2017年09月22日

NHKBS世界のドキュメンタリー「子供に広がる銃社会」

NHKBS世界のドキュメンタリー「子供に広がる銃社会」

2015年フランス製作、
2016年10月放送の再放送でした。

 アメリカの銃社会の現状を伝えたドキュメンタリーで、
 私はアメリカに暮らしたことが無かったので
 アメリカでは、銃がこんなに日常的になっているんだ、と改めて驚きました。

 番組では、個人の銃所持賛成の方、反対の方の意見を織り混ぜて伝えてあり
 私の印象に残ったところを書いてみたいと思います

○銃社会のアメリカ
 アメリカでは、個人で所持される銃器類が3億1千万丁、一人1丁は持つ計算らしい
 アメリカでは、憲法修正第2条で、国民の権利として
 「自衛のための武器所持」を認められているのだそうです

 近年の世論調査では
 「銃を持つほうが安全」と考える人の方が
 「持たないよりも安全」
 と考える人を上回った、という結果もあるそうです

 また、ほとんどの州では18歳以上なら身元審査もなく銃が買える
 南部の一部の州では14歳から買えるそうです

○銃反対の人たちの言い分
 色んな団体が出てきましたが
 (そしてドキュメンタリーの作製者たちもこちら側の意見でしたが)
 一番話が出てきたのは
 「子供たちの安全」を心配する声でした

 アメリカでは、毎年銃で亡くなる人は3万人、うち子供や10代の若者は1万8千人
 30分に一人の子供が銃で亡くなっている計算らしい

 また、亡くなるまではいかなくても、
 年間7千人の子供が銃が原因の怪我をしているそうです

 多くは家庭内の事故で、
 親の銃を誤射する場合もあれば
 自殺したり発砲する場合もある

 2歳、3歳の子が親を銃で誤って射つ事故、
 喧嘩で11歳の子が8歳の子を射つ事故などもありました

 そして銃が起こした事件をきっかけに、
 銃規制を求める運動も各地で起きています

○ニューヨーク州の「ニコラス法」
 2010年12月、ニューヨーク州のサラトガスプリングスというところで
 15歳の男の子が、
 自宅で親の銃を友達に遊びで向けられ、
 発砲されて死亡する事件が起きたそうです

 母親は目を赤くしながら当時のことを語り
 「病院では「検査をしたが、お子さんは脳死の状態だ」と…」
 と声を詰まらせていました

 この事件を切っ掛けに、亡くなった子の名前を冠した「ニコラス法」が制定された
 これは、銃を所持する人に、銃を鍵のある保管庫で厳重に管理することを義務付けたもの
 「子供は好奇心があるから、
どこにしまおうと見つけてしまう。
  自分はそうでない、と思うのは間違っている」
 と母親は語っていました

 銃規制賛成の団体ブレイディ・キャンペーンの会長は
 「銃を持つ方が安全、という考えは間違っている、
  侵入者に銃を向けるよりも家族に向ける方が42倍の確率で起きる、という統計もある」
 と話していました

○銃購入を思い止まらせるガンショップ
 銃規制を推進する団体「ステート・ユナイテッド」は
 ニューヨーク州にガンショップを作ったそうです

 しかし普通のガンショップとは違い、店員は
 「この銃は良くできています」
 という説明の他に
 「この銃は2歳の子がスーパーマーケットで母親を撃ったもの」
 など、犯罪に使われたいわくつきのものであると説明する
 銃にも、どんな犯罪に使われたかの履歴が書かれたカードがついている

 銃の履歴を知ると、買うのを思い直したり止めたりする人がほとんどなのだそうです

○銃賛成の人たちの言い分
 一方、銃所持に賛成(というか当たり前に思っている)の人たちは
 治安の悪いところに住んでいる人が多いようです

 犯罪の多い地域では、
 護身のために銃を置いている家が多く、
 そういう環境で育つ人は銃を持つのが当たり前で
 子供にも幼い頃から銃の撃ち方を教える

 例えばデトロイト州は空き家が多く犯罪も多いが、
 ここで生まれ育った薬局経営の方は、
 「こういう所に育っている以上、私は銃を持ち、家族や自分を守っている」
 と話し、娘が3歳のときにライフル銃をプレゼントした、とのことです

 しかし、むやみやたらに使うのではなく
 危険であることももちろん教える
 「銃を見つけても触ってはいけない」
 「銃口を人に向けてはいけない、撃ちたいものだけにむけろ」
 ということを教えていました

 彼はどこかの射撃練習場で
 娘に銃の撃ち方を教えていました。
 娘さんは見たところ小学校低学年くらい?
 最初はいやがっていたけど、だんだん楽しそうにバンバン的に弾を当てていました
 彼女より小さい子供も練習していました

○オープンキャリー
 先程の薬局の方は、腰ベルトなど、体の見える所に銃を携帯しているそうです
 自分は銃持っているぞと他人に知らせるためで
 「オープンキャリー」といい
 アメリカではほとんどの州で認められているそうです

 オープンキャリーを推進する団体、てのもあるそうで
 そこの方はオープンキャリーについての子供向けの絵本も作ったそうです
 「銃のことを子供に伝えたがらない親もいるが、
  それは子供に銃の大切さを伝える重要性が分かってない」
 と話していました

 一方ミシガン州ではオープンキャリーに反対する女性がいました
 この州で、女の子が学校の通学路でクラスメイトに射殺された事件をきっかけに、
 「ミリオン・マム・マーチ」
 という銃への反対デモが起きたそうです

 子供を持つ母親を中心にしたデモで
 行進では犠牲になった子たちの写真を掲げていたのだそう

 この団体はオープンキャリー禁止を求める運動を展開していて
 オープンキャリーを許可しているスーパーマーケットの前で
 「オープンキャリー反対に賛成なら、このスーパーの本社に抗議の電話をお願いします」
 と呼び掛けていました

 お店の人はさすがに
 「店の前は止めてくれ」
 と苦情をいいに来ましたが
 「銃はOKで、勧誘は禁止なのね?」
 と彼女たちは切り返していました

 この団体の女性は
 「こういった運動は成果を得られないことが多く、情熱を保つのが難しい、でも私たちは正しいことをしている」
 と話していました

 賛同する団体もあり
 「マムズ・デマンド・アクション」
 (コネティカット州の母親を中心にした銃反対の団体)
 はテレビを使った宣伝活動をしているそうです

 例えばアイスクリームを持った子と、
 自動小銃を持つ男性の画像を見せて
 「スーパーマーケットではどちらが許されないか?
  アイスクリームを持つ子供の方だ
  これは馬鹿げている」

○全米ライフル協会(NRA)の見本市
 アメリカのウォルマートでは、子供用の銃も普通に売っているそうです
 (さすがに刃物と同じく、鍵のあるガラスケースに入っていますが)
 ピンクや紫など、可愛らしいデザインのものもあり、まるでオモチャです

 アメリカでは、銃は70億ドル市場とも言われていて
 子供用の「クリケット」というものは、
 ここ20年で売り上げが20倍、年間6万丁売れているのだとか

 全米ライフル協会NRAは、アメリカ南部で子供向けの銃の講習会をしているそうです

 講習では
 「銃を見たらどうする?」
 「まず立ち止まる、触るな、離れて大人に知らせる」
 という合言葉を、キグルミやゲームを使い子供に教えている

 また、実際に銃に触らせ
 「銃はオモチャじゃない、触ってはいけない」
 と話していました

 NRAの方は、
 「子供から銃を遠ざけるのではなく、
  何が危険かを知らせることが子供には重要」と主張

 しかしナレーションでは
 「銃に触るなと言いながら、
  このような講習会では銃に自由に触れるようになっている」
 と突っ込んでいましたが…

 NRAは、毎年春に銃器の見本市を開くそうです
 テネシー州で開かれていた時の様子が取材されていましたが
 500のブースがあり、3日で8万人が訪れたとか
 殺傷能力の高い武器もここでは買えるそうです

 20歳前後くらいの娘さん二人がいる家族も訪れていました
 娘さんの一人の18歳の誕生日のプレゼントに、リボルバー銃を買うのだそうです

 娘さんは1年半前からねだっていた、とのことで
 「これは重みがあって気に入ったわ」
 と、まるで服やアクセサリーを選ぶように銃を選んでいました

○学校での銃乱射事件を機に作られた「マムズ・デマンド・アクション」
 NRAの見本市の近くでは、マムズ・デマンド・アクションという団体が抗議集会を開いていました

 この団体は、
 コネティカット州で2012年12月に起きた、
 サンディフック小学校での銃の乱射事件
 (26人の子供が犠牲になったそうです)
 をきっかけに設立されたそうです
 会員は200万人。

 このときの集会には犠牲者の遺族もいて演説していました
 「憲法修正第2条には賛成している、
  私は銃に反対ではなく、銃の暴力に反対している」
 (私はこの発言にちょっと驚きました。
 つまり、遺族ですら銃自体は容認しているってことですよね…)

 この事件は、
 20歳の男性が母親を銃で殺害、
 そのあと学校に行き銃を乱射、26人の児童が犠牲になった
 この男性は精神疾患を患っていたにも関わらず
 母親は事件の数週間前に銃をプレゼントしていたそうです。

 この事件は全米にかなり衝撃を与え、銃規制の議論も高まったようです

 アメリカではほとんどの州で18歳以上なら、身分証明の必要もなく銃を買えるが
 銃反対の団体の方はこれを問題視しています
 「銃を持つべきでない人、
  つまり精神疾患や犯罪歴のある人も容易に銃を所持できるようになっている」
 コネティカット州の事件ではまさにそれが起きてしまった

 議会でも2013年、購入前の身元調査を義務付ける法案が出されたが、
 銃器産業関係のロビイストたちにより消されたそうです
 「今の政治はおかしい」
 と反対の団体の方は話していました

 (2013年の銃規制法案(マンチン・ トゥーミー法案というそうです)については
 当時のオバマ大統領が力をいれていて
 このNHKBS世界のドキュメンタリーの「オバマのアメリカ」シリーズでも取り上げられていました
 (ボーッと見てたから内容ほとんど覚えてないけど、
 けっこう議会の中での駆け引きドロドロしてるな~という印象でした。
 またこのドキュメンタリーやってくれんかな)

 まぁそれはさておき

 http://jp.wsj.com/articles/SB10001424127887324309104578429601757022968

 など、色んなニュースサイトによれば
 この法案は民主党のマーチン氏、共和党のトゥーミー氏による超党派による議案だったそうです

 内容としては
 ・オンラインや展示即売会での銃購入者について、
  犯罪歴や精神病歴などのチェックを求める
 ・殺傷力の高い銃の販売禁止

 などがあったそうですが
 民主議員の造反などがあり、採決に必要な60票にわずかに届かなかったのだそうです

 オバマ氏は「ワシントンの恥ずべき日」と強く悔しがっていました)

○銃訓練はピクニック?
 NRAの見本市で銃を見に来た一家を取材していました
 
 母親は見本市で
 「子供は銃に囲まれて育てば、変な好奇心を持つこともない
  私もそういう風にして育った
  銃は身を守ってくれるし、楽しませてくれる」
 と話していました

 テネシー州にある彼らの家を訪れると
 5、6丁の銃が保管してありました
 父親が自分の親から譲られたものもあるそうです

 父親は、
 自分は弾入りの銃を1丁だけ側に置いているが
 他はいつも鍵をかけた所にしまっている、
 子供が使いたいときは私に言わないといけない、
 と話していました
 母親も「私も鍵のありかを知らない」とのこと

 そのあと一家は車で30分くらいの所にある、
 民営の射撃場に射撃練習をしに行きました
 練習所といっても岩肌だらけの外の所に、板で作った的が置いてあるだけですが、
 一家は連続で早撃ちする練習、片手で撃つ練習など、色々していました

 「銃の練習も家族にとってはピクニックのようなもの」
 とナレーションでは言っていました

 この一家の主張によれば
 「ビールを飲んで事故を起こしても、車で事故を起こしても、車やビールは無くならない。
  でも銃で事件が起きれば銃が悪いという話になる、
  しかし問題は銃ではなくそれを使う人間なのだ」
 (あとで調べたら、銃が問題ではなく、使う人間が問題、というのはNRAの主張でもあるようです)

○学校での銃乱射事件への備え
 コネティカット州の学校での銃乱射事件の後、銃への批判も高まったが
 NRAは、
 恨むべきは銃ではない、
 むしろ学校に銃を配備して警備を強化すべき、
 と主張しているそうです
 「銃を手にした悪者に対抗できるのは銃を手にした善人だけだ」と話していました

 銃反対の団体は
 「彼らは頭がおかしいと思われてもかまわなかった、
  真の解決策から目をそらそうとした」
 と批判していますが
 事件のあと、銃の販売はむしろ伸びたそうです
 ナレーションによれば
 「まるで次の襲撃に備えて武装を強化しているかのようだ」

 NRAの見本市にもいた銃賛成のロビイストの方は
 「警察が何とかしてくれると思うのは甘い、
  教師がみんな銃をもてとは言わないが
  備えをする学校を止めることはできない」

 彼の団体は、学校襲撃犯対策コースというのを作っているそうです
 それによると、銃を持つ悪者から身を守るには、
 机で隠れていてはダメで
 1外へ逃げる
 2バリケードを作る
 3反撃する
 の3段階で対応すること、
 なのだそうです

 机にいても見つかったら撃たれてしまう。
 とにかく逃げるのが先で、どうしようもなくなったら犯人と対峙するしかない
 その際、エンピツやペン、ハサミ、本などでも防ぐことはできるそうです
 その方法を動画にして配っているそうです

 それでも防げないなら、みんなで犯人にしがみつく
 身動きがとれなくなりライフルが撃てないそうです

○ビジネスチャンス
 一方、この状況をビジネスチャンスにしている人もいました
 ある防護装備品の会社が、学校用の防護品を開発した

 この会社は元々特殊部隊の盾を作る会社だったが
 コネティカット州の事件を受け、当局が来る前に学校に防護品が無いと意味がない、と考えたそうです

 そこで開発されたのが防弾ホワイトボード
 後ろには両手で持てる取手もついていて
 とっさのときには盾がわりになるそうです

 製品テストによれば
 9ミリ弾30連発のものも食い止められたらしい
 (弾は板にめり込んで貫通も跳ね返りもしない)

 また、子供のリュックの中にいれて背負える防弾パネルもある
 子供たちが臓器を守ることもできるそうです

 メリーランド州には、
 全米で初めて防御装備をした学校があるそうです
 監視カメラがあり、全ての机は丈夫な繊維で強化されている

 先の防弾装備会社の方は息子も通うというこの学校を訪れ、
 全ての教室に防弾ホワイトボードを配備し
 事務所には防弾バインダーを備えたそうです

 校長先生は
 「45年この学校にいるが、こんなことは10年前にも考えられなかった、
  しかし今は違う、
  当局が来るまでの時間稼ぎができるなら何でもする」

○まとめ
 色んな銃による悲劇があるにも関わらず、
 アメリカでは、銃の販売はかつてないほどのびている
 銃規制を求める声は高まっているが、進んではいない。

 大統領が銃規制の法案を成立させ、犠牲者が増えぬよう願うばかり、
 と結ばれていました

○感想など
 前々から、なぜアメリカはこれだけ銃の事件が多いのに
 銃が無くならないんだろう…
 と思っていましたが、

 番組を見て、ここまで銃が小さい頃から当たり前になってしまっていたら、
 危機感も鈍ってくるんかなと思いました。
 日本のテレビとかスマホとかと同じような感覚なのかなと。

 銃保持の人たちの
 「車やお酒は規制対象にならないのに
  銃だけが禁止の議論がされるのはおかしい」
 という意見は、そう言われればそうだなと思ってしまった。
 (まあ、車は無くてはならなくなったし
 お酒もコミュニケーションを潤滑にする、
 銃に比べればメリットの方が大きいということなのだろうが…)

 しかしながら、銃の被害に遭っているにも関わらず
 憲法の修正第2条を支持する人がいるのには驚いたので
 アメリカ人が銃所持を支持する理由を少し調べてみました

 すると
 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49557
 (アメリカ「銃社会」の起源と現在 だから一筋縄では規制できない)

 http://m.huffingtonpost.jp/2015/10/08/why-america-wont-quit-guns_n_8266830.html
 (NEWS なぜアメリカは銃を廃止できない)

 http://toyokeizai.net/articles/-/96826?display=b
 (米国人の私が銃規制強化に「反対」する理由 保守系コラムニスト、ドーサット氏が吠え る)

 などを見ると
 アメリカ国民も、
 展示即売会などで銃を購入するときの身分証明や、精神疾患を持つ人への銃所持規制
 などの必要性は感じているらしい
 (2015年の調査ではアメリカ国民の8割はそれらの規制に賛成らしい)

 しかし「国が」規制することには反発を覚えるのだそうです

 これは、アメリカ国民にとって銃所持は
 「自由と平等」
 の象徴、みたいなところがあるからだそうだ

 「自由」については
 歴史的には、アメリカはヨーロッパからの移民により作られた国。
 そしてかつてのヨーロッパでは
 王などの圧政から市民が革命を起こし、民主主義を勝ち取っています

 このような背景があるので
 国や警察も圧政の当事者になる恐れがある、
 という考え方が染み付いていて
 それらの圧政から個人が自分達の身を守るため、
 つまり、個人の自由のためには銃が必要、
 という理論になるらしい

 「平等」については
 体の弱いものが強いものに対抗するには武器が必要、
 という考え方なのだそうだ

 それなら、市民革命の起きた ヨーロッパの国でも銃所持が進みそうなのに、
 なぜアメリカだけ規制が緩いのだろう?
 と私は思ったのですが

 ・アメリカのように広い国土では、警察が駆けつけるまでに時間がかかり、
  その間自衛しなくてはいけない
 ・軍事産業の存在
 ・ハリウッド映画の影響
 …などもあるそうです。

 それから番組にもあった
 ・全米ライフル協会NRA
  の存在も大きいみたいです
  NRAは党に関係なく献金などをしているのと
  現実路線を取る
  (ゴリゴリの規制ではなく、
  重罪判決を受けた人の銃所持は制限するなど、節度は守っている)
  ので議員と結び付きやすいらしい

 たしかにフランスやイギリスは国土が狭いから警察も警備できるだろうし
 ハリウッドや軍事産業など、そこまで商業的には発展していなさそうだ。

 ほかには、
 http://toyokeizai.net/articles/-/96826?display=b
 (米国人の私が銃規制強化に「反対」する理由 保守系コラムニスト、ドーサット氏が吠える)の記事の中に
 フランスのことが書かれていまして、

 フランスではアメリカとは違い、国による銃規制が厳しいそうですが
 これはフランスの反自由主義、社会主義的な思想に根差したもので
 アメリカとは思想が違う、ということだそうです

 また、この記事では、
 2013年法案のような銃所持の規制をしたところで
 アメリカ人にとってはデメリットの方が大きいことを指摘していました

 国による銃規制(購入者の身分証明の強化)をしたところで銃犯罪が減るかは疑問だそうで、
 そもそも銃の流通量自体を減らさないと意味がない、とのこと。

 また、国による規制強化は
 警察の負担が増えたり、
 闇取引きが横行したり(実際フランスでは闇取引が横行し、結局テロリストにとっては入手が難しくないらしい)
 何よりも個人の自由を抑制するのではないか、とのこと

 …やはり、多少の危険があっても
 自由は守りたい、というのがアメリカ人の考え方らしい

 (ちなみに医療保険制度が進まないのも、
 強制的に入らされるのが嫌だ、自由に決めさせてくれ、みたいな同様の理由なのでしょうね…)

 うーん。
 思想的、文化的なものが関係しているならば
 アメリカから銃が無くなることは無さそうに思えてきました。

 とすれば、不審者には攻撃できるけど
 簡単に子供が撃てないような構造の銃を作るとか
 銃と共存する方向で進めていくしかないのかなぁ、という気もしてきた…

 個人的には、武器のない世界が実現して欲しいですが、
 個人の信条を強制的に変えるのは難しい…
 なかなか根深い問題だと思いました。

アメリカ人の自由、平等は本当に筋金入りなんですね…
自分とは違う考え方の人を理解するのは難しいなぁ、と改めて感じました。。

色んな意味で勉強になりました。
というわけで今回はこの辺で。



posted by Amago at 20:49| Comment(0) | テレビ(政治) | 更新情報をチェックする

2017年07月04日

NHKスペシャル 「謎の“日本人テロリスト”を追え ~ダッカ・テロ事件から1年~」

NHKスペシャル 「謎の“日本人テロリスト”を追え ~ダッカ・テロ事件から1年~」

バングラデシュのダッカのテロ事件については
NHKさんはニュース、Nスペ、クロ現でも取り上げていました。
(と思ったら、クロ現はテニスの試合に差し代わっていた。
 クロ現見てから書こうかなと思っていたのに…)
なにかあるんかなと思って録画していたもの。

おそらく
・テロからちょうど1年(起きたのは2016年の7月1日)というのと、
・犯行グループのJMBのメンバーで、指名手配されている人の中に
日本と関わる人がいる(まだ逃亡中)
のが理由かなとと思われます

最初は暗い内容なので見るのやめようかなと思っていたけど、
見てみたら、問題は根深そうでした。

〇ダッカのテロの日本人犠牲者
 テロが起きたのは、高級レストランのホーリー・ベーカリー。
 当時食事をしていた日本人7人も犠牲になった。
 彼らは、みんな発展途上国の支援活動をしていた方たちだそうです

 犠牲者のうちの一人の岡崎さんという方のご両親は
 「息子がどんな最期だったのかを知りたい」と話していました
 彼は32歳と若い方で
 都市工学を学び、発展途上国の人のために働くことに生きがいを感じていたそうです
 「みんなに喜ばれるのがうれしいと話していた」

〇当日起きたこと
 スタッフは現地に飛び、当日そこにいた生存者を探し、話を聞いて回る
 テロリストからの報復を恐れて、口を閉ざす人が多かったが
 店の元従業員などが話をしてくれたそうです

 当時店を襲撃した実行犯は5人
 JMBという、ISのバングラデシュ支部を名乗るグループの犯行で 
 彼らは事件後に犯行声明を出したそうです

 ・一人の元従業員の証言
  「夜の8時半ごろ、店の厨房にいたら
   ホールから「アラーは偉大なり」という声が聞こえ、銃声が聞こえた」
  当時店にいたのは外国人
  (イタリア人、インド人、スリランカ人、日本人など)
  のほか、バングラデシュ人もいたそうです
 
  「みんな助けてくれと泣き叫んでいたが
   彼らはテーブルの下に隠れていた人にもみんな発砲した」
  バングラデシュ人だけは撃たず、外国人を狙い撃ちしていたとのこと
  「彼らはみな笑っていた」

  日本人もみな狙われたが、
  一人だけ外のピザ窯の裏に逃げ込み、助かったそうです

  20分近くしてから警察と治安部隊が到着したが
  警察官2人が負傷し、膠着状態になったそうです

 ・別の元従業員の証言
  しかし、本当はもう一人助かっていたはずの人がいたそうです
  この従業員は、日本人のテーブルの近くにある冷蔵室にいたが、
  日本人の一人が助けを求めてきた

  彼はその人の手を取り、冷蔵室に引き入れたそうです
  どの人だったか写真で確認すると、岡崎さんでした

  冷蔵室の中で、二人で息をひそめながら
  寒いのでスクワットしていたそうです
  「外に出たい」とも言っていたが
  「危ないから警察が来てから出よう」と話していたらしい

  しかし夜中の1時過ぎになり、
  冷蔵室の前に来たのは警察ではなく実行犯たち
  二人はドアを開けられないように押していたそうですが
  彼らはものすごい力でこじ開けたそうです

  そのあと二人は店内に引きずり出される
  店内には人質になっていたバングラデシュ人の家族
  (子供の誕生日パーティーで来ていたそうです)
  がいたので
  「子供がいるから人を殺さないでくれ」
  と頼んだそうなんですが

  実行犯はその従業員に前に出るようにいい、コーランの一節を唱えさせた
  「しかしそのあと、後ろで銃声が聞こえた
   日本人の彼が撃たれたとわかった」

  人質になっていた女性によれば
  「許してください、助けてくださいと言っていたのに、話す隙も与えなかった」
  
  朝7時40分になり、陸軍と特殊部隊が突入、犯人たちをすぐに射殺したそうです
  しかし外国人17人、バングラデシュ人を含めると22人が犠牲になったそうです

  岡崎さんと冷蔵室にいた従業員は、今でも自責の念に駆られるそうです
  「何とかして彼を救えたのではないか」
  その思いは耐え難い苦痛として心に残っているそうです

〇JMBについて
 JMBはなぜ外国人だけを狙うのか?
 スタッフは、JMBの元幹部に話を聞くことができたそうです
 この元幹部はダッカテロにはかかわっていない、とのことです

 「なぜ外国人を狙うのか」という質問に対し
 「外国人を狙えば、政府の立場が弱くなる
  外国からの圧力が強まり、発言力が弱くなる」
 「ターゲットは外国人、
  もしくは今の政府を支援する人々だ」

 つまり政府の弱体化を狙っている
 もともとバングラデシュは親日国ですが、日本人も例外ではないらしい
  
〇JMBの中の日本とつながりを持つ人物
 このJMBに属する人のうち
 10人が危険人物として指名手配されているそうです

 そのうち、首謀者とされる人はアジトにいるのを警察が見つけ射殺
 別の一人は潜伏先のシリアで殺害されたそうです
 
 しかし別の人たちは行方が分かっていない
 この逃亡中の人の中に、日本人名の人がいるそうです
 
 彼はサイフラ・オザキ(本名はサジット・デブナット)
 事件にかかわった証拠はないが
 SNSを通じ「募金」と称して日本国内のバングラデシュ人から資金を集め、
 過激派組織に資金援助をしたたしかな証拠はあるので、
 指名手配になっているとのこと

〇彼と日本とのつながり
 彼は2002年に学生として来日したそうです。
 母国の発展のために留学していた

 当時彼の指導教官だった立命館アジア太平洋大学の方によれば
 「優秀で、しっかり勉学にいそしんでいた」という印象だったそう
 「日本はフェアな社会だから好き、永住権も取りたいくらい」
 とも言っていたそうで、
 日本を第二の母国のように感じていたようです

 その後彼は立命館大学の准教授となり、学生を熱心に支援する
 私生活でも日本人の妻との間に4人の子供をもうけ、
 幸せに暮らしていたそうです。
 「子煩悩のお父さんで、仲の良い親子だった」

 しかし少なくとも、2014年頃からISのテロネットワークには関わっていたようです
 日本にいるバングラデシュ人の若者を過激思想に染め、
 シリアにあるISの拠点に送る活動をしていたようです

 彼に勧誘され、テロを起こした若者の一人の供述調書によると
 「私がオザキと知り合ったのはフェイスブックだった
  彼は日本在住で、シリアとパイプを持つというふれ込みだった
  当時私は人生で最もつらい時期で、
  彼は私にシリアの戦闘活動に加わるように、私の気持ちを煽り続けた」
 
 サイフラ・オザキはバングラデシュと日本を行き来していた
 バングラデシュのモスクに若者を集め
 日本では、彼らのシリア行きの算段を取る
 
 なぜ日本なのか?
 現在、シリアに行くには、トルコから国境を越えていかねばならないらしい
 しかし、トルコではテロ対策として、ビザを出す審査が厳しくなっている
 ところが日本のビザを持っていれば、信用が増し、
 トルコのビザも比較的簡単に取れるそうです

 テロを起こした若者も
 「オザキは、日本のビザがあれば、
  トルコのビザもオンラインで取得できると教えてくれた
  日本のビザは、オザキが身元引受人になってくれたので一週間で取得できた」
 と言っています

 また、バングラデシュ警察も
 「トルコに渡航する人は外国人戦闘員として入る人が多い」
 として、バングラデシュのトルコ大使館でビザを取る人には警戒を強めている
 実際、何人か逮捕したことがあるそうです
 「彼らは、バングラデシュの大使館でビザを取ると
  逮捕されたり計画が露呈する恐れがあると考えたのだろう」

 同志社大学にいた、オザキ氏とつながりのあるバングラデシュ出身の学生3人も
 現在行方不明になっているそうです
 彼らもシリア入りしたと思われています。

〇彼が心変わりしていった理由
 ではなぜ彼はISと接点を持つようになったのか?

 彼の生まれ故郷で両親に話を聞くと
 両親は
 「なぜ息子が容疑者になっているのか分からない」
 「連絡を取りたい」
 彼から電話も来ないそうです
 
 彼の家は、村では珍しいヒンズー教徒で、
 しかも下のカーストだったそうです

 彼はバングラデシュ唯一のエリート士官学校に進み
 家を出ると両親に断りもなく、イスラム教に改宗したのだそう
 当時を知る同級生は
 「彼はイスラム教はフェアだと言っていた、
  黒人も白人も関係ない、みんな平等なのはいいと言っていた」
 
 しかし世界では、ムスリムは厳しい立場に置かれていた
 彼を変えたのは、長期にわたるシリアの内戦だそうです
 「アサド政権と反政府勢力が対立していて、
  そこにロシアとアメリカが介入したため、
  戦闘は泥沼化し、多くの人たちが犠牲になり、避難している」
  
 「世界はアンフェアだ、
  イギリスやアメリカがイスラム教をこんな風にした」
 と言っていたそうです

 ISはその後国家樹立を一方的に宣言
 「ジハード」と称する戦闘を行っている

 彼は当時、ISのサイトを熱心に見ていたそうです
 ISは世界をフェアにする、
 イスラム教を広めないと、世界はフェアにならない
 と考えるようになったそうです。
 「ISは理想の国を作る」とも言っていたとか…

 日本に対する態度も変わっていったそうです

 安倍首相が2015年にISと戦うと宣言、
 2人の日本人がISの犠牲になった

 この時の日本の反応に、彼は失望していたそうです
 「日本は、ISが日本人2人を殺したら大騒ぎするのに
  イスラム教徒が何千人も殺されてもニュースにもならない、
  日本はアメリカの言うことをうのみにするだけで、
  ムスリムの厳しい現実を知らない」

 そして彼はダッカテロの半年前、姿を消したそうです
 ブルガリア経由でシリアに入ったのだろうと言われているそうです

〇ISに感化される若者たち
 ダッカテロの実行犯には、地方の貧困者もいれば、都市部のエリートもいる
 彼らはネットを通じてISに感化されたそうです

 元幹部によれば
 感化されやすい若者は使いやすい、のだそうです
 「若者は自分をテロリストと思っていないのだ。
  アラーに従ったジハードをしているんだ、と信じている。
  その背景には国家からの抑圧や、社会への不満がある
  こういう人たちがいる限り、テロはなくならないだろう」
 幹部を射殺したところで、
 これからもISは若者を感化し続けるだろう、とのこと

〇最後に…
 帰国後、スタッフは岡崎さんのご両親と再会したそうです
 さすがに事実を告げるのはためらっていたそうですが
 「どんな残酷な最期でも教えてほしい」
 と二人に言われ、彼と一緒にいた従業員の証言ビデオを見せていました

 二人とも最初は涙があふれ、言葉も出なかったのですが、
 父親は絞り出すような声で
 「最期即死だったなら…
  こんなこと、親が言いたくないことだけど
  苦しまなくて済んだ、それが本人にとっては良かったんじゃないかな」
 と自分に言い聞かせるように言っていました。

 岡崎さんの墓石には、「ダッカテロ人質事件」という文字と
 志半ばで逝った7人を象徴する星7つが刻まれているそうです
 「事件を風化させないでほしい」とご両親は話していました。

〇感想など
 最近のテロでは、生活が苦しい貧困層だけではなく
 比較的裕福なエリートも実行犯だったりする。
 それはなぜだろうと思っていたけど、
 理想の世界を作りたいという思いから来ているのだなと思いました。
 (並べていいのか分からんが、
  一時期のオウム真理教に走っていたエリートに通じるものがあると思う)

 特にオザキ氏の場合
 自分がカーストの低いところにいたから
 おそらくヒンズー教徒だったころはつらい体験をしていたのだろう。
 それを救ってくれたのがイスラム教だったのに、
 なんでみんなそれを否定するのか、という思いが強いのだろうと思う。

 こうしてみていると、
 お互いの誤解がどんどん広がってしまっているから難しい…

 本来はイスラム教は、彼が言うように平等で平和な宗教なんだけど、
 一部のテロリストのせいで
 欧米では「イスラム教」イコール「怖い人たち」というイメージができつつあるし、

 一方欧米はテロリストだけを攻撃しているつもりなんだけど、
 オザキ氏のような人たちは
 自分はテロリストではなく、純粋なムスリムだと思っているから
 「欧米の攻撃」イコール「イスラム教への迫害」と勘違いしている…

 どちらも「自分は正しい、正義を実行している」
 と思っているし
 どちらも部分的には正しいので、よけいややこしい。

 話し合うことができたら…と思うのですが
 ここまで来るとお互いの信頼感がゼロだろうから、
 余計難しい。

 というか、話し合いよりも戦争をやりたがっている人たちがいるようにも見える。

 アサド大統領の話も昔ドキュメンタリーで見たけど
 あの方はアメリカなどに降伏したら
 自国内での自分の立場がなくなる(悪ければ抹殺される)から、
 絶対に何があっても負けたとは言わない、ということは分かりました。
 (たぶん北朝鮮も同じ)

 なのでいくら他国が攻撃したところで
 いつまでたっても抵抗し続け、終わらないことは分かっているのに
 欧米はなんで戦争を続けるんだろう。

 たぶん武器を売りたい人とか
 この国は気に入らないから倒したいと思う人とか
 戦争をしたい人が世の中には少なくないのだろうと思う。

 そしてそういう戦争をしたい人たちが
 オザキ氏のような純粋な(間違った純粋さですが)若者たちを
 「感化」して「利用」しているのだろう。
 ここまでくると、どうにも手に負えないな~と思ってしまいます。。

 日本でできることはなんだろう、と思ったのですが
 偏見をなるべくなくすこと、異文化の人たちのことも理解しようとすること
 (特に若い世代の人たちは)
 なのかなと思います

 オザキ氏は日本での報道に憤っていたけど
 日本でもイスラム教についての正しい知識を
 もう少し広めた方がいいのかもしれない、と思う。
 草の根レベルで仲良くなれたら、
 誤解もすることはないかもしれない…
 
 ちなみに私も学生時代
 イラン人の留学生さんが同じ研究室にいて
 (といっても私は別の場所だったので、あんまり話す機会はなかったけど)
 「一日5回お祈りするための部屋はありませんか」
 とおっしゃっていたそうで、
 イスラム教って本当にお祈りするのか~、
 と思った記憶があります。
 彼のために飲み会ではお肉抜きのメニューを考えたり、という体験も新鮮で
 ご本人も穏やかで楽しい方でした。

 お互い、顔を突き合わせて
 同じ人間なんだ、と感じられたら憎しみあうこともないと思う。

 でも、オザキ氏も奥さんが日本人で
 彼が親切にしてもらった日本人も少なくなかっただろうに
 それでもISのネットの情報の方を信じてしまう
 というのはなんだかやるせないなと思います。
 やはり、幼いときからのカースト体験の方が強烈だったのだろうか。
 
 最近、ISの戦闘員が
 シリアだったかイラクだったかの子供を洗脳して
 攻撃的な人間にしてしまっている、
 という報道を目にしました。
 (その攻撃性は、後々残ってしまうそうです)

 こういうのを目にしても
 子供のころこそ、異文化の人たちと仲良くする
 みんなに親切にされる
 という経験は必要なのかなと思います。
 親として、そこは心にとめておきたい。

 それにしても、オザキ氏の奥さんや子供たちはどうしているのだろう。
 なんでこうなってしまったのか、
 なんで彼を止められなかったのか、
 と思っているのかもしれないし
 あるいは諦めているのかもしれない。
 彼にも、奥さんや子供たちへの思いが少しでも残っていれば…と思います。

 そして、
 発展途上国の人たちを救いたい
 と純粋に願っていた7人の人たちの思いも
 無駄にならない世の中が来てほしいと思います。

いろいろ考えさせられました。
というわけで、だらだら書いてしまいましたが、今回はこの辺で。
 
 
posted by Amago at 12:04| Comment(0) | テレビ(政治) | 更新情報をチェックする

2017年06月25日

NHKBS1「”黒幕“バノンの戦い~トランプ政権の舞台裏~」

NHKBS1「”黒幕“バノンの戦い~トランプ政権の舞台裏~」
2017年のアメリカ製作のドキュメンタリー。
5月にアメリカで放送されて話題になったそうです。

内容としては、トランプ政権の過激な差別思想発言は、
バノン氏が脚本を書いていた…
というような内容です。

バノン氏はハリウッドやゴールドマン・サックスでの勤務経験があるだけで、
外交や政治は専門外らしいんですが
そんな人間がアメリカ世論を操作している、
てのは怖い話だなぁと思いました。

ただ、バノン氏がなんでそんな過激思想に傾いていったのか、
という部分は曖昧だったかなぁと思います。

○バノン氏の影響力
 最初はバノン氏の現政権への影響力について。
 トランプ氏が就任後、
 イスラム教国民の入国禁止令、オバマケア廃止など
 数々の大統領令を出し、アメリカ国内は混乱していましたが
 これはバノン氏の狙い通りだった、という話。

 また、彼は
 「911以降、アメリカでは
  イスラム教徒の危険思想による脅威が増している」
 と発言しており、

 ジャーナリストなどからは、
 彼は今の世界を
 「アメリカの民主主義」対「イスラムのテロ」の戦争
 という単純な構図に置き換えている、
 と指摘されていました

○バノン氏の生い立ち
 彼はバージニア州リッチモンドの労働者階級の生まれ、
 親は熱心なアイルランド系のカトリックで
 勤勉の大切さを説き、
 政治的にはケネディ氏の民主党を熱烈に支持していたそうです

 彼はカトリック系の男子校に入り、スポーツに打ち込む
 バージニア工科大に入り、配電工のアルバイトをする

 彼みたいな家庭の元に生まれた子供はケネディみたいになりたい、
 と思うそうですが、

 しかし大学のとき
 彼は学生の自治体の会長に立候補
 このときに
 ワシントンの官僚を
 「我々の人間らしいライフスタイルを奪っている」と批判、
 対立候補を支配者階級の代表として攻撃し、当選したそうです

 エスタブリッシュメントを攻撃して自分への支持を伸ばす
 というやり方はこの頃から始まっているらしいが
 なんでそうなってしまったかは触れられていませんでした

○海軍、ゴールドマン・サックス、ハリウッドなど多彩な経歴
 さて彼はそのあと、政治への関心が高まったのか
 足掛かりとして海軍に入る

 そしてオマーンに配属されたとき
 イランでアメリカ大使館人質事件が起きたそうです

 このときのカーター政権は人質救出に失敗
 彼は
 「アメリカの威信を傷つけた」
 と強く批判したそうです

 そのあと、ゴールドマン・サックスで働く
 (なぜゴールドマン・サックスに入ったのかは触れてなかったので調べましたが

http://toyokeizai.net/articles/-/146406?display=b

 によると、当時は1980年代で、金融業が華の職業
 (日本のバブル時代と同じですね)
 彼はそれに憧れており
知り合いに
 「ウォールストリートで働きたいならハーバード大学     でMBAを取ればいい」
 とアドバイスされ、
 ハーバードに行き、ゴールドマン・サックスに入ったらしい)

 このとき名門校出身者が優遇されている現状に怒りを感じたそうで、
 退職してハリウッドに進出、映画やテレビに出資する会社を設立したそうです

○煽動的なドキュメンタリーの製作
 そのあと、2001年の911テロが起きる
 それは彼にとって、
 かつてのイランでのアメリカ大使館人質事件を思い起こさせたようで
 「イスラム教徒はアメリカに来てアメリカ人を殺そうとしている」
 と考えるようになったらしい

 そのあと彼はドキュメンタリー映画を撮影している

 これは、レーガン大統領が
 「ビースト」という邪悪な脅威と戦う、という話で
 共同脚本家によれば
 「終末論的、煽動的、
  熱い語り口を使い、身の毛もよだつ映像を使っている」
 つまり恐怖を煽り、それに向かって戦うのだと強く呼び掛けている

 さらにこの脚本家によれば
 「彼は編集室で、この物語の結末を「ビーストはまだ生きている」という筋書きに変えた」

 「ビーストはまだ生きている」
 というナレーションのあと
 911で飛行機が突っ込む映像、
 イスラム教徒の映像と「彼らは改宗を働きかけ、破壊する」というナレーション、
 最後にはワールドトレードセンターから飛び降りて自殺する人たちの映像を流し
 「ビーストはイスラム教徒」
 と意図的に思わせる編集だった

 バノン氏は本をよく読み、哲学的な話をするそうですが
 そのあと
 「フォースターニング」
 という本を読んで強く感銘を受けたそうです
 これは歴史はサイクルしているという前提のもと、未来を予測する本で、
 これからは冬の時代、民衆の反乱が起きたのち独裁支配に屈する、と書いていたそうです

 彼はこの本を元に
 「ジェネレーション・ゼロ」
 という映画を製作
 これは大規模な戦争を予言するような映画だそうで
 内容としては過激らしい

 しかしこの内容は過激すぎたのか
 彼が思うほど世間にインパクトを与えなかった

 そこで彼は現実の政治に働きかける道を選んだ

 最初に目をつけたのはアラスカ知事のサラ・ペイリン氏
 彼は反体制派のペイリンさんを大統領候補にしようと
 ドキュメンタリーも作成したそうなんですが、頓挫
 それでも彼は、世間にポピュリズムの風が吹いていることを感じた

○ニュースサイト「ブライトバート」との出会い
 そのとき出会ったのがアンドリュー・ブライトバート氏
 ブライトバート氏は、保守系のニュース・ポストの記者だったそうですが
 やがて独自のニュースサイト「ブライトバート」を立ち上げる
 古いやり方を壊す手法を取り、物議を醸し出していた人物のようです

 バノン氏はブライトバート氏と意気投合
 当時を知る人は
 「まるで化学反応を起こしているよう、
  お互いを別の次元に引き上げてくれる人物だと思っていたようだ」

 ブライトバート氏は、バノン氏と組むことで
 リベラルやエスタブリッシュメントと戦えると考えていたようです

 そのあとバノン氏は資金集めのため、
 投資家のマーサー一族に近づく
 マーサー氏はコンピューター科学の専門家で
 その知識を株投資に生かし、一財産を築き上げていたらしい

 バノン氏は政治に関心のあったマーサーの娘に近づき
 彼女の政治顧問になったそうです
 マーサー一族の中には、彼が一族を牛耳るんじゃないかと危惧する人もいたとか

 バノン氏はマーサー一族にブライトバートへの資金援助を要請、
 結果的にブライトバートは一大勢力となったそうです
 バノン氏はブライトバートの取締役会にも名を連ねる

○「ブライトバート」を引き継き、政治への影響力を持つ
 しかしそのあと思いがけないことが起きる
 ブライトバート氏が急死
 (心臓発作らしいです。
 あまりに突然の死だなぁと思いちょっと調べたのですが
 ネットでは暗殺説もあるとのことです。

 彼の検視をした方も不審死を遂げていること、
 オバマ氏を挑発する発言(彼が差別主義者である証拠を握っているとかなんとか)をした後の死であったことから
 オバマ氏がCIAに命じて暗殺させたとする人もいます
 ただこれは共和党議員によるガセネタだという人もいて、真相は不明)
 
 そのあと「ブライトバート」はバノン氏が引き継いだそうです

 バノン氏の代になると
 「ブライトバート」はハリウッドよりもワシントンの政治の話が増える
 ワシントンにも事務所を構え、共和党系の影響力あるメディアになったらしい

 当時を知る人は
 「バノン氏は30代の若い記者ともよく話し、
  記者たちは自分がアウトサイダーだという自負を持っていた」

 「ブライトバート」は、
 「ポピュリスト・ナショナリズム」と呼ばれる立ち位置を確立、
 「アメリカ・ファースト」という言葉も産み出した

 そして、
 黒人や移民などのマイノリティによる犯罪を糾弾したり
 エリート批判する記事をインターネットで拡散させた

 「ターバンを巻いた人が世界を支配する」
 「女は頭が悪い」
 など、差別的で刺激的な言葉を使い、
 そういう思想の人たちを正当化し、発言の機会を与えてしまったそうです

○政治にも影響力をもたらす
 そのあとバノン氏はワシントンにも働きかける
 2013年、移民制度を改革する法案が
 共和党、民主党の共同で審議されていた
 バノン氏はこれを阻止することを画策

 このときバノン氏が目をつけたのは共和党のスティーブン・ミラー
 彼は保守系の理論派で、記者たちにプレスリリースを送り付けていたそうです(迷惑メールとして扱われていたそうですが)

 彼は移民制度改革反対派のセッションズ氏の側近で
 バノン氏とセッションズ氏を引き合わせたそうです

 バノン氏の助言により
 「この法案は有権者を軽視している」
 という共和党のポピュリストたちの抗議が起き、
 改革は頓挫した
 ブライトバートの元記者は
 「あの法案は、ワシントンの既存階級の利益を優先したもの、葬られるべきだった、
  我々の勝利だった」

○トランプ氏との出会い
 そのあと、2004年頃トランプ氏に出会ったようです
 トランプ氏は「ブライトバート」を以前から熱心に読んでいたそうです

 仲介役?となったのはボジー氏という保守派団体の方で
 この3人が一同に会したらしい
 ボジー氏はバノン氏を戦略家と呼び、
 トランプ氏は大統領選立候補を考えている、とバノン氏に伝えたそうです

 バノン氏とトランプ氏は意気投合
 どちらも敵を叩くことにのめり込むことにのめり込むタイプなんだそうです

○トランプ氏の大統領選挙
 共和党での候補者争いのときには
 バノン氏は正式にトランプチームには入っていなかったそうですが
 トランプ氏はバノン氏にひそかに助言を求めていたらしい
 その助言のもと、トランプ氏は対立候補を次々と攻撃

 そのころ、
 「ブライトバート」はトランプ氏の宣伝機関誌に成り代わってしまったそうで
 それに嫌気をさした記者たちは辞めていったそうです
 辞めた人は
 「メディアは政治とは距離を置かねばならない
  政治に影響を与えたければ、自分がその陣営に加わればいい」
 と話していました

 トランプ氏が共和党代表に選ばれると
 バノン氏は正式にチームに加わる
 便りになる指南役として扱われたそうです
 トランプチームに入ったボジー、セッションズ、ミラーなどはみんなバノン氏がらみ

 しかし民主党の大統領候補のヒラリー氏と争っている間
 トランプ氏の女性蔑視発言が問題視される
 共和党の中央からもトランプ氏は非難され
 トランプ陣営から撤退の声も出た

 しかしバノン氏は逆に反撃を提案
 クリントン氏の夫、ビル・クリントン氏が大統領時代に行ったセクハラ疑惑を持ち出し
 話をすり替える戦略をとる

 「メディアが同じ方向を向いているとき
  予測不能のやり方を持ち出す」
 という戦略なのだそうだ

 トランプ氏は本能や直感で動き、
 政策研究はあんまりしないタイプで
 そこのバックボーンとなったのがバノン氏なんだそう
 「トランプ氏の公約に政策的な話が加わったのはバノン氏がチームに入ってから」だそう

○トランプ陣営
 やがてトランプ氏は大統領選挙に勝利
 就任演説が行われる

 トランプ氏のスピーチに使われているのはバノン氏の言葉なんだそう
 かつてのドキュメンタリー共同脚本家によれば
 「アメリカの犠牲の時代は終わった」
 「アメリカファースト」
 という言葉はバノン氏らしい言い回しなのだとか
 (ウィキによれば、理論派のミラー氏もトランプ氏の演説に力を与えているそうで、
「忘れられた人たち」(没落した白人労働者階級)に対する「あなたたちを忘れない」という呼び掛けはミラー氏の起草によるものだとか)

 そのあと決定した閣僚はバノン氏がらみの人たち
 セッションズ氏は司法長官、
ミラーは上級顧問、
 他ブライトバートからも二人が政界入りしているらしい
 バノン氏自身は大統領首席戦略官、大統領顧問となる

 バノン氏は大統領権限を使い、
 迅速に動くことを望んだそうです
 オバマケア、環境問題、移民入国禁止令、国境への壁など
 物議を醸し出すような大統領令を出す

 これは混乱を起こすのが目的で
 だからこそ200もの大統領令を次々と出したのだそう
 「自分のようなやり方では、
  ワシントンでは長く持たないと思っているのかもしれない」

 中でも優先したのは過激思想やテロへの対策
 バノン氏のそれまでの考え方を実行する絶好の機会で
 常に大統領に寄り添い、影響力を与えていたそうです

 バノン氏はNSC、国家戦略会議にも入る
 「外交や安保政策の専門家でもない彼がここに入ったのは
  自分が影響力を持つと示したい気持ちの現れだ」

 彼は絶頂期を迎えた、とも言えた

 そのあとバノン氏はシーパック(CPAC、全米の保守主義の活動家や政治家による、年一回の度のスピーチ討論会)の会議に招かれ
 エスタブリッシュメント批判をしたそうです
 
 しかし、バノン氏は表に出たことで攻撃されやすくなった

 マスコミはバノンをトランプを影で操る人物、とし
 「偉大なる操縦者」
 「バノン大統領」
 と皮肉ったそうです

 風刺番組でも
 トランプ氏のものまねコメディアンが
 「バノンがいないと始まらない、
  バノンはどこ?」
 そしてドクロの衣装をつけたバノン氏が登場すると
 「君はちょっとどいてくれないか」
 とトランプ氏をどかし、
大統領の席に座る(笑)

 そのあと、次々と打ち出した大統領令は裁判所から差し止め命令が出されアメリカ中は大混乱、
 トランプ氏の支持率も急落

 「バノンはハリウッドやゴールドマン・サックスの経験から
  人々を動かす術を知っていると思っていたかもしれないが
  立法プロセス、政治的な取引はそれとは別物」
 と話す人もいました

 また、トランプ氏の娘婿のクシュナー氏はバノンを公然と批判、対立している
 クシュナー氏はグローバリストや共和党の中央部と結び付きがあり
 バノン氏の思想とは相容れない
 かつてのバノン氏の盟友ミラー氏は、
 イバンカ、クシュナー氏の側についてしまったそうです

 この対立ではトランプ氏は身内側につき、
 「バノン氏は私の部下」と発言
 バノンはNSCを外される

○それでも影響力を持つバノン氏
 これでバノン氏は干されるのか?と思いきや、
 就任後100日目の集会ではトランプ氏はバノンを連れていったそうです
 バノン氏ほど戦略を持ち、民衆に訴えかける演説を考えられる人は
 政権の中には他にいないそうです

 バノン氏はトランプ氏に
 エスタブリッシュメントに振り回されず、ぶれないようにと訴えているそうです
 ロシアゲート疑惑、FBIへの介入疑惑など
 トランプ氏が数々の批判にさらされているにも関わらず
 批判勢力と戦う戦略を取り続けるのは
 バノン氏の助言あってのことだ、とのことでした。


感想など
 バノン氏については別の分析をしている記事もあって

http://toyokeizai.net/articles/-/160361

 の分析では、
 トランプ氏は別に彼に操られているわけではなく、
 自分の大統領になりたいという野望に彼の思想を利用しただけ、
 とのことです

 バノン氏は
 今回の話でもあったように、
 元々、女性、移民、黒人などのマイノリティに差別的な考えがあり、
 (ゴールドマン・サックス時代にすでにそうだったが、
 ハリウッドでより強化されたのだとか…)
 それを隠さず話す人間、
 エスタブリッシュメントにも批判的な思想の持ち主

 トランプ氏は、
 そんな彼の思想と同調する人間は世の中には意外と多い、
 彼の過激な言葉は支持者を増やすのに有利なんだ
 とバノン氏に説得され、
 それに乗ってみようと判断し、戦略として利用しただけだ、とのこと。

 トランプ氏が一番信頼しているのは自分と自分の家族だけ、
 実質ナンバー2は娘のイヴァンカさんなんだそうです
 バノン氏もそれは承知で、
イヴァンカさんの前では女性差別的なことは絶対言わないらしい。
 そういう意味では、早い目にイヴァンカさんに気に入られた安部首相は賢いみたいです

 ちなみにバノン氏は政治的経験はないのに、なんでそこまで重用されているかというと
 「人たらし」の才能があるんだそうです。
 つまり権力者に気に入られるのがうまいらしい

 ゴールドマン・サックスでも、
 海軍に7年いて、
 そのあとハーバードに行ってますから
 ビジネスマンとしてはかなり遅いデビュー。
 それでもゴールドマン・サックスに就職できたのは
 当時のCEOの息子と親しくなり、そこから取り入ったからだそう。
 さらにM&A部門に配属されたあとも人たらし能力をフルに使って成功したそうです
 (資本家に近づいたときも、娘に先に取り入ってましたね…)

 バノン氏は人たらし能力はあるが
 取り入った人物が落ちぶれたら平気で切るそうで
 (辞任に追い込まれたフリン氏にもそうだったらしい)
 トランプ氏もたぶん同じタイプ。
 お互いに利用しあっている、ということなんですかね…

 こういう分析が本当であれば
 トランプ氏がしっかりしていれば政権自体が危険思想に染まることはなさそうですが、

 それにしてもトランプ、バノン両氏のとるやり方は劇薬というか、
 差別的な考え方を国民の心から引きずり出してしまうのがこわい。

 スピ系の見方では
 トランプさんはわざと我々の心の闇を表に出しているんだ
 (浄化のためなんだそうだ)
 という意見もあるが
 それもあながち間違ってないかもなどと思ってしまう。

 まぁいずれにせよ
 バノン氏の終末思想に惑わされず
 ハッピーな未来を思い描いて実現していきたいものです。

なかなか勉強になりました。
今後どうなることやらですが
今回はこの辺で。

posted by Amago at 20:52| Comment(0) | テレビ(政治) | 更新情報をチェックする