2017年11月29日

「サイバー犯罪入門 国もマネーも乗っ取られる衝撃の現実」足立照嘉

「サイバー犯罪入門 国もマネーも乗っ取られる衝撃の現実」足立照嘉

先日、NHKスペシャルで「あなたの家電が狙われている~インターネットの新たな脅威」
という番組をしていました。

内容としては、最近出てきているIoT家電
(ネットと接続できる家電)
が危ない、というもの。
 例えば安全のために買った監視カメラなどにより
 家の中が誰かに盗み見されていたり
 あるいはその家電がウイルスに感染してサイバー攻撃を起こす…
 という事例を報告していました。
また、医療機器も危ないのだそう。
 医療機器は、最近看護婦や医師が外部から遠隔操作できるような作りになっているそうですが
 悪意ある外部の人間に乗っ取られると、
 点滴の量を変えるなど、患者の生死にかかわる操作が勝手にされる恐れがあるのだそう。

しかしこの本の内容は、それを上回る豊富な事例が紹介されていて
Nスぺ見るよりこの本読んだ方がいい、と思ったくらい。

サイバーセキュリティについて基礎知識を持たねばならない
ということを強く認識させられる話でした。
ちなみにNスペで触れられていた事件
(2016年のダイン社を狙ったDdos攻撃)も取り上げられています。

筆者はコンピューターの初期の時代からプログラミングを学び
今では色んなIT関連企業の投資や経営にかかわる活動をしているそうです。
そのためサイバー攻撃の脅威についても詳しいようです。

筆者によると、今やハッカーというのはローリスク、ハイリターンのおいしい仕事。
(もちろん違法ですが)
また経営戦略を持つハッカーもたくさんいて、
分業体制も進んでいる立派な「ビジネス」になっているんだそう。

さらに、日本は
 ・個人、会社のサイバー攻撃への危機感が薄い
 ・ほとんどの人、会社がネットに接続できる環境にある、
 ・個人、企業は知的財産、金銭などもたくさん所有している、
などの理由でカモにされやすいのだそうです。

この本では、ネット犯罪の事例や背景などを挙げ、
個人も企業も意識を高めて対策すべき、としています。
それから、なかなか対策が進まないのは
企業にとっては手間やお金がかかる割に儲けにならないからなので、
色んな企業が資金を出し合って体制を作り
専門家の意見やノウハウを生かしてみんなで対策していくべき、
という話をしています。

プログラムの話などはないので
素人でもすっと読める本でした。

構成としては第1章から5章まで分かれていて
第1章はこの本のツカミというか、全体の概論、
第2章~4章まではサイバー犯罪の事例
 2章は犯罪の背景、3章はビジネステクニック、
 4章は最近のテクノロジーの発展と絡めて取り上げています。
第5章は筆者の提言、という感じです

内容について、私の印象に残った点を書いてみたいと思います
〇コンピューターの進歩が速い分、ハッカーも進歩している
 筆者は最初の方で、コンピューターという道具ができて生活は便利になったが
 その分危険も増えた、それがサイバー攻撃だという話をしています。

 コンピューターの進歩について触れられていて
 本書の主題とはちょっとそれるんですが、改めてその速さにびっくりでした

  たとえば、世界で最初のインターネットは1970年代後半
  日本でインターネットの商利用が許可されたのは1993年(バブルのころ)
  アマゾンが日本に上陸したのが2000年(小室ファミリー全盛期のころ)
  2011年、東日本大震災はついこの前のことなのに
  まだFacebookやTwitterは一般的でなく、Lineやインスタはまだ登場していなかった…
  
 本書によると、このスピードはさらに加速し
 ダボス会議の予測では、IoTが2020年、スマートシティは2026年に
 爆発的に利用者が増える臨界点が来るらしい

 というわけで、技術の進歩が速い分、悪の技術の進歩も速いわけですが
 筆者によると、サイバー攻撃も常に新しいわけではなく、
 古くて実績あるものが顔を変えて使われていることも少なくない。
 だから、過去の事例から我々は学ぶべきだ、という話をしています。

〇ハッカーの基本
 ・誰でもターゲットになりうる
  筆者によると、重要人物でなくても財産がなくても、誰でもターゲットにされうる。
  というのは、「6次のへだたり」理論てのがあって、
  6人の人を介すれば世界のだれでも知り合いになれる、
  最近の世界はそれだけネットワーク化されているんだそうです

  このため、ネットにさえつながっていれば、誰かを使えば重要人物にはいずれたどり着ける。
  その際は、セキュリティ意識が低い人を足掛かりにするのが楽…
  というわけで、リスクに対する意識が薄い人ならだれでも狙われるらしい
  
 ・基本はマルウェアを使う
  「マルウェア」というのは悪意のあるソフトウェア(ウイルスなど)
  (malicious(悪意ある)とsoftwareの造語)
  これを使うのが常套手段なんだそうです
  闇サイトですぐに買えるし、プログラミングなどの知識がなくても使えるものが出ている

  しかもこれは
  「被害者にすぐ気づかれないようにする」ため
  「しばらくは動かず、半年くらいしてから指令を受けて作動」
  「名前がばれないように、ほかのパソコンを乗っ取って攻撃」
  などという手段が使われるんだそうです

  例えば2008年から流布している「Man in the Brouser」というマルウェアは
  感染後はすぐに作動せず、
  使用者がネット銀行のログインをするときに初めて作動し、
  ネット用のブラウザを乗っ取って、
  使用者のネット銀行から勝手に自動送金するよう、システムを変えてしまうのだそうです

  しかもマルウェアによっては、
  「自動送金をあえて少額(預金額の3%程度など)」にして
   多少額が減ってもおかしいなと思われないようにしているものもある。
  かなり巧妙化しているようです

〇ハッカーになる人の動機
 ・貧困国の場合、貧困からの脱出手段として使われる
  筆者によると、世界的には優秀なハッカーはロシア人に多く、ついでインド人
  ロシア人に多い理由は書かれていませんでしたが
  インド人に関しては、カースト制度の最下層から抜け出すために
  ITを頑張って勉強する人も少なくない
  (IT産業は新しいので、身分に関係なく実力でのし上がれる)

  また、中国も貧富の格差が大きいので、貧しい農村部の方などが
  生活のためにサイバー犯罪の手先にされてしまう例もあるそうです

  南米でも、犯罪組織が子供をハッカーにすべく
  「教育」しているところがあるらしい

  それから、西アフリカでは大卒の半分が就職できない事情があり
  優秀な学生が、生活のためサイバー犯罪に走ってしまう
  「Yahooボーイズ」と呼ばれるメール詐欺が有名になったそうです
   (手法としては
    ターゲットのメールアドレスを手に入れ(公表しているサイトがあるらしい)
    ターゲットのメールアドレスに詐欺メールを送る
    これに添付しているマルウェアは、メールサーバをハッキングして不正侵入し
    ターゲットのパソコンを、不正メールを送るサーバーにしてしまう)

  アフリカでも数十~数百ドルお金を出せば、誰でも使えるマルウェアが手に入り、
  しかも使い方を伝授してくれる闇サイトもあるので
  プログラムに関する詳しい知識がなくても、
  ネットとメールさえ使えれば、これらの犯罪に加担することは可能なのだそうだ

 ・貧困でなくても、ゲーム感覚の人もいる
  ハッキングのランキングサイト、というのもあるそうで
  ゲーム感覚でこれに加わる人もいるそうです

 ・貧困でなくても、コンピューター産業はダークサイドの方が実入りがいい
  これは最後の方で筆者がボソッと書いていたんですが
  ドイツで行った展示会で、サイバーセキュリティ会社に高校生が群がっていたんだそうです
  (将来の就職のため)
  しかし筆者は「もしかしたらダークサイドに行くかもしれない」と書いています
  現状ではダークサイドの方が儲けはいいらしい(ただし違法ですが) 
  
〇ハッカーの狙うところ
 筆者は本書でいろいろ事例を取り上げてくれていたんですが
 だいたいハッカーが狙うところは
 ・効率的に被害を出せるところ
 ・セキュリティが弱いところ
 ・人間心理を突くもの
 …に絞られる感じでした

 ・効率的に被害を出せるところ
  ハッカーは「手間や費用がかからないところから入る」のだそう
  最近は家電メーカーはコスト削減のため、
  各メーカーで共通するプログラム(コードライブラリ)を使っている
  また、メーカーのウェブサイトを作るワードプレス、というツールを使う企業も多い
  こういう、たくさんの企業が使うソフトの脆弱性を狙って侵入する手口が多いんだそうです。

  あるいは、利用者が多いシステムを狙う
  地下鉄、電力などのインフラ、医療システム…など

 ・セキュリティが弱いところ
  筆者によると
  「73%のハッカーは侵入しやすいところを狙う」
  (2016年、アメリカパロアルトネットワークスのアンケート)
  「侵入されたサーバのうち、97%は侵入が難しくなかったから」
  (2012年のアメリカベライゾンの調査)
  など、ハッカーは侵入しやすいところを狙うんだそうです
  
  侵入しやすいところとはどこか?
  それは前述の「コードライブラリ」などに脆弱性が見つかると、
  それをメーカーが公表したりするが、
  それに対して対策しない企業が多いんだそうです

  ちなみに筆者は2013年に東欧のホワイトハッカーたちと
  120の欧州企業に対しハッキングのテストを試みたそうですが
  その際、8割の企業は「8時間で対応可能」な問題を放置していた、とのこと

  つまり、脆弱性情報があって対策できるのに、
  何もしていない企業がそれだけ多いのだそうだ
  筆者はこの「セキュリティ意識の薄さ」も脆弱性の一つ、と指摘しています
  簡単なパスワードにする、というのも脆弱性の一つらしい

  それから、コードライブラリなどに、
  わざとハッカーが侵入しやすい手掛かり(バックドア)を仕込んで
  売る悪徳業者もいて、そこを狙われるケースもあるそうです…

  ほか、医療機関などでは
  新旧システムが一緒に存在していたりする
  その新旧の継ぎ目のところが弱くなり、狙われやすいのだそう

 ・人間心理を突くもの
  人間心理の弱いところをうまくつく、という手法も多いようです

  例えば最近は「ランサムウェア」というマルウェアが流行りだそうですが
  これはシステムを使えなくして、
  「システムを復旧させたかったらお金を払え」という身代金要求型のもの
 
  狙うのはホテルのお客さんが使うカードキー、あるいは医療機器のシステムだったりするので
  被害の企業としては「背に腹は代えられない」という形で
  お金を支払ってしまったりするんだそうです

  最近では洗練されてきて、
  「要求金はそこそこ払える額」
  「お金を払ったらすぐにシステム復旧させる」という手も使っているとか…
  被害者は、この額で復旧するなら払ってもいいやと思ってしまうので
  何回も同じ被害者からお金をだまし取る、ということになってしまう
 
  ほかにも、電力会社を狙う時、
  電力会社を直接ではなく、
  メンテナンス会社など、時々接触する取引業者をターゲットにマルウェアに感染させる、
  という手口もありました。
  (サプライチェーン攻撃というらしい)
  常時しているわけではないので、どうしてもそちらの対策は忘れられてしまう
  
〇ビジネスとしての日本市場の魅力
 ハッカーにとっては日本は「早い、安い、うまい」の市場なんだそう
 「早い」…日本のネット普及率は8割以上、それも速度は世界有数
 「安い」…ネットが普及しているから初期投資がかからない
 「うまい」…GDP世界3位の豊かな国、知的財産も多い、盗める財産は多い

〇狙われやすい人、時間帯、業界
 ・既に被害になった人は狙われやすい
  209時間で攻撃できなかったら次のターゲットにいく、という報告もあるそうです

 ・ターゲットになりやすい属性にいる人は狙われやすい
  「なりやすい属性」は、日本人も含まれるそうです

 ・攻撃の割にあわない業界は、公共機関、エンタメ、コンサルなど
  割にあう(攻撃しやすい、旨味が多い)のは宿泊業、サービス業、不動産業なんだそう

 ・狙われやすい時間帯は昼の12時、夕方の17時、夜中の22時
  ご飯などで席を外すときらしい
  
〇ビジネスとして洗練されつつあるハッカー
 ハッカーは最近ビジネスとして洗練されつつあるんだそうです
 そこまで分業化されているのかと私もびっくりでした
 例を挙げると
 ・パッケージング
  闇サイトでは、いろんなハッキングツールがパッケージングになっているものが
  通販みたいに自由に選べるのだそうだ
  料金はビットコイン払いだそう
 ・アフターケアも充実
  メールやウェブによるサポートがあるので、知識がなくても使えるらしい
 ・マルネット
  マルウェアに感染したサーバ1000台などがネットでつながっているものがセットで売られている
 ・既に被害にあっているパソコンの情報
  これも1000件単位で売られるそうです
 ・製品はアウトソーシングで作っている
  売られているものは分業体制で作られているらしい
  例えば被害者リストを集めるだけの事業者、ツールを作るだけの事業者、
  色んなサービスをパッケージングする事業者…など
  これらは工場みたいなところで作られているんだそうです

 ハッカーは基本的に何でも売って、それも商売にしている
 経営センスのあるハッカーが生き残っていて、今や立派な組織的ビジネスらしい

〇最近のテクノロジーとハッキング 
 最近はテクノロジーが進んでいるがゆえに、
 ハッキングの世界も進んでいて、被害も大きくなってきているようです
 ・マルウェアも温故知新
  2015年、ウクライナで電力会社のサーバが攻撃された例が挙げられていましたが
  このときの手法やマルウェアは「古くから使われ、信頼と実績がある」ものだったらしい

  使われたマルウェア「ブラックシナジー」は2007年登場のものだが
  機能拡張がしやすく、どんどん洗練されている
  (例えばセキュリティ対策のあるシステム内では、自分で消えてしまう機能が追加されている)
  古くて使いやすいが、機能はバージョンアップして使いやすくなっている、ということらしい

  また、手法としても「スピア・フィッシング」(狙った人を釣る)という古い手法
  この時は、職員に議員を装ってメールを送り、添付ファイルにマルウェアを仕込む、というもの

  「ブラックシナジー」も「スピア・フィッシング」も、
  古くから行われてありふれたやり方ゆえに、足が付きにくいのだそうだ

  ただしこのケースでは、電力システムが旧型だったため、手動で復旧できたそうです
  
 ・インフラも狙われやすい
  最近は低コスト化、効率化のため
  電力などのシステムは、それ専用のシステムではなく
  Windowsなど一般パソコンと同じシステムなんだそうです
  それゆえ、ハッキングの危険性も高まっているんだそうです

 ・ランサムウェア
  ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)は前述しましたが、今流行りなのだそう

  サンフランシスコの地下鉄、オーストラリアの一流ホテル、医療機関
  が被害に遭った例が紹介されていました

  サンフランシスコの地下鉄の場合は、
  感染源は、職員のだれかがファイル共有サイトからダウンロードしたファイル
  この場合、システムはダウンしたものの身代金は払わず、
  常時バックアップを取っていたために、自力で復旧できたそうです

  オーストラリアの地下鉄の場合は、
  お客さんのカードキーシステムが使えなくなってしまった
  この場合、ホテルは身代金18万円相当を払ってしまったが、それでシステムは復旧した

  筆者はこの身代金を払うことには問題がある、としています
   1つはコンプライアンス上の問題で、お金を払ってしまえば
   「悪いことをされてもそれを容認する」姿勢を示すことになってしまう
   もう1つは相手がまた同じ手を使うことで、実際このホテルは4回目の被害だったらしい
   ちなみに日本の自治体では、お金を払ってはいけないことになっているそうです

 医療機関に関しては、具体名は出ていなかったですが
 「患者の生死にかかわる」ので支払ってしまう場合が多い、とありました。
 今後、医療でもIT化が進めば、より被害が出てくるかもしれないですね…
  
 ・ビットコイン
  ビットコインの登場で、サイバー犯罪への費用も払いやすくなっているんだそうです
  ビットコインは
  ・匿名性が高い
  ・速い…送金が一瞬で終わる
  ・安全…中央政府などから追跡されたり、敵対組織から横取りされるリスクがない
  などの利点がある

  日本ではあんまり普及していないが、
  欧米や中国では最近扱う店もあり(中国なんかはお賽銭もビットコインなんだそう)
  日本でも東京オリンピックに向け、外国人向けに取り扱う店も増えるかもしれない…とのこと

  ただしその匿名性ゆえ、闇市場(武器や薬物など)の売買にも使われるそうです

 ・テクノロジーの進歩が個人情報をあぶりだす
  最近のテクノロジーの進歩は諸刃の剣…という話もありました。

  例えばSNSの閲覧使用履歴で、個人情報が追跡される
  Wi-Fiを使うことで、端末の位置が特定されてしまう
  高性能カメラにより、個人の顔や情報が遠くから読み取れてしまう
  また、人工知能は集まったデータを解析するが、それを悪用される恐れもある、とのこと

  ほか、「生体認証技術」というのもあるが
  自分の顔や指紋などの画像が流出してしまったら
  顔や指紋を変えることはできない…という話も書いていました

 ・ボット攻撃
  先日Nスペで扱われていた、ダイン社のサーバがDDos攻撃を受けた例が紹介されていました
  これは、ダイン社のDNSサービスが狙われた事件。
  DNSサービスとは、サーバの住所録みたいなものを提供するサービスで
  アマゾンとかツイッターなど、大企業がこのダイン社の顧客だったので
  それらのいろんな企業で6時間サービスが停止して大騒ぎだったそうです
  
  このときの攻撃元が実は50万台のIoT家電だったそうです

  このときは、攻撃元となっていた家電は「Mirai」というマルウェアに感染していた
  犯人は、パスワード設定がしていない、あるいは簡単なパスワード設定の家電
  に対し、60通りのありそうなパスワードを順番に試していき
  それで侵入できたものにMiraiを感染させた

  しかしすぐには活動せず、数か月後に指令を出し、一気にダイン社を攻撃した
  攻撃元は、それぞれの家電なので、本当に仕込んだ犯人は分からないようになっている

  近年の効率化により、1つの企業がほかの企業を管理する体制になっているので、
  そこに損害があると多大な被害をもたらす
  また、テクノロジーの発達で
  我々は知らぬ間に被害者でもあり、加害者になるかもしれない
  …という話です

 ・車が乗っ取られることも
  最近は車もIT化が進み、またネットとも接続できるようになってきたので
  これがハッカーの格好の攻撃対象になってきているそうです

  2016年、ドイツのボッシュという車部品メーカーの作ったシステムが問題になったそうです
  これは「OBD」というコネクターを端末(スマホなど)につなげて
  その端末にアプリをインストールすると、
  燃費などが端末の画面上に表示されるシステムだそう

  OBDというのは、車検などのメンテナンスの時
  コンピューターと自動車を接続して、故障個所を調べるのに使われていたコネクターで
  割と古くから使われていたらしい

  しかし、あるセキュリティ会社が調べたところ、このシステムを使うと
  車が外部から操作できる可能性があることが分かったらしい
 
  やり方としては、この端末に電波が届く範囲に近づいて
  別の端末で車の持ち主の端末のPINコードを探り出す
  (PINコードの組み合わせは、ランダムにひたすら暗証番号を変えて探しても
   ロックがかからない限り、8桁なら10秒くらいで探し出せるらしい)
  そして車の持ち主の端末を乗っ取り、車を操作する…というもの

  車もコンピューターに依存するようになってきたので
  ハッカーに狙われるリスクがあるらしい

 その他、筆者は
 「IDやパスワードリストを手に入れる方法」
  エクセルなどでパスワードリストを作り、
  うっかり公開設定のサーバに保存しちゃっている人がいるので
  それを検索する方法
  なんかも紹介していたりする…注意喚起のため?
 
 また「ハッカーの攻撃手法」(DDos、トロイの木馬など)
 を国民的アニメのキャラクターに例えたりしていて、なかなか面白かったです…

〇筆者の提言
 筆者は今の状態を
 「真っ暗闇を車で爆走しているようなもの、もしかしたら誰かを轢いているかもしれない」
 というたとえで話しています
 
 2016年でのNATOのカンファレンスでは
 IoT機器の利用者の5割が「セキュリティ対策は徹底している」と答えたのに対し
 開発者は1割しかそう思っていない、という結果もあるのだとか
 つまりそれだけセキュリティの意識が薄い、とのこと

 筆者はそれに対し色んな提言をしています
 ・セキュリティ対策をしっかりする
  ファイアーウォールは常に更新する
  ウェブアプリケーション用のウェブファイアーウォールも使う
  また、最初から製品システムの設計段階でセキュリティ対策を組み込めば
  コストは100分の1で済む、という話もあるそうです
  そういう視点で家電などの商品を作ることも必要になってくる、とのこと
  
 ・セキュリティ技術者の人材育成
  海外では、経営者でもセキュリティへの知識をしっかり持つ人が増えている
  また、軍事関係者も関心を持っているのだそう

  それから、数学、物理学、化学への教育に力を入れている国が
  IT系の優れた人材が多いのだそう
  外国では学生にもセキュリティ企業への人気も出てきていて
  「今どんな知識が必要なのか」と聞く人もいるのだとか
  日本でも教育に力を入れていくべきだ、とのことです
  (サイバー空間と現実世界の変換ができる、柔軟な頭も必要だそうですが)

  ちなみに筆者は
  「これからの産業なので、老若男女問わず今から勉強すれば誰でも参入できる」
  「人工知能など、最先端の技術にも触れられる」
  というような話をしています

 ・セキュリティのサービスは、アウトソーシングを活用すべき
  専門家やセキュリティ企業は、それなりに蓄積もノウハウもあるので
  それを活用すべき、としています

 ・セキュリティ管理は、企業が協力して行うべき
  セキュリティ管理のためには、週20~60時間対応できる人材が必要らしいのですが
  企業としてはそこまでお金も人材もかけていられない
  そのため対策が後回しになってしまう

  なので、筆者としては業界内などで負担を出し合い、
  共同でセキュリティ管理用のシステムを開発すべきではないか、とのこと

 ・サイバーセキュリティ保険
  サイバーセキュリティ保険、というものも出ているそうです
  AIG、損保ジャパンなど、たくさんの企業が参入しつつあります
  ただしこの場合、加入には「セキュリティ対策を常に行っていること」が条件になるので
  セキュリティ意識を高めるのは前提条件になる
  (自動車保険でも、安全運転をしている人でないと入れないのと同じ)
  
 筆者は最後の方で
 「これまではセキュリティを考えなくてもよかったのではなく  
  被害者や加害者になる可能性に気づいてなかっただけ」
 「サイバー犯罪は「現在のゴールドラッシュ」
  脅威はすぐそこにある」
 脅威から目をそらしてはいけない、というような言葉でしめくくっていました

〇感想など
誰でも狙われうる。しかも日本人はいいカモ…
全然他人事ではないなと思いました。

あと、ハッカービジネスの効率的な様子にはビックリでした。
犯罪に手を染めることにためらいさえなければ
格差が広がっている昨今、
お金に困っている人が手を出してもおかしくはない、と思ってしまった。

っていうか、もっとホワイトハッカーとか
コンピューター関係の仕事の人の賃金や社会的地位を上げないと
社会としてやばそうだと思いました。
コンピューターとかネット関係の人たちって
好きでやってるイメージがあるせいか、
低賃金に抑えられているんだろうか…
(調べたら、アプリケーションのエンジニア、システムエンジニアとかは給料はそこそこだけど
 ゲームのプログラマー、ウェブデザイナー、ゲームデザイナーとかは若干低めらしい)
あんまり低賃金でこき使ってると、どんどん闇社会の方が割がいい、となってしまいそう。

それから個人的には、サイバーセキュリティというか
コンピューターとか最近のテクノロジーについて
もう少し勉強しようかなとも思えてきました
筆者によれば
「セキュリティ人材は13万人足りない」
「老若男女問わず、こんなにワクワクできる仕事も珍しい、
 年齢問わず、今から始めても遅くない」らしいです…

いろいろ勉強になりました。
というわけで、今回はこの辺で。
  
posted by Amago at 13:52| Comment(0) | 本(科学) | 更新情報をチェックする

2017年11月28日

Eテレ100分de名著「ラッセル「幸福論」 第4回「他者と関わり、世界とつながれ!」」

Eテレ100分de名著「ラッセル「幸福論」第4回「他者と関わり、世界とつながれ!」」

今月はラッセルの「幸福論」
前回までは個人の幸福、ですが
今回はそれを極めたら世界、将来の幸福も考えることになる…
という話でした。

司会は島津有理子アナ、伊集院光さん、
解説は山口大学の小川仁志さんです。

今回は主に最終章「幸福な人」と、
ラッセルの反戦運動に焦点を当てていました

最初に最終章の解説から。
○最終章「幸福な人」
 ラッセルは「本当に幸福な人」とは、
 1つは「客観的に生きる」
 内ではなく外に関心を向けること、と話しています

 「幸福な人とは、客観的な生き方をし、
  自由な愛情と広い興味を持つ人である

  また、こういう興味と愛情を通して、
  自分が他の多くの人々の興味と愛情の対象とされる、
  その事実を通して幸福をつかみとる人である」

 ここでいう「客観的な生き方」とは、
 自己没頭、つまり自分の内部にだけ興味を持つのではなく
 興味や愛情を外に向けること。
 そして、そのことで人から好意を抱いてもらえること。
 双方向の関係があって初めて幸福になれるのだそうです

 ではどんなことに興味を持つべきか?
 ラッセルは
 「前もって「切手収集に夢中になれたら幸福になれるのに」と自分に言い聞かせ、
  ただちに切手収集に取りかかるような真似をしてはならない。

  なぜなら、切手収集なんかつまらない、と思うかもしれないからで、
  本当にあなたの興味をかきたてるものだけが、あなたの役に立つのである」
 というようなことを書いているらしい

 他人の興味に自分をあわせるのではなく
 自然と自分の内部から沸き上がるような、
 本当にやりたいこと、知りたいことに向かっていくことが幸せにつながる、
 としているのだそう

 小川氏は
 「ラッセルは、興味とはわざわざ探すものではない、
  自然に沸き上がるものでないとダメだと言っているんですね」
 伊集院さんは
 「自分が何が好きなのかを冷静に考える、ということですね。
  それって割りと見失いがちですよね、
  みんなやってるから好きだと思ってるんじゃないか、というところがある。
  客観的に好きなものを定期的に確認する方がいい、というのは理解できます」
 小川氏は
 「自分の好きなものについても客観的になるべきだし、
  社会との関係についても客観的になること、と言っていますね」

 伊集院さんは
 「お笑いで言えば、例えば自分が漫才を見ていたときは10分かけてやっていた、
  それがいいなと思って漫才の道に入ったんだけど、
  漫才も5分、3分…とどんどん短くなって、今は一発ギャグがブームになってる。
  それで一発ギャグを一生懸命考えていたけど、
  元々は何をやりたかったんだっけ…となる。
  今流行っているものをやっていい時期もあるけど
  僕は長く掛け合って笑わせるのが好きだったんだ、てのを忘れたまま行っちゃうと
  どんどん幸福でない方向に行っちゃう…」
 小川氏は
 「振り返ることが大事なんですね」

○自分の内部の統合、社会との統合
 ラッセルはまた、幸福な人は「統合」が鍵だとも述べています

 「全ての不幸は、あるものの分裂、あるいは統合の欠如に起因する」

 統合とはなにか?
 ラッセルの言う統合は2つあり、
 1つは、自分の中の統合。
 もう1つは、社会との統合だそうです
 「意識的な精神と、無意識的な精神とをうまく調整できないとき、
  自我の中に分裂が生じる

  また、自我と社会とが客観的な関心や愛情によって統合されていないとき、
  両者間の統合の欠如が生じる

  幸福な人とは、こうした統一のどちらにも失敗していない人のことである」

 前者の「意識と無意識の統合」については
 例えば結婚しないと幸福になれない、
 という考え方を植え付けられて育った人は
 結婚できないと、自分の気持ちでそれでも幸せ、と思っていたとしても
 無意識の中では罪悪感にとらわれているかもしれない
 そうなると、自分を責め続けてしまい、
 常に悩みを抱えてイライラしてしまうため幸福になれない

 また、後者の「自我と社会の統合」については、
 社会とのつながりがないと、自分が周囲の人からの疎外感を感じてしまう
 地域との活動や趣味の集まりなどに顔をだし、
 自分はつながりがあると感じられれば幸福になれる

 「人格の内部での統合」と、
 「社会との統合」と、
 両方があって幸福なんだと述べているそうです

 これについて小川氏は
 「第2回で罪人(つみびと)、と出てきましたけど
  (「罪人」つみびと、とは、親の教育などで植え付けられた価値観が
   潜在意識の中に残っている人のこと。
   その潜在意識の価値観が大人になっても残っていると、
   それに反することをすると罪悪感を感じてしまい、幸せになれないそうです)
  意識的に思うことと無意識に思うことが違うと人は不幸になる、
  ということをここでまた確認しているんですね」

 それから小川氏は
 「ラッセルはまた、社会ともつながってないと不幸だ、と言っています。
  我々はつい、幸福とは自分の問題だから自分の気持ちでなんとかなると思ってしまいますが、
  社会で生きる以上、社会ともつながってないと不幸になる、
  ということを言ってるんですね」

 伊集院さんは
 「結婚しなくても充実した生活を送っているのに罪悪感が付きまとう場合、
  自分はこれでもう幸せなんだ、と思うことで心の中の捻れは解消されると思うんですけど、
  社会が結婚しないとダメだという差別や価値観があると、
  社会を変えないとねじれが解消されない、となると思うんですが…」
 小川氏は
 「結論的には、自分の中の捻れ、社会との捻れ両方を解消しないといけない。
  幸福とはトータルのものですよと言っていますね」

 そしてトータルな幸福を追求した先に行き着いたのが、
 この章を締め括る言葉。
 「そのような人(幸福な人)は、
  自分は宇宙の市民と感じ、
  宇宙が差し出すスペクタクルや宇宙が与える喜びを存分にエンジョイする。

  また、自分のあとに来る子孫と自分は本当に別な存在だとは感じないので、
  死を思って悩むこともない。

  このように生命の流れと深く本能的に結合しているというところに、
  最も大きな歓喜が見いだされるのである」

 …いきなり「宇宙」なので???と思ってしまいますが、
 ラッセルによれば、宇宙という視点を持てば、
 自分もみんなも同じ人類の仲間なんだと感じられる。
 また、永遠の時間の流れという視点を持つことで、
 子孫とのつながりも感じられ、
 たとえ死んだとしても子孫の幸せを喜びだと感じられる。
 …とのことです

 伊集院さんは
 「一気に飛びましたね~」
 たしかにここまで来ると、一般人はついていけない感が…

 小川氏は
 「ラッセルにとっては、
  自分と社会の幸福を両方とも変えるには
  ここまで持ち出さないといけなかったんですね」
 ラッセルによれば
 空間的には、宇宙的な視点を持つことで、人類みんなが仲間だと実感できる。
 時間的にも、永遠の時間に自分と子孫を位置付けることで、
 子孫のこと、つまりは将来世代の幸せを考えるようになる。

 人類の幸せ、将来の幸せを考えたら、平和な世界を作らなければならない、
 …と平和活動につながっていくのだそうです

○ラッセルの平和活動
 ここからはラッセルの平和活動についてです

 1914年、第一次世界大戦が始まる
 ラッセルはこのときケンブリッジ大学の先生だったそうですが
 戦争を歓迎する大衆を見て、
 人間とは合理的でない、と驚き
 政治問題に没頭したそうです

 当時既に哲学者として名が通っていたラッセルは
 反戦運動を行い、執筆や講演を積極的に行った
 このためイギリス政府には
 「戦争を妨害する危険人物」
 として投獄、活動を妨害される
 ケンブリッジ大学も辞めざるを得なくなる

 しかし、第二次大戦が始まるといっそう平和への気持ちを強め、
 終戦後には各地で反戦運動の旗手として引っ張りだこになったそうです

 さらに1954年3月
 ビキニ環礁でアメリカの水爆実験が行われる
 これは広島の原子爆弾の1000倍の威力で
 島々は吹き飛び、日本の漁船第五福竜丸の船員も被爆した

 ラッセルは強い危機感を抱く
 「私は全世界をして、
  それが盲目的に真っ直ぐに危険に向かって突入しつつあることを理解させねばならない」

 ラッセルは科学者と共同声明を出すことを決意する

 当時相対性理論で名前が知られていたアインシュタインに意見を求めると、
 アインシュタインはすぐに賛成してくれた
 しかしその数日後、アインシュタインは急死してしまったそうです

 彼は挫折しかけたが
 アインシュタインが残した賛同の手紙を見て決意を固める
 冷戦の時代だったが、両陣営から9人の科学者の賛同を集め、
 1955年、ラッセル・アインシュタイン宣言をだしたそうです

 「私たちは人間として、
  人間に向かって訴える
  あなた方の人間性を心に深く刻み、
  それ以外のことを忘れよ、と。

  それができれば、新しい楽園の道が開かれる
  できないならば、全面的な死の危険が待ち受ける」

 この宣言は世界に反響を呼び、
 1957年、第1回目のパグウォッシュ会議にもつながる
 これは核兵器や戦争を無くすための会議で、今も開かれている

 「社会と個人の幸福が一致しなければ真の幸福は得られない」
 と考えたラッセルの精神が今も引き継がれている、とのことです

 伊集院さんは
 「自分が数学が好きで、
  人間は合理的と思っていた、
  幸せが一致していたはずなのに、
  なんだよこの戦争を歓迎してる社会は、一致してないじゃないか、となったとき、
  彼は社会を変えていこうと。
  それが人類全員の幸福のためなんだ、
  と行動していくんですね」

 小川氏は
 「私は最初に「ラッセルは行動する哲学者だ」と言いましたけど、
  自分が幸せになるには社会を平和にしないといけない、と行動していくんですね。
  地球全体を変えてまでも幸せになろうとするのはスゴい」

 また、ラッセル・アインシュタイン宣言については
 「人間が大事なんだよ、と言っている。
  それだけ聞くと単純なことなんですが、
  当時はそれぞれの国や陣営が大義を抱えて争っていた。
  でもこの世界で一番大事なのはなんだ?と考えたとき、
  それは領土とか主義主張じゃなくて人間性なんだ、
  争いあうのは矛盾してる、
  人間性を守るためなら平和な社会を作るしかない、
  と訴えたんですね」
 哲学者らしく、
 そもそも幸せってなんだ?
 というところから問いを投げ掛けている、とのことでした
 
 「ラッセル・アインシュタイン宣言のおかげで世界の平和への関心が生まれた、
  今年のノーベル平和賞も核兵器廃絶キャンペーンですよね」

 小川氏は
 「平和なんて青臭い、理想主義じゃないかといわれますけど、
 それは違うと僕は思うんです」
 そもそも、なぜ幸福でない現実に合わせないといけないのか?とラッセルは疑問を呈している。
 現実に問題があるならそちらを変えるのが筋だろう、と。
 現実に危機が今あるから理想なんか語ってる場合じゃないというのは薄っぺらい、
 と小川氏は話していました

 そして
 「どういう状況なら幸せと感じるのか、に
  ある意味、今人類が立ち返らないといけないんでしょうね」

○まとめ
 島津アナが
 「今私たちがラッセルの「幸福論」を読む意義とは」
 小川氏は
 「自分が幸福なのは大前提ですけど、
  社会も幸福なのかを問うていかねばならない、
  そうでないなら、本当に幸福な社会を作ることも真剣に考えていかねばならないということ。
  そのためにラッセルの幸福論が役に立つのだと思います」

 島津アナ
 「伊集院さんはどうですか」
 伊集院さん
 「実践的なチェックシートみたいな本だな、とは思うんですが、
  イエスノーじゃなくてチューニングの感覚。
  これはこのぐらい、あれはこのぐらい、と、
  いいバランスにするということを考えさせてくれますね。
  それをしていくなかで、そもそも自分は何が好き?というのを見つけられる本ですね」

 小川氏は
 「ハウツー本ならこうはいかないんですね、
  ラッセルの表現一つ一つが幅を持たせてくれる、
  それぞれの人にあうようなものになっている、万人のための幸福論ですね」

とまとめて終わっていました

○感想など
 今回は話がえらい大きくなったな~と思ってしまいました。

 ラッセルさんは
 「幸福になるためには、
  内にこもってないで外へ外へ関心を持って積極的に関わっていくべき」
 という方なので、外へ外へ出ていって
 地域とか社会、人類、未来まで考えがいっちゃったんだろうけど
 他人や世界まで変えていこうというのはなかなか難しいというか
 独りよがりにもなりかねないなと私は思います。

 2回目の不幸の原因に
 「被害妄想」とありましたけど
 (政治家が
 「自分はこんなに理想を持ってるのになんでみんな従ってくれないのか」と思うが
 それは自分の自己満足じゃないの?という話)
 平和運動をするときも
 「自分の理想を押し付けているだけなのか、みんなのためなのか」
 を考えないといけないのかな、と。

 平和活動とか環境保護活動をする人たちって、
 もちろん素晴らしい活動をされる人もいますが
 ある意味宗教みたいになっちゃう危険もあると思うのですよね…
 周りの都合とか見えずに、自分の正義をふりかざして、
 戦争をする人たちをただ非難するだけ、とか…

 それから、対話が通じない相手になると
 なかなか理想だけでは大変なんじゃないかと思います。
 シリアのアサド大統領のドキュメンタリーを見たとき感じたんですが
 彼が戦争をやめないのは、そうしないと自分の命が危ないから、
 政治的地盤の弱い自分が生きていくためには負けるわけにはいかないからだ、と…

 多分日本のお隣の国の独裁者も似たような状況なのでしょうが、
 そういう恐怖にとらわれている人たちに
 「そもそもそれはおかしいでしょ、みんなの幸せにならないでしょ」
 と言っても通じないわけで…

 そういうわけで平和活動は難しい、ていうか
 駆け引きもしていかないと(特に中東とか厳しい環境の国はそうだと思われる)。
 一筋縄ではいかないのかなと思います。
 オバマさんも理想主義的過ぎてうまくいかなった感がある。。

 なので個人的には、世界平和とか大きなことを言う前に
 個人それぞれの心の平和、
 隣の人との平和から始めていくことなのかな~と思います。

 …ていうことを考えていたら
 ミスチルさんの「タガタメ」を思い出しました。
 「右の人 左の人
  ふとした場所で きっと繋がってるから
  簡単に裁けないよな
  僕らは連鎖する 生き物だよ」

 世界や将来の平和は、身の回りの些細な平和から始まるのかと思います。
 まずは自分が他人に当たらないようにするために、
 自分が幸せになること…
 そのためには、ラッセルさんが言うように
 他人や自分を責めるのではなく、
 興味のあること、好きなことに集中して、
 そしてなるべく、他人には友好的に、、ということかなと。

 自分も小さなことから幸せを始めよう、と思いました。


というわけで今回はこの辺で。





posted by Amago at 13:15| Comment(0) | テレビ(100分de名著) | 更新情報をチェックする

2017年11月26日

Eテレ「人間ってナンだ?超AI入門「第8回診断する」」

Eテレ「人間ってナンだ?超AI入門「第8回診断する」」

12回でAIについて直感的に理解するための番組、
進行はチュートリアルの徳井さんと東大の松尾豊氏。
今回のテーマは医療診断についてでした。
医療関係は見慣れた話が多くて分かりやすかったですね…

○今回のゲスト
 今回のゲストは、家庭診療専門家の岡田唯男さんでした

 徳井さん
 「家庭診療専門家、て、どんな仕事をされているんですか」
 岡田さん
 「昔の町のお医者さん、みたいな、何でも困ったときに駆けつけるお医者さんですね」
 徳井さん
 「岡田さんはAIについてはどう思いますか」
 岡田さん
 「SFが元々好きなんでAIの将来が楽しみでもあるんですが、
  我々の職業がどうなるのかを考えると、ちょっと怖いような…」
 商売敵になるかも、と話していました

○ゲノム解析にAIを活用する
 最初は東大の医科研究所の付属病院のVTRでした
 ヒトゲノム解析センターの宮野教授によると

 ヒトゲノムは23対の染色体があり、全ての細胞に存在する
 ゲノムDNAはATGC4種類の塩基の配列からなっていて、
 我々の体はその設計図を元に誕生し、成長し、死を迎える

 病気はそれら遺伝子と生活習慣で発病するが
 ガンが起きるときどの遺伝子が壊れているのかを、
 ゲノムDNAの配列を読んで調べる研究が進んでいて、
 そこにAIを活用している…
 という話をしていました。

 それら全ゲノムのDNAは文字にすると60億文字以上
 人間がそれを調べるのは大変だが、
 AIは違いの発見や検索が得意なので、
 以前は検査から診断まで数ヶ月かかっていたのが、今では5日間で済むのだそう

 「診断が早くなったので、
  進行性が早い病気についてもゲノム診断の有効性が高まっている」
 とのことでした

 また、東大の医科学研究所付属病院の東條教授によると
 「血液検査には関してはわりと昔からゲノム診断があったが、
  限られた遺伝子を調べるだけで限界があった。
  今は全ゲノムが調べられるので、
  個々のガンについて、どの遺伝子がガンの発生に関わるか、
  どの遺伝子がガンの進行に関わっているか、
  などが分かりつつある」

 徳井さんは
 「まさにAIの得意分野ですね」
 松尾氏は
 「ゲノムと病気の関係は分析すれば分かるはずで、
  そこは今世界中でAIを活用してやろうとしています」

 徳井さん
 「将来的にはガンがすべて関知できるんですかね」
 松尾氏は
 「そうとも言えなくて、人間の体は複雑なんですね…
  全ゲノムのデータ、その人がどんな病気か、などの教師データがたくさんの人から取れていればいいが、それがなかなかできない」
 徳井さん
 「もし地球上全部の人のそういうデータが取れれば…」
 「スゴいことになると思います」

○ゲノムと病気との関係を調べるための論文解析
 松尾氏
 「DNAはATGCの塩基で成り立つが、
  このうち人により一ヶ所変異していたりする
  (SNPs、個人の中にある僅かな遺伝情報の違い)
  しかしある遺伝子の変異がある病気になるかは、
  膨大な論文を読んで結びつけていかないと確定できない」

 その論文検索も
 ある遺伝子についての論文だけではなく
 その遺伝子に関連する別の遺伝子の論文や
 それらが相互作用しているという論文など
 過去の色んな知識をネットワークにしていかないといけない
 とのことです

 そのネットワークを
 「セマンティックネットワーク」
 意味の繋がりを含めた知識を構造化したもの
 というそうです

 例えば猫と人間は違うが
 哺乳類という意味では繋がる
 これは、単語の意味として2つの概念を紐付けることで、

 ガンに関する論文についても、
 年間十数万本出される論文の中から
 関係するものを同じように紐付けして、ネットワーク化していくことがAIに期待されるのだそう

 ただ、AIは無関係そうなについて連想するものが苦手で
 人間は一見関係なさそうなものを関係付けるセンスがある
 AIはそこを計算力で補っている、とのこと

 (セマンティックネットワーク、という言葉は初めて聞いたんですが
 調べたら、認知心理学で使われる意味ネットワーク (semantic netowrk) のことでした。

 バシッと説明しているサイトがないですが、私の理解で書きますと

 意味ネットワークは1960年代に記憶の研究から提唱された理論で、Allan M. CollinsとM. Ross Quillianの論文で有名になったようです。

 この理論は、
 人の記憶のなかでは、
 それぞれの概念がノード(円)で示され、
 概念同士はリンク(線)で繋がりあってネットワークを作っている、と考えている
 (例えば「犬」という概念が「動物」「哺乳類」「可愛い」「吠える」などの概念と繋がっている、と考える)

 新しい概念を記憶するときは、新しい概念がそのネットワークに組み込まれ、新しいリンクができる。
 古い記憶にも新しいネットワークが日々出来ていくので、
 昔の記憶も上書きされている。
 記憶の書き換えが起きてしまうのはこのため。

 …これは純粋に心理学の研究かと思っていたのですが
 初期のコンピューター(翻訳機械?)の研究から来ているみたいです。

 概念を記憶して、記憶から必要なものを探しだす、
 という意味では人間の記憶も機械の検索も同じなんでしょうね。

 そう言えば認知心理学の本か番組で
 認知心理学の研究はコンピューターの研究により進んだと聞いたような。
 結構昔から人工知能の研究がされて、それが心理学とか別の学問に影響を与えていたんだなぁと改めて感じさせられました)

○AI診断の課題
 3人はAIの診断について色々話していました
 松尾氏は
 「僕の考えでは、先にメジャーな病気が制覇されて、
  稀な病気が残るのではないかと思う」
 徳井さん
 「つまりデータが少ない病気ですね」
 松尾氏は
 「データの活用が進めば、そういう人にも何らかの支援はできるかもしれないですけどね」

 一方岡田さんは人間の医師の強み、について話していました
 「以前のこの番組の放送で、ロボットの感覚の話が出てきたけど、
  ロボットはそこが先が長そうですね…」
 例えば手を当てて「大丈夫ですよ」という温もりは、AIではなかなかできない…

 また、岡田さんは
 「これは人間の弱味でもあるけど、理不尽な判断ができるのも人間の強み」
  とも話していました
  AIなら成功確率が低ければこの治療法は無理と判断してしまうが、
  人間はチャンスが低くても賭けるところがある
  そうして何かを信じることで希望を与えることもできる、とのこと
 徳井さん
 「その希望の力で思いもよらない回復を見せることもありますよね」
 岡田さん
 「厳しい病状の方でも我々にも思いもよらない回復をすることもある、
  データだけで諦めちゃダメだと思い知らされる場面も何度もあります。
  一緒に希望を捨てないでいこうよ、と言えるのも大事だと思います」

○問診の分野にもAIを活用する
 また、松尾氏によると、
 画像、データ解析だけではなく
 問診の分野にもAIを活用する動きがあるそうです
 「診察を待っている間にある程度AIに聞いといてもらって、
  その結果を有効に使うことができないか、と…」
 岡田さんは
 「実は私のクリニックでもその研究をしています」とのこと

 前もってタブレットで情報を記入してもらい、それを活用している
 今のところ生データそのままが医師の所に来るだけだが、
 そのデータに病名診断をつけていき、
 その情報がたまってきたら、
 症状から病名を提案するシステムが作れるかもしれない、
 とのことです

 徳井さん
 「そうなると、大きな病院で待たされることも少なくなりますね」
 松尾氏は
 「それから、夜中具合が悪くなったときとかに、
  今ならネットで検索して自分で判断しちゃいますけど、
  お医者さんがそういうシステムを作ってくださればありがたいですね」

○聴診器にもAIを搭載する試み
 次に登場したのは、新しい聴診器を開発している小川さんという医師の方でした。

 彼によると聴診器は200年ほど前にフランスで発明されて以来、
 ほとんど進歩していないんだそうです

 彼が新しく開発している聴診器(超聴診器というそうです)は、
 見た目三個の目がついたシェーバーみたいな感じ。
 これで試しに徳井さんの診断をしていましたが
 数秒胸に当てるだけで終わり。

 これにより画面に出されたデータを見ると、
 3つの小さいグラフと1つの大きなグラフ。

 小さいグラフは上から順に
 心電図、心音図、心音電図
 心音電図は上の2つのグラフの周期を合わせて重ねあわせたようなグラフで
 大きなグラフはそこからノイズをとりのぞいた図だそうです

 これは何をしているかというと
 普通聴診器の診断では心臓の音を聴くが、
 呼吸音や摩擦音、人の会話や空調などのノイズがあり
 それを人間の脳の中で外して心音だけを選んで聞いている

 これを機械にやらせようとすると
 全ての音を同等に取ってしまうのでノイズだらけになり、きれいなデータにならないそうです

 そこで心音図について、
 心電図と重ねて最初の位置と周期を合わせて同期させ、ノイズをとる
 という手法で心音を取ろうとしているそうです

 活用分野としては、
 将来的には全ての心臓や呼吸器疾患の検出を目指しているが、
 当面のターゲットは「大動脈弁狭窄症」という病気だそうです
 これは心臓の出口にある弁が狭くなってしまう病気で、
 存命期間は症状が出てからわずか3年と進行が速く、
 しかも年間100万人かかっているそうです

 しかし最近は新しい治療法が出てきていて、
 昔は開胸手術しかなかったが今はカテーテル手術ができるそうです
 このため、早期発見早期治療がより重要になってきているのだそう

 松尾氏は
 「心音からこういう病気がある、なしのデータが集まれば
  心音がスクリーニングとして使えそうですね」

 岡田さんは
 「今はこういう診断は特殊な病院でないとできないので
  手軽にできるのはいいと思います」

 松尾氏は小川さんに
 「新しいデバイスを作ったとき起こる問題として、
  人間はある情報以外にも実は別の様々な情報を得ていたりしますけど、
  心音以外から病気を解釈していることはありますか」
 小川さんは
 「聴診器を当てるときに顔を見ることもありますけど、
  心音を聞くときは心音だけを抽出するのに集中します」
 徳井さん
 「データを専門の先生が使うことで、人間しか取れないデータも分かると良いですね」

○AIのデータ学習に起こりうる「過学習」の問題
 松尾氏は次に、AIのデータ学習に伴う問題を解説していました
 「人工知能、機械学習やディープラーニングでは教師データが必要ですが、
  例えば血圧を出すときはどんなデータが必要ですか」
 岡田さん
 「心拍数、年齢、タバコをすうか、肥満、家族の病歴、緊張しているかとか…」
 松尾氏
 「そういうデータから血圧を予測するのがデータ学習なんですけど、
  そこで起きるのが過学習の問題です」

 そこで過学習の説明です
 例えば血圧と年齢の相関関係を見るとする
 縦軸に血圧、横軸に年齢をプロットすると
 点の散らばりができる
 それを無理矢理グラフにすると直線(一次関数)ができる
 データ学習ではデータから係数を決めて近似式を決めるが
 その式は直線だけでなく、
 曲線の式(二次式、三次式、四次式…)にもできる

 これは、高次式になるほど線がグネグネ曲がって、データに沿う曲線が描けるが
 あまりに沿いすぎると、今度は新しいデータが来たときに判断精度が落ちてしまう場合があり
 これを過学習というそうです

 これがなぜ起きるかというと、
 教師データの中には極端な例外的なデータもあるが
 それも式に含めてしまうために起きる

 例えば猫のデータが少ないと、
 毛がない猫など例外的な物が出てきたらそれを猫でないと見なしてしまう

 過学習を防ぐにはデータ量を増やすことだそうで、
 そうすると例外的なのは違うんだなと判断できるようになるんだそうです

 また、データの質も大事で
 AIは例外でも無理矢理法則を見いだしてしまうので
 なるべく例外の少ないデータが望ましいそうです

 少ないデータで結論を急ぎすぎる(過剰適合)は良くない、とのことです

○画像診断を実用化しつつあるベンチャー企業
 サンフランシスコの医療診断のベンチャー企業enlicの取材VTRがありました。

 ここのデータサイエンス部主任のケビン・レイマンさんによると
 この企業では、今は肺癌のスクリーニングに力を入れている、とのことです

 具体的には、レントゲンやMRIの分析をAIで行うことで
 放射線医師の診断を支援している。
 多くの場合、AIは人間の医師より2年早くガンの発見ができているそうで、
 今はカリフォルニア大学サンフランシスコ校と共同で臨床試験を行い、
 性能を検証しているそうです

 「ディープラーニングは膨大なデータからパターンを捉えるのが得意です。
  今までの機械学習よりも、構造が見えにくいデータについて、
  潜在的なパターンの関連を見ることができる。
  医療現場では非構造的なデータばかりなので、ディープラーニングが役立つのです」

 人の目では分かりにくい微妙な変化が、AIでは分かるということらしい。

 日本でも内視鏡の画像を元に、AIをポリープ診断に使う試みがされており
 その精度は98%なのだとか
 人間の場合、体調など条件次第で見落としがあるが
 AIはそれがない利点があるそうです

○AIを診断に使うときの課題
 岡田さんは
 「AIは98%というけど、それでも100%ではない…」
 と話していましたが
 松尾氏は
 「人のお医者さんも間違えるんで、
  100%じゃないから使えない、ということはないと思います」
 と話していました

 1つの利点としては、AIは一定の精度をコンスタントに出せること。
 人間の場合、人によっても体調によっても精度にばらつきがでてしまう

 もう1つは、人間とのダブルチェックに使えること
 人間が二人いても間違えるところは大体同じたが、
  AIは人間と間違い方が違うので、ダブルチェックの効果が上がるそうです

 「AIも使い方によってはいいんじゃないかと思います」
 岡田さんもこれには
 「間違うパターンが違うのは有効ですね」と同意。

 松尾氏はさらに
 「ディープラーニングは画像分析が得意なので
  エックス線、CT、皮膚病、細胞診断、眼底検査などで、
  お医者さんの精度を超える事例も出てきています」

 徳井さんは
 「逆に人間が得意なのは何ですか」
 岡田さん
 「治療の選択肢の相談とか、ニュアンス的なところですかね…」
 それから
 「問題になるのは、
  誤診をしてしまったとき誰が責任を取るのか」
  自動運転の話と同じく、
  AIを作った会社を訴えるのか…という問題。

 松尾氏はほかに、
 「人間のお医者さんは総合的に判断できる強みがある」
 と話していました

 人間は画像だけではなく問診など色んな情報を総合して推測できるが、
 それはAIには難しいそうです

 「やろうとすると、
  人間の体がどんな仕組みなのかとか
  病気がどんなメカニズムで起きるのかとか
  こういう職業はこういう生活パターンですよ、とか
  色んな知識が無いとできない。
  画像だけから分かることと
  色んな事を知ったうえで判断できることは全然違う」
 人間は、暗黙的に知っている知識を総動員して活用しているんですね。

 徳井さんは
 「お医者さんはいることで安心感もありますよね」
 という心理的な役割も話していました
 また、岡田さんは
 「患者さんへの伝え方もある」
  人によってははっきり病名を言って欲しい人もいるが
  中にはそれとなく伝えて欲しい人もいる
  どう伝えたら受け入れられやすいかは、患者さんとの関係を築いていくなかで分かることだが、
  AIだと誰にでも何%です、とかズバッと言ってしまうところがある、とのことです

 色々課題はまだありますが、
 松尾氏はAIの可能性について話していました
 「発展途上国などで医療にアクセスできない人も、
  AIができることで多くの人に診断に使ってもらえるようになるかもしれない」

 人間とAI、得意分野を分担しあって医療に携われば
 より強力な治療効果がもたらされるのかもしれないですね。

○2分でディープラーニング
 今回は「ふるいにかければよく分かる」

 ディープラーニングでは画像の情報を次の層に伝えて行くときに
 1つの画素だけでなく、
 範囲を広くして特徴を抽出し、次に伝えていく
 そうすると、例えば白い所が横に並んでいたら次の層に強い信号が伝わり
 1つしか白くなければ信号が弱く伝わる
 それをだんだん広げて見てみると
 ○の画像、×の画像ができてくる…という話でした

○人間ってなんだ?
 岡田さんは
 「何かを「信じる」
  「希望」を持つ
  共有する
  非合理的な判断」
 とボードに書いていました

 松尾氏は
 「この辺はAIにはどうしようもないですね、
  何かを信じたりするのが人の人らしさですよね」
また、
 「理不尽とはいうけど、
  合理的というのも、ある仮定に基づけば合理的、と判断されるだけの話で、
  非合理的な方が自然というか、それが人間なんですよね」

 徳井さんは「温度」
 「岡田さんに手当てしてもらったときに温かかったんです。
  こういう温もりは特におじいちゃんおばあちゃんには必要なのかな、と」
 松尾氏は
 「それなら手が温かいAIならどうですか」(笑)
 徳井さん
 「(笑)温度だけの問題じゃないんでしょうね、
  それならホッカイロ当てといたらいいんで(笑)」

 ホッカイロが手にはまってるAIって、ビジュアル的には嫌だなぁ…(笑)

○感想など
・岡田さんの最後の指摘は現役医師ならではだなぁと思いました。
 「大丈夫ですよ」「希望を与える」「諦めない」「一か八かに賭ける」などは人間にしかできないですよね…

 そう言えば以前見た「ロボットがもたらす未来」というドキュメンタリーでも
 自動化、AIが導入されても無くならない仕事として「医師」が挙げられていました。
 対人的な仕事は人間にしかできないだろう、と。

 なのでいくらAIが診断の援助はできても、
 最終的には人間が決断したり、患者さんと直接接することが求められるんでしょう。

 しかしその「最終的に判断」とか
 「どう話したら患者さんにとっていいのか」
 などは、やっぱり経験を積まないと培うことはできないんだろうな。

 AIの起こす問題の1つに、
 AIにやらせて人間が怠けちゃう、考えなくなっちゃう、てのがあると思うんですけど、
 医療でもそれはありうる。

 なので、問診AIの導入などで医師の負担軽減になるのはいいけど、
 若い医師が医療の経験を積む機会を奪わないような使い方も、
 同時に考えていかねばならないのかなと思いました。

・松尾先生は
 「メジャーな病気から制覇されて稀少な病気が残るだろう」
 と話していましたが
 私はむしろ珍しい病気の診断や治療法の論文検索にAIを使う方がいいんじゃないかと思います。

 メジャーなものだったら探しやすいけど
 マイナーな病気って、治療法を素人が探すのも大変だし、
 その治療法をどこで受けられるのか、それから場合によっては病名自体を見つけるのも大変。

 セカンドオピニオンを聞くためにも
 できれば一般の人も使えるようなシステムができればいいなと思います

・ゲノムDNA診断もAIが得意そうなんですけど、
 DNA検査自体のコストがもう少し安くならないかなと思います。
 DNA検査って、試薬とか機械を動かすためのコストがかかるので
 ガンのDNA検査も受けること自体が結構なお値段になる。
 DNA検査が一般化する前に、お金持ちだけのものにならないようにお手頃値段になるといいなと思います。

 また、最後に松尾先生が発展途上国にAI導入できないか、
 という話もしていたけど
 もしそうなるとしたら、
 高度な機械ではなしに、
 現地のプログラマーでも対応出来そうな、
 簡単で安価なプログラムができるといいなと思います
 (以前読んだアフリカについての本には、
  高度で使えない、壊れやすい機械の支援はありがた迷惑だ、という意見もあったので)

・日本のお医者さんは忙しい、と聞きますけど
 (外国はちゃんと休みが取れるようです
 https://m.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/q1189851871)

 その原因は何かなと思ったんですが
 主治医制、雑用の多さ、電子カルテの使いにくさなどがあるみたいです

 外国の場合担当医ではなく、休んだら別の方が対応するようなので休みがとれるらしい。
 チーム制の場合もあるようですね。

 雑用は、色んな書類への記入、看護婦さんへのちょっとした指示なども全て医師がやらないといけない、
 などがあるらしい。

 なので、日本に関しては診断へのAI導入云々の前に、
 むしろそういう周辺業務を、
 AI活用で効率化するべきでは…とも思いました。

AI活用もいいんですが
一部のお金持ちが使えるだけではなく
なるべくたくさんの人が恩恵を受けられるシステムも、
同時に作られて欲しいと思います。

というわけで今回はこの辺で。