2017年12月04日

フランケンシュタインの誘惑「麻酔 欲望の医療革命」

フランケンシュタインの誘惑「麻酔 欲望の医療革命」

先週やってたんですけど、いろいろあってみるのが遅れた。
今回は麻酔の話でした。

麻酔っていうと、
昔「華岡青州の妻」というドラマをやっていたのをたまたま見たんですけど
(たしか有吉佐和子さんの小説が原作で、
青洲の奥さん役が和久井映見さんでした)

青州は世界で初めて麻酔薬(服薬)の開発を成功させた人で、
妻がその実験台になるも、薬の副作用で失明してしまった…
とか言う話を伝記かなんかで読んだことがありましたが、

ドラマでは、
この世紀の発明の裏には彼の奥さんと義母さんとの嫁姑争いがあり、
どちらが青州の実験台になるか足の引っ張りあいをしていた…
とかいう話になっていました。

華岡青州の奥さんって献身的なイメージがあったのに
こんなドロドロしてたんかぁ…
ってけっこう衝撃でした。
(でもドラマでは、和久井さん演じる奥さんは
 実はきれいで凛とした義母さんに憧れていて認められたくて…
 という複雑な心理があったとかいう描かれ方で
 ドラマとしては素晴らしかったですが)

 なので外国にもそういうドロドロがあったんかなぁ…とか思っていたんですが、
 見てみたら、金と名誉の争いの話でした。
 日本だと嫁姑だけど、アメリカは金と名誉、ってのがなんかお国柄ですね。

 現在、先進医療は高価なのは当たり前のように感じますけど、
 それは特許の存在があるから、なのだそうです。
 そして、この特許の概念を最初に医学に持ち込んだのが、
 今回出てくる科学者だった、とのことです。

 今回主に登場する科学者は
 歯科医のホレス・ウェルズとその弟子のウィリアム・モートン。

 ウェルズは、華岡青洲が服用の麻酔薬を発明してから40年後に
 今では主流の吸入による麻酔法を発明した方だそうです。
 (ちなみに今では、吸入麻酔と静脈麻酔が使われ、
  薬品もいろんなものが開発され
  鎮痛、筋肉の弛緩、鎮静など色んな役割を持つ薬物をミックスして行うのが主流みたいです
  http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/analg-anes.html
  (滋賀医科大学の麻酔についてのページ))
  
 ウェルズはその発明の名誉にこだわり、
 一方モートンはその発明で特許を取り、お金儲けをしようとし
 どちらも悲劇的な人生を過ごしたのだそうです…

というわけで内容から。
〇ホレス・ウェルズの経歴
 ウェルズは1815年、バーモント州の大地主の息子として生まれる
 21歳の時に、歯科医として開業したそうです

 彼は新しいものをどん欲に取り入れ、発明するのが好きな青年で
 義歯なども発明した
 しかもそれをほかの医師にも積極的に教えてあげていたそうです
 
 吸入麻酔法の歴史に詳しいジャーナリストによると
 「彼は正直で誠実で、そして野心家でもあった。
  彼は自分の名前を残すことにこだわっていた」
 誠実なのはいいけど、名前を残したかったんですね…
 
〇ウェルズの麻酔法の発明
 そんな彼が取り組んだのは、痛みに対する対処
 当時の医学界では麻酔法はなく、外科手術は地獄のような治療法だったそうです
 ひもで患者をベッドに縛り付け、
 メスで皮膚を切り、のこぎりで骨を切断する…

 痛みをなくすため、アヘンや酒を使ったり、
 血抜きで失神させる医者もいたそうです。
 あまりの痛さを悲観して、自殺してしまう患者もいたらしい
 たしかに拷問に近いですね…

 その当時、ウェルズはあるチラシに目を止める。
 それはその時流行していた「笑気ガス」の大実演会
 笑気ガスとは亜酸化窒素のことで
 これを吸うとハイになったり失神したりするが、
 当時はそれを見て楽しむショーがあったそうです

 彼はショーを見た時、ハイになった人たちが
 大けがをしても全然痛がっていないのに気が付いた
 そしてこれを治療に使うことを思いつく

 そして、革袋とチューブを組み合わせた簡単な吸入器を作り
 自分を実験台にして抜歯手術をしたそうです
 自ら亜酸化窒素を吸って仲間の歯科医に抜歯してもらう。
 全く痛みもなく、10人の患者に行っても痛がる人はいなかった

 彼はこの方法を、周りの医師たちに教えて回る
 麻酔法の歴史に詳しいジャーナリストの解説によると
 「彼は発明を誇りと思っていて、
  ほかの人も試してくれるのがうれしかった。
  とにかく、抜歯の痛みに苦しむ人たちを助けたかった」

〇ウェルズの失敗 
 そして彼は1845年、アメリカの医療先進地ボストンに行く
 この麻酔法をほかの医師にも広めようと、公開実験を行った

 この実験の時同伴したのがウィリアム・モートン
 彼はウェルズに歯の治療法を教わり、ボストンで開業していた

 ウェルズの実験は、ハーバード大学の学生や、名だたる医師たちの目の前で行われた
 しかし、これらの権威ある医師たちは、
 皆を悩ませてきた痛みを一介の医師が解決できるはずがない、と思っていて
 ウェルズを嘲笑した

 ウェルズはこれに動揺し、麻酔実験を失敗してしまう
 麻酔薬の亜酸化窒素がわずかに足りず、麻酔が効かなかった
 このため、ウェルズはさんざん詐欺師呼ばわりされる

 彼はこのときの苦痛がトラウマとなり、歯科医をやめてしまう

〇モートンの登場
 その後半年して、ウェルズのもとにモートンが訪れる
 借金を返すためだが、
 彼の真の目的は麻酔法を教えてもらうことだった
 これを商売に使おうともくろんでいたらしい

 ジャーナリストさんの解説によると
 「彼は、麻酔法がとてつもない利益を生み出すことに気づいていた。
  というのは、実はモートンは若いころ詐欺師だったんです」
 モートンは歯科医ではあったが、
 生まれながらのペテン師だったそうです

 モートンは13歳のとき、両親が事業に失敗して一家は破産してしまう
 彼は家計を支えるため酒場に働きに出たが
 店のお金を使い込み、店も町も追い出された
 そのあとは各地で借金を重ね、踏み倒す人生だったらしい

 しかしウェルズはそんなモートンの過去を知らないので、懇切丁寧に麻酔法を教える
 無痛抜歯の方法の実演もしたそうです

 モートンは、このウェルズの発明を自分のものにしようと、
 少しオリジナリティを加えることにする
 亜酸化窒素の代わりに、ジエチルエーテルを使うことを思いついた
 エーテルは、呼吸困難や吐き気を抑えることが当時すでに知られていたそうです
 また、吸入器も改良を加え、見栄えも良くする

〇モートンの公開手術
 そして1846年、モートンが公開手術を行う
 場所は当時医療の最先端だったマサチューセッツ総合病院

 彼はウェルズの二の舞にならないように、周到に用意をしていたそうです
 例えば、自分は麻酔だけをかけ、執刀は名高い外科医にしてもらった
 こうすれば失敗はないし、
 権威ある医師と共同で行えば信用度も増す
 また、吸入器はガラス製にして、
 中にスポンジに浸した薬品を入れる
 こうすれば見栄えもよく、被験者も確実に蒸気を吸い込める

 こうして公開手術は成功し、彼の名はアメリカ中に知れ渡ることになる
 ラテン語で無感覚を意味する麻酔(anaesthesia)はここから生まれたそうです
 
 医学界の歴史に詳しい歴史家は
 「麻酔法は、医療の歴史上最大の成功の一つ」と話していました。
 「有史以来、人々を悩ませていた痛みが、
  ついにコントロールできるようになった、
  まさに革命だ」

 一方麻酔法の歴史に詳しいジャーナリストさんは
 「誠実なウェルズがペテン師呼ばわりされて、
  本当のペテン師であるモートンが偉大な天才、と呼ばれたのは皮肉なことでした」
 と話していました

 実際、ウェルズはモートンの行いに怒りを隠さず
 「本当の発明者は私だ、
  名誉を与えられるべきは誰か、世間に判断してもらいたい」
 という投稿を新聞に寄せたそうです

〇スタジオでの解説
 司会は武内陶子アナ、
 解説は我孫子東邦病院の麻酔科医、菊地博達氏と
 横浜市立大医学研究所の谷口英樹氏でした

 菊地氏は
 「いろいろ言われていますけど
  私がモートンの公開手術の場にいたら、ものすごく感動しただろう」
 と吸入麻酔法の誕生については評価していました。
 谷口氏も
 「その後何十年、今も行われている麻酔法を
  この時作ったのは革命的」と話していました

 菊地氏はウェルズの発想について
 「よくぞ気が付いたと思う」
 と話していました
 エンターテインメントに使われていたものを、医学に使おうという発想がすごい、と。
 これは、彼が日ごろから何かいい方法はないか、ないかと探していたからこそのものだろう、
 とのことです。

 一方谷口氏は
 「麻酔法を発見したのはウェルズだが、
  改良して、より高い効果をもたらしたのはモートン」
 と両者の功績をたたえていました

 武内アナが
 「モートンはペテン師と言われていましたが…」と聞くと
 谷口氏はこれはよくあること、と言っていました。
 「先行研究はたしかに前任者の功績だが、
  さらにその上に積み上げる、というのは悪いことではない。
  それを盗んだと言っちゃうと、科学の世界は混乱してしまう」
 菊地氏も
 「科学ってのはみんなそうで、
  例えばノーベル賞では、新しい分野を切り開いた人もそれを発展させた人も、
  共同で賞をもらっていますよね」
 改良、発展させたということ自体は評価されてもいいとのことです。

 武内アナ
 「モートンは自分が麻酔して、ほかの高名な医者に執刀してもらっていましたね」
 菊地氏
 「彼はどのようにすればインパクトを与えられるかを知っていた、
  それは詐欺師の鋭い勘だったんでしょうね。 
  レベルの高い病院で、有名な外科医の先生にやってもらえばいい
  そこはセンスがありますね」
 谷口氏も
 「彼はビジネスセンスや、マネジメント能力があるんでしょうね、
  モチベーションはいろいろあるんでしょうけど、
  彼のしたことが、麻酔法を発明として前に進めた意味はあると思います」
 モートンの作戦勝ち、みたいなところがあるんですね。

〇麻酔法開発者の名誉争い
 モートンがエーテルの吸入麻酔法を公開で行ったニュースを受け、
 我こそがこの発明者だ、と名乗り出る人が何人かいたそうです

 その一人がチャールズ・ジャクソン
 彼はハーバード大学医学部卒のエリートで
 当時医療の最先端だったパリに留学し、
 その後化学分析の研究所も設立していたそうです
 彼は吸入器の発明は自分が行った、と主張したそうです

 というのは、モートンは公開実験の1か月前
 ジャクソンのもとを訪れ、アドバイスを受けていたのだそう
 
 そこでモートンはこの麻酔法の特許を取り
 特許料をジャクソンと折半することで話を付けた
 モートンは、すでに名の知れたジャクソンを共同開発者とすることで
 この発明に箔をつけ、たくさんの人が使うことも期待していた
 
 (ちなみにウィキによりますと、
  ほかにエーテルを最初に手術に使った方がいるそうです。
  ジョージア州のクロフォード・ロングさんという方は
  1842年にはこれを使って麻酔手術をしていたそうです
  ただし公表はしていなかったので、公認はされていないようだが
  この方も当時自分が先だ、と主張されたんでしょうか…)

〇麻酔法の特許取得、論争が巻き起こる
 1846年、アメリカ特許庁は、モートンに対しエーテルの吸入麻酔法の特許を許可する
 この特許は3つのポイントがあり
 ・エーテルという医薬品への特許
 ・吸入器という医療機器への特許
 ・吸入法という医療方法への特許
 この特許は14年間有効とし、その間この麻酔法を使うすべての医師は
 特許料を払わねばならなくなったそうです。

 しかし、医療行為に特許を取る、という行為が論争を巻き起こしたそうです
 医学史の専門家の解説によると
 「当時、医師が医療に関する発明で特許を取るのは
  倫理に反する、とされていた」

 古くをさかのぼると、エドワード・ジェンナーが天然痘の予防接種を考案したとき
 あえて特許を取らなかったそうです
 これは、多くの人にワクチンを届けるためで、
 この前例により、医療にかかわる特許は取るべきでない、という暗黙の了解があった
 
 ジャーナリストさんは
 「特許を取るのは、医学界では衝撃的なことだった
  それまでは特許を取る人はいなかった」
 また、医学史の専門家によると
 「特許に対する倫理的な抵抗は、エリート医師にはあった。
  しかし当時一介の医師だったモートンには、それがなかったのだろう」

 当時、ボストンメディカルアンドサージカルジャーナル、という雑誌では論争となり
 賛成意見「医師の貢献したなら、特許を求める権利がある」
 反対意見「医師はお金や権力ではなく、賞賛や感謝の言葉を求めるべき」
 賛成意見「特許は研究者のモチベーションにつながる」
 反対意見「よく知られた薬品に特許を与えるのは、太陽や月の光に特許を与えるようなもの」
 など、いろんな医師の賛否双方からの意見があったそうです。

〇モートンのお金儲けは思惑通りにいかず…
 モートンは医学界の論争をよそに、金儲けにまい進する
 彼はエーテルとオレンジの成分を混ぜた「リーセオン」という商品を開発する
 当時アメリカメキシコ戦争が勃発し、これで一儲けできると考えたらしい

 しかし政府は、エーテル麻酔を兵士への治療に無断で使うようになる
 戦争時では特許なんぞ言ってられない、という状況だったらしい

 ジャーナリストさんの解説によると
 「政府は、エーテルの特許使用を許可した張本人なのに、それを無視した。
  大病院も特許を無視するようになったため、
  開業医もこれに追従し、
  全米の各地で勝手に使われるようになった」

 こうしてモートンの特許は崩壊し、彼のもとにはリーセオンの在庫の山が残った…

〇名誉を取り戻したウェルズ
 一方本来の発明者であるはずのウェルズについては、
 1846年にボストンメディカルアンドサージカルジャーナルで
 「麻酔法の発明の栄誉はウェルズのもの」
 と投稿してくれた医師がいた

 この医師はハートフォードの医師で、
 公開手術よりも前にウェルズから麻酔法を教わっていた人だそうです
 
 ジャーナリストさんによれば
 「ウェルズは無償で亜酸化窒素の麻酔法を広めた、
  その寛大さが彼を救った。
  彼の発明が初めて証明された」

 この記事は、モートンの特許が認められたアメリカではあまり話題にならなかったが、
 当時医療の先進国だったフランス、パリでは、ウェルズが発明者として認められたそうです
 当時のウェルズの手紙によると
 「パリにいると、みな私に礼儀正しく「あなたは偉大な人物」と言ってくれる」
 と書いているそうです

 そして名誉を取り戻した彼は、再び麻酔の研究にとりかかる
 彼が新たに取り組んだのはクロロホルム
 これはエーテルよりも効き目が早く、少量で麻酔ができたそうです
 彼は自分を実験台にして実験していたそうです

〇スタジオでの解説
 再びスタジオでの解説。
 谷口氏は
 「ウェルズが先に発明したからモートンが改良し、ウェルズはさらに改良した。
  これは研究開発の場面で、今でも起きていることです」

 武内アナは
 「医療特許は大論争になりましたが」
 菊地氏は
 「普通は栄誉を得ようと思う人は発明したものに自分の名前を付ける。
  名前を付けることが栄誉だったんですね」
 名誉をお金に変える行為が、否定的な評価をされたようです。

 一方谷口氏は
 「モートンはサイエンティストとみるとNGなことをしていますが、 
  起業家とみれば、
  自分が発見したものを世の中に行き渡らせて人々を助けようとしたわけで、
  そういう意味ではモートンのしたことは決してネガティブではない、
  見方により評価が分かれる」
 とモートンを擁護していました

 武内アナは
 「それにしてもモートンはアイデアマンですね、リーセオンとは…」
 菊地氏は
 「アメリカは当時、西部劇なんかを見るとそうですけど、
  幌馬車に怪しい看板を付けて、「特効薬」
  とか言って売り歩くとかいうのがあったんですね」
 谷口氏は
 「アメリカは同時成熟していなくて、ルールもない、
  いろんな人が雑草のようにどんどん出てくる、
  そういうパワーが新しいものを生み出していった」
 合理主義、資本主義
 悪く言えば何でもお金に変えちゃうアメリカならではの発想なんでしょうね。

 武内アナ
 「国も特許を無視しちゃったんですね…」
 菊地氏は
 「モートンの発明は利用価値が大きすぎたんですね」
 谷口氏は
 「モートンの特許が強力すぎたんですね…
  重要な発見すぎて、あまりにも侵害して使う人が増えちゃった」
 武内アナ
 「モートン、ちょっとかわいそうですね…」
 菊地氏
 「まあ、欲をかきすぎたんだね」(笑)
 戦争という時代、というのもあったのかもしれません。
 まあ自業自得ともいえるんだけど。
 
〇ウェルズの悲劇
 1848年1月
 ウェルズはハートフォードからニューヨークに移り住む
 そして広告を出した
 「私は、3年以上も前に痛みを消す治療法を発明したことで知られています」
 「この治療法で体調を崩した人はいない」
 「麻酔の感覚は極めて愉快」
 というようなことを書いていたらしい

 麻酔が愉快?
 …というのは、クロロホルムには依存症があり
 彼はこのとき、すでにクロロホルム依存症に侵されていたらしい

 彼がニューヨークに到着して3日後、事態が急変する
 彼はクロロホルムを吸入後、錯乱状態になり
 女性に硫酸を浴びせて回る事件を起こす
 このため彼は投獄され、有罪判決を受ける

 彼は判決を受けた日
 監獄の中で明かりを消し、隠し持っていたクロロホルムを取り出し、
 吸入した後に、自分の大動脈をカミソリで切断する…
 
 こうして彼は自ら死を遂げる。享年33歳。
 (ちなみに、クロロホルムについては、一時期麻酔薬として使われたが、
  ウェルズがかかったように依存症の副作用があり、
  不整脈も起こすとかで、今は使われていないようです)

〇モートンの悲劇
 一方モートンは、特許が侵害されまくったので
 政府に特許は要らないから、代わりに褒賞を与えるよう政府に要求する
 その額は10万ドル(3億円以上)
 彼は訴えて却下され、また諦めず訴え…
 を繰り返していたが、そのうち特許が切れてしまう

 さらに1862年のニューヨークの裁判では
 「エーテルは以前から知られた薬品で、モートンはその効き目を確かめたにすぎず、
  そもそも特許は認められない」
 という判決が下されてしまう
 つまり、特許はもともとなかったと言われたのも同じだった
 
 彼はその6年後、脳卒中に倒れ、失意のうちに亡くなる。享年48歳。

 ジャーナリストさんによると
 「結局モートンが残したものは、
  医者は金持ちになれ、という掛け声だけだった。
  彼は医学界に呪いをかけたのです」
 
 医学史の専門家によると
 「麻酔法の発見は、医学界もビジネス化していく始まりとなった、
  医療は人助け以上に、利益追求に使われることになった」
 
 モートンは、麻酔法という偉大な発明以上に 
 金儲けという負の遺産を医学界に残してしまった、ということだそうです

〇スタジオでの解説
 武内アナ
 「二人とも非業の死を遂げました、こんな最期になるとは…」
 菊地氏は
 「モートンは金儲け、ウェルズは名誉を求めた。
  二人とも医学界に何らかのバックグラウンドがあれば
  それなりのことをやれたはずなんですけどね…」
 それだけ、当時は一介の開業医師というのは学者に比べて、地位が低かったのかな。

 谷口氏も
 「今同じことが起きたら、二人がタッグを組んで、
  もっといい方法を広めて共同受賞、ということになっていたかもしれない。
  当時はそうなっていなくて、俺が俺が、となってしまった」
 と、社会が成熟していない状況を原因にあげていました
 
 武内アナ
 「モートンは、特許が認められないなら褒賞をください、と」
 菊地氏は
 「ジェンナーは、特許は取らなかったんですけど、
  素晴らしい発明をしたということで政府から報奨金をもらっているんですね。
  モートンはそれを知って、自分もそれに値する、もらうのが当然だと考えたのかもしれない」
 谷口氏
 「そもそも、国が特許を認めておいて、
  後で違うというのは一番おかしいんですけどね。
  モートンはその被害者だったんですね」

 武内アナ
 「ウェルズとモートン、どっちが功労者だと思いますか」
 菊地氏は
 「私はウェルズだと思いますね、ウェルズが考案したから
  モートンはほかにないか、と考えたんですから」
 谷口氏は
 「僕はそもそも論になっちゃうけど、
  誰が最初かはどうでもよくて、
  サイエンスとしてはウェルズが最初だけど、
  麻酔とし手の効果をもたらしたのはモートンだと思います」
 と両氏を評価していました

〇モートンが残した呪い「特許」
 医療は今や巨大ビジネスになっている
 アメリカでは、新薬や医療機器は、開発した会社が値段を決めている
 特許を持っていれば企業も強気に値段設定をして、
 これが医療費の高騰につながる

 医学史の専門家は
 「特許が薬の値を上げているのは明らかで
  これが世界で薬の買えない人が多くいる原因になっている。
  製薬会社は重要な薬を開発しても、
  患者がそれを使うことができない。
  あるいは、保険会社や政府が莫大な支払いをしないといけない状況になっている」
 と、特許の負の面を指摘していました
 
 日本ではこの特許にからむ高額医療が問題になったことがあるそうです。
 2016年、がん治療薬のオプジーボが発売された
 これは免疫機能を高めてガンを退治する画期的な薬で、
 外科手術や放射線治療にとってかわる治療として注目されている

 しかし会社はこの薬の特許を取得したので
 この薬は非常に額が高い
 最初に国が認めた価格は、100㎎あたり173万、
 1年に3500万円かかる計算だそうです

 現在の医療保険制度により、患者の自己負担は年間200万円までで、
 それ以上は健康医療保険組合や国が負担することになるが
 このままだと国の財政が破たんする、、ということで
 政府は価格を見直すよう審議会に提案したそうです
 今年減額が認められ、半額になったそうです
 
 しかし医療が高度化し、開発費もかかっている
 企業が開発費の回収ができないと、
 次の医療が生まれない、という問題もあるそうです

〇スタジオでの解説
 武内アナはオプジーボの値段を聞いて
 「がんの治療薬高くないですか?」と驚いていました。
 菊地氏は
 「今年半額になりましたね」
 谷口氏は
 「薬などを開発するとき、多くは失敗する
  実際に使える薬になるのはごく一部なので、
  失敗分のコストをどうしても成功した分で補わないといけなくなる」
 と話していました
 
 しかし菊地氏は
 「例えば手術支援ロボットは3億円するなど、医療機関には負担が大きい。
  この機械はあと2,3年で特許が切れるので、
  同じようなもので、もっと優れた機能を持つものを今開発中です。
  それだと2000~3000万円で開発できる」
 特許があるために値段が10倍になる事実を指摘していました
 武内アナ
 「それだけ高いんですね…」
 
 それでも谷口氏は
 「特許があると薬が高くなる、というのは分かるんですが、
  特許というのは期間が限定されている」
 と話していました
 特許を取るまでにも、開発に十年、治験に数年、特許が下りるまでさらに数年…
 実際に売られるまで時間がかかるので、その間のコストを回収しないといけない。
 特許が無くなったら薬や機器が出てこなくなるかもしれない、とのことです。
 武内アナ
 「そういう事情もあるんですね…」
 菊地氏は
 「お金なしでは生きていけない、怖い時代ですね」

 武内アナは
 「聴診器1つで、という時代が懐かしいですね」とも言っていましたけど
 谷口氏は
 「赤ひげの医者とかは、日本人が好きな理想像ですけど、
  現実にはそれだけで成り立つ状態にはもうなっていないんですね」
 もはや後戻りはできないようです。

 菊地氏
 「昔は感染症で死ぬのは当たり前だったけど今はそうではない、
  そのうち何であの人ガンで死んだんだろう、
  って言う時代が来るかもしれない」
 という医療の進歩の速さを話しつつ
 
 「特許はある程度必要だけど、
  でも行き過ぎるとお金儲けの道具になってしまう
  そこは研究者や企業がモラルとして持っておくべき」
 と話していました
 谷口氏は
 「そこは社会が監視していかねばならないんでしょうね。
  一人一人が監視できるよう、社会が成熟していかねばならない」
 治療法、機械などの開発にお金がかかるのは分かるが、
 必要経費を回収するだけにすべきで、
 金儲けの道具にしてはいけない、ということなんでしょうね。

〇結局、名誉は誰のものでもなく…
 最後は吉川さんのナレーションです
 ウェルズとモートン、
 痛みを取り除くはずの麻酔が、二人にとっては苦悩のもととなった。
 二人がこだわり続けた発明の名誉とは一体何だったのか…
 
 ボストンのパブリックガーデンには、
 麻酔法誕生をたたえる石碑があるそうです
 これはウェルズが亡くなった年に建設の話が出たそうです
 そのとき、建立の計画を聞きつけたモートンは、
 自分の名前を刻むよう主張したらしい

 結局、碑文には
 「吸入麻酔法により、人類の苦悩を取り除いたことの感謝の碑」
 とだけ刻まれたのだそうです。

 「個人の名は、そこにはない」
 と吉川さんは締めくくっていました。。

〇感想など
この番組を見ていると、金と名誉が結局科学者の身を亡ぼすのね…
と思ってしまいます。
でもそういうので身を滅ぼした人たちって、
差別があったり、生まれや身分だけで評価されたりしていた時代の人たちが多い。
成熟していない社会だからこそ歪んじゃった、かわいそうな人たちなんかな~とも思います。

そういう意味では、ノーベル賞など、
功績を、身分に関係なくたたえる賞がたくさんできている現代は
いい時代だなと思います。

それにしても、医療費が高いのは当たり前に感じていたけど
特許の存在だというのを改めて知りました。
でも報酬や競争があるからこそ、科学者も頑張れる。
そうして開発が進む一面もあるので
一概に悪いとも言えず、難しい問題だなと思います。

その辺はやっぱり国とか世論が
「ちょっとやりすぎじゃないですか」
「貧しい国の人たちには寄付してもらえませんか」
と企業に言って話し合う必要があるのかな~…

使う人の収入別に値段を変えるとか
ある程度補助を出すとかいうことも必要になってくるのかもしれません。

(まあ個人的には、できればそんな高い薬とか治療には
 お世話になりたくはないけど…)
 
なんにしてもお金、の時代だろうけど
そもそもは困っている人たちを助けるための研究なんだ、という精神だけは
医学、科学の世界にはいつまでも残ってほしいなと思います。

というわけで今回はこの辺で。

posted by Amago at 10:31| Comment(0) | テレビ(科学) | 更新情報をチェックする

2017年12月03日

Eテレ「人間ってナンだ?超AI入門「第9回暮らす」」

Eテレ「人間ってナンだ?超AI入門「第9回暮らす」」

AIについて感覚的に理解するための番組、今回は主にIoTの話でした。
進行はチュートリアルの徳井さんと東大の松尾豊氏。

○今回のゲスト
 今回のゲストは建築家兼デザイナーの佐藤オオキさんでした。

 徳井さん
 「AIのイメージは何ですか」
 佐藤さん
 「正直、あんまり詳しくないので…」
 徳井さん
 「今の仕事からは遠いんですか?」
 佐藤さん
 「デザイナーっていうとかっこよく美しく見せるものと思われがちなんですが、
  新しい技術と人をくっつける接着剤みたいな役割をするんです。
  そういう意味ではAIは面白いテーマではあります」
 徳井さん
 「AIが作るものを、建築に取り入れたりすることになるんですかね」
 佐藤さん
 「AIのような新しい技術の使い方が、いかに直感的に分かるかもポイントかもしれないですね」
 建築デザイナーって、もっと自由に創造的にやっているのかと思っていましたが
 技術あってのものなんですね。

○暮らしに密着するIoT
 徳井さん
 「先生、暮らしに密着したAIとは何ですか」
 松尾氏
 「徳井さん、IoTってご存じですか」
 徳井さん
 「…?オリンピック委員会?(笑)
  分かんないですね」
 松尾氏
 「IoTは、Internet of Things、モノのインターネットなんです。
  でもthingってモノだけじゃなくてコトも意味するので、
  世の中のありとあらゆるものを、インターネットとつなげるイメージですね」

 IoTはこれからの技術革新のカギになるそうで
 GoogleのCEOサンダー・ピチャイ氏も
 「コンピューターはこれからモバイルファーストからAIファーストへ、アプローチが進化する」
 「AIファーストの時代では全ての製品を再考し、
  機械学習とAIを適用してユーザーの問題を解決するようになる」
 と発言している

 スマホやパソコンだけでなく、あらゆる家電などがインターネットでつながり、
 AIが制御する時代が来る、とのことです

○スマートフットウェア
 ここで登場したのは大きめのスニーカーのような靴を履いた方でした。
 ロン毛で八の字髭、顎髭、Tシャツにジーンズと、
 何となく自由人、シリコンバレー的な雰囲気の方ですね。
 (でもチャラいわけじゃなくて真面目そうな方でした。私の個人的な印象ですが(笑))

 彼はスマートフットウェアを開発する菊川さんでした
 「この靴は、実はスマホなどの他のアプリとつながることができるんです」
 徳井さん
 「有線じゃないってことは電波飛ばしてるんですか」
 菊川さん
 「そうですね」

 そして菊川さんはかかとをたてて、爪先をトントントンと3回叩く
 「これでスマホにつながります」
 徳井さん
 「爪先3回で起動するんですね」
 菊川さん
 「正確にいうと、足の踏み込みを感知しているんです」
 「加速度センサー?」
 「そうですね」

 そのあと、スマホのアプリで
 「レインボー」
 を選択すると、靴がレインボーカラーに。
 徳井さん
 「良いですね、お洒落~」

 次に
 「ウォーター」
 を選択すると、
 靴は動く青色になるんですが
 さらにこのまま歩くと靴底がキュッキュッと雨の中を歩くような音になる

 徳井さん
 「次世代のタップダンス?」(笑)
 菊川さん
 「角度をとってるんで、足のつきかたにより音も変わるんですよ」
 たしかに、つき方によってはシャランというのかチャンチャンというのか、シンセサイザー的な音もしました。

 次は徳井さんも履いてみます。パソコンにつなげていました。
 すると、足の動きがリアルタイムでCGで再現され、画面上で見られる
 グラフが横に8つくらいあり、動きに合わせて変化していました
 「360度反応します」

 徳井さんは
 「アーティストさん使いそう」
 菊川さん
 「テクノロジーとアートを融合させる方なんかには、既に使っていただいています」

 菊川さんは
 「他にも、靴の動きを他のソフトに送信することもできるので
  色んなアプリで分析すれば、スポーツやリハビリなんかにも応用できる」
 使いようによっては面白そうです。

 松尾氏は
 「センサーは、加速度センサー以外は何があるんですか」
 菊川さん
 「加速度センサー、角速度センサー、コンパス…」

 徳井さん
 「コンパス?」
 菊川さん
 「例えばどこかに行きたいときそちらが光るようになっていて、
  光った方に歩けば行けるようになっています」
 徳井さん
 「スゴい、歩く地図ですね」(笑)

 すると佐藤さんは
 「僕ヨーロッパによく行くんですけど、ヨーロッパって犬のうんち多いんですよね、
  うんちを検知してくれないかな」(笑)
 徳井さん
 「勝手によけてくれるとか、踏む瞬間にバイブでブブッ知らせてくれるとか?」
 松尾氏
 「みんながその靴を履いたら、
  あ、みんな避けた、だからここにうんちがある、
  と分かるかもしれないですね」
 佐藤さん
 「なるほど~」
 いいねえ。そういう一見バカバカしい使い方、私好きですねぇ(笑)

○IoTはあらゆるところをセンサーにする
 松尾氏
 「こういうIoT技術を使うと、あらゆる場所にセンサーが存在することになるんですが、
  どう使ったら面白いと思いますか」
 徳井さん
 「うーん、よくわからんけど、
  家の床とスリッパが連動して、リビングに入ると赤くなって分かるとか…」
 佐藤さん
 「お年寄りにはいいかもしれないですね、
  倒れていたりしてもスリッパで検知できそう」
 徳井さん
 「目の見えない人にもここが大丈夫とか分かるかもしれないですね」

 すると佐藤さんは
 「デザインてのは、目の見えないものをいかに見える化するか、なんですよね。
  学校で生徒さんに教えるときも
  コツコツという音をどんな形や色にしますか、とか最初に聞くんですね。
  香りや音をいかに視覚化するかとか…
  五感を置き換えることもデザインです」

 松尾氏
 「共感覚、
  視覚と聴覚とか、別の感覚が関連をもって呼び起こされる時がありますが
  デザインも五感を意識してやられるんですか」
 佐藤さん
 「目に見えない部分、例えば赤を見たことがない人にどう伝えるか。
  難しいんですけどそこがアートとデザインの違いなんですよね。ゴールがある。
  分かりやすくどう伝えるか…翻訳に近いですね」
 それから
 「あとは、感覚を集めすぎるリスクというのもあるので
  情報をいかに遮断するかというのもある」

 松尾氏は
 「そのへんは、どうやって感覚を磨くんですか」
 佐藤さんは
 「基本的には、何もしない」(笑)
 徳井さん
 「プレーンな状態にする?」
 佐藤さん
 「人間はアップダウンがあるので、そのままデザインすると影響しちゃうんですね、
  だからある意味AIやロボットに憧れますね(笑)」
 佐藤さんは
 「普段から何もしない、部屋にも何もおかない、
  靴下、パンツ、シャツも同じ、食べるものも同じ…
  脳のスペックを変なとこに使わない」
  という生活を五年くらい続けているそうです
 「でも効果あるか分かんないですけどね」

 IoTで生活を豊かにする技術はどこまで進んでいるのか?
 住宅メーカーの話によると
 空間の温度や室温、空気の汚れ具合(二酸化炭素や埃の量など)を検知して、
 快適性や防犯性が最大になるように
 空調や証明を自動的にコントロールするのだそうです

 移住する人の生活パターンの情報も蓄積して
 住む人の思考に合わせて快適にする。

 脳のスペックを、無駄な所に使わないようにしてくれる?
 センサーが人間の五感がわりになってくれるなら、
 人間の感覚が怠けてしまいそうな気もするけど…

○端末での情報処理とサーバ上の情報処理
 徳井さん
 「IoTの可能性はどんなものがありますか」
 松尾氏
 「例えば一番簡単な例は、電気ポット」
 お年寄りが毎日使っているかで
 元気かどうかが離れて住む子供たちにも分かる製品があるそうです

 「ほかは、例えばエアコンがネットに繋がっていて、
  外出先で消し忘れたと気づいたときに消せるとか」
 徳井さんは
 「車の回でも、車とインターネットをつなげる技術…というのがありましたね」

 松尾氏
 「この仕組みを解説します」

 IoTでは、
 センサー付きの端末などがインターネットを介してスマホなどにつながる
 このとき、センサーで集めた情報が、インターネットを経由してスマホに流れることもあるし、
 スマホの指令がインターネットを経由してデバイスにいく場合もある

 このとき、情報は
 ・クラウドコンピューティング
 ・エッジコンピューティング
 の2種類の処理のされ方があって、

 前者は情報がインターネットの中まで行って、サーバ上で処理されて戻ってくる
 後者は例えばロボットの中だけとか、
 工場の中だけとか、端末内での処理で終わる

 前者の場合、情報量も多いし処理も複雑なため、
 より精密な結果が出せる利点があるが
 通信に物理的な距離があるので時間がかかる
 (難しいデータの処理などはこちらが適する)

 一方後者は、処理できる情報が限られるので、
 精密さには欠けるが素早い反応ができる
 (エアコンの調整などはこちらが向く)

 現在ではAI技術が進んだため、センサーで集めたデータ
 (例えば毎日の生活のパターンなど)
 をサーバ上に蓄積して、
 サーバ上でAIに学習させたものをエッジに戻す、
 というやり方が一般的になりつつあるそうです

 徳井さん
 「そうすると、便利なだけじゃなくて、色々なデータを効率的に利用できるんですね」
 松尾氏
 「色んな情報を使えるので、
  どんな情報をどこでどう処理するかを、上手にデザインしないといけないんですね」

○デザインがどんどん無くなっていく
 徳井さん
 「建築のデザインは、IoTの技術を取り入れると変わってきますか」
 佐藤さん
 「最近は離れたサーバで処理するようになっているので変わりますね。
  例えば電池も非接触型充電器が出てコンパクトになっていますね、
  そうするとどんどんものがなくなって、壁がツルツルスベスベになっている…」
 徳井さん
 「それは自由度が増すんですかね」
 佐藤さん
 「逆にシンプルになりすぎるとデザインできる要素がどんどん無くなっていく…
  今スマホも画面だけになってますよね」

 松尾氏
 「そうなるとこれから家の中の建築はどうなると思いますか」
 佐藤さん
 「全ては壁のなか、床のなかに消えてしまうんじゃないですかね…
  音楽でも、蓄音機、テープ、CDと、どんどん小型化してきてますよね。
  今はMP3の中とか、かなりコンパクト、液晶もなくなって耳に付けるだけになっている。
  そのうち鼓膜に埋め込むようになるのかなぁ…
  形が無くなるから、デザインもどうしたらいいか分からなくなりますね」

 松尾氏
 「2000年代にユビキタス、
  (いつでも誰でもどこでもコンピューターが使える、という概念)
  がありましたけど、これが今そうなんでしょうね。
  概念としては古くからあったんですね」
 徳井さん
 「ああユビキタスって一時期よう言うてましたね~。
  あれはいつ来るんやろう来るんやろうと待ってたんですよ(笑)
  もう来てたんですね」
 松尾氏
 「ユビキタスという言葉は今は使われないですが、IoTという言葉に代わっているんですね」

 佐藤さんは
 「でもこれって世代的な部分もあるのかもしれないですね、
  生まれたときからタブレットに触れている世代だと、
  液晶見ても拡大操作をしたりする」

 これからは家電もどんどん埋め込まれていくのが当たり前の時代になるのか、という話でした

○画像センサーで集めた情報はどんな目的にも使える
 松尾氏
 「この番組ではディープラーニングをやって来たんですが
  ディープラーニングは主に画像や映像のものなんです。
  これとIoTとどんな関係があると思いますか」
 佐藤さん
 「IoTは情報を集める道具で、
  考える機能、脳みたいな役割がAIですかね」

 松尾氏は、
 「画像はイメージセンサーなんですけど、
  イメージセンサーはほかのセンサーと違うんです」

  画像を集めるセンサーは他のセンサーとは違うんだ、
  ということらしいのですが
  二人とも「??」

 松尾氏
 「普通のセンサーは目的があるんです、
  温度センサーは温度を測る、
  角度センサーは角度を測る…
  しかしイメージセンサーは目的がない」
 徳井さん
 「…?
  画像をとる目的があるんじゃないですか?」

  しかし松尾氏は
  「画像をとるのは目的じゃないんです」

 二人とも
 「???」
 徳井さん
 「先生、今日は我々を困らせてうれしそうですね」(笑)

 松尾氏は
 イメージセンサーでも加速度や温度は分かる、と話していました
 画像を見れば、動きで加速しているか分かるし
 暑そうな様子か汗かいてるかなどで暑いか寒いか分かる

 松尾氏
 「要するに
  普通のセンサーには特定の目的があるが、
  画像データは汎用性があるんですね」
 
 徳井さん
 「画像センサーは目と脳に近いということですかね」
 松尾氏
 「目の重要な働きはそこにあるんです、
  目的に応じてデータの処理を変えればどんなことにも使えるんですね」

 そして
 「他のセンサーだと、目的が変わるとセンサーも変えなきゃいけない。
  イメージセンサーはそれはないので便利なんですけど、
  扱いが難しいので今まで活用できなかった」
 そして
 「だからイメージセンサーが使えるようになれば、
  今までのセンサーよりも可能性が広がるんですね。
  今まで活用できていなかったデータが活用できるようになった」

 ディープラーニングとIoTとの関係で言えば、
 ディープラーニングにより画像データを処理できるようになってきたので、
 IoTで取ってくる画像データを今まで以上に活用できるようになってきた、ということらしい

○自動車の景色もセンサーから作ることができる
 最近では、イメージセンサーをAIや他のセンサーと組み合わせて進歩を加速させているそうです

 半導体メーカーの技術マーケティング部門のショーン・ウィークス氏が、
 自動車のシミュレーターの画像について
 「この映像はGPSによる位置情報を含んだセンサーデータがまとめられていて、
  それを利用してCG画像を作っている。

  車の周りには広角カメラがあるだけだが、
  AIはそれを使って、周りの世界を3D画像で表している。
  
  LiDAR、というレーダースキャンニングシステムもあって、
  これとカメラのデータを組み合わせて目の前の風景を作っている」
 という話をしていました

 つまり、カメラのような画像データだけではなく
 レーダーという目に見えないものをとらえるデータも活用することで
 よりリアルな風景を再現できるようになった、ということですね。

○センサーとAIの関係
 次に松尾氏は
 「センサーとAIの関係を考えたいと思います」

 センサーは情報を取る役割。
 AIがそれをもとに学習して出力を出す。

 「予測がはっきりしているとき、
  例えばこの人がコーヒーを飲むのか、を予測するときを考えます。
  この場合、先程の靴センサーなどで
  どれくらいこの人がじっとしているか、
  どの部屋にいるか、
  とかの情報を取れば予測できる」

 この場合、何を測定すればいいか対象がはっきり分かるので、
 画像でないセンサーでも情報を集められる

 しかし測定の対象がぼやっとしてはっきりしないもの、
 例えばこの人は集中しているか、などは
 何の情報を集めればいいか分かりにくいので、
 今までは予測できなかったそうです。

 しかしディープラーニングは
 この人は集中しているかどうかなどを、
 映像データから自動で学習してスコア化してくれるので
 集中しているかどうかも予測対象にできるようになった

 そして、明確な予測対象があるときは目的がはっきりした普通のセンサーを使えばいいが、
 ふわっとした対象のときは色んな情報を集めるイメージセンサーとディープラーニングが役に立つ、
 とのことです

 「これは実は重要で、
  勉強しているときに集中できるかは重要なんだけど
  今までは分からなかったんですね」

 しかし今はディープラーニングは、集中している状態をスコアリングしてくれるので
 集中力を高めるには照明や温度をどう変えればいいかも分かるようになった、とのことです

 現在では農業分野でも応用されているそうです
 今までは何となく、生産者の勘で栽培条件を調節していたが、
 これは、植物が元気だ、という状態がどんなものかをスコアリング出来なかったからだそうです。
 単純に植物が高くなっていればいいとか、葉がたくさんならいいかと言えばそうでもない
 しかし、ディープラーニングで「この状態なら元気だ」と数値化してくれるので、
 条件をどう変えれば元気になるかも決められる、とのことです

 徳井さん
 「人間の目がイメージセンサーだとしたら、
  目に脳の機能が加わわって色々考えますよね。
  だからコンピューターでもイメージセンサーという目にAIという脳が加われば、
  しかもネットでビッグデータにつながれば
  人間よりもはるかに大きな能力を持つかもしれないんですね」

○五感とは何か
 佐藤さんは、視覚以外の感覚もデータとして加えられるようになったらどうか…
 という質問をしていました

 そこで人間のセンサーである五感の話になりました
 松尾氏
 「五感、というのは、目、耳、口、鼻、あと触覚ですね。
  それぞれ違うんですが、わかりますか」
 佐藤さん
 「上の2つはデジタル処理、
  上の3つはアナログ処理も必要な感じですが」

 松尾氏は
 「かなり正解に近いですね…
  目は光の信号、波なんです。耳は音の波ですね」

 つまりどちらも波の情報である。
 このうち光は指向性が強い、
 つまり方向がはっきりしている。
 一方音は色んな方向に広がるので、音源が分かりにくい
 (例えば転んだとき、転んだ人を見れば細かい状態が分かるが
  音だけだとどんな転び方かとか、誰が転んだとか分からない)
 という違いがあるそうです
 
 一方、嗅覚と味覚はほぼ同じで
 味覚はほとんど嗅覚なのだそうです
 嗅覚が効かないと味は分からないのだそう
 松尾氏
 「この2つは危険なものを関知するためのもので
  言ってみれば化学センサー、物質を検知するかしないかなので、
  ディープラーニングの処理は関係ない」

 それから
 「触覚は、圧力センサーの時系列情報」
 ツルツルしているのは、圧力が一定で変わらない状態
 ザラザラしているのは圧力が変化する状態なのだそう
 「ここにはディープラーニングが効きます」

 このうち5つのなかでは
 波であり、指向性が高い視覚が一番ディープラーニングに向くのだそう

 …なんだかどの感覚もそう言ってしまうと味気なくなるんですが(笑)

 それを聞いていた佐藤さんは
 「目の情報はアイデア、閃きに近いですね」
 と話していました

 アイデアは目的意識を持って探すと思われがちだが、
 そうではなくイメージセンサーみたいに無駄な情報もぼやっと入ってくる方がよくて、
 それらが突然あわさってアイデアが閃くことがある…という話をしていました

 松尾氏は
 「視覚は色んな所に使える、そのぶん視覚は情報処理は難しいんですけど、
  汎用性は高いんですね」
 徳井さん
 「そうなると、これからはイメージセンサーで得たデータに
  色んなことをさせて進化させていくんですね」

○2分でディープラーニング
 第9回の今回は「未来は過去から見えてくる」
 これは第7回、8回で出ていたRNNの話かなと思いました
 ビジュアル的に示してくれてたので分かりやすかったです。

 画像のディープラーニングでは、隣り合う画素どうしをまとめて特徴を抽出していくが
 会話や映像は、時間の流れで見る方がより正確に学習できる。

 例えば文章では、「わたしは」「野球が」「好きです」など、
 文節の組み合わせや順序が変わると意味が変わる
 このため、最後のことしか覚えていないとちぐはぐになる
 文章や映像は時系列情報があって初めて全体の意味をなす

 そこで、前の判定を採用する
 (「好きです」の判定の前に「野球が」の判定を採用する、など)ために
 中間層のニューロンを入力層に遡ってつなげる
 判定を繰り返し持ち越すことで正確な判定ができる、とのことです

 …前の処理の中間層のニューロンを、次の処理の入力層につなげる、ていうのが 
  動画で見ていてわかりやすかったです。

○人間ってナンだ?
 佐藤さんは
 「ちょっぴり不便が好き」
 とボードに書いていました。
 何かが欲しいときにすぐ手に入るのが第1段階、
 第2段階は、欲しいなと思う前にスッと差し出してくれる。
 でもその次の段階は、あえて適度な不便が求められるのかな、という話でした

 「例えばこけないようにしてくれるのが第1段階で、
  こけますよと教えてくれるのが今のAIだとすれば、
  次の段階はこれくらいなら怪我しないから、あえてこけさせとけとか、
  こけさせてあえてハプニングを作る、てのが求められるのかなと。
  ハプニング性とか偶然性が価値を産む時代が来るのかな」

 徳井さん
 「さっきの建築デザインの話でも、
  いったんつるーんとした家になって、
  そのあとは人間の喜びそうなデザインにしようかなと?」
 佐藤さん
 「あえてアナログな触り心地がある方がいい、となるのかなと思うんですよね」
 松尾氏
 「昔の日本の家屋も、ちょっと不便なのがいい、ていうのがありますね」

 佐藤さんは
 「欠点がある方が、ユーザーもプロダクトに愛着がわくんですよね。
  機能美もいいけど、使い勝手悪いけどこれがいいんだよね、
  とうれしそうに言ってるところがある」

 …不便さがいい、とか不完全さがいい、てのも面白いですね。
 人間はあまりにも合理的すぎるのも落ち着かない、てことのかな?
 そういや恋愛の回のゲストの歌人さんも
 「あなたの寝癖が好き(だらしない所があるのが人間らしさ、人間の魅力)」
 と言ってましたね~

 徳井さんは
 「鼻と口だ」と書いていました
 「テーブルは見ても四角でしかないけど
  味は人により好みがある。
  好みは人間的なものなのかな…と」

 松尾氏は
 「味覚や嗅覚は根元的な知覚なんですよね。
  人間は視覚などのセンサーを処理するときも、
  感情や情動につながっているところがあります。
  鼻と口は生きるための処理で、必要なものなんですね。
  一方目は色んな活動をするために発達してきた処理という違いがありますね」
 味覚、嗅覚は経験に左右される、ということなんでしょうか。

 佐藤さん
 「考えれば考えるほど、人間て何なんだ、と思いました」
 徳井さんは
 「実家が建築屋なので、建築デザインの技術についてはこれから期待しています」
 と佐藤さんに話していました

〇感想など
・最近セキュリティ関係の話を聞いていたせいか、
 IoT家電の便利さってどこまで必要なのかなと思ってしまいました。
 そりゃもちろん、ポットで安全確認、ってのは1人暮らしのお年寄りにはいいかなと思うけど
 外出先からエアコン管理、とか
 鏡に映った姿で血圧測定してくれる、とかいう機能は必要かなあ?と…
 (別に今までなくても済んでいたんだし、確認を忘れなければいい、
  スイッチとか血圧測定とか、自分でやればいいんだし)
  
 それよりも、端末が乗っ取られたり失くしたりして、
 家自体を他人にコントロールされる方が怖いな~とか私は思ってしまう。
 それから血圧を測る過程で自分の体おかしいな、と気づく場合もあるし。
 あんまり人間が怠けるのも考え物かな、と…

 なので、どれだけの便利さがあるか、というのと
 もし何かあったとき、どれくらいのリスクがあるのか、というのを
 開発者、売る人たちには示してほしいな~と思います。

 それでも便利さを選ぶ、という人もいるだろうし
 それくらい自分でやるよという人もいるだろうし
 なんでもかんでもIoTではなく、古風なシステムも選べるようにしてほしいなと。

 (まあ、この番組は技術の紹介なので
  実際運用するときの問題とかはややこしいから出さないんだろうけど…)

・イメージセンサーについても、汎用性が高いのは便利なんですけど
 その分怖いなとも思いました。
 知らぬ間に撮られている画像が
 思いもよらない目的で使われているかもしれない、ということですよね。
 特に有名人とか著名な人になったら、
 顔とか出ることが多いから分析もされやすそう…
 使い方が選べるとか、使われていることを知る権利とかが尊重されてほしいと思う。
 
・ただ、イメージセンサーという目+ディープラーニングという脳+ビッグデータというライブラリ、
 が加わることで、いろんな判断を人間以上に効率的にできるようになる、
 そうすると人類にとって大きな武器になるかも…とは思います。
 
 でもディープラーニングも、入れるデータ(人間でいう経験)とか
 学習の仕方とかで
 人間みたいに個性が出てくるんだろうか…
 人間も人生によっては、悪人になったりすごい天才になったりしますよね。。

 以前中村文則さんの「R帝国」という近未来小説を読んだことがあるんですが
 その世界では、みんなが一人ずつスマホみたいなヒューマンフォン、という人工知能を持ち、
 そのヒューマンフォンと会話したり相談したりする…
 という設定でした。
 もしかして将来的にも、
 みんなが自分の第二の脳みたいな存在、
 相談できるヒューマンフォンみたいなのを持つようになるのかな~、とも思いました
 (ただし、中村さんの小説はそのAIが嫉妬して裏切ったり暴走したり、という場面もあり
  結構悲観的な内容なんですけどね…)

・人間の五感についての分析は興味深かったです。
 視覚、聴覚は光信号なのか~
 触角は圧力の時系列信号なのか~
 嗅覚や味は物質の有無なのか~
 (そう言っている松尾先生がAIに見えてしまいました(笑))

 でも、おいしいとか面白い、ってそれだけでは割り切れない気がする。
 思い出や感情と絡むと味も変わるし、
 情動や本能が絡むから人間の人生には楽しみとか味わいが増えるんだろうか、と思います。

・最後の佐藤さんの「あえて不便を選ぶ時代が来るかも」
 という分析は面白いと思いました。
 たしかにあんまり合理的すぎるのも味気ないし、全部機械にやってもらうのもなんか面白くない。
 不合理、不完全なのを好む人間の性質は、
 もしかしていつになってもAIくんには理解されないかもしれないですね~
 
本当に人間って面白いな~と思います。
また来週楽しませていただきます。

というわけで今回はこの辺で。

2017年12月01日

Eテレオイコノミア「足りない!どうする?欠乏の経済学」

Eテレオイコノミア「足りない!どうする?欠乏の経済学」

今回は欠乏の経済学。
講師は慶應義塾大学の中室牧子先生、
ゲストはフットボールアワーの岩尾さんでした

○街頭インタビュー「あなたの足りないものは何ですか?」
 冒頭では、
 「あなたの足りないものはなんですか?」という街頭インタビューがありました。

 「お金」
 という答えもありつつ
 一番多いのは 「時間」だったそうです
 「バイトしたいけど、勉強もしないといけないし、遊びたいし…」という学生さん、
 「就活の準備をしたいけど時間が足りない」という男性など。

 「足りないとどうなりますか?」
 「焦って余裕が無くなる、パニックになる」

 他には愛情、恋人、友人、ゆとり…などの答えもあったそうです

○欠乏の科学
 先生はまず
 「お二人とも、足りないものはありますか」

 岩尾さん
 「この二人だと覇気?(笑)
  綾部とか後藤みたいなのがほしい」
 とボケつつ(笑)
 「足りないものっていったら足りないものだらけですねぇ…
  髪の毛の量も足りてないし(笑)
  こんな顔だからルックスも足りてない」

 又吉さんは
 「色々ありますけど、時間ですかね」

 先生
 「欠乏は英語でいうとscarcity 、稀少性とも言います。
  経済学は、元々は限られた資源をどう配分すれば人々が幸せになれるか、
  を考える科学なので、
  欠乏の科学は元祖経済学でもあります」

 そして、従来の経済学では、モノやお金の物的資源の配分を考えてきたが
 最近では心的資源の配分も注目されているそうです

 その研究を行ったのが
 ハーバード大学のセンディル・ムッライナターン氏と
 プリンストン大学のエルダー・シャフィール氏
 (「いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学」という著書も出しておられます
  …私は読んだことないけど。)

〇欠乏感が起こす「集中力のボーナス」
 心的欠乏の研究によれば、
 人は欠乏すると、ある共通する心の状態(マインドセット)になるそうです

 先生
 「例えば岩尾さん、欠乏している、と感じるとどうなりますか」
 岩尾さん
 「髪の毛の欠乏…(笑)外に出たくないですねぇ。
  もっとシュッとした顔にならないかなぁ、とか…」
 先生
 「又吉さん、締切まであと1時間のときどんな気分になりますか」
 又吉さん
 「もうそれしか考えられないですね」

 先生
 「おっしゃる通りで、
  人は欠乏している、と感じると
  欠乏しているものに関心が向けられてしまい、
  それで頭がいっぱいになってしまう」
 「しかしこれは悪いことばかりではないんです、
  それを実感していただくために簡単な実験をします」

 実験は簡単な玉入れゲームでした。
  ・5メートル先のザル(浅いもの)に玉入れの玉を入れる
  ・ザルに入ったら10点、近くなら5点、少し離れたら3点。
  ・オーバーしたりあまりにも距離が足りないと0点。

 最初は岩尾さんに3個、又吉さんに10個の玉を渡しています
 岩尾さん
 「MC優遇みたいで嫌やな」(笑)

 しかしともかく実験を行います。
  又吉さんは1回だけ0点、残りは5点で合計45点。
  岩尾さんは一回だけ0点、残りは5点で合計10点。

 次に、又吉さん3個、岩尾さん10個渡して同じゲームをします。
  すると岩尾さんは3回5点で合計15点、
  又吉さんは5点1回、なんと10点も1回。

 次に、1玉あたりの平均点を出すと
 又吉さんは1回目(10玉)4.5点、2回目(3玉)5点
 岩尾さんは1回目(3玉)3.3点、2回目(10玉)1.5点。

 つまりどちらも、10回投げるよりも、3回だけ投げる方が点が高い
 又吉さん
 「たしかに3回だけだと、3回しかチャンスがないから集中しましたね」

 先のムッライナターン氏らの実験でも同様の結果で、
 持ち玉の数が少ないグループの方が、
 高得点となり集中力もアップしたそうです

 先生
 「テストの前とか締切前など、そんなことありませんか?」
 岩尾さん
 「たしかにいくら時間かけてもいいから最高のネタ作れと言われても作れない、
  この日まで、て言ってくれた方がいい」

 このように、締め切り前のラストスパートで素晴らしい結果が出ることを
 「集中力ボーナス」というそうです
 火事場のクソ力、みたいなもんですかね。

〇トンネリングとジャグリング
 しかし、集中力ボーナスは負の面もあるそうで
 「脳の処理能力に負荷をかけることにもなるんです」
 このため、正常に判断できず、間違いを起こしてしまう

 「これをトンネリング、と言います」
 トンネリング、とは
 何かに集中しすぎることで、他のことに注意を向けられなくなること
 トンネルに入る前は外の景色も見えるが、
 入ると出口以外は見えなくなることから来ているようです

 又吉さん
 「原稿とかの締め切り前は、たしかに他のことがおろそかになりますね…
  友達の誘いも断るし、好きな人もできない」
 つまり、ほかの締め切り、緊急でない約束を後回しにしてしまう。

 しかし岩尾さんは
 「あんまりそういうことはないですねぇ」
  デートしていても、はたからみたらどうなんだろうとか気にして、
  相手に夢中になるとかはないらしい
 「岩尾さんしか見えない、とかなりたいですねぇ」(笑)

 岩尾さんはそうかもしれないんですが、
 先生によると、トンネリングが行き過ぎると
 「ジャグリング」
 になってしまうのだそう

 ジャグリング、とは、たくさんの球を次々に投げて
 次々に素早く受けて、また次々投げる…というパフォーマンス。

 我々は色んな締切を抱えているとき
 トンネリングに陥って、目の前の締切だけに追われていたら、
 気づけば別の次の締切がもう目の前だった…ということになる
 そうなると目の前の締切をこなすだけになってしまい
 計画的に物事を進められない

 これをジャグリング、と表現しているのだそうです

 又吉さん
 「そうですね、1ヶ月とか時間かけてやるべきものが、
  数日でさっとやらざるを得なくなっちゃったり…」

〇トンネリングに陥らないコツ
 しかし岩尾さんは
 「そこまではないですねぇ、あれもこれも、とかはない」
 又吉さん
 「ライブの前とかテンパったりしないんですか?」
 岩尾さん
 「集中はしてても、トイプードルが来たら、わぁかわいい、てなっちゃう」
 岩尾さんには愛犬のトイプードル「つくし」くんがいるそうです(笑)

 しかし先生によると、
 これがトンネリングから抜け出すヒントになるかもしれない、とのこと

 「マシュマロテスト、という有名なテストがあるんですけど…」
  マシュマロテストとは、
  4歳くらいの子の目の前にマシュマロ1個を置いて
  「15分食べずに我慢できたらもう1個あげるよ」
  と言って実験者が出ていく
  一人取り残された子供が15分我慢できるかを見るテスト
  (心理学では有名なテストで、
   これが我慢できる子は生涯にわたって社会的に成功する人が多い、
   とかいう結果だったと思います)

 「このマシュマロテストでは1/3の子供が我慢できたんですが、
  その子達は待っている間、マシュマロのこと以外を考えていたんですね」

 つまりトンネリングにはまりそうになったら
 それ以外のことに注意を向けるといいかもしれないそうです
 「岩尾さんも、わんちゃんに気をとられていたから、
  トンネリングを起こさないで済んでいたのかもしれないですね」

〇欠乏、トンネリング、ジャグリングの悪循環
 先生がここまでをまとめると
 欠乏している、と感じる
 →集中ボーナスがもたらされる
 →しかし処理能力が低下する
 →トンネリングに陥る
 →ジャグリングになる
 →さらに欠乏して慌てる…

 という悪循環になるらしい

 又吉さん
 「なるほど、たまには集中する状況を作ってもいいけど、
  これが続くと良くないんですね」

 先生によれば、
 お金の欠乏についても同じで
 お金がない人が何かの支払い期限があって、
 トンネリングになってサラ金に手を出すと
 当座はしのげるが、気が付くと次の返済期限が来てジャグリングになってしまう

 岩尾さん
 「2回目3回目のループに入っちゃうこともあるんですか」
 先生
 「そうですね」
 借金が火だるま式に膨らむ…というのは怖いですね~

 「又吉さん、時間が足りない、と言っていましたけどどうですか」
 又吉さん
 「時間についてはこうなってますね。
  よくよく考えれば断れば良かっただけなのに、
  3ヶ月ならいけるかと思って受けてしまって出来なくなって。

  そうすると今度は周りに腹が立ってくる(笑)
  何でこんなことさせんねん、できるわけなけないやん、て。

  でもそれって処理能力が低下してるんですよね、
  もとから断れば良かった、自分が受けたんでしょ、てことなのに…」

 岩尾さん
 「じゃあ、これ(オイコノミア)もう降りる?」(笑)
 又吉さん
 「いや、締め切りだけの話ですよ」(笑)
 又吉さん、オイコノミアはやめないでね。

○貧困問題も、欠乏の悪循環
 先生によれば、欠乏の悪循環は誰にでも起こりうるそうです
 中でも貧困、お金の欠乏は大きな社会問題の1つ。
 そして、中室先生はフィリピンの貧困世帯について、2年間研究されてきたそうです

 舞台はマニラから北東20キロのケソン市というところ。
 ここのパヤタス地区にはごみ集積所がある

 ここでは、資源ごみを拾ってリサイクル業者に売り、生計を立てる人たち
 (スカベンジャー)
 が多く住み着いているそうです
 これは貧困世帯の人たちが多い

 しかし彼らの家はバラック小屋のようなもので
 2000年には崩落事故が起き、300人以上が犠牲になったそうです
 安全もだけど、衛星状態も悪そう…

 さらにここには小さい子供も住んでいて、
 彼らもスカベンジャーとして働かされており、
 学校にも行けず、貧困の連鎖が続いている

 この地域を支援してきたNPO組織が
 (調べたら、ソルト・パヤタスという組織だそうです
  http://www.saltpayatas.com/aboutorg/aboutpayatas
  寄付や現地体験ツアーなども企画されているようです)
 中室先生や東大の澤田教授らに依頼し、
 この地域の子供たちの教育を支援したり、
 親の意識改革を促したりする共同プロジェクトを行ってきたそうです

 「なぜここにごみの埋め立てがされているんですか」
 先生
 「ごみの焼却にはお金がかかるので、
  発展途上国では埋め立て処理をするところが多いんですね」
 このため、埋め立てごみから売れるものを探すスカベンジャーも集まるんだそうですが

 先生によれば
 「2年の調査で、彼らは欠乏のワナに陥っていることが分かった」
 とのことです

 それによると、
 彼らはお金がないため、その日その日を暮らす生活に集中してしまう。

 例えばシャンプーは、
 彼らは1回ずつ小分けしてあるものを買うのだそうです。
 私たちの感覚で言うと、小分けって割高だな…と思うんですけど、
 彼らはボトル1個分を買うお金がないから、
 その日使う分だけを小分けで買ってしまう
 「すると結局、同じ量でもボトルで買うより2倍3倍の値段がかかってしまうんです」

 しかもこの生活が続くと、
 計画的にお金を使う習慣が身に付かず、
 少しでもまとまった収入が入ると
 使い方が分からずに
 お酒とかタバコ、ギャンブルなど
 目の前の欲望を満たすことに使ってしまう

〇欠乏の悪循環は自己責任ではない
 そして先生によれば、支援をするとき問題になるのは
 これが「自己責任だ」
 と言われることなんだそうです

 「彼らは自制心や能力ががないから貧困になるんだ、と言われるんですけど、
  実は因果関係が逆なんじゃないか、と」

 つまり、自制心がないから貧困になるのではなく
 貧困だからその日のものを買うだけ(トンネリング)になり
 計画的に購入計画を立てられない(ジャグリング)
 先々のことを考える習慣がない、将来を考えることを知らないから、自制心が弱るんじゃないか…
 そう考えると、アプローチの仕方が変わってくる、とのことです

 岩尾さん
 「シャンプー10日我慢すれば
  臭いかもしれんけど我慢すればボトルに変えられるよ、
  と誰か教えてあげればいいんですね」
 先生
 「おっしゃる通りで、
  子供たちが教育を受けてお金を貯蓄すれば生活が良くなるよ、
  という情報を提供すること、
  将来の利益を考えてもらうことが大事なんです」

 そこで中室先生たちは
 地区の子供を集めて教育支援すると共に
 親にも長い目で見ればその方が得だ、
  例えば年間の授業料は8000ペソだが、
  学校を出れば年間10000ペソの収入が得られる、など…
 といった情報を提供しているのだそうです

 また、貯金の習慣をつけるために、貯金箱も用意しているのだとか。

〇人間は1回言っただけではすぐ忘れる
 それから
 「情報の提供は1日だけでは効果がないんです。
  すぐにトンネリングに陥って貯金がおろそかになってしまう」
 このため
 「リマインダー」
  忘れそうなことを思い出させる知らせ
 が必要なのだそう

 具体的には、この地区では、週1回の子供たちへのプログラムのときに
 「毎日25ペソためたら1年でお金が9125ペソたまり、学費が賄えますよ」
 ということが書かれたチラシを毎回配っているそうです

 「人間は1度言っただけではすぐ忘れる、
  繰り返しのリマインダーが必要なんですね」
 リマインダーにより貯金が6%上がる、という海外の研究結果もあるそうです

 先生も
 「私のスケジュール管理は秘書さんがしてくださるんですけど、
  秘書さんを雇う前は締切までやらなくていいやとか思っていたけど
  今は秘書さんがリマインダーになってくださるので
  あれ?心入れ換えたんですか?とか言われます(笑)」

○余裕を常に設けておくこと
 冒頭のインタビューでは
 足りないものが
 「余裕」
 と答えていた人もいました。

 そして、トンネリングを起こさないカギになるのも余裕、なんだそうです

 これは英語で
 「スラック(slack)」
 意味としてはロープなどの緩み、たるみ。
 使われていない余裕の資源を刺すのだそうです

 ある研究には
 「欠乏してトンネリング、ジャグリングになっても
  スラックがあれば対処できる」
 という結果があるそうです

 ここで紹介されていたのは、
 アメリカミズーリ州の、セントジョーンズ地域医療センターの事例でした。
 
  この病院では32の手術室があり
  いつも患者でパンパンだったそうです
  そこへ急患が入ると、
  キチキチの予定を組み直さねばならなくなるので大慌て、
  残業やミスもあったそうです

  そこで専門家に改善方法を仰ぐと、解決法は
  「手術室を常に1つ空きにしておくこと」という意外なもの
  急患用に1つは確保しておくように、ということらしい
  
  病院側は、ただでさえキチキチなのに…と、半信半疑でそれを試してみると、
  急患が来ても予定を組み直す必要もなく
  効率が上がり、ミスも減った
  使える部屋を減らしたはずなのに、手術件数も7~11%アップしたのだそうです

 又吉さんは
 「岩尾さんがあんまりワナにはまってなさそうなのは
  スラックがあるんですね」
 岩尾さん
 「うちは裕福じゃなかったんですけど、
  公務員なんでお金にはそんなに困ってなかったですね。
  一人っ子だからお年玉貯金とかしてくれてあって、
  売れないときでも100万とか貯金があったんですよ、
  で、そのうちテレビにも出られるようになったので、
  お金がない状態はあんまりなかったかも…」
 
 気持ちに余裕がある、ということなんですかね。
 又吉さん
 「良いですね、判断能力が低下しない…」
 岩尾さん
 「逆にいうと、この仕事だと冷静すぎておもんないかもしれないですね」

 さらに最近は、つくしくんがいるのでそんなに寂しくもないのだとか。
 「見た目こんなんなんでモテないし、40過ぎて彼女も友達もいないから
  他人からみたら欠乏だらけかもしれないですけど
  犬がいるからそれを埋め合わせてくれますねぇ」

 又吉さん
 「一人っ子だというのもあるんですかねぇ」
 岩尾さん
 「そうですね、食べたいものも一人だったし」

 確かに、同じ状況でも
 「まだこれだけある」と思うか
 「もうこれしかない」と欠乏感でカツカツするか…
 欠乏感って主観的なものだから、それは育ちとか性格にもよるのかも。

〇まとめ
 先生
 「今回は、欠乏のワナは誰にでも起こりうる、
  ということを言いたかったんです」
 又吉さんも、時間に関してはワナにはまっているようでしたね…

 それからフィリピンの貧困の話については
 「どう制度設計して、社会をより良くしていくべきか
  それを考える1つのヒントになればと思って紹介させていただきました」

 又吉さんは
 「岩尾さんの余裕を見習わないといけないですね。
  僕は断ったらあかんと思っちゃうんですよね、
  断って2度と声かからんようになったらどうしよう、とか…」
 岩尾さん
 「僕も断りまくってるわけじゃないですよ…
  そこまで欲されてないんですよね。
  そういう意味では、もっと岩尾、という需要が欠乏しているのかも」
 又吉さん
 「でもその方が、1個1個の仕事の精度は高まりそうですね」

 又吉さん
 「そう聞くと、岩尾さんにはスラックがあって、
  僕のやり方ではないのがよくわかりますね」
 先生
 「又吉さんも1日なにもしない日を置くのも大事なんじゃないですか?」
 又吉さん
 そうですね、そうすれば急なことにも対応できるかも」
 …というやりとりで終わっていました

 又吉さんの経済ポエムが良かったので紹介させていただきます
 「詰まった本棚には 新しい本は入らない」

〇感想など
 トンネリング、ジャグリング、セントジョーンズ医療センターの例などは
 「いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学」
 という本に載っているみたいです。
 (一部だけ閲覧できるサイトに載っていました)
 この本は貧困問題への解決や、企業の無駄と必要コストの見極め、
 などに使えそうなヒントがある本だなと思います。時間があれば読んでみたい。

・今回目からウロコだったのは、貧困層に対する認識でした。
 私もどこかで「貧しい人は努力してないから貧しいんじゃないか」と思っていたような気がする。
 でも実は因果関係が逆で
 「貧乏だから余裕がなくなって、能力が低下していくんじゃないか」
 「教育を受けてないから、効率的なお金の使い方が分からないだけではないか」
 という指摘はなるほどと思いました。

 でも私みたいに、「貧乏人は努力していない、能力がない」
 と思い込んでいる人、世の中には多いんじゃないか、と思います。

 例えば以前見たドキュメンタリーで思い出すのは、
 アメリカだったか、富裕層が
 「我々は努力して今の富を築いた、貧困な人たちは努力していないのに
  なんで我々の税金で助けてやらないといけないんだ」
 みたいな発言をしている人もいたし

 あと、フランスでなぜ極右の移民排斥政党が支持されているのか?を扱った番組では
 もともと、移民や貧しい人への援助活動をしていた人でも、
 移民たちが生活保護費でお酒を買って飲んだくれているのを見て、
 それに失望して極右に走る…
 といった例もありました。

 これらは
 「貧困層を助けてあげても、もともと怠け者だから働かないんだ」
 「貧困層は能力がない、能力がない人を助けたってお金の無駄」
 みたいな差別意識が裏にあるのかなあと思う。

 でも実は、生活保護費でお酒買うしかないのも
 「貯金して、教育などに投資すればもっといい生活ができる」
 ということを知らない、
 あるいはそういうチャンス自体が無いから、なのかもしれない。
 彼らを批判するのではなく、
 彼らが有効にお金を変えるように、制度の方を変えないといけない。
  例えばお金の使い方を教える、お金がたまったら通える学校を作る、ビジネスチャンスを与える、など。
 
・また、貧困層に対するそういう意識は、日本人も例外ではないようです。
 以前「もしマタヨシ国が生まれたら(市場編)」の回で紹介されていた話では
 「「自力で生活できない人を政府が助ける責任はない」との問いに対し、
  日本人は38%がイエスと回答した」
 というアメリカのシンクタンクの結果があるそうです
 つまり貧しい人を国が助ける必要はない、と考える日本人は4割近くもいる。

 これらの意識が起きるのはなぜなのかな…と思ったのですが
 少なくとも日本に関しては、
 昔はみんな同じような教育を受けて、同じような仕事、同じような生活をしていた人が多かったから、
 なのかもしれない。
 だから、同じ教育を受けているのにできない人は、単に怠けてるんじゃないの?
 と思ってしまうのかもしれない。

 でも今は変わってきているのかな、と思います。
 「相対的貧困」の番組や本を見ると分かるけど
 教育にしても、最近は選択肢が増えていて
 お金に余裕があれば、何かのプログラムや教室、特別な塾にも通えるし
 最新の機械とか本も買えるけど
 そんなに所得が高くない家だとそれもできず、
 つまらないテレビを見て時間を過ごすだけになってしまうかもしれない。
 そうなると、将来とか仕事、有効なお金や時間の使い方について考える機会も無くなるのかもしれない。
 
 貧困層に対して
 何でそんなところにお金使っちゃうの?
 使い方間違ってない?
 と批判するのは簡単だけど、その批判をわきによけて
 「彼らは、単に知らないだけなのかもしれない」
 「余裕が無いから考えられてないんだろう」
 と思ってみることが第一歩なのかなと思いました。
 そうすれば、争いとか差別もなくなるし、
 何か対策をとって、貧困層の人たちが能力を活用できれば、社会にとってもハッピーだし。
 
 それにしても、教育とか情報って重要だな~と思います。
 金銭的に援助するのは簡単だけど、
 教育や情報とセットじゃないと単に怠けさせるだけなんですね。
 せめて子供には、生まれには関係なく平等に教育が受けられる世の中になるといいですね。。
 うちの子には「勉強はしといた方がいいよ、どっかで役立つよ」とよく言っています。。

今回は岩尾さんのユルさがなんかいいな~と思いました。
私もトンネリングに入りそうになったら、
つくしくん(岩尾さんじゃなくて(笑))を思い出そうかな。。

というわけで今回はこの辺で。
posted by Amago at 11:41| Comment(0) | テレビ(オイコノミア) | 更新情報をチェックする