔か?」

 はっきりしているのは、その進歩は止められないということだ、
 と締めくくっていました。

感想など
・そういえばちょっと前、子供の英語教育の話をしていたら
 だんなが
 「そういやマツコと有吉くんの番組で、
  「もうすぐ翻訳アプリができるから、英語教育要らなくね?」
  ていう話してたわ」
 とか言っていました。
 教育とかコミュニケーションなど、
 最後まで人間がするだろうと思われている分野も
 もうじき人工知能が取ってかわるんかな。

 (まあでも個人的には、生のコミュニケーションと通訳を介してのコミュニケーションは
  やっぱりなんか違うとは思うし
  言葉って思考法も習うことなので、
  異国の言葉を習うっていいことだなあとは思いますがね。
  どっちかいうと通訳の仕事がなくなるのかも)

・受刑者の話は違和感がありました。
 刑罰の大小ではなく
 どうすれば更生されるか、
 という方向にデータを使う方がいいのではと思うのですが…

 入力データに「人種」があるのも気になった。
 もし予測システムが意図的に人種などへの差別が入ったものになっていたらどうなるのか?
 罪のない人を
 「予測」だけで拘束することになりかねないんじゃないかしら。
 事実を知ったあの受刑者がやけを起こさなければいいが。

・金融AIは過去のデータをいれる、とあったが
 もし予測不能な金融商品が出てきたら、
 あるいは今までとは違う資本主義になったらどうなるのか?とも思いました
 新しい技術や市場への投資、と考えたらいいのかな。

・最近日本でも、医療分野に人工知能を活用して
 病気の早期発見に役立てる、という話もしていましたし
 今回出ていた投資への人工知能活用も
 もうすでにいろんなところで始まっている。
 人工知能は怖いとか嫌だとか、言っている場合ではないな~と思いました。

 そういや中村文則さんの小説で「R帝国」というお話がありまして
 私は新聞に連載されていたので何気なく読んでいましたけど

  このお話は、近未来の地球のR帝国、という国が舞台で
  国民はみんなヒューマンフォンという、人工知能付きスマホみたいなのを持って
  その人工知能と会話したり、ネットを楽しんでいました。
  しかし実はこの国は、少数のエリートが支配、搾取する国
  ネットの情報を握って世論を操作し、
  わざと戦争を起こして支持率を上げたり
  反国家的な動きをする人に対しては
  ネットにその人の中傷記事を流して生活できなくしたり
  本人を捕まえて記憶を忘れる薬を無理やり飲ませて洗脳したり…
  その世界を変えようと、何人かが立ち上がる、

 という結構重たーいくらーいお話でした。(期待していたのに結末も暗かった…)
 その中で、各自が持つ人工知能が勝手に人格を持ち始めたり
 嫉妬などの感情を起こして持ち主を裏切ったり…
 ということも起きていて、
 しかもエリートがその人工知能の人格を利用していたり…
 
 まあ、こんな未来にはなってほしくないという願いが込められているのか?
 現代への警鐘なのか?
 作者の意図は分からないのですけど
 
 まあとにかくこれだけ文明が進んでいる以上
 いいものはいい方向に利用するしかないのかな、と思います。

 羽生さんも番組の中で言っていましたけど
 いいものかどうか判断して、利用するかしないかは人間が決めること。
 どのみち決めねばならないなら、いい方向に使いたい。
 人間の能力を伸ばすために協力してもらうとか、
 ハッピーな未来のために人工知能と共存共栄していく、
 くらいの気持ちが大事なのかなと思いました。
 利用されるよりは、する側になりたい。


 というわけで、今回はこの辺で。
 
 

 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
posted by Amago at 15:19| Comment(0) | テレビ(科学) | 更新情報をチェックする

2017年06月19日

NHKスペシャル「睡眠負債が危ない ~“ちょっと寝不足”が命を縮める~」

NHKスペシャル「睡眠負債が危ない ~“ちょっと寝不足”が命を縮める~」

睡眠不足は体に良くないよ、
という番組でした。
目新しい情報はないが、視聴者参加型で、
考えてもらうための番組という感じでした。
個人的には理想論的かなあと思って少々物足りなかった。
BSドキュメンタリーの「眠りの科学」の方が面白かったな~

一応内容箇条書き的に書いてみます
○番組での実験
 健康に自信ある人30人に協力をお願いしたそうです
 光を遮り、スマホや時計など没収
 (要するに眠りを妨げるもののない環境)
 で眠りたいだけ寝てもらい
 普段の睡眠よりどれだけ睡眠時間が伸びたかを調べる

 結果普段と比べた睡眠時間ののび、
 つまり普段足りてない睡眠時間は
 2時間未満が4割
 2~3時間が3割強
 3時間以上が3割弱

 この足りてない時間が睡眠負債
 2時間以上足りてなければ睡眠負債ありになるそうで
 つまりこの被験者のうち6割は睡眠負債がたまっているということらしい

○睡眠の危険性
 次に、睡眠不足は健康に悪影響を及ぼすというデータがいろいろ紹介されていました
 ●ガンへの影響
  ・シカゴ大の研究
   ガンを移植させたマウスを2つのグループに分け
   1つはわざと睡眠妨害
   (寝ているときにバーを横切らせて起こすなど)
   もう1つは普通に睡眠

   4週間後ガンの大きさを測定すると
   睡眠妨害したマウスの方が大きくなっていた

   ガン細胞をやっつける免疫細胞の働きが、
   睡眠不足で悪くなるためガン細胞が増えてしまうらしい

  ・日本人への疫学調査
   睡眠が7時間未満の人は、7時間以上の人に比べて
   男性の前立腺ガンは1.38倍
   女性の乳ガンは1.67倍
   のリスクになる、という結果もある

   心筋梗塞や脳疾患のリスクも2、3倍に上がるそうです

 ●認知症への影響
  ・スタンフォード大の研究
   マウスを2つのグループに分け
   それぞれ睡眠制限あり、なしにして育てると
   制限ありの方が脳細胞に黒い染みがたくさんあった

   このしみはアルツハイマーの原因である
   アミロイドβというタンパク質らしい

   BSドキュメンタリーの「眠りの科学」でもやっていましたが
   最近、寝ている間に老廃物が排出される、とわかってきたそうで
   このアミロイドβもその老廃物の一つらしい

   しかし睡眠不足だと、この排出が十分なされず、
   アルツハイマーの発症を早める可能性があるとのこと

  ・フィンランドの疫学調査
   40~50代の2000人を対象にした研究では
   睡眠7時間未満の人は、睡眠7~8時間の人に比べて
   認知症発症リスクが1.59倍になったらしい

 ●注意力、集中力の低下
  ・ワシントン州立大での研究
   被験者に、集中力を図るため
   パソコンの画面に数字が出たら押してもらう簡単なテストし、
   反応時間を調べる
  
   被験者に3日徹夜させると反応は急速に低下、本人は眠気も感じていた
   しかし毎日6時間睡眠にした人も、
   2週間続けると3日徹夜した人と同じくらいの低下になるそうです
   しかもこの場合本人には眠気の自覚はほとんどないらしい

   6時間では、
   本人に眠い自覚が無くても足りてないらしい

 では何時間寝ればいいのか?
 専門家によれば、
 7時間前後が一番死亡率が少なく、7~8時間が理想なんだそうです
 もちろん年齢、性別、昼間の活動量による違いはあるが
 少なくとも4時間を切ると危険らしい

○睡眠負債危険度チェック
 本当は冒頭の実験のように
 好きなだけ寝ると足りない睡眠時間が分かるらしいのですが
 試せない人のためにチェックリストが用意されていました
 8つ質問があり
  ・布団に入ってからの寝付きが悪い
  ・夜中に目が覚める
  ・目覚めが早く、それから眠れない
  ・総睡眠時間が不足している
  ・睡眠の質が悪い
  ・日中の気分がすぐれない
  ・日中の活動時間が低下している
  ・日中眠たい
 yesの度合いが多いのを3点
 全くない場合は0点、で点をつける
  10点以上だと高リスク
  6~9だと中リスク
  5以下は低リスク
  (だったと思いますが、記憶が怪しい
   ホームページでもテストできるそうなので、正確に知りたい方はそちらへ)

 番組でのリアルタイムの大規模調査(25万6300人くらい)では
 リスクが高い人は2割、中程度は4割、低の人は4割だったそうです
 (このテストは自覚症状を聞くだけなので限界があるとは思います
  (さきほどのワシントン州立大学の実験では、
   毎日ちょっとずつ負債のある人は自覚症状がないという話なので)
  やはり気になる人は専門的に調べたほうがいいかも)

○日本人は睡眠不足
 専門家によれば
 日本人は睡眠不足、先進国でもワースト3に入る
 睡眠時間が短いと経済的な損失が15兆円、という結果もあるらしい
 労働時間が長くても
 効率の低下、病気や死亡のリスクが高くなるのだそう

○対策
 ここからは対策の話でした。
 簡単に言えば、毎日少しずつでも睡眠時間を増やすこと
 効果を実験で試していました
 ・バスケの選手11人への実験
  (どこの国の実験かメモるの忘れたけど)
  彼らの睡眠負債を調べたところ3時間くらいあったそうです

  そこでできるだけ長く寝てもらう生活を1ヶ月続けると
  スリーポイントシュートの成功率がは68%から77%
  86メートルダッシュの平均タイムは16.2秒から15.5秒になったとか

 ・番組での被験者
  冒頭の実験で睡眠負債の多かった11人に
  ・計算テスト
  ・握力テスト
  をしてもらう
  そのあと毎日1時間睡眠時間を増やす生活を1週間続けてもらい
  また同じテストをする

 結果、計算能力テストの結果が全員良くなり
 握力もわずかながら良くなったらしい
 (ただし計算テストに関しては、
  二回目だから、てのもあるんじゃないかなと思ったんですが…)

○睡眠の質を上げるための生活
 でも寝付きが悪いなどの人はどうすればいいか。
 睡眠を良くするための生活が紹介されていました
 それによると
 ●した方がいいこと
 ・朝光を浴びる
  光を浴びると、体内時計がリセットされるそうです
  最近の研究では、15秒でも効果があるのだとか
 ・規則的な食事
 ・夕方の運動
  夕方は一番体温が高い時なので、そのとき体温を上げるといいそうです
  (体温は夜になると下がっていくが、この体温差が大きいと寝つきが良くなるらしい)

 ●寝る前しない方がいいこと
 ・寝床でスマホ
  夜は、脳の松果体というところからメラトニンが分泌され
  これが眠りを促すそうですが
  スマホを見て感情的、興奮したりすると、
  メラトニンが分泌されなくなるそうです
 ・寝る前のカフェイン
  眠る3時間前までに取るほうがいいらしい
 ・夜の強い光
  明るいとねつけないらしい
  本当は真っ暗がいいそうですが
  怖い人は月明り程度で、理想ならタイマーで切れるのがいいらしい

〇働き方改革
 睡眠時間を確保すべく、企業も働き方を変える動きも紹介されていました
 コピー機などの中古品を修理して販売する会社では
 社員の生活時間をチェックしたところ
 ラッシュアワーを避けて早めに来て時間をつぶしている人がいることが分かった
 そのため4時半に起き、睡眠時間が足りなくなっていた

 そこでフレックスタイム制を導入し 
 早く帰れるようにして、早く眠れるようにしたそうです

 政府も働き方改革、の話をしており
 残業があればその分次の出勤時間を遅くするように、
 という指導はしているそうです

 専門家は
 「企業や社会も睡眠の大切さを理解しないといけない、
  特に管理職がそこを自覚して変えていかないと」 
 と話していました

○視聴者、出演者からの質問
 いろいろ質問があったのでまとめてみます
 「短時間でも質が良ければいいという意見もあるが」
  睡眠は質も大事だが、量も確保できないと良くない
  と最近分かってきたそうです

 「休日の寝だめはいいのか」
  睡眠負債の返済はした方がいいが、一気に返すのは大変
  なるべく負債は少なく、返済は少しずつが理想だそうです
  また、朝寝坊で睡眠のリズムが崩れるのもダメで、
  2時間以上の崩れはよくないそうです

 「高齢になり眠りの質が悪くなってきた、6時間で起きてしまう」
  高齢になるにつれ睡眠時間は短くなる傾向はあるそうです
  なので、必ずしも7~8時間必要というわけでもない
  ただ4時間切ると危険とのこと

 「昼寝はどうか」
  短い昼寝ですっきりするかもしれないが、返済は難しい
  また、移動中に眠る人もいるが、横になって寝るのとはやはり質が違うらしい
  できれば睡眠を生活の中心に起き
  どうやったら睡眠時間を確保できるかを考え、生活を変えるのが理想だそう

 「子供も睡眠時間が足りてないように思うが」
  子供の睡眠負債は深刻だそうです。
  発達、成長にも影響が出るのだそう
  幼児は10時間、小学生は9時間、中高生は8時間が理想だそうです

 「寝酒は少量ならいいのか」
  寝酒は絶対しない方がいいそうです
  眠りを浅くさせ、自分で負債をためているようなものだそうだ
  また、依存的になるので
  だんだん飲酒量が増えていく可能性もある、とのこと

 「夜勤や泊り勤務の場合はどうすればいいか」
  なるべく夜の眠りはきっちりとるようにすること
  食事時間は規則的にすることだそうです

社会全体が睡眠の大切さを自覚し、
生活や働き方を変えていくべきだ、みたいな感じで終わっていました

感想など
・好きなだけ眠る実験はうらやましいなと思ってしまった。
 私も参加したい。好きなだけ眠りたい…
 
・睡眠時間がそんなに大事なら
 メタボチェックと同じく
 睡眠時間チェックも健康診断に入れればいいのかも。
 一応健康診断の問診にあったような気もするが…
 
 一時期みたいにモーレツに働くのがカッコイイ、
 という風潮はさすがに最近はないけど
 眠たいし早う帰るわ、というのはまだまだ許される社会ではないのかな、と思います
 眠りが足りないのは病気なんだ、という強制力を
 腹回りが太いのは危険、というのと同じくらい持たせないと
 なかなか改善されないのかなと思いました

・ただ、睡眠時間を規則的に、とか
 食事を規則的に、というのは本当にそうなのかな…という気もします
 っていうか、いろんな仕事があるし、なかなかそんなきっちりもいかない。

 「こんなに違う!世界の子育て」
 という本では
 子供はどうしても夜寝かせないといけないのか、
 と疑問を持った筆者がいろいろ調べてましたけど
 世界の民族には、夜通し踊っていたりとか
 好きな時間に寝起きしたり、食事をとっていたりする人たちもいて
 規則的な8時間睡眠を取るべきだ
 というのは工業化が進んでからの概念だ
 という話も書かれていました。

 もうちょっと柔軟にならんかなーと思いました。
 先生方の言うことは理想だが、そりゃ無理なこともある。
 夜勤なら、日中真っ暗にして寝ればOK、とか
 夜中授乳とかで起こされるなら、細切れ昼寝ならOK、とか…
 (番組では、専門家としては「それでもいいですよ」とは言えないのかもしれないが)

 目覚ましなしで、起きたいときに起きる、眠たい時に眠る、
 という生活が一番理想なんだろうな~
 
 ちなみにうちの場合、
 だんなや義父母さんは遺伝子的に?夜更かしな人たちみたいで
 しばらくテレビを見てからでないと眠れないそうです。

 私は寝れるなら9時からでも寝たいぐらい。
 その代わり朝は割と早いです。
 (いつも5時前には起きないといけないので辛いが)
 上の子も同じで、寝るのが早くて起きるのも早い。

 このため、私はだんなを放って?先に子供と寝ることが多い
 (起きてられない)
 しかし、下の子はだんな遺伝子の影響が大きいのか?
 上の子と私と一緒に寝床には入るが、しばらく1人でしゃべっているらしい。
 (私は先に寝ているから分からない(笑))
 その代わり朝は上の子がどんなにうるさくてもなかなか起きない。

 まあうちの場合だけで見ても
 睡眠って人それぞれ、そろえるのも大変なのかもしれない。
 
 健康診断とかでも、一回睡眠負債チェックテスト
 (好きなだけ寝ていいテスト)を強制的に実施させて
 そこから勤務時間とかを自由に決められるようなシステムにならないかな~
 などと思ってしまいました。

なるべく寝るようにしよう。
というわけで、今回はこの辺で。

posted by Amago at 11:01| Comment(0) | テレビ(科学) | 更新情報をチェックする

2017年06月18日

NHKBS世界のドキュメンタリー 「プラシーボ~ニセ薬のホントの話」

NHKBS世界のドキュメンタリー
「プラシーボ~ニセ薬のホントの話」
2014年イギリス製作のドキュメンタリー。
プラシーボと呼ばれるニセ薬が、
本当に効果をもたらす例と、
そのメカニズムについて紹介している番組でした。

○自転車競技選手のサプリメント
 最初は自転車競技が盛んなイギリスのマンチェスターから。
 イギリスの大学の方が
 トップアスリートに、サプリメントと称したプラシーボを投与する実験でした

 選手には「新しいサプリメントの効果を見るための実験」
 と伝えて協力をお願いする

 まず選手には全速力で自転車1周回ってもらいタイムを計る
 そのあとカプセルを飲んでもらう

 カプセルを渡すとき
 半分の人には「あなたはただのカフェイン」
 半分の人には「あなたはサプリメントとカフェインの混合」
と伝える
 しかしどちらもただのトウモロコシの粉だそうです

 それから2時間休憩したあと、
 また全速力で自転車で1周し
タイムを計る

 選手によると、これはキツいのだそうです。
 普通は1日1周で、タイムを計ったら1日置くのだそう

 結果は
 サプリメントと言われて飲んだ人の半数は1回目を上回るタイム
 自己ベストを更新した人もいたそうです

 選手も
 「サプリメントのおかげで体が軽くなった」
 「2回目の方が段々楽になった」
 ネタばらしをされたあとも
 「効果はあった」
 と言っていたそうです

 研究者によれば
 プラシーボによる選手のタイム向上は2~3%
 これはトップレベルであれば
金メダルと10位以下くらい大きな差なんだそう
(コントロールのカフェイン群がどれくらい差があったのか
という結果はなかったです)

○脊椎骨折手術のプラシーボ
 次は手術のプラシーボ。
 デヴィッド・カルムズさんというお医者さんは
 脊椎にセメントを注入する外科手術をしていたそうです

 しかし間違ったところに注入してしまっても効果があった、という事例があり
 手術のプラシーボ実験をしようと考えたそうです

 被験者になってくれる患者を募り
 手術するときにはセメントの袋を開けるが
 医者自身にも本物か偽物か分からないようになっている

 患者にはどちらにしても
 「大丈夫ですよ。すぐ終わります」
 などと話しかけるそうです

 この手術を受けた一人の患者さんは
 台所で滑って転び、尋常でないくらい痛かったそうです
 病院にいくと彼女は背骨の骨を折っており
 彼の手術を受けた

 結果、1週間でゴルフできるほどまで回復したそうですが
 彼女は実は本当のセメントを注入されていなかった

 彼女は以前同じ手術を受けたことがあるが
 違いは全くなかった、と話していました

 130人の被験者に対して同様の実験を行ったが
 プラシーボ群も本当のセメント手術群も
 痛みの緩和や、身体機能の回復などに違いは見られなかったそうです

○高山での酸素ボンベ
 次はイタリアのマッターホルン近くのチェルヴィニアというところ

 ここでトリノ大学のファブリツィオ・ベネデッティ氏が
 ボランティアを募り実験を行ったそうです

 酸素ボンベを担いで30分、山の上をハイキングしてもらう
 ただし、半分の人は空の酸素ボンベ
 そのあと、被験者の心拍数、神経伝達物質などを測定したそうです

 彼が注目したのはPGE2という物質だそうです
 血液中の酸素濃度が下がるとPGE2の濃度が上がり
 痛みや高山病の症状を起こすらしい
 ここで酸素を与えると、PGE2値は下がって症状が和らぐ

 結果は、空の酸素ボンベの人でもPGE2は下がったそうです
 プラシーボでも本物の生理的変化が起き、
 苦痛が緩和されているとのこと

 (PGE2は、プロスタグランジン2と呼ばれ、免疫の活性化にも抑制にも関わる。
 ほか陣痛促進や肝臓への作用となど、いろんな機能をもつそうです)

○麻酔薬のプラシーボ
 次は麻酔薬のプラシーボ。
 コロラド州ボルダーのコロラド大学のトール・ウェイガー氏は以下の実験をした

 患者の腕に何ヵ所か試薬を塗る
 Aただのローション、といってただのローションを塗る
 B麻酔薬、と言って本物の麻酔薬リドカインを塗る
 C麻酔薬2、と言ってただのローションを塗る

 そのあとそれぞれの場所に熱を加えて
 痛みの程度をパソコンのカーソルを動かして示してもらう

 するとこの患者は
 Aのただのローションの所は「非常に強い」痛みと示す
 Bの本物の麻酔薬は、もう少し痛みは下がり
 「痛い」を少し越すくらい
 しかし、Cのプラシーボの麻酔薬はBよりもさらに痛みが低かったそうです

 被験者にネタばらしをしたあとも
 確かに痛みは少なかった、とのこと

 このときの被験者の脳をスキャンすると、
 プラシーボのときにも、
 鎮痛剤のモルヒネのような働きをする脳内オピオイドと呼ばれる物質(ホルモン)が
 脳内の色んな所で放出されていたそうです

 放出されていた部位の1つは中脳水道周囲灰白質
 ここは痛みをコントロールするのに重要なところ

 彼によれば
 モルヒネなどの鎮痛剤は脳内の痛みをコントロールしている
 プラシーボでも、これと同じような経路を利用している、とのことです

 体内には受容体があり、
 受容体は、脳内で作り出される天然の化学物質と反応するように進化している
 これらの化学物質は、通常は薬やアルコールによっても放出されている
 プラシーボは、この体のメカニズムを利用しているとのこと

 (いまいち分かりにくかったので調べましたが
 モルヒネは、脳内の中の色んなオピオイド受容体と結合し、
 痛みが伝わっていく経路を抑制するのだそうです

 もともと、体には
 楽しい、気持ちいいと感じる
 →オピオイド分泌
 →オピオイドがオピオイド受容体に結合
 →痛みの回路を抑制
 →痛みが減る
 という機序が備わっていて
 モルヒネはオピオイド自体と同じような働きをする
 薬、アルコール、プラシーボはオピオイドを分泌させる
 ということみたいです)

○パーキンソン病の患者
 次はバンクーバーに住んでいる患者さんの話です

 彼は12年前からパーキンソン病の患者で、薬が手放せないそうです
 薬が無いと、目の前に玄関が見える距離でも座り込んでしまい
 たどり着くのに何十分もかかるほどなんだそう

 ブリティッシュコロンビア大のジョン・ストーゼル氏は
 このパーキンソン病の薬とニセ薬との効果を比較する実験を行ったそうです

 この患者さんは実験に参加し、
 プラシーボの方を飲んだそうですが、
 30~45分待ったところ
 まっすぐ歩いて自分でもトイレに行けたのだそう

 ジョン・ストーゼル氏によれば、
 パーキンソン病では脳内のドーパミンが欠乏するが、
 プラシーボ服用後の被験者の脳を見ると、ドーパミンの放出が見られ、
 ドーパミンにより活動が弱まる線状体と呼ばれるところが、
 たしかに活動が低くなっていたそうです
 画像で見ても活発な赤色が薄くなっていました

 つまり、ニセの薬でドーパミンを作り出せることになる
 ただ、パーキンソン病での効果は短時間しか続かないそうですが
 この患者さんは
 「短時間でも自分の体にドーパミンが作り出せる能力が残っているのは希望が持てる」
 と話していました

○未来への「期待感」がプラシーボ効果をもたらす?
 コロンビア大学のトール・ウェイガー氏は
 ロッククライミングをしていました

 彼は、
 ロッククライミングでは命綱を着ければ安心感が増し、最後までやり遂げられる、
 命綱が無いと思ってしまうと、心拍数が上がり、冷や汗が出てうまく上れない

 これは恐怖、もしくは希望が体内で化学物質を放出させ、
 体に生理的な変化を起こしており、
 プラシーボ効果とはこのような期待感のもたらす効果ではないか、と話していました

 プラシーボの効果は
 うつ病、痛み緩和、不眠症、吐き気、
 更には血管障害や打ち身などにも効果があるそうです

 心理的なものであるせいか、サプリメントの大きさや形からも影響があり
 ・錠剤よりカプセルが効果的
 ・大きさは小さいものより大きいものが効果的
 ・値段は安いものより高いものが効果的
 ・赤いものは痛みに効果があり
 ・青いものは不安を静める効果があるそうです
 (ただしイタリア人は例外だそうで
 青はイタリアのチームカラーなので逆に興奮してしまうらしい)

 ただプラシーボには限界はあり、
 骨折や腫瘍などには効かないそうです

 しかし希望や期待感がプラシーボ効果の正体だとすれば
 プラシーボは患者が
 「これは薬だ」
 と思い込まないと効き目がないことになる

 しかし医者として嘘をつくわけにはいかない、というジレンマがある

○患者がプラシーボと知っていても効果がある?
 ハーバード大学のテッド・カプチャク氏はこの課題について研究したそうです
 患者が本当に騙されないといけないのか?
 と思い以下の実験をした

 IBS(過敏性整腸症候群)
  (薬を飲まないと、トイレに頻繁に行かねばならない大変な病気)
 の患者を対象にしたそうです

 ある被験者は
 「有効成分がないかもしれないけど自然治癒力で治るかも」
 といって薬を渡されたそうです
 彼女は医療事務もしており、医薬品の知識はあるので
 そんなの効果あるのか、と半信半疑だったそうです

 しかし服用を始めたら3日で痛みが消え、
 トイレにも行かなくて済むようになり、ひどい症状も消えた

 カプチャク氏によれば
 プラシーボを飲んで症状が軽減した人は被験者の62%
 全く飲まない人は30%ほどだったのと比べれば
 明らかに効果があった、とのこと

 しかしこの被験者さんは、
 3週間で薬が無くなると再発した
 彼女は落ち込み、健康食品の店で売っていないか探してしまったほどだそうです

 カプチャク氏によれば
 倫理委員会からはプラシーボの使用は3週間しか許可が出ず、
 それ以上は処方できなかったそうです

 彼によれば
 「医師の定期的な診察や薬を飲む行為により体がなにかを認識し、健康になったのではないか」
 とのこと
 被験者さんは
 「望めばそのとおりになるということかしら」
 と話していました

○医者の接し方次第で効果が変わる
 カプチャク氏は別の実験もしたそうです

 それは医師の接し方がプラシーボ効果に影響するかを調べるもの

 IBSの方を対象に針治療で、
 被験者を2つのグループに分け
 1つのグループは針治療の際、医師は被験者さんと必要最低限の会話しかしない
 もう1つのグループでは、できる限り思いやりのある態度で接する
  例えば家族と友人との関係が病気でどう変化したかなどを聞き、
  共感を示し、優しく触れたり思いやりを示したり
  「うまくいきますよ」など前向きの言葉をかける

 しかし、どちらも本物の針治療はしない
 針治療のようなものを指すんですが
 押しても針は出ず、皮膚の手前で引っ込んでしまうそうです

 しかしこの治療で
 「症状が緩和された」
 と答えた人は
 会話をしないグループは42%
 思いやりある態度で接したグループは62%になったそうです

 (私としては
 医者がそっけない態度でも4割も効果があった、というのが逆に驚きでしたけど…
 針治療しますよ、という雰囲気だけでも効果があるのかな?
 針治療のふりすらせずに医者のカウンセリングだけ、
 というグループもあれば、接し方の効果がより分かったかも)

 カプチャク氏は
 医師の思いやりあるやり取りがプラシーボ効果を上げる可能性がある、とのこと

 最後は、
 今まで効果があるとされていた薬や手術も単独で作用しているわけではないのかもしれない、
 というような話がなされていました

 昔の祈祷や民間治療も
 プラシーボ的なもので、
 これで治るかも、という希望が自然治癒力を活性化させていたのかなと思いました。

 でもこの効果が強調され過ぎると
 普通の薬の効果を軽視して、
 病状を悪化させる…ということにもなりかねないのかな?

 プラシーボの効果を研究する意義はなんなんだろう。
 たしかに意識の力で、薬なしで短時間だけでも効果が出るのかもしれない。

 一方でどんなに効くと言われる薬でも、医者に親身にしてもらっても、治らずに亡くなる…というケースもあり
 この差は一体なんだろうと思います。

 薬を飲んでも治らないのは、
 その人の考え方とか生活習慣が長期に渡って遺伝子レベルでその人の体を蝕んで、
 根本的な意識や生活改善をしないと治らないからかもしれない。
 あるいはほんとに運命というか、何をしても治らない場合もあるのかもしれない。

 もしくはプラシーボの効果も、
 プラシーボ自体の効果というより
 薬を飲む行為がきっかけで、
 自分の体に意識を向けるからなのかもしれない。

 考えれば考えるほど分からなくなるけど
 こういう研究で、少しでも自然治癒力を高められるヒントが得られるのかなと思います。

人体の不思議を感じました。
というわけで今回はこの辺で。


posted by Amago at 21:01| Comment(0) | テレビ(科学) | 更新情報をチェックする