2017年10月03日

Eテレ 100分de名著「嘆異抄 第1回 人間の影を見つめて」

Eテレ 100分de名著「嘆異抄 第1回 人間の影を見つめて」

 100分de名著の「嘆異抄」は2年ほど前にやっていた気がするのですが
 (調べたら、2016年の4月だったそうです。1年半前でした)
 私が気づいたのは最終週で、見逃していました。
 再放送してくださりありがたい。

 「嘆異抄」については、五木寛之さんを始め多数の本が出されていますが、
 私はどれも少ししか読んだことがないです(スミマセン)

 でも親鸞の言う
 「悪人こそ救われるべき」
 「自力より他力」
 という教えは前々から気になっていました。

 なんですかね、こういう考え方は好きなんです。
 陰陽の考え方なのかな?
 「光があるから闇がある、闇があるから光がある」
 いい人も悪い人もいるから世界が成り立つんだと思う。

 自分の心に闇があるから他人にも優しくなれるし、
 悪事をしちゃう心を理解できるし、
 そうしないようにしようと思うこともできる。
 どれも大事な世界のパーツで、そこには裁きは存在しないのではないか、と。

 それに、「他力」で言えば
 我々はみんな本質的に他力で生きている気がする。
 自分でなにもかも成し遂げている、てのは傲慢だなと思うのです。

 他人や大きな力により生かされている、成功させてもらえてる、
 と自覚するからこそ
 自分の限界も分かるし、
 他人を尊敬できるし、
 自然などにも感謝もできるのではないか、と。

 …まぁこれらは私の考えですが
 親鸞自身は何を考えていたんかな?てのが知りたくて、
 親鸞の本は読んだことが無いのですが見てみました。

 司会は伊集院光さんと礒野佑子アナです。
 解説は僧侶で人文学者の釈徹宗氏。
 彼によると
 「この本は仏教の常識をひっくり返す」
 「むやみに人に読ませてはいけない」
 それだけ誤解を受けやすい本なのだそうだ。

 今回は第一回であるせいか、
 本が書かれた背景、動機、親鸞の本当に伝えたかったこと、
 などについてでした

○そもそも嘆異抄とは
 この本は親鸞の書ではなく
 弟子の唯円によるもので
 唯円さんが、親鸞の教えが世間に本意とは異なって理解されていることを嘆いたもの、だそうです

 構成としては
 ・親鸞の教え(第一条~第十条)
 ・教えに対する異議・批判(第十一条~第十八条)
 から成り立つのだそう

○「易行」と「他力」
 最初に紹介されたのは執筆の動機の所。
 親鸞や師匠の法然の教えである「易行」と「他力」が誤解されている、ということらしい

 「易行」と「他力」については
  仏の教えを導いてくれる先人なしに、「易行」の道には入れない、
  「他力」を自分勝手に解釈してはならない
 …てな感じのことが書いてあるみたいです。

 VTRの解説によれば
 「易行」は「苦行」に対比させた言葉みたいです。
 それまでの仏教では
 俗世間から離れ、苦しい修行や勉強をして悟りを開く、とされていた(苦行)
 しかし親鸞の師匠の法然はこのやり方に疑問を持ち、
 誰もが救われるべき、と考えたそうです

 そこで中国の
 「阿弥陀仏を唱えれば救われる」
 「仏教は悟りを開くものではなく、阿弥陀様が救ってくれるもの」
 という考え方に惹かれ、それを広めた
 親鸞はそれに共感を感じたのだそうです

 釈氏の解説によれば、
 苦行=自力…聖道門
 易行=他力…浄土門
 今までの仏教は苦行の道が主だったが、
 法然はその主従を入れ替えた、という話をしていました

 そして、他力っていうと他人任せ、と思われがちだが
 もともとの意味は、阿弥陀様の願いの力だ、とのこと

 伊集院さんは
 「ありがたい気はするけど、ピンとこないですね」
 磯野アナも
 「それでいいのかな、って思っちゃいますね」

 釈氏によれば
 「法然は従来の仏教の枠組みからこぼれ落ちた人たちに目を向けて、
  いったん仏教を解体しちゃったんですね」
 「キリスト教徒かイスラム教は救済型(神様が最後に救ってくれる)
  仏教は自己変容型(悟りなどで自分を変える)
  だったが、仏教を救済型にした」
 とのことです

〇阿弥陀さまはみんなを救ってくれる
 親鸞が私たちに直接伝えたかった言葉が第一条にあるそうです

  阿弥陀仏の不思議な力に助けられて、必ず浄土に行けることを信じて
  念仏を唱えようとする人たちについては、
  阿弥陀様は老いも若きも善人も悪人も選ばない、
  信心があればみんな救う
  なぜなら、
  阿弥陀様は潔く煩悩を断たれて
  人々を救うことを決意したからだ

 つまり、阿弥陀様は、浄土に行けると信じて念仏を唱える人みんなを救ってくださる
 ということだそうです

 ちなみに阿弥陀様の名前は
 サンスクリット語の「アミダーユス」「アミターバ」が合わさった言葉と言われているそうです
 「アミタ」は否定語、アーヌスは命なので、「アミダーユス」は無限の命
 「ターバ」は光なので、「アミターバ」は無限の光
 つまり、阿弥陀を日本語に訳すと、
 「限りない命、限りない光の働き」という意味なのだそうです

 南無阿弥陀仏、というのは「ナマス」がお任せします、という意味なので
 「この世に満ち満ちた、限りない命、限りない光の働きにお任せいたします」
 という意味なのだそうです

 伊集院さんは
 「なんか腑に落ちてきた」とのこと
 「この競争社会で、競争に勝てる人もいれば負ける人もいて、
  でも負けた人は努力していないかといえばそうでもない。
  勝った人てのはある意味、俺たちは苦しい修行に耐えて救われたんだぞ、って言ってるけど、
  本当に救われるべきは、努力したけど負けた人ではないか、ということかな」

 釈氏は
 「ある意味、悟りを開いたという人たちの自慢や傲慢を鋭く突いたのですね。 
  その枠からこぼれた人たちのための道筋を示した」

 伊集院さんは
 「でも、負けた人の中には、努力した人もいるだろうけど、
  はなから諦めた人もいて、
  そういう人もまとめて救ってしまっていいのかっていうのはあるけど…」
 と、まだ納得いっていない様子でした。これは来週以降の課題なのかな。

 とりあえず、阿弥陀様は信じる人はみんな救いましょうとおっしゃっている、
 と親鸞は言いたかったのだと理解するのが今回のポイントみたいです。

 (これを聞いて、資本主義の勝ち組、負け組の話をなんとなく思い出しました。
  資本主義は頑張った人が儲かるはずという発想だけど、
  運だけで勝つ人もいるし
  どんなに頑張っても負けちゃう人もいる
  それは本人のせいではなく、運とか環境のせいもある
  そこを金持ちが
  「貧乏人は頑張ってないから貧乏なんだ、俺たちは頑張ったから儲かった」
  って考えるのは傲慢というか。
  所得の再分配で、頑張ったけどダメだった人を救ってあげよう、
  というのはそういう発想なんだろう。
 
  まあでも悟りの場合、お金みたいに客観的に分かるわけじゃなくて
  「自分が悟った」「悟ってない」という自己判断によるものなので
  「悟った」って思っちゃうこと自体が傲慢なのかもしれない)

〇「地獄にしか住処はない」
 これも親鸞が言った、誤解されそうな言葉なのだそうです

 「念仏を唱えれば救われる」と親鸞は説いていたが、
 京都にいる親鸞に、救いを求めて関東からやってきた人たちがいた
 関東では当時、法然の教えに批判的な人たちがいて
 「念仏なんか唱えてたら地獄に落ちる」
 ということを言っていたそうです
 
 そこで関東から来た人たちは親鸞に
 「念仏唱えたら地獄に落ちますか」と聞きに来たそうです
 
 それで親鸞は何と答えたか。
 「私は念仏を唱えて地獄に落ちるかどうか、そんなのは知らない。
  でも私は、法然の教えに従い、念仏を唱え続けて地獄に落ちたとしても後悔しない
  苦しい思いをして修行したり勉強したりしても、満足できる悟りが開けなかった私にとっては、
  念仏を唱えたら地獄に行くと人がいうのであれば、地獄しか住処はない」
 と答えたそうです

 伊集院さんは
 「当時関東から京都って、新幹線に乗るのとは全然違いますよね」
 釈氏
 「そうですね、二か月以上かかって、命がけで来た人もいます。
  でもそういう人たちに彼はそんなの知らん、って言ったんですね。
  難しいことは学者に聞けと。
  そこは親鸞は厳しいですね」とのこと
 救われるかどうか、そんなの自分にも分からない。
 でも自分はこの道しかないんだ、と言い放ったということらしい。

 伊集院さんは
 「「俺なんか地獄に落ちるしかない」っていうのってすごくないですか?」
 釈氏
 「親鸞自身、比叡山で20年こもって修行したんです。
  でも煩悩を断ち切れたとは思えなかった、
  そこを彼はごまかさなかったんですね。
  煩悩に一生向き合い続けたんです」
 つまり、苦行しても悟れない無念さを知っているからこそ、そこまで厳しいことを言えたんですね。
 
〇煩悩や世の中の不合理に向き合った親鸞
 親鸞の生涯をたどると
 彼は下級貴族の生まれで、9歳に出家し、比叡山にこもって厳しい修行をした
 しかしいくら苦しい修行をしても、煩悩を断ち切ることはできない。
 悩む彼は、法然の教えを聞いた
 「念仏を唱えれば救われる」
 彼はその考え方に惹かれ、弟子になる
 法然の教えは分かりやすく、庶民や武士の信仰を受けていた
 しかし仏教の主流はからは批判を受け、法然や弟子は四国や新潟に島流しにされ
 僧侶の資格も奪われた

 釈氏によれば
 親鸞は4年間関東にいたこともあり、
 僧侶でも庶民でもない「非僧非俗」の立場で教えを説いていたそうです
 出家せず在家のまま、肉や魚も食べ、妻も子供もいた
 彼は仏教の戒律にとらわれず、自分の道を歩んでいたそうです

 このため彼は自分を「愚禿」(ぐとく)
 つまり一人の愚かな人間、と名乗っていたそうです

 伊集院さんは
 「僕が20年も修行したら、こんだけ苦労したんだからもう悟れてる、
  とごまかすことができたと思う、でもそれはしなかったんですね」
 釈氏は
 「そうですね、彼は90歳まで生きましたけど、
  一度も悟ったとは言っていない」
 真っ黒な中に放り込まれた自分に、
 仏教の光が当たり、どこにいるか教えてくれ、進んでいく道も教えてくれる。
 しかし彼は、光があれば影ができる、ということを知っていた、
 光が強ければ強いほど影が浮かび上がる
 彼はそこをごまかさなかった、とのこと。
 どこまでも光と影の緊張が続いていった、
 だからこそ生まれた思想があるのだそうです。

 その一つ、第四条には
 「今生にどれほど愛しい、不憫だと思う人がいても思い通り助けられない。
  慈悲というものは不完全だ」
 と書いているそうです
 慈悲の行いというのは不完全である、ということらしい
 釈氏は
 「2011年の震災でも、波にのまれてこの手を離さない、と思っていても
  離してしまって、一生会えなくなった人もいたと思うんです。 
  思い通りにならないということが、生きるということである、と」

 伊集院さんは
 「この考え方が劇薬だなと思うのは、
  それを聞いて諦めちゃう人と、だからこそ頑張れる人がいる」

 釈氏も
 「私もNPOで活動をしていて、認知症の方や障害者の方と接することもあるんですけど、
  時々四条がささやいてくるんですよね」
  「お前いいことしていると思っているだろ、
   でもそれは、自分の都合が混じっているだけだ」
  とささやいてくるそうです
 何事も思い通りにならないことばかり、そのときじゃあどうするの?
 という課題を親鸞は突き付けてくるのだそうです
 
 不条理な世の中、
 煩悩だらけの自分、
 自分勝手な自分…
 それらの「闇の部分」を認めたうえで、
 どこに向かえばいい、と親鸞は言っているのか?
 それとも、親鸞は答えを提示していないのか?
 
 それが来週以降の課題になりそうです。
 個人的な意見としては、
 闇は闇として認めて、
 自分の闇にも他人の闇にも世界の闇にも寛容になることかな、と思うのですが…
 まあ、これがなかなか難しいんですけどね。。

 というわけで、今回はこの辺で。
posted by Amago at 15:38| Comment(0) | テレビ | 更新情報をチェックする

2017年10月02日

NHKスペシャル「シリーズ人体 第1集 腎臓が寿命を決める」

NHKスペシャル「シリーズ人体 第1集 腎臓が寿命を決める」

 NHKスペシャルの新シリーズです。
 今までの医学の常識は
 「脳が臓器への指令を出している」でしたが、
 最近の医学では
 「臓器同士がネットワークを作り、対等に会話している」
 なのだそうです

 それを伝えるシリーズですが、
 第1集は腎臓。
 腎臓は、このネットワークの要となる臓器だそうです。
 今回も映像がきれいでした。特に腎臓の内部までCGで再現しています。
 ただ寿命だけの話ではなかったので、
 副題は若干ずれているような気もするが…

 司会はタモリさんと山中伸弥氏、
 ゲストは石原さとみさん、北島康介さんでした。

 タモリさん、北島さんは
 「腎臓って地味なイメージがありますねぇ」
 石原さんは
 「でもデトックスって言うから大事なのかも」
 というご意見でした

○高地トレーニング
 最初に紹介されたのは、水泳の高地トレーニング。
 腎臓と何の関係があるんかな?と思うのですが…
 場所は標高2100mのところにあるアメリカのフラッグスタッフという所でした。

 日本の水泳のトップ選手の強化合宿に使うところでもあり、
 前回のリオオリンピック金メダリストの金藤理恵選手は
 「大事な試合の前には必ずここに来る」
 と話していました

 金藤選手や、東海大の水泳選手たちに協力していただき、
 泳いだあとの体の酸素飽和度を測定していました
 (指先にクリップみたいなものを挟んで測定していました)

 通常は96~99%くらいあるそうですが
 高地に来たばかりの時は酸素飽和度は88%、89%
 つまり酸欠状態なのだそうです。
 しかし、2週間トレーニングしたあと計ると96~97%になる

 これは何の変化によるのか?

 実は、これは腎臓がメッセージ物質(EPO)を出すことによるものなのだそう
 これは「酸素が欲しい」という腎臓のメッセージ

 EPOが血管を通じ、
 骨の中にある骨髄(血液を作るところ)
 に至ると、赤血球を増産する
 こうして酸素をたくさん運べるようになる

 金藤選手の赤血球を測定したところ
 リオオリンピックの時は、赤血球の血中の割合がピークだったそうです
 高地トレーニングはマラソンなどでも使われますが、
 心臓が強くなるんかと思ってたけど、腎臓だったんですね…

 山中氏によると
 「EPOは日常生活でも出ていて、
  例えば私の母は慢性腎于炎で亡くなりましたが、
  腎臓の働きが悪くなると貧血になってしまう」とのこと

 また、最近の研究では、
 腎臓は全身の血液を管理している、ということが分かってきたそうです

 この役割は非常に重要らしい。
 というのは、
 「脳が臓器に指令を与える」のではなく
 「臓器どうしが直接会話しあう」ことが最近分かってきたらしいのですが
 この会話を仲介するのが血液であり、
 血液が流れる血管はネットワーク網のようなものなのだそうです

 これを管理するのが腎臓で、
 腎臓には全身の中でも血管がびっしり集まっています

 次に、腎臓が体を健康に保つために重要な役割を果たす、という例がいくつか示されています
 
○高血圧の原因が腎臓にある?
 腎臓は高血圧にも関係があるらしい。
 ドイツのライプチヒ心臓センターを訪ねています

 取材していた患者さんは重度の高血圧で
 高血圧の薬を何種類も飲んでも、血圧が下がらない
 (上は薬を飲んでも200越えるそうです)
 他の病院では「治る見込みなし」と言われたらしい

 そこで彼は手術を受けるが、
 担当するのはなんと心臓専門医。
 カテーテルみたいなのを足の付け根の血管から入れて、
 腎臓の神経を焼くのだそうです
 「腎デナベーション手術」

 これで何が治るかというと
 レニンという物質の放出を防げるのだそうです
 レニンは「血圧を上げよう」というメッセージ
 高血圧の人は、このレニンが出すぎているのだそうです

  手術を受けた患者さんは、血圧の上が100代、下は50代に下がっていました
 手術を担当した心臓専門医は
 「腎臓は尿を作るだけ、と思うのは大間違い、血圧のコントロールにも重要な役割を果たしている」とのことでした

 (この手術については
 http://www.twmu.ac.jp/TWMU/Medicine/RinshoKouza/021/medical/rdn_medical.html
 (東京女子医科大のホームページ)
 に詳しく書いてありました。
 ざっくりいうと、高血圧は交感神経が働きすぎるのが原因らしく、
 この手術では脳から腎臓への指令を出す交感神経と
 腎臓から脳へシグナルを送る交感神経両方を焼き切ってしまうのだそうです
 この大学を含め、日本では11施設で治験も行っているみたいです

 しかし、水を差すようでなんですが
 この治療法の治験を行っているアメリカのMedtronic社は2014年、
 治験をいったん中断する、
 という発表をしています
 
 http://www.medtronic.com/content/dam/Medtronic/japan/newsroom/documents/2014-4-1.pdf
 (Medtronic社の治験の結果のプレスリリース)
 によれば、535名、87施設で実施された治験
 (デナベーションした人を治療群、カテーテルを入れただけの人をコントロールとし、
  手術を担当した医師も受けた患者もどちらをしたか分からない条件で実施したところ、
  どちらも血圧が下がった。
  デナベーション群の下がり方が有意に大きいわけではなかった、という結果らしい)

 ただし、安全性には問題がなかったし、
 血圧は下がっているので、全然効果がないわけでもなさそう。
 ですので、日本の医療機関で現在も行っているかどうかは、直接確認したほうが良さそうです)

○腎臓は尿だけでなく、血液も作る
 山中氏によると
 「心臓の血液の1/4は腎臓に行く、腎臓は血液の管理者」

 そして腎臓は、血液中の成分の調整もするそうです
 例えばカルシウムCa、マグネシウムMg、カリウムK、リンP、水素イオンH+、尿酸など
 腎臓が悪くなるとバナナ(カリウムが豊富)も食べられなくなるのだとか

 この血液の成分調整は、尿を作る過程で同時に行われるそうで
 その様子を顕微鏡、生体撮影、CGなどを駆使して再現していました

 最初に出てきたのは3D電子顕微鏡で撮影された腎臓の写真。
 丸いものが盛り上がっているように見えるのがとてもリアル。

 腎臓の断面を見ると、管のようなものがぎっしりあり
 その中に直径0.2ミリほどの丸いものがありました

 これは糸球体(しきゅうたい)といい、血管の塊。
 尿をこしだす働きをするもので
 1つの腎臓に100万個あるそうです

 CGで腎臓の血液の流れの中に入ったらどうなるか…が再現されていました
 (これはホームページからでも見られます)
 血液と共に血管の中を進むと
 血液には赤血球、白血球などのほかに老廃物や体に必要なミネラルなどが含まれている

 やがて壁が穴だらけの所にたどり着くが、これが糸球体
 この穴は赤血球など大きいものは通れず、老廃物とミネラルだけこの穴から出ていく
 残った血液は血管に入り腎臓から出ていく

 こしだされた老廃物などは尿となるが、
 まだ体に必要なミネラルなどは残っているのでこれは原尿と呼ばれる

 原尿は尿細管に行くが
 尿細管の内側には微絨毛が生えている
 この微絨毛の表面には細かいポンプ付きの穴があり
 ポンプごとに吸収するものが違う
 こうして吸収された物質は再び血管に戻される

 尿細管の周辺を生体イメージング顕微鏡で実際に撮影したものを見ると、
 (顕微鏡といっても動画状態です)
 血管がびっしり張り巡らされている様子、
 その中を赤く光った血液が流れている様子がはっきり見えました

○腎臓が吸収する成分は他の臓器との会話で決めている
 スタジオで、模式的に尿の流れを見ていました
 糸球体から尿細管が出ていて、これは膀胱につながっている
 尿細管は、微絨毛を挟んで血管と隣接している

 尿細管に原尿が流れると、
 微絨毛はフィルターみたいに必要物質をこしだし、血管に入れていく
 原尿から必要物質を除いた残りの液体が膀胱に運ばれ、おしっことなって出ていくらしい

 「じゃあ、腎臓が血液の成分を調整しているんですね」
 という質問もありましたが
 山中氏の解説によると
 「腎臓だけが判断しているんじゃなくて、
  他の臓器の会話を聞いて、量を判断しているんです」

 腎臓には心臓だけではなく、
 甲状腺、骨、脳、腸、胃、肝臓、副甲状腺など
 いろんな臓器からのメッセージを受け取って、
 総合的に判断しているそうです
 「どんな小さい臓器からのメッセージも、分け隔てなく聞いています」

 ちなみに1日に出す尿は1リットルなのだそうですが、
 腎臓で作られる原尿は1日180リットルもあるらしい。
 それだけ腎臓が忙しく働いているそうです

○寿命の鍵を握る腎臓
 次は腎臓が寿命を左右する、というお話です。
 普通、動物は体が大きいほど寿命が長いが、
 人間などは体の大きさのわりに例外的に長いそうです

 その原因となる物質はリンなのだそう
 血液中のリンが少ないほど長生きすることが分かっているそうです

 リンは肉や骨などに含まれ、
 不足すると呼吸不全、心不全、骨軟化症、くる病などを起こすが
 多すぎると老化が進む

 腎臓、リンと老化の関係は、日本人研究者がたまたま見つけたそうです
 遺伝子操作マウスの中に寿命が極端に短いマウスがいて、
 その遺伝子を調べたら腎臓の遺伝子が壊れ、
 リンが調節できなくなっていたのだそう

 普通のマウスは2年半生きるが、
 このマウスは2ヶ月半しか生きられない
 血液中のリンの濃度は、
 普通のマウスが7.8mg/dlなのに対し、このマウスは14mg/dlだったそう

 山中氏の解説によると
 骨から「リン足りてますよ」というメッセージが届くと
 腎臓は「リンあんまり吸収せんとこ」と、リンの取りすぎを抑える働きをするそうです

 また、リンが老化を促進するメカニズムは分かっていないが
 リンが多すぎると、
 骨がカスカスになって骨粗鬆症を起こしたり
 血管を石灰化させ、血液をドロドロにして動脈硬化を起こすことが分かっているそうです

 (ちなみにリンって何に入ってるんかなぁ、と思ったんですが
 http://www.skincare-univ.com/article/017325/
 (「ヘルスケア大学」の「リンを多く含む食品とは」のページ)
 によると、魚介類や肉など、動物性食品に多いらしいです

 しかし特筆すべきは
 「食生活が外食や加工食品に偏ってしまうと、リンの過剰摂取を招く恐れがあります。」
 という一文。

 ソーセージハム、缶詰、調味料、インスタントラーメンなどに含まれる、
 「リン酸塩」という商品添加物を取りすぎてしまう方が心配らしい。

 出来合いのものをなるべく減らし、野菜、果物、肉をバランスよく取るのが大事みたいですね)

○入院患者の腎臓をモニターして死亡を防ぐ取り組み
 次に、腎臓をモニターすることで、
 入院患者の突然死を防ぐ試みが紹介されていました

 この取り組みをしているのはイギリスのワージング病院。
 この病院には、すべての患者に腎臓をモニターする設備が備えられている
 いわば心拍をモニターするのと同じ扱いで患者の腎臓をモニターしており、
 腎臓の機能不全(AKI)が起きると、アラームが鳴るようになっている

 というのは、患者さんにAKIが起きると、多臓器不全を起こし
 ひどいときには死に至ってしまうこともあるそうです
 そして、このAKIは、腎臓と関係ない場所の病気でも起こりうるのだそう
 「入院患者の5人に1人がAKI」という研究結果があるらしい

 これはなぜか?
 腎臓は、ほかの臓器の病気から影響を受け、ダウンしてしまうのだそうです
 そうなると全身の血液管理ができなくなるため、全身がやられてしまう
 「今までにも、腎臓を管理すれば救えた命があったかもしれない」そうです

 では、腎臓がダウンしたらどうすればいいのか?
 実際にAKIのアラームが鳴った女性患者がいましたが
 医師は「薬をいったんやめましょう」
 腎臓は、人体の中でも一番薬にさらされるため、
 弱っているときに薬を使うと、余計負担になってしまうらしい
 この女性患者も、薬をいったん中止、腎臓の回復を待って再び投薬する処置をしたところ、
 無事退院できたそうです

 医師によると
 「腎臓は一度やられてしまうと、取り返しがつかない。
  患者の腎臓に目を配り、いち早く腎臓を救う手立てを考えることが大事」
 そこに思い至ったことは大きなことだ、と話していました

 日本でも、京大の医学部付属病院では、
 腎臓専門医も加わり、投薬量などを調整する試みがなされているそうです

 石原さんはこのVTRを見て
 「私すぐ薬飲んじゃうんですけど、腎臓には負担なんですね」
 山中氏は
 「腎臓に負担を与えないためにも、余分な薬は絶対に飲まない方がいいですね。
  もちろん、必要な時は医師の処方に従って飲んでください」とのことです

〇まとめ
 最初「腎臓地味じゃない?」派だった北島さんもタモリさんも
 途中からは「腎臓大事だね~」となっていました(笑)
 北島さんは
 「新しい衝撃でした、知らないことがこんなにもあったんですね。
  アスリートって外側は鍛えるけど、
  内側で起きていることを見るのも大事ですね」
 タモリさんは
 「胃に優しい、とは聞くけど腎臓に優しい、とは言わないよねえ…」
 山中氏は
 「胃は悲鳴を上げるんですけど、腎臓は我慢強いんですね」
 
 肝臓は沈黙の臓器、というけど、腎臓にも感謝しないといけないですね。
 腎臓は精緻な構造を持つがゆえに、傷つきやすい臓器でもある…
 というナレーションで締めくくられていました

〇感想など
・腎臓は断面写真は見たことあるけど、立体画像は多分初めてです。
 糸球体が盛り上がっている様子も立体的に見えて、すごいなーと思ってしまった。
 ホームページのバーチャルリアリティーも楽しかったです。

・高血圧の腎デナベーション手術は神経を焼ききるだけだが、
 レニン自体をどうやって減らしているのかな?と思いました。

 レニンで興奮しちゃってる神経が、さらにレニンの分泌を増やす…みたいなフィードバック的なレニンの増やし方をしていて、そこを防ぐということなのかな?

・腎デナベーションの治験は中止しているみたいですが、
 血圧は下がっているから効果はあるのかもと思います。

 話が逸れてしまうかもしれないですが、
 以前BSのドキュメンタリーで「プラセーボ効果」の話があり(「プラシーボ~ニセ薬のホントの話」2014年イギリス)
 手術のプラセーボ効果てのもあると紹介されていました
 (記憶が曖昧ですが
 脊椎骨折患者にセメントを注入する外科手術で、
 医者も本当のセメントを入れたかプラセーボか分からないランダムな手術をしたとき
 プラセーボを注入しても治ってしまった、という結果らしい
 「お医者さんが手術してくれた」という気持ちで治ってしまうのだそうです。

 Medtronic社も施術した医者自身もデナベーションしたか分からないようなランダムな条件なので、
 コントロール群でも血圧が下がったのは、手術したプラセーボ効果なのかなと。
 有意な差にならなかったのはそのせいかも、とも思いました。

 まぁでもどちらにしろ
 外科手術だけで習慣を変えないと、またレニンとかたまって再発しそう…
 やはり食や運動など、習慣も変えることが大事なのでは、と思います。

・入院中の腎臓モニターについては
 他の病院にも広まって欲しいと思います。

 私の父親も入院中、多臓器不全を起こして亡くなっているので
 こんなシステムがあれば助かったんかなぁ…とか考えてしまった。

腎臓は大事にしよう。。

というわけで今回はこの辺で。


posted by Amago at 20:16| Comment(0) | テレビ(科学) | 更新情報をチェックする

NHKスペシャル シリーズ 人体 プロローグ「神秘の巨大ネットワーク」

NHKスペシャル シリーズ 人体 プロローグ「神秘の巨大ネットワーク」

 昔、NHKスペシャルでやっていた名シリーズ
 「驚異の小宇宙 人体」
 の最新バージョン?みたいなシリーズだそうです。

 前回のシリーズをしていたのは私がまだ学生の頃…
 理科の授業でも使われていたような、いないような。
 再放送も何回かされていたのかな、
 当時私の付き合ってた人が録画して熱心に見てた記憶があります。
 当時はビデオテープだったねえ。
 私は当時、あんまり体の仕組みとかには興味がなく、ふーん、て感じだったんですが
 あのとき司会してたのはタモリさんだったんですね~。

 今回はそのタモリさんと、iPS細胞の権威である山中伸弥教授が司会だそうです。
 (ちなみに山中氏は、前回のシリーズ時大学院生だったそうです)
 どちらの方も私は好きなので楽しみにしていました(笑)
 実際、見ていて穏やかな進行で解説も分かりやすく、全シリーズ期待できそう♪

 さて今回のシリーズは副題が
 「神秘の巨大ネットワーク」となっています

 今までの医学では、
 脳が全部の臓器に指令を出す、みたいな考え方でしたが
 実は臓器同士がネットワークを作り、対等に会話している、
 ということが分かってきたそうです。
 今回のシリーズでは
 それぞれの臓器について、どんなネットワークが作られているのか
 最新の科学を紹介してくださるとのこと。

 プロローグではそれらの解明をを可能にした技術や、
 どんな臓器同士のネットワークができているかの紹介でした

 今回のゲストは石原さとみさん、博多大吉さん。
 28年前のシリーズもそうなんですけど、NHKのCGの細かさにはビックリでした。
 本題になってないところも正確に再現してるんだろうな。
 ぜひぜひ映像でご覧になることをお勧めします。

○進化した顕微鏡技術
 最初は、これらの研究を可能にした顕微鏡の話から。
 アメリカのハワード・ヒューズ医学研究所には画期的な顕微鏡があり、
 この開発をしたエリック・ベツィグ氏は、2014年のノーベル賞を受賞されたほどなんだそうです
 (受賞理由は「超高解像度の蛍光顕微鏡の開発」だそうです)

 この顕微鏡は「光子格シート顕微鏡」といい
 ミクロの細胞をスキャンし、
 三次元的に再現してくれるものらしい

 実際見せてもらうとこれがすごい。
 免疫細胞の表面の凸凹や、
 免疫細胞がガン細胞をあぐっと食べる様子がリアルにわかる。
 しかも中身も透けて見えるそうで
 免疫細胞が攻撃物質を放射する様子も分かる。
 CGじゃないの?と思ってしまうくらいでした。

 また、自治医科大学では、8Kカメラを取り付けた顕微鏡、てのもあるそうです
 これで見ると、従来よりも鮮明に、
 しかも広い範囲を1度に見られる(今までの16倍)
 血管の様子を見てみると、血管の中に血栓が流れ、
 途中で詰まっていく様子もありありと分かりました
 (今までだと、接近しすぎて何がなんだかわからない)
 これだと「遠くに離れた臓器どうしの関連性が分かりやすい」のだそうです

 それらの技術で分かったものの一例として
 腸がシグナル物質を放出する瞬間の映像がありました
 見ると、絨毛の細胞(大きさ1/100㎜くらい)のうち一つが突然バーンとはじけ、
 中から細かい粒子が広がる様子が見える。
 この粒子がシグナル物質(大きさ1/10万㎜くらい)だそうです

 山中氏の解説によると
 これは「ご飯が来たぞー」という腸からのシグナルで
 脳、膵臓、胃などに伝わるのだそうです。

○心臓のシグナルANP
 今までは、こういうシグナル物質、つまりホルモンは
 脳など特定の臓器でしか放出されていない、と考えられていたそうです

 しかし最近では、それが色んな臓器で出され、
 お互いメッセージをやり取りしていることが分かってきた

 それを最初に発見されたのが
 国立循環器病研究センターの寒川賢治氏だそうです

 それまで、脳にはホルモンを入れたカプセルみたいなのがある、と分かっていたが、
 彼は心臓を顕微鏡で観察したとき、脳と同じようなものが心臓にもあることに気づいた
 そこでその働きを調べると、
 血圧が上昇するしたとき、そのカプセルが開けられ、
 中からホルモン(ANP)が放出されることが分かった
 「疲れた、しんどい…」
 という心臓の呟きらしい

 このANPは腎臓で受けとめられ、
 腎臓は尿の量を増やし、水分を体内から排出して血液量を減らすそうです
 心臓のメッセージを受けた腎臓が「おしっこを出そう」と反応しているとのこと

〇ガンの転移を防ぐANP
 このANPは、最近ガン治療にも役立つことが分かってきたそうです。
 ガンの切除手術の最中にANPを投与すると、
 手術2年後の生存率が上がる(67%→91%)という結果があるそうです
 (国立循環器病センターの研究による)

 これはなぜか?
 ANPは、血管細胞が受け取ると
 「血管を治そう」と、傷んだ壁を再生する働きが生まれるのだそうです
 (心臓くんが「疲れたー」というので「じゃあ負担を減らそう」となるらしい)

 一方、ガンの転移は、血液中に逃げ込んだガン細胞の破片が
 血管の傷んだところからほかの臓器に入り込むことで起こる
 このため、ANPを投与すれば、ガン細胞をシャットアウトできるのだそうです

○スタジオでの解説
 シグナル物質は、いろんな臓器から出され、やり取りされている
 今まで分かっているシグナル物質は百種類以上あるのだそう

 この臓器の呟きと他臓器の反応を分かりやすく示すために
 「タモリさんの人体呟きマシーン」
 なる人形が置かれていました

 人形っていっても、レゴブロックみたいなパーツで組み立てられている。
 外側もリアルにタモリさんなのですが
 内側の臓器もリアルに再現、大きいせいもあってちょっとコワイ(笑)
 (全部で3万ピース、製作に2ヶ月かかったそうです…NHKやるな~)

 しかもレゴ組みたててあるだけじゃなくて、
 ブロックを一個取り出し、コンピューターと接続された台の上に置くと
 その細胞の呟きが分かるようになっている。

 例えば心臓のブロックひとつを置くと
 接続したコンピューターの画面に
 Lineみたいな感じで、心臓の絵と「疲れたばい」の吹き出しが出る
 するとLineの会話みたいに、腎臓の絵と「おしっこするばい」の吹き出し。
 (ちなみに、タモリさん福岡の方なので博多弁らしい。無駄に芸が細かい…(笑)
 でも山中氏は「科学的には間違ってます」(笑)
 しかもタモリさんは「博多弁おかしいよ」(笑))

 腸のパーツを置くと
 「みんなー、飯がやって来たばい!」の吹き出し。
 脂肪細胞「栄養溜め込むばい」
 膵臓「糖分も吸収せんと」
 脳「満たされてきた~」
 これは、腸から出るインクレチンというホルモンの働きのことで、
 糖や脂肪を吸収したり、脳がお腹一杯に感じる働きがあるんだそう

 肝臓のパーツを置くと
 「こげんたくさんいらん!」と少々キレ気味(笑)
 そして「鉄が…」と謎の言葉。
 腸が「申し訳ない…ほどほどが大事やね」
 これは山中氏によると
 肝臓は普段から色々働かされているので、お酒があるとさらに負担になる
 また、鉄分が多すぎると肝臓ガンの原因となるので
 あんまり吸収しないで、というメッセージらしい
 これはなんか分かりにくいけど(笑)

 石原さんが
 「私の耳にも聞こえて欲しいな。だって気を付けられるでしょう」
 タモリさん
 「多分うるさいと思うよ」(笑)
 実際すべての呟きを流すと、あっちこっちからガヤガヤうるさい。
 山中氏「聞こえない方がいいですね」(笑)

○ガン細胞が出すシグナルをガンの発見に利用する試み
 次に紹介されていたのは、この細胞から発するシグナルを利用して、
 ガンを検出するシステムを開発する、というお話でした
 実現すれば、血液1滴から13種類のガンを一度に早期発見でき、
 しかも精度は95%以上なのだそう。

 利用するのは、ガン細胞から放出される「エクソソーム」という物質
 これはガンが体に広まるための武器なんだそう
 臓器が発するシグナル物質をまねて、ガン細胞が作っているのだそうだ

 例えば乳ガンの場合、普通はガン細胞は脳のバリアに阻まれて入れない
 しかし、ガン細胞からこのエクソソームを隠し持つカプセルが放出され、
 これが脳細胞まで行くと、
 ウィルスメールみたいに、本物の体の物質になりすまして入り込んでしまう
 脳細胞がそれとは知らずに開封してしまうと
 「脳のバリアを緩めて」
 という偽のメッセージが入っている
 するとバリアが緩み、ガンの転移を許してしまう

 前立腺がん、膵臓ガンなど
 ガンによりこのエクソソームは違うらしく
 これらを全て検出できれば
 早期にガンを発見できるのだそうです。
 この技術は、3年後の実用化を目指しているそうです

 山中氏は
 「今や2人に1人ガンになり
  3人に1人がガンで亡くなっている時代ですから、
  ガンの克服は本当に医学研究の課題ですね」
  この技術が進めば、その課題の解決に大きく貢献するだろう、とのことでした

 また、
 「体の病気は、メッセージが作られ過ぎる、
  あるいは間違って伝わることが多くの原因と考えられるので
  これらが解明されれば、もっと病気が治せるのでは」とのこと

○関節リウマチの治療
 次に紹介されたのは、関節リウマチの治療の話でした。

 この病気は国内だけでも70万人がかかっているそうです
 激しい痛みが起き、進行すると骨が変形していくそうです
 レントゲンを見ると、関節どうしの隙間がなくなり、骨と骨が接着してしまう
 これが痛みを起こすらしい

 近年の研究で、細胞間の間違ったメッセージのやり取りがこの病気を起こす、
 ということが分かってきたらしい

 具体的には、関節の中の免疫細胞が、
 間違ってTNFαという物質を放出するんだそうです
 これは「敵がいるぞ」という知らせで
 これにより免疫細胞は増殖し
 さらにTNFαが放出される

 しかし実は敵などいない
 免疫細胞は、関節の組織を勝手に敵だと思い込んでいるらしい

 しかしこれが続くと、免疫細胞は増え続ける
 増えた免疫細胞は、集まって破骨細胞となり、自分の骨を破壊してしまう

 この暴走を止める薬が開発されたそうです
 この薬は、TNFαにくっつき、働きをブロックする

 この病気に30年間悩んできた女性が紹介されていました
 小学生の時に発病し、いろんなことが制限される人生を送ってきたそうです
 子供ももうあきらめていた、とのこと

 しかし4年前からこの治療を受け、進行は収まっているそうです
 骨の写真を見ても、関節の隙間が回復している
 この薬のおかげで、お子さんも無事に授かることができたのだそう。

 研究者は「これはパラダイムシフトです」
 治療を受けた女性も
 「根治に近い治療法が発見されるのでは、という期待はありますね」
 と話していました

 スタジオでは山中氏が
 「実は私は、大学を出ていったんは整形外科医になろうとしたことがあって、
  そのとき初めて担当したのが関節リウマチの患者さんだったんです」
 という話をしていました

 その患者さんは、進行が早い患者こともあり、
 元気だったのに1年もたたないうちにみるみる進行してしまった
 その間医者として何もできなかった無力感が、
 その後研究の道に進む1つの動機になった、と話していました

 それだけに、
 「30年でここまで来るのは、医療関係者として嬉しい」と感慨深げでした
 そして、これらの研究に多くの日本人が関わっていることに誇りも感じるそうです

 最後に、今後の放送予定が書いてありました
 NHKのPRページにあったものが分かりやすいので転載させていただきますが
 <2017年>
 10月1日(日)後9:00 「“腎臓”が寿命を決める」
 11月5日(日)後9:00 「“脂肪と筋肉”の会話がメタボを治す」
 12月3日(日)後9:00 「発見!“骨”が若さを呼び覚ます」

 <2018年>
 1月7日(日)後9:15 「アレルギーの鍵は“腸”にあり」
 2月4日(日)後9:00 「徹底解剖!ひらめく“脳”の秘密」
 3月18日(日)後9:00 「生命誕生・あなたを生んだミクロの会話」
 3月25日(日)後9:00 「人体は謎に満ちている」

 録画してじっくり見たいと思います。

 ちなみに番組でも紹介があったんですが、
 ホームページでは人体の各臓器の内部の画像が見られます
 http://www.nhk.or.jp/kenko/jintai/
 (人体ウェブサイト)
 これは顕微鏡写真のサイト、各臓器をクリックすると詳しい画像が見られます。きれいですよ~
 ww.nhk.or.jp/vr/jintai/
 (NHKスペシャル「人体」VRアドベンチャー・ツアー)
 これは動画で、番組で紹介された臓器の中をバーチャルリアリティーで旅行できるサイト
 今は一回目の腎臓が終わっているので、腎臓の内部が旅できます。

〇感想など
 映像のすばらしさにとにかく感動しました。
 それから、スタジオでの小道具も細かい。さすがですね~
 
 プロローグというので単に番組の紹介かと思っていましたが
 しっかり最新の研究が紹介されているのが素晴らしいと思いました。
 
 エクソソームは昔分子生物学の本で見たような…
 http://www.tmghig.jp/J_TMIG/topics/topics_201704.html
 (東京都健康長寿医療センターの「エクソソームは細胞からのメッセージ!?」というページ)
 にわかりやすい絵で書いてありますが
 昔は
 「働きはよくわからんけど、細胞内に浮いてる顆粒」
 「そのうち小胞体に外に運ばれちゃう顆粒」
 という、老廃物かなんかみたいな扱いだったような気がします(私のイメージですけど(笑))
 しかし、それがガン検出に重要だ、となるとすれば
 生物学の教科書も変わるんかなあと思ったりしました。
 医学、生物学の進歩はすごいですね~

 それから、間接リウマチの治療については
 ほかの自己免疫疾患の治療にもつながりそうだと思いました。
 私の友人が、昔原因不明の皮膚病になり
 「自己免疫疾患」と診断されていましたけど
 治せないので対症療法しかなく、かゆみ止めの薬しかないとか言っていました。
 沢山の人が悩む花粉アレルギーも、根本的には治せない自己免疫疾患の一つでしょうし、
 こういう病気の原因が一つ一つ分かっていくといいなと思います。

 山中氏が番組で
 「30年前からずいぶん進歩はしたが、たぶん今の医学は100のうち10も分かっていない」
 とおっしゃっていましたが
 まだまだ分からないことが多い、というか
 分からないことはむしろ増えていくのかも…

 日本人の研究者が減っているとかいう話も聞きますが
 この番組で、研究を志す方が増えてくれるといいなと思います
 映像がとてもきれいで分かりやすいので
 若い人には見てほしい番組だと思いました。。
 (別にNHKの回し者ではありませんが(笑))

というわけで今回はこの辺で。




 
posted by Amago at 12:17| Comment(0) | テレビ(科学) | 更新情報をチェックする